高山正之・馬淵睦夫 洗脳支配の正体 (2017) |
2021.11.19
高山正之さん(1942年- ) は、ジャーナリストで、元産経新聞記者です。
馬淵睦夫さん(1946年- ) は、元外交官。2005年に駐ウクライナ大使となり、2008年に退官。
この本は、米国や日本における洗脳支配について、お二人の対談からなっていて、
まとまりは悪いのですが、興味深い情報が満載です。
洗脳といえば、お人よしな日本人は、赤子の手をねじるように簡単に騙すことができます。
Washing PostやNew York Times に、日本を批判する記事が掲載されたと、
テレビや新聞のニュースで紹介されると、
日本人は、アメリカ人にそんな風に思われているのかと、すぐ反省します。
しかし、実際のところ、アメリカ人は、日本について、殆ど知りませんし、話題にもなっていません。
米国の新聞に掲載される記事は、実際は、彼らの日本駐在記者が、書いたものですし、
日本人に執筆を依頼したものであることも多いのです。
この本の63頁で、高山さんは、以下のように語ります。
私は、日本の悪口ばかり書いているニューヨーク・タイムズのニコラス・クリストフという記者に文句を言いにいったことがあります。
言いに行ったら朝日新聞の7階かなんかにオフィスがある。
彼に付いているスタッフは朝日からの出向者でした。ビックリでした。
もう1ヶ所、興味深く読んだ場所を紹介します。
60年安保における朝日新聞の役割についての高山さんの説明です。
あの前年に週刊誌「朝日ジャーナル」を発刊して、革命だ、革命だ、政府を倒せみたいなことを煽って、
1960年6月15日、デモ隊が国会前になだれ込んだ。
そして樺美知子さんが亡くなったんです。本当に流血騒動が起きた。死者が出た。
このとき朝日に踊らされて集まっていたのが公称35万人。
実際はその半分以下ですが、こういう考えのない連中が、それこそ怒れる闘士みたいになって大騒ぎを始めたたら確実に革命ムードになる。
まるで革命前夜の様相を呈していましたから、本当に日本政府は倒されかねない状況でした。
ところが、そこまで煽った朝日新聞がそのとき何をやったかというと、
在京各紙の編集局長を集めて暴力デモ反対、政府も冷静になれという共同社説を各紙そろって流させた。
煽った新聞がいっせいに背を向けた。それでデモは沈静化していった。
戦後復興した日本が、戦前のようになってはまずいということで、アメリカはずっと日本の国家と国民を分断し、対立させてきたわけですが、
一方の勢いが強くなって一方が弱くなってしまって日本を失うことになったら、
アメリカが描いてきた日本の封じ込めも極東における戦略も変わってしまう。
すぐにでも安保に反対する勢力を潰せというのが、当時、朝日新聞の論説主幹を務めていた笠信太郎に下された命令だったと思うんですよ。
それで笠信太郎は動いて、各紙をまとめ共同社説のような記事を出すことにしたのでしょうが、
煽られてきた学生たちはいきなり梯子を外されたようなものです。
こうした経過を見るだけでも、朝日新聞がどこのために動いていたのかは、はっきりしているわけですよ。
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