日本詩吟学院岳風会 詩吟健康法のすすめ (1990) 

2016.12.16

 Amazonで、探しても、詩吟の本は、余り無いのですが、少し、昔の本ですが、この本を見つけました。

副題は、若返りで120歳まで と、かなり気合の入った本です。

 年をとってからの健康法は、今、大ブームですが、このころから、もうはやっていたのですね。

 この本は、感心する程、上手に構成されています。入手は、かなり困難だと思いますので、

図書館などで、読むことのできる方には、是非、読まれることをお勧めしますが、

読むことのできない方のために、以下に、一部、引用します。

まず、目次を示しておきます。

 

第一章 老化は病気ではない

 ヒトの最大寿命は百二十歳

 老化には三つのタイプがある

 老化はまず目にあらわれる

 記憶力の減退を招く脳の老化

 肉体の年齢と脳の年齢

 心身の硬直化が老化だ

 老いは人生のすばらしい円熟期

第二章 趣味と生き甲斐が老化を防ぐ

 脳の若さは維持できる

 どんな人がボケるのか

 趣味はこれからの人生を決定する

 脳の老化は寿命まで決定してしまう

 これからは熟年が活躍する時代

第三章 詩吟健康法とは?

 胸式呼吸と腹式呼吸

 腹は八分目がよし

 声を美しく保つ努力

 乾燥も声帯を痛める

 いつでもどこでも自由にできる

 発声法のコツ

 腹式呼吸法があげる健康効果

 ストレス解消に詩吟は最適

第四章 初心者のための詩吟入門

 詩吟とは何か

 漢詩の誕生

 漢詩の種類と約束

 詩吟と姿勢

 詩吟の吟じ方

 詩吟の歴史

第五章 文人たちの漢詩と日本の狂詩

 夏目漱石の漢詩

 森鴎外の漢詩

 正岡子規の漢詩

 ウィットに富んだ狂詩の世界

第六章 古今名詩選

エピローグ

 

 以下に、青字で、何箇所か、引用します。

 

第一章 老化は病気ではない

 ヒトの最大寿命は百二十歳

 ヒトがこれほど長生きできるのは、体重と新陳代謝のあいだのすぐれたバランスのためとされています。

つまり、自然の不思議な摂理によって、人間は百二十年というホ乳動物としては例外的な長寿に恵まれているわけです。

 けれども残念ながら、百十歳百二十歳まで生きるのはごく少数の人たちにすぎません。

現在、日本にいる百歳以上のお年寄りは約二千六百人。

たいていの日本人は、ヒトとして許された寿命を活かしきれずに亡くなっているのです。

 この本が、書かれて、二十数年たちました。今現在、百歳以上の方は、数万人いるはずです。この人口は、どんどん増えていくはずです。

 

 肉体の年齢と脳の年齢

 人間は三つの年齢を持つといわれます。暦の年齢、肉体の年齢、脳の年齢です。

暦の年齢より若く見える人は、例外なく健康で、気持ちも若々しく、行動にも張りがあります。

思考が柔軟で、考え方に幅のある人が多いようです。

 脳のはたらきは、流動性能力と結晶性能力の二つに分類することができます。

流動性能力は、運動能力や記憶力のように生まれながらにそなわっている能力。

結晶性能力は、言語知識や理解力、判断力など、学習によって得られる能力です。

 流動性能力は年とともに衰えていきます。けれども、結晶性能力は衰えるどころか、逆に向上していくことが知られています。

 フランスの医師トマンジュの次の言葉を噛みしめてみましょう。

 脳の年齢がその人の本当の年齢である。

 

第二章 趣味と生き甲斐が老化を防ぐ

 どんな人がボケるのか

 早川一光京都病院長は、ボケる性格傾向をあげています。

①人の言い分を聞かず、自己中心にしか物事を考えられない頑固な人

②すぐ腹を立て、どなったりイライラする短気な人

③仕事一本に打ち込んできて、楽しみを持てなかった無趣味な人

④人の輪の中に入っていけない友達のない人

⑤人を信じられず、物や金にしか頼れない人

⑥心から笑わない人

 反対にボケない性格として次の六点をあげています。

①本や新聞を毎日読んでいる人

②もの忘れを気にしない人

③ものをよく書き、友達とよく語る人

④趣味を持っている人

⑤人の世話をよくする人

⑥大声でよく笑う人

 

第五章 文人たちの漢詩と日本の狂詩

 夏目漱石の漢詩

 漱石には全部で二百七首の漢詩が残されています。

 夏目漱石の漢詩は思索的なものでした。

詩は本来直観的なものであり、殊に漢詩は伝統的にそれを拒否し続けてきたといっていいでしょう。

漱石の漢詩は、『明暗』を書き始めてからその行き方が著しくなりました。

これは漱石漢詩の最大の特徴と言っていいでしょう。

 

 森鴎外の漢詩

 森鴎外も生涯にわたって漢詩をつくり続けた一人で、二百一首が残されています。

漱石とほぼ同じ量ですが、漱石ほど彼の漢詩が話題にならないのはなぜでしょうか。

 その第一の理由は漱石におけるほど強烈な個性と問題性を鴎外の漢詩はもたないことでしょう。

けれども、技術は漱石と同じくらい、いやむしろ鴎外のほうが上かもしれません。

 

第六章 古今名詩選

 富士山  石川 丈山

仙客 来たり 遊ぶ 雲外の 嶺 | 雲の上に高くそびえる富士山の頂きには、仙人が来て遊ぶといわれ、

神龍 棲み老ゆ 洞中の渕    | 洞中の深い渕には、神龍が棲んでいるともいわれている

雪はガン素の如く 煙は柄の如し | 頂に積もる雪は白絹のように、頂きより立ち上る煙は柄のようである

白扇さかしまに懸かる 東海の天 | 富士の雄姿はまさに扇をさかさまにして東海の天にかけたようである

 

 私流の直訳をしてみました。

仙客来遊雲外嶺  仙人が、来て遊びます。雲の上にそびえる頂に

神龍棲老洞中渕  神龍が、長く棲んでいます 洞の中の渕に

雪如ガン素煙如柄 雪が白い絹のように 立ち上る噴煙は 柄のようです

白扇倒懸東海天  白い扇がさかさまに懸かっています 東海の大空に

  

エピローグ

 頭を若く保つためには生涯続けられる趣味、目標を持つことの重要性を説きましたが、

そのほかにいくつか、頭の若さを保つ方法があります。

①新しいものへのチャレンジ

②動脈硬化は最大の敵だ    ストレス

③睡眠は長寿のバロメータ

④上手な気分転換は頭の若さに必要

⑤手先を使おう

⑥年齢を超えて付き合う

⑦好色たるべし

⑧歩け、歩け

 

 

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