詩吟 全国吟詠コンクール 指定吟題 2027 

2026.10.23

 令和9年度(2027年度)の指定吟題 10曲です。

漢詩原文、読み下し文、と、現代語直訳、のあとに、

詩吟の読みをひらがなで示し、

譜付けの一例を、下記の数字記号で示します。

 ラ シ ド レ ミ ファ ラ シ ド
 乙 1 2 2゚ 3 3゚ 5 6 7

 

●1 春日山懐古(かすがさんかいこ) 大槻磐渓(おおつき ばんけい) 2027-1

春日山頭鎖晩霞  春日(かすが)山頭(さんとう)晩霞(ばんか)に鎖(とざ)さる

 上杉謙信の居城のある春日山の山頭は、夕方の霞に閉ざされている

驊鰡嘶罷有鳴鴉  驊鰡(かりゅう)嘶(いなな)き罷(や)んで鳴鴉(めいあ)有(あ)り

 謙信の名馬 驊鰡のいななきはすでに無く、カラスの鳴く声があるのみ

憐君独賦能州月  憐(あわ)れむ君(きみ)が独(ひと)り能州(のうしゅう)の月(つき)を賦(ふ)して

 憐れみます。あなたが、独り、能州(能登の国)の地で、月を詠むだけで

不詠平安城外花  平安(へいあん)城外(じょうがい)の花(はな)を詠(えい)ぜざりしを

 平安京に出陣して、城外の花を詠じることができなかったことを

ラファファ レファファファ〜ミファミ|ドシシシ〜ドシラファミ|ドファファミ〜ファミドシラ
53゚3゚ 2゚3゚3゚3゚〜33゚3|7666〜7653゚3|23゚3゚3〜3゚321乙
かすが さんとお〜〜〜〜|ばんかに〜〜〜〜〜〜|とざさる〜〜〜〜〜〜

ドシ  シ〜ドシラ|ドミミミ ドミミ〜ファミ|シララ〜シラファミ|ファミ〜
21  1〜21乙|2333 233〜3゚3|655〜653゚3|3゚3〜
かりゅう〜〜〜〜|いななき やんで〜〜〜|めいあ〜〜〜〜〜|あり〜

ミドドシ〜ドシ|ラシシ ラドシ〜ドシラシドシラ|ファミミ ミミ ラドシ〜ドシラファミ|ファミミ〜ファミドシラ
3776〜76|566 576〜7 6567 65|3゚33 33 576〜7653゚3|3゚33〜3゚321乙
あわれむ〜〜〜|きみが ひとり〜〜 〜〜〜 〜|のおしュうの つきを〜〜〜〜〜〜|ふして〜〜〜〜〜〜

ラシシシ〜ドシラ|ファ  ミミミミ〜ファミ|ファシラ〜シラファミ|ドミミ ファミミミ〜
乙111〜21乙|3゚  3333〜3゚3|3゚65〜653゚3|233 3゚333〜
へいあん〜〜〜〜|じょおがいの〜〜〜|はなを〜〜〜〜〜|えいぜ ざりしを〜

●2 偶感(ぐうかん) 西郷南洲(さいごう なんしゅう)  2027-2

幾歴辛酸志始堅  幾(いく)たびか辛酸(しんさん)を歴(へ)て志(こころざし)始(はじ)めて堅(かた)し

 幾たびか辛酸を経験し、志は初めて堅固になった

丈夫玉砕恥甎全  丈夫(じょうふ)玉砕(ぎょくさい)するも甎全(せんぜん)を恥(は)ず

 丈夫(立派な男)は、玉砕しても、つまらぬ瓦のように生き残ることを恥じる

吾家遺法人知否  吾(わ)が家(いえ)の遺法(いほう) 人(ひと)知(し)るや否(いな)や

 我が家に伝わる家訓を、世間の人は知っているか否か

不為児孫買美田  児孫(じそん)の為(ため)に 美田(びでん)を買(か)わず

 子孫のために、立派な田を、買うようなことはしない

ラファファファファ ファララララファミ〜ファミ|ドミミミミ ラドシシ〜ドシラファミ|ドファミ〜ファミドシラ
53゚3゚3゚3゚ 3゚55553゚3〜3゚3|23333 5766〜7653゚3|23゚3〜3゚321乙
いくたびか しんさんをへて〜〜〜|こころざし はじめて〜〜〜〜〜〜|かたし〜〜〜〜〜〜

ド  シシ〜ドシラ|ド  ミミミドファミ〜ファミ|ファララララ〜シラファミ|ファミ
2  11〜21乙|2  33323゚3〜3゚3|3゚5555〜653゚3|3゚3
じょおふ〜〜〜〜|ぎょくさいするも〜〜〜|せんぜんを〜〜〜〜〜|はず

ドシラシシ〜ドシ|ラシシ〜ドシラシドシラ|ドミ ラドシ〜ドシラファミ|ファミミ〜ファミドシラ
76566〜76|566〜7 6567 65|23 576〜7653゚3|3゚33〜3゚321乙
わがいえの〜〜〜|いほう〜〜 〜〜〜 〜|ひと しるや〜〜〜〜〜〜|いなや〜〜〜〜〜〜

ドシシシ〜ドシラ|ドファミ〜ファミ|ファラララ〜シラファミ|ドミミ〜ファミ
2111〜21乙|23゚3〜3゚3|3゚555〜653゚3|233〜3゚3
じそんの〜〜〜〜|ために〜〜〜|びでんを〜〜〜〜〜|かわず〜〜〜

 

●3 勧学 木戸孝允  2027-3

駑馬雖遲積歳多 駑馬(どば)遅(おそ)しと雖(いえど)も積歳(せきさい)多(おお)ければ

 駑馬(足の遅い馬)は、遅いけれども、荷物を積む年数が、多ければ

高山大沢盡過堪 高山(こうざん)・大沢(だいたく)尽(ことごと)く過(す)ぐるに堪(た)えたり

 高い山も、大きな沢も、みな、堪えて、越えることができる

請看一掬泉巌水 請(こ)う看(み)よ一掬(いっきく)泉巌(せんがん)の水(みず)

 頼む、見よ、岩場の泉のひとすくいの水を、

流作汪洋萬里波 流(なが)れて汪洋(おうよう)万里(ばんり)の波(なみ)と作(な)る

 流れて大きな海の万里も続く波となるのですよ

どば おそしといえども せきさい おおければ

こおざん だいたく ことごとく すぐるに たえたり

こうみよ いっきく せんがんの みず

ながれて おおよお ばんりのなみと なる

 

●4 山中幽人と対酌す 李白  2027-4

両人対酌山花開 両人(りょうにん)対酌(たいしゃく)山花(さんか)開(ひら)く

 山中で、隠者とであい、二人向かい合って酒を飲む。周囲には、山の花が開いている。

一杯一杯復一杯 一杯(いっぱい)一杯(いっぱい)復(また)一杯(いっぱい)

 一杯一杯復一杯 と、酌を重ねる

我酔欲眠卿且去 我(われ)酔(よう)て眠(ねむ)らんと欲(ほっ)す 卿(きみ)且(しばら)く去(さ)れ

 私は、酔った。眠りたい。君は、しばらく、去ってくれ

明朝有意抱琴來 明朝(みょうちょう)意(い)あらば琴(こと)を抱(いだ)いて来(き)たれ

 明日の朝、来る気があれば、琴を抱えて来ておくれ

りょうにん たいしゃく さんか ひらく

いっぱい いっぱい また いっぱい

われ よおて ねむらんと ほっす きみ しばらく され

みょうちょう いあらば ことをいだいて きたれ

 

●5 菊花 白居易  2027-5

一夜新霜著瓦輕 一夜(いちや)新霜(しんそう)瓦(かわら)に著(つ)いて軽(かろ)し

  一夜明け、新しく霜が瓦に着いて、軽く見える

芭蕉新折敗荷傾 芭蕉(ばしょう)は新(あら)たに折(お)れて敗荷(はいか)は傾(かたむ)く

 芭蕉の葉が、新たに折れ、枯れた蓮の葉も、傾いている

耐寒唯有東籬菊 寒(かん)に耐(た)うるは唯(ただ)東籬(とうり)の菊(きく)のみ有(あ)って

 この寒さに堪えて、ただ、東の垣根の菊だけがあって

金粟花開曉更清 金粟(きんぞく)の花(はな)は開(ひら)いて暁(あかつき)さらに清(きよ)し

 金色の菊の花が開いて、夜明けの景色がさらに清らかである

いちや しんそう かわらについて かろし

ばしょうは あらたにおれて はいかは かたむく

かんにたうるは ただ とうりのきくのみ あって

きんぞくの はなをひらいて あかつき さらに きよし

 

●6 事に感ず 于濆(うふん) 2027-6

花開蝶満枝 花(はな)開(ひら)けば蝶(ちょう)枝(えだ)に満(み)つ

 花が開けば、蝶は、枝にいっぱい集まる

花謝蝶還稀 花(はな)謝(しゃ)すれば蝶(ちょう)還(また)稀(まれ)なり

 花が散ってしまうと、蝶は、稀になってしまう

惟有旧巣燕 惟(ただ)旧巣(きゅうそう)の燕(つばめ)有(あ)り

 ただ、古くからある巣に、燕がいる

主人貧亦帰 主人(しゅじん)貧(まず)しきも亦(また)帰(かえ)る

 主人が貧しくなっても、また、帰って来る

はな ひらけば ちょう えだに みつ

はな しゃすれば ちょう また まれなり

ただ きゅうそうの つばめ あり

しゅじん まずしきも また かえる

●7 壇の浦夜泊(だんのうらやはく) 木下犀潭(きのした さいたん)  2027-7

篷窓月落不成眠 篷窓(ほうそう)月(つき)落(お)ちて眠(ねむ)りを成(な)さず

 小舟の窓から、月は沈んだが、なかなか眠れない

壇浦春風五夜船 壇の浦(だんのうら)の春風(しゅんぷう)五夜(ごや)の船(ふね)

 壇ノ浦に春風が吹き。五夜(午前4時頃)の頃、船があって

漁笛一聲吹恨去 漁笛(ぎょてき)一声(いっせい) 恨(うら)みを吹(ふ)いて去(さ)り

 漁師の吹く笛が一声、恨みを吹いて、去ってゆく

養和陵下水如煙 養和(ようわ)陵下(りょうか) 水煙(みずけむり)の如(ごと)し

 安徳天皇の養和陵のあたりの水面には、靄がたちこめている

ほおそお つきおちて ねむりをなさず

だんのうらの しゅんぷう ごやの ふね

ぎょてき いっせい うらみをふいて さる

ようわ りょうか みずけむりのごとし

 

●8 偶成(ぐうせい) 新島襄(にいじま じょう)  2027-8

 看山高巍巍  山を看れば 高きこと巍巍たり

  山を見ると、その高いこと、巍巍たり(高く大きいこと)

観海闊洋洋  海を観れば 闊きこと洋洋たり

 海を見ると、その広いこと、洋々たり

味得造化妙  味わい得たり 造化の妙なるを

 味わい知りました。天地万物を作り出す力の、絶妙なことを

小心少発揚  小心 少しく発揚す

 私の小さい心も、少しだけ発揚しました

やまをみれば たかきことぎぎたり

うみをみれば ひろきことようようたり

あじわいえたり ぞうかのみょうなるを

 しょうしん すこしくはつようす

 

●9 中秋の月(ちゅうしゅうのつき) 蘇軾(そしょく) 2027-9

暮雲収盡尽清寒 暮雲(ぼうん)収(おさ)まり尽(つ)くして清寒(せいかん)溢(あふ)る

 夕暮れの雲はすっかり消え去り、すがすがしい冷気にあふれている

銀漢無聲轉玉盤 銀漢(ぎんかん)声(こえ)無(な)く玉盤(ぎょくばん)を転(てん)ず

 天の川は、音もなく流れ、玉のような月が、空を廻っている

此生此夜不長好 此(こ)の生(せい)此(こ)の夜(よ)長(とこしな)えに好(よ)からず

 私のこの生も、この月夜も、永遠にいいわけはない

明月明年何處看 明月(めいげつ)明年(みょうねん)何(いず)れの処(ところ)にか看(み)ん

 中秋の名月を、来年、私は、どこでみるのだろう

ぼうん おさまりつくして せいかん あふる

ぎんかん こえなく ぎょくばんを てんず

このせい このよ とこしなえに よからず

めいげつ みょうねん いずれのところにか みん

 

●10 従軍行(じゅうぐんこう)  乾隆帝(けんりゅうてい)  2027-10

三辺烽火照軍営  三辺(さんぺん)の烽火(ほうか)軍営(ぐんえい)を照(て)らす

 3か所の辺境で、のろし火があがり、軍営を照らしている

十万丁男夜練兵  十万(じゅうまん)の丁男(ていだん)夜(よる)兵(へい)を練(ね)る

 十万の丈夫が、毎夜、練兵しているので

但使腰間懸宝剣  但(ただ)腰間(ようかん)に宝剣(ほうけん)を懸(か)けしめば

 ただ、腰に宝剣をかけしめさえすれば

丈夫何処不成名  丈夫(じょうふ)何(いず)れの処(ところ)か名(な)を成(な)さざらん

 丈夫たちよ、いずれかの場所で、名をあげずにいられようか

さんぺんの ほおか ぐんえいを てらす

じゅうまんの ていだん よる へいを ねる

ただ よおかんに ほおけんを かけしめば

じょおふ いずれのところか なを なさざらん

 

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