豊田有恒 韓国が漢字を復活できない理由 (2012) 

2020.4.14

 豊田さんは、1970年代の初め頃、小説の取材のために、韓国を訪問しました。

そのころ、朝日新聞は、北朝鮮を地上の楽園と美化し、北朝鮮への帰国事業を後援する一方で、

韓国を独裁政権の国と貶めていたのですが、

実際に訪れた韓国は、暗く抑圧された独裁国ではなかったのです。

 その後も、韓国に足を運び、韓国語も勉強し、1978年には、「韓国の挑戦」という本を書き、

韓国好きな著者として、親韓派の役割を果たしてきましたが、

反日に荒れ狂う現在の韓国に対しては、大いに批判をし、嘆いておられます。

 そんな韓国通の豊田さんのこの本ですが、帯には、なぜ、そんなに「日本」を隠すのか? とあります。

 この本の内容は、まえがきの以下の文章がすべてを語っています。

 韓国も、もともとは、漢字国だった。日本以上に漢字を多用していた。

隣りの中国への半従属関係から、公文書は、すべて漢文であり、

世宗王がせっかく創製したハングルも、諺文(オンムン)と呼ばれ、蔑まれつづけ、知識人が使うことはなかった。

 その後、日本の漢字・仮名混じり文と同様に、漢字と併用して使われるようになったのだが、

日本統治時代を迎えると、日本製の漢語が大量に流入することになる。

たしかに漢字は、もともと中国のものだが、韓国で使用される漢字熟語の七割あるいは八割は、和製漢語なのである。

日本統治によって、韓国語は、壊滅に近いくらい「言語学上の文化変容」を起こしてしまったからである。

 独立後、北朝鮮も韓国も、日本色を払拭することを政策の優先事項とした。

日本の影響を受けた、あるいは日本の世話になったような事柄を隠蔽する、いわゆる「日本隠し」が、あらゆる分野で行われてきた。

言語政策も、その一環である。

 和製漢語は、それが和製であるかどうかの知識が必要ですが、

もっと明確なのは、日本で訓読みしている漢語です。

 

大売出し おおうりだし  대매출  大売出

割引   わりびき    할인   割引

売切   うりきれ    매절    売切

支払   しはらい    지불

未払   みばらい   체불

後払   あとばらい  후불

合乗   あいのり   합승

 

 韓国では、国語審議会国語純化分科委員会が、日本語っぽい生活用語純化集というのを作成しているのですが、

著者が入手した少し古いバージョンのものには、700語ほどの単語がリストされていて、

そのうち、面白そうなもののリストが、33頁に示されています。

 

 こういった貴重な情報満載の本です。

 

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