オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハーレム〜

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2026.06.24

 今、TVerで、BS日テレで放映した歴史長編テレビドラマ オスマン帝国外伝の

シーズ1 48話、シーズン2 79話、シーズン3 92話の219話 が、一挙公開されていて、

いつまで公開されるのかわからず、毎日、必死に見ていました。

 BS日テレのサイトに、2026年7月31日までの期間限定配信と書かれているのを

発見し、安心しました、

  https://www.bs4.jp/magazine/drama-movie/ottoman-1/

 16世紀のオスマン帝国の全盛期に、トプカプ宮殿のハーレムで繰り広げられた

女たちの激しい権力闘争がえがかれたドラマですが、

お妃たちの気性の激しさにびっくりしながら、視聴しています。

歴史の勉強としても、すばらしい内容のドラマですので、

このサイトの歴史を考えるのコーナーに、議事としてまとめておきます。

 

 ドラマの内容は、ウィキペテ゜ィアに、詳しい解説があります。

  https://ja.wikipedia.org/wiki/オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜

 オスマン帝国外伝は、シーズン4もあるのですが、TVerでの配信は、シーズン3までです。

 上記のウィキさいとには、シーズン1から4のすべての回のあらすじが掲載されているので、

シーズン4の内容も、みることができます。

 オスマン帝国外伝は、チャンネル銀河でも放映したことがあり、チャンネル銀河のサイトに、

シーズン4の放映時の解説が残っています。

  https://www.ch-ginga.jp/feature/ottoman/

 このサイトにも、各回のあらすじが掲載されています。

 シーズン3を見終わって、シーズン4の内容を知りたくなったら、

このサイトを訪問しようと考えています。

2026.07.09

 今日、シーズン3の最終話を見終えました。まだ今月末まで視聴可能ですので、

いくつか、名場面を見直したいと考えています。

 放送時に、各回ごとにあらすじが公表されますので、それを引用して、赤字で表示します。

しかし、残念ながら、放送時のあらすじは、その回の前半部分しか含んでいません。

 幸い、ウィキペディアに、すべての回の詳細な、あらすじが掲載されています。

   https://ja.wikipedia.org/wiki/オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜

 以下に、再録し、青字で表示しますが、読みやすくするために、加工しまます。

 何故か、シーズン3の57回から、92回までのあらすじが作成されていませんので、
時間的に可能であれば、作成したいと考えています。

1-1 新帝の誕生

16世紀初頭、オスマン帝国の領地マニサ県で軍政官を務める皇太子スレイマンのもとに帝都イスタンブールより火急の使者が馳せ参じる。それは父帝セリム1世崩御の知らせだった。スレイマンは第10代皇帝に即位。やがて最盛期を迎える帝国の新時代が幕を開ける。一方、ルテニアの寒村から奴隷として売られた娘アレクサンドラはオスマン帝国の後宮に献上される。不幸な境遇を嘆くばかりのアレクサンドラだったが、ある日、懐かしい人たちが夢枕に立ち、あることを告げる。
●西暦1520年、領地のマニサにいたオスマン帝国の皇太子
スレイマンは、父帝崩御の知らせを受け、帝都のトプカプ宮殿で第10代皇帝に即位する。
●同年9月、ルテニア(現在のウクライナ)からクリミアに拉致されていたキリスト教徒の娘
アレクサンドラマリアは、海路で帝都に送られて皇帝に奴隷として献上される。
●制徴用によりイスラムに改宗していた皇帝の鷹匠頭
イブラヒムは、宮廷の小姓頭に任じられる。
●側女の一人に選ばれた
アレクサンドラ(後のヒュッレム)は、皇帝の前で失神のふりをして気を引こうとする。

1-2 皇帝の宴

オスマン帝国第10代皇帝に即位したスレイマンは潤沢な資金をもとに軍備を進め、ロードス島へ外征することを宣言する。そして腐敗高官を一掃するため、思い切った英断を下す。一方、皇帝妃マヒデブランと皇子ムスタファがトプカプ宮殿に到着する。そんな中、後宮で側女としての教育が始まった、アレクサンドラは宴で妖艶な舞を披露しスレイマンの心をつかむが…。
●新帝スレイマンは、宰相たちの前で欧州や東方を征服する意思を表明。
●さらに初めての御前会議で、海軍提督ジャフェルの不正を断罪し、ジャフェルは斬首される。
●マニサから、皇帝妃マヒデブランが息子のムスタファ皇子を連れて宮殿に到着。
●その晩、妃を呼ばずに皇帝の宴が催され、側女たちが踊りを披露するが、アレクサンドラは狙い通り皇帝を魅了し、夜伽の印である紫色の手巾を与えられる。
●母后付き女官ダイェを通じて、アレクサンドラが図に乗っていることを知った母后ハフサは、アレクサンドラの夜伽を阻止するためにマヒデブランを皇帝の寝所へ送り込む。

1-3 初めての夜伽

スレイマン皇帝の寝所へ向かうアレクサンドラは、皇帝妃マヒデブランに先手を打たれ、不本意にも引き返すはめになる。その後、アレクサンドラとの一夜に水を差されたスレイマンは怒りに任せてある行動に出る。一方、オスマン帝国領シリアで反乱が起こったとの知らせを受け、スレイマンは討伐の兵を送る手はずを整える。習わしである皇帝の寝所で過ごす木曜の夜を楽しみにしていたマヒデブランだったが…。
●夜伽にアレクサンドラではなくマヒデブランが来たことに唖然としたスレイマンは、伽を済ませた妃を息子の元へ返し、小姓頭イブラヒムに「招かれざる者」が来たことを厳しく叱責。
●母后の差し金と察して、翌朝母后に「私生活に干渉するな。私を操ろうとすれば仕返しがある」と釘を刺す。
●シリアの県軍政官ガザーリが旧マムルーク朝残党とともに謀反を起こしたと報告され、御前会議で第二宰相フェルハトらを鎮圧に差し向けること、さらに朝貢が滞っているハンガリーのラヨシュ2世へ勅使ベフラムが遣わされる事が決められる。
●水曜日、夜伽に呼ばれたアレクサンドラは、浴場で身を清め、美しく着飾る。
●夜伽でスレイマンを喜ばせたアレクサンドラは、皇帝が妃や息子と過ごす予定だった「神聖な」木曜日も皇帝の寝所に留まり、マヒデブランを悲嘆させる。

1-4 ヒュッレム

スレイマン皇帝のお召しを受けたアレクサンドラは、その陽気さで皇帝の心をつかむ。ひと晩のみならず、神聖な木曜日すらアレクサンドラを身近に置く皇帝に、皇帝妃マヒデブランは深く嘆き、アレクサンドラへの嫉妬と憎悪を燃やすのだった。皇帝の唯一の皇子の母親である事実を心のよりどころにするも、皇帝のお気に入りとして奔放に振る舞うアレクサンドラとの対立は深まり…。
●二晩続けて夜伽でスレイマンを喜ばせたアレクサンドラは、皇帝から「陽気で人を笑顔にする者」を意味するヒュッレムという名を与えられ(以後はヒュッレム・ハートゥン Hürrem hatun と呼ばれる)、個室を与えられる(ただし、側女アイシェと相部屋)。
●皇帝は息子らを伴って、アヤ・ソフィア礼拝堂に金曜礼拝に出かける。
●側女たちの大部屋に母后・皇女や妃たちが来場して宴が催されるが、アレクサンドラはマヒデブランの挑発に乗って無礼な態度を取り、入牢を命じられる。
●イブラヒムは、街で記録者・数学者・棒術遣いのマトラークチュ・ナスーフと知り合い、皇帝に紹介する。ヒュッレムが入牢させられたと知った皇帝スレイマンは、直ちに放免させ、自分が作った見事なエメラルドの指輪を彼女に授ける。

1-5 皇帝の指輪

牢から解放されたヒュッレム (アレクサンドラ) はスレイマン皇帝の寵愛を受け英気を養う。一方、ハンガリー王国ブダ王宮に向かったオスマン帝国の使者ベフラムは国王ラヨシュ2世に謁見し、朝貢を命じるスレイマン皇帝の書状を手渡す。オスマン帝国トプカプ宮殿では皇帝妃マヒデブランがヒュッレムの指に光るエメラルドの指輪を見て激高し…。
●ハンガリー王国のブダ王宮で、オスマン帝国の勅使ベフラムが、朝貢せよとの皇帝スレイマンの親書を渡すが、激昂した王ラヨシュ2世によって斬殺されてしまう。
●一方、御前会議には、第二宰相フェルハトがガザーリを討伐したとの吉報が届く。
●マヒデブランは、自分が賜るものとばかり思っていた皇帝自作のエメラルドの指輪をヒュッレムがはめているのを見て、半狂乱になる。マヒデブランは具合が悪くなり寝込んでしまうが、医女の診察により懐妊だと判り、後宮は慶事を祝う。
●皇女ハティジェは、小姓頭イブラヒムを秘かに想っていたが、ギュルフェム妃に背中を押されて、互いの距離を縮めようとする。
●マヒデブランの意を受けた女官ギュルシャーは、側女アイシェをそそのかして、ヒュッレムから皇帝の指輪を奪い取ることを企てる。

1-6 渦巻く陰謀

後宮での出世を誓うヒュッレム (アレクサンドラ) は、宦官長に協力を頼む。そんな中、皇帝から贈られたヒュッレムの指輪が盗まれ、大騒動に。犯人捜しが始まり、後宮は戦々恐々となるのだった。一方、スレイマン皇帝のもとにはハンガリー王から貢ぎ物が届く。中を見た皇帝は激怒し…。
●ヒュッレムは、宦官長スンビュル(ヒヤシンスの意)に妃になるために力を貸して欲しいと頼むが、妃になるには改宗が必要だと言われてしまう。
●ヒュッレムは浴場で外しておいた皇帝の指輪をうっかり奪われていまい、後宮は大騒ぎになる。
●一方、スレイマンとイブラヒムらは街をお忍びで視察し、大砲製造所で製造について指示する。
●ハティジェは、ギュルフェムを仲介役として、小姓頭イブラヒムと逢い引きする。
●御前会議の席にハンガリー王ラヨシュ2世からの貢ぎ物が届くが、その壺を満たした蜂蜜の中から勅使ベフラムの斬首された首が見つかる。
●激怒した皇帝スレイマンは、ラヨシュの討伐を誓う。
●イブラヒムは、ニギャール女官長が見当を付けた側女アイシェを呼び出し、指輪がマヒデブランの手元にあることを知る。
●そこで事態を内密にするため、母后がマヒデブランを呼び出している間に、ダイェ女官長がギュルシャーを問い詰めて指輪を取り戻し、側女の一人をスケープゴートに仕立てて、指輪をヒュッレムに返す。
●ヒュッレムは、夜伽に召されると改宗を申し出て、皇帝の前でイスラムに改宗する。指輪のことで母后から叱責されたマヒデブランは、指輪を失ったと知り慟哭するが、翌朝、流産していることが判る。
●自暴自棄になったマヒデブランは、改宗して嬉しそうなヒュッレムに出くわすと、つかみかかり、ヒュッレムの顔面が損傷するほど激しく殴打し、半殺しにしてしまう。

1-7 命運を分かつ決断

皇帝妃マヒデブランからひどい仕打ちを受け重傷を負ったヒュッレムは女官長ダイェの指示により部屋へ運ばれ秘密裏に介抱を受ける。母后はマヒデブランの居室を訪れ、ヒュッレムに対する常軌を逸した行為を厳しく叱責するのだった。一方、スレイマン皇帝は重臣たちとの会議の席で帝国の命運をも左右する、ある大きな決断を下す。その後、夜伽を命じたヒュッレムが姿を現さないことに業を煮やした皇帝は…。
●マヒデブランがヒュッレムに暴行した現場をニギャール女官長が通りがかり、ダイェ女官長、スンビュル宦官長と3人で個室に運び込み、この恥ずべき暴行事件を表沙汰にしてはまずいと忖度して、秘かに看病する。
●マヒデブランは、流産したため皇帝から見舞いを受けるが、暴行を知らされた母后から厳しく叱られる。
●スレイマンのマニサでの恩師カスム師が宮殿に呼ばれ、御前会議が催される。
●ハンガリーとの開戦について全会一致で、帝国の命運を分かつ決断が下される。
●開戦準備が着々と進められる。意識を取り戻したヒュッレムは、鏡で自分の無残な顔を見て泣き叫ぶ。
●皇帝が夜伽にヒュッレムを召すとイブラヒムが宦官長に伝えるが、スンビュルは何とか拒もうとする。
●ヒュッレムが夜伽を拒んでいると聞かされたスレイマンは、無礼だと怒り、後宮の個室へ押しかけると、ヒュッレムが待っていた。

1-8 燃える野望

スレイマン皇帝のお召しを拒否したヒュッレムのもとに、怒れる皇帝が乗り込んできた。命令に背いた理由を問いただすが、その腫れ上がった顔を見た皇帝は絶句。自分の部屋に連れ帰り、付きっきりで看病する。一方、その間もハンガリー侵攻に向け、着々と準備は進んでいた。出陣を前に、皇帝とヒュッレムは別れを惜しむ。オスマン帝国とハンガリーが決戦を間近に控える中、後宮の女の戦いも新たな局面を迎えようとしていた。
●ヒュッレムの傷だらけの顔に驚いたスレイマンは、マヒデブランの仕業と知ると、マヒデブランに我々の関係は終わりだと告げる。
●マヒデブランを旧宮殿(エスキ・サライ)に追放しようとするが、母后の取りなしにより追放は免れる。
●スレイマンは、ヒュッレムを自分の寝所に移させて、自ら看病する。
●やがて、ヒュッレムは全快し、皇帝から豪華な品々を贈られる。
●有頂天のヒュッレムはマリアに「私は宮殿を支配する。…あんたは私のダイェね」などと放言して、立ち聞きしているダイェを敵に回す。
●ダイェは、ヒュッレムが図に乗っていると母后に報告し、母后は策を練る。
●イブラヒムのせいで皇帝を独占できないと感じたヒュッレムは、イブラヒムともぶつかる。
●スレイマン、イブラヒム、マトラークチュらは、大砲の開発など開戦準備に余念がない。
●さらに、御前会議で作戦が取り決められ、カスム師が遠征で留守中の宰相に任命される。
1521年5月18日、ついに皇帝スレイマンは軍を率いて、ハンガリー遠征に出陣する。

1-9 母后の計略

スレイマン皇帝はベオグラード遠征に出立。皇帝が宮殿を離れている間にさまざまな知識を身につけたいと考えたヒュッレムは後宮宦官長スンビュルに指導を頼む。一方、ベオグラード陥落を目指す皇帝はハンガリー王ラヨシュ2世の急所を突こうと陣中で重臣たちと策をめぐらしていた。そんな中、トプカプ宮殿では皇帝が留守の間に日頃から何かと目に余るヒュッレムを宮殿から追い出そうとする母后の計略が動き出す。
●母后は、スレイマンの遠征中にヒュッレムを宮殿から追い出すために、カスム師の子息バトゥルに嫁がせようと企てる。

●1521年6月17日、ソフィアに野営するスレイマンらは作戦を検討し、まずはビイェルデレン要塞を攻略してからベオグラード城塞を攻める策を採ることにする。
●ヒュッレムは、スンビュル宦官長に皇帝遠征中の指導を頼み、まず母后に気に入られてから皇子を産むことにし、皇帝への手紙をニギャール女官長に代筆してもらう。
●だが、母后は、ヒュッレムを宮殿の庭園に呼び出してバラを摘ませ、その様子を見せられたバトゥルは一目で気に入ってしまう。
●母后は宴を催す一方で、ダイェを通じてヒュッレムに降嫁してエディルネに行く件を告げるが、ヒュッレムは泣き叫び大騒ぎで抵抗する。
●さらに翌朝、母后から改めて降嫁を命じられたヒュッレムは、皇帝の御子を身ごもっていると口からでまかせを言ってしまい、部屋で謹慎させられる。
●スレイマンは、ボスニアの県軍政官バリ・ベイとスメデルボの県軍政官ヒュスレブ・メフメトから情勢を聞き、その晩にゼムン城で敵軍司令官の婚礼があることを知り、夜襲をかけることにする。

1-10 ハンガリー進攻

母后の計略により、スレイマン皇帝の家臣の息子に嫁ぐことになったヒュッレムは、皇帝の御子を身ごもったと言って時間を稼ぐ。ウソと分かれば死罪と知りながら、愛するスレイマンを思い、かたくなに懐妊だと言い張るが、ついに内診を受けることになり…。一方、遠征中のオスマン軍は、ハンガリー王ラヨシュ2世が滞在している城を取り囲むが…。
●宰相カスム師と子息バトゥルは、ヒュッレムの降嫁準備を今か今かと待ちわびている。
●スンビュル宦官長とニギャール女官長は、妊娠してると言いだして部屋に謹慎中のヒュッレムの口を割らせようとするが、うまくいかない。カスム師の催促に、母后は日延べを伝える。
●ハンガリーのゼムン城では、国王ラヨシュ2世を招待して、アリエル伯爵とビクトリア嬢の結婚を祝う宴が催されていた。ビイェルデレン要塞が陥ち、いまゼムン城にラヨシュがいると知ったスレイマンは、火矢と大砲で総攻撃を開始させる。城は陥落し、ラヨシュは逃亡するが、アリエル伯爵はスレイマンにより絶命し、ビクトリアは新郎を失った。
●ヒュッレムは、母后の指示で、医女による内診を受けさせられるが、医女は懐妊と診断した。ヒュッレムの懐妊を知らされたマヒデブランは卒倒したものの、その後ヒュッレムを薬で流産させることを思い付く。
●母后は、バトゥルに何と伝えさせようか思い悩むが、ヒュッレムを呼び出して妊娠中の事について教え諭し、懐妊を祝って後宮の者たちにソルベと菓子を配らせる。
●他方で、ヒュッレムの親友マリアは、宦官長にイスラムに改宗したいと申し出る。
●スレイマンは、大宰相が包囲していた「ドナウの心臓」ベオグラードの攻略に本腰を入れ、砲撃を開始する。


1-11 男の戦、女の戦

スレイマン皇帝によるベオグラード制圧の一報が届き、祝賀ムードの漂うトプカプ宮殿。ヒュッレムもまた、おなかの子供の健やかな成長を祈りながら、皇帝の凱旋を待ちわびていた。そんな中、後宮でヒュッレムと皇帝妃マヒデブランが一触即発の火花を散らす出来事が起こる。さらに皇帝から心を引き裂かれるような仕打ちを受けたマヒデブランは…。
●1521年8月29日、スレイマンはオスマン軍の総攻撃によってベオグラード城塞を陥落させ、オスマン帝国領とすると宣言し、降伏した者に危害を加えないこと、1年間の免税、街の修復、モスクや学校の建設などを指示した。バリ・ベイをスメデレボとベオグラードの県軍政官に任じる。勝報は帝都にも届き、母后はカスム師に皇帝凱旋の宴について話すが、ヒュッレムについては重体と偽る。そのヒュッレムとマヒデブランは、相変わらず憎まれ口の応酬を繰り返している。ニギャール女官長がヒュッレムを強く諌めるが、耳を貸そうとしない。遠征中のイブラヒムは、ハティジェからの恋文を読み、ヒュッレムの懐妊を知る。スレイマンが語る戦果を、書記官ジェラールザーデが「征服の書」に記す。スレイマンは厳しい冬が訪れる前に軍の帰還を命じ、ヒュッレム懐妊の朗報に喜ぶが、ラヨシュ2世はスレイマンがブダ進軍に怖気づいて逃げ帰ったとうそぶく。
●1521年10月19日、スレイマンが帰還して家族に挨拶するが、無視されたマヒデブランは、お付き女官ギュルシャーに、ヒュッレムの毒殺を命じる。ギュルシャーは、その晩の料理を皇帝の寝所に運ぶ役だった側女ハシベをそそのかして、デザート(マルメロの蜜煮)に毒を仕込ませる。イブラヒムの方は、皇女ハティジェとイチジク園で密会している。夜伽に召されたヒュッレムは、毒入りのデザートを喜んで頬張る。


1-12 後宮の毒

デザートがスレイマン皇帝とヒュッレムのもとに運ばれた。喜んで食べるヒュッレムだったが、突然、激痛を訴えて倒れる。騒ぎを聞いた母后は食あたりを疑うも、調査の結果、デザートに毒が入っていたと判明。イブラヒムは犯人捜しに奔走する。一方、生死をさまようヒュッレムを前に、スレイマンのヒュッレムへの思いは募り…。
●ヒュッレムは、皇帝の寝所に運ばれた毒入りデザートを食べてしまい、意識を失う。急いで呼ばれた医女が食べたものを吐かせるが、なお高熱が続く。ハティジェと密会していたイブラヒムは、皇帝のもとへ呼び出され、料理に毒を盛って暗殺を企てた者を捕らえよ、と命じられる。後宮は大騒ぎになり、イブラヒムは腹立ちのあまり、ニギャール女官長の首を激しく絞め上げる。思わぬ大事に、毒を盛った側女ハシベが一人で泣きじゃくっていると、ギュルシャーに見つかり、その後、首吊り死体で発見される。ハシベを殺害したギュルシャーは、マヒデブランの前で泣きじゃくるが、妃から「お前一人の罪よ」と冷酷にも突き放される。現場近くにいたギュルシャーは、イブラヒムに呼び出され、泣きながら、マヒデブランの意を受けて毒を盛らせたこと、ハシベを殺害したことを自供する。皇帝に訊かれたイブラヒムは妃の名を伏せるが、ギュルシャーを見かけたスレイマンは毒を盛らせた張本人がマヒデブランだと確信するが、本人にではなく、母后に対して「あの女を制御できないなら、私が(処罰を)やる」と警告する。スレイマンは、ムスタファ皇子のことを思い、母親であるマヒデブランの処罰を思いとどまったのだ。翌朝、マヒデブランはイブラヒムに呼ばれて、ヒュッレムと関わらず、皇子の養育に専念するように忠告される。ヒュッレムの快復に安心したスレイマンは政務に向かうが、ヒュッレムはまたもやイブラヒムと対立する。


1-13 秘めた思い

毒に倒れ生死の境をさまよったヒュッレム。だがスレイマンの迅速な対応のおかげで一命を取り留める。母后の計らいで広い個室を与えられたヒュッレムは親友マリアを世話係としてそばに置き、身辺に細心の注意を払う。唯一の心の友としてヒュッレムが全幅の信頼を置いていたマリアだったが…そんな中、新たな人物がヒュッレムを蹴落とそうと計略を巡らせ…。
●ヒュッレムは、臨月が近いため、母后の計らいで世話係が付き、ニギャール女官長の指揮のもとで角部屋へ引っ越すことになった。御前会議の場では、ベネチア大使モチェニーゴが皇帝に戦勝の祝辞を述べるが、スレイマンはハンガリー王ラヨシュ2世に対して「臣従しなければ、ブダへ進軍する」との声明を発してベネチア大使をおびえさせる。ムスタファ皇子は、会議の場に戯れようとする。ロシアの大公ワシーリー3世の大使が戦勝を祝う書簡を差し出す。マヒデブランがヒュッレム毒殺を企てたことは秘せられたが、お付きの女官ギュルシャーは旧宮殿(エスキ・サライ)へ追放処分となる。ヒュッレムは、親友マリアが世話係になって喜ぶが、彼女からイスラムに改宗してギュルニハル(「若くて細身の美人」)という名になったと告げられると、急に警戒心が頭をもたげて、怒り出す。スレイマンは、翌年の春にロードス島へ遠征することを計画し、側近たちとロードス島の詳細を検討する。島は大おじジェムを人質にし、彼の子孫が今も捕虜になっていると憤る。スレイマンは、ロードス島騎士団長フィリップ・ド・リラダンに書簡で外交戦を仕掛ける。ヒュッレムは、皇女ハティジェとは仲良くし、お守りをもらう。が、ハティジェは、イブラヒムのことをペラペラ話してしまい、秘めた思いを知られたのではと、後悔する。母后は、寡婦であるハティジェを心配し、縁談について皇帝に相談するが、ハティジェは、年寄りに嫁ぐくらいなら死ぬ、とギュルフェムにぶちまける。皇帝はカスム師に、来年のロードス島遠征の間の留守を頼むが、師から先に母后に持ちかけられた縁談について問い合わせられて唖然とし、母后に釘を刺す。ヒュッレムは、イブラヒムとハティジェの仲睦まじい光景を目撃して、2人の秘めた思いを察してしまう。密会をヒュッレムに見られたことを知ったイブラヒムは、ヒュッレムの排除に傾き、皇帝の夜伽にヒュッレムの親友ギュルニハルを召すように宦官長に指示する。支度を整えたギュルニハルが皇帝の寝所に赴いたのと同じ頃、ヒュッレムが産気づいてのたうち回る。


1-14 危険な出産

産気づいたヒュッレムは命懸けで出産に挑んでいた。難産の末に赤ん坊を産み落とすも、腕に抱く前に赤ん坊は儀式のために連れて行かれてしまう。そこにようやく現れたスレイマン皇帝だったが、出産に立ち会えなかったのには秘密の理由があった。ヒュッレム、親友ギュルニハル、スレイマンの腹心イブラヒム、皇帝妃マヒデブラン、皇女ハティジェ、母后など、それぞれの思いや欲望がヒュッレムの出産を機に複雑に交差し…。
●ヒュッレムが陣痛のため叫び声を上げ続ける難産となり、医女やニギャール女官長たちがお産の世話をする。ヒュッレムと反目する小姓頭イブラヒムは、ヒュッレムの世話係になっていた側女ギュルニハルを皇帝の夜伽に差し向ける。やがて、玉のような皇子が無事に産声を上げ、ヒュッレムはやっと安堵する。が、駆け付けた母后は、ヒュッレムが赤子を抱こうとするのを妨げ、皇子にお清めをせよと命じる。出産の報告を受けた皇帝スレイマンは、息子を抱いて皇子メフメトと名付ける。気落ちしていたマヒデブランも祝いに訪れた。母后らは、ヒュッレムの出産の付き添いをするはずだったギュルニハルが、お産の晩にイブラヒムの差し金で夜伽に召されていたことを知り、ヒュッレムが気付いたら大騒ぎになるだろうと声をひそめる。ギュルニハルは、夜伽のことをスンビュル宦官長から口止めされ、ヒュッレムからは出産の昨晩にどこにいたと責められて苦悩する。出産後、眠っている間に悪夢にうなされたヒュッレムは、目覚めてから息子がいないと大騒ぎしながら後宮をうろつきまわり、母后のもとで医女の診察などの世話を受けていた息子を見つけて、母后に対して「息子をさらった」と無礼な態度を取るが、逆に母后から「メフメトは帝国に属する皇族の一員であり、側女一人には任せられぬ」と諭されてしまい、しょげかえって引き下がる。母后の指示で、メフメト皇子の誕生を祝って、後宮の女たちに金貨が配られる。一方、皇帝スレイマンと宰相たちのもとへロードス島騎士団長フィリップ・ド・リラダンからの挑発的な書簡が届く。宰相カスム師は、前に母后から息子とヒュッレムの縁談を持ちかけられていたので、ヒュッレムが皇子の母として妃になったと知って愕然とするが、後ほど皇帝から大金と耕地を贈られて隠居する羽目になった。皇帝妃となったヒュッレム妃に、クロテンの毛皮などの品々を贈られ、皇帝から妃と認められて喜ぶが、後で側女エスマから出産の晩に皇帝が側女の誰かと同衾していたと聞き知って激昂し、事もあろうにそのギュルニハル当人に向かって、皇帝と同衾した女が誰なのか調べるように迫り、勢い余って彼女の首を激しく締め上げる。


1-15 裏切り

出産の夜、スレイマン皇帝の寝所に女がいたことを聞きつけ、逆上したヒュッレムは、ギュルニハルに女が誰であるか突き止めるように命じる。ヒュッレムの尋常ではない様子に命の危険を感じたギュルニハルは、女が自分であることを告げられず苦悩していた。一方、皇帝はロードス島への遠征の準備を着々と進める。そんな中、ヒュッレムの存在をにがにがしく思う小姓頭イブラヒムは…。
●ロードス島侵攻の事前準備として、イブラヒムは宮廷史家マトラークチュに潜入調査を命じる。砦を視察して細密画を描かせるのだ。ロードス島騎士団長リラダンから援護を求められたバチカンの枢機卿は、オスマン帝国が地中海の制海権を得てしまう重要な地を易々と明け渡せないとはいえ、帝国との貿易協定も捨てがたい様子。一方で窮地に陥ったギュルニハルはニギャール女官長に相談する。ヒュッレムは皇子を抱き皇族の毛皮を得意げに身に付け、母后ハフサの許を訪れる。母后とマヒデブランからはメフメト皇子と引き離すため乳母に託すよう勧められるが毒殺を恐れて断る。産後40日経過しないと夜伽に上がれない産褥中の慣習にも焦りを抱えている。ハティジェは服従と慣習としきたりに従うようヒュッレムに諭すが、自らも強いられた婚約に従えず内に秘めたイブラヒムへの思いを断ち切れない。イブラヒムは来たる遠征での別離を思い、ギュルフェムの助けでハティジェに蝶のブローチと恋文を贈る。明け方の寒冷の中、ご寝所から忍び足で戻ったギュルニハルが皇帝スレイマンの温情で毛皮をまとっているのを見て逆上したヒュッレムは騒動を起こしてしまう。母后はこれを機に皇子を奪う罰を与えようとしたが思いとどまる。ギュルニハルは側女アイシェとの相部屋の個室に一時退避された。本意ではなく命令に服従しただけの者や傍観者を含め周囲が皆で親友の夜伽に共謀したことに感付いたヒュッレムは、指輪の盗難、毒殺未遂、牢屋行きの経験を経て、秘密裏に計略を謀ることを覚えてしまい、皮膚に炎症を起こす毒を手に取ってしまう。


1-16 汚れた手

皇子の誕生で皇帝妃となったヒュッレムだが、スレイマン皇帝の寝所に召された親友ギュルニハルを許せず、激情のままに報復を誓っていた。一方、縁談を持ち込まれた皇女ハティジェはイブラヒムへの思いとかなわぬ恋への絶望から雪の中で倒れて発熱。そんな中、顔を合わせたヒュッレムと皇帝妃マヒデブランは激しい火花を散らし…。
●ハティジェは母后から大宰相ピリーメフメトの息子でムスタファ皇子の教師としても博識を誇る人物チェレビーとの縁組みを知らされ、思い悩んだテラスで雪が降りしきる中倒れて高熱を出す。縁談に浮かない様子に母后は首を傾げる。産褥が開けたヒュッレムはスレイマンに螺鈿鏡の贈り物をして愛を伝える。一方でニギャール女官長に命じてギュルニハルには忘れ物の毛皮を届けさせる。実は毒が塗られていた毛皮を夜中巻いて寝たギュルニハルは顔の皮膚がただれて溶けてしまう。調査に当たったダイェはヒュッレムの関与を知り、ニギャールに口止めして母后に報告する。ヒュッレムは夢で亡き母と再会するが、仇を討って欲しいとはいえ一度悪事に染めた手は止まらなくなると責められる。ニギャールは知らずに共犯の運び役とされたことをヒュッレムに詰め寄るがしらを切られ、ダイェからの口止めにもかかわらずスンビュル宦官長を含め側女たち後宮中がヒュッレムの犯行を知るよう仕向ける。通路で母后とダイェに出くわしたヒュッレムは、自分の関与はニギャールの嘘でニギャールを罰するよう示唆するが、母后は顔をそむけ、メフメト皇子を乳母に託すよう命じる。最初に毒を盛ったマヒデブランは皆に庇われるが、自分は罰としてついに皇子と引き離され、ヒュッレムは待遇の差に慟哭する。


1-17 王の刺客

皇女ハティジェの容体は、いまだ回復の兆候がなく母后やイブラヒムの心を悩ませていた。母后の指示で皇子メフメトと引き離されたヒュッレムは皇帝のもとへ直訴に向かうがイブラヒムに追い返されてしまう。後宮で孤立したヒュッレムはしだいに護身となるお守りに執着していくのだった。一方、皇帝スレイマンはロードス島遠征へ向けて着々と戦略を練っていた。そんな中、スレイマンに報復を誓うハンガリー王国ラヨシュ2世は…。
●ヒュッレムはスレイマンに直談判を試みるがイブラヒムに阻止され、マヒデブラン側に付く者と確信する。ハティジェの看病中に胸中を知ったマヒデブランはイブラヒムとの逢瀬に進んで加担する。その頃ハンガリーのブダ王宮ではラヨシュ2世がスレイマン暗殺の企てを図っていた。婚礼の夜にゼムン城で新郎を殺されたビクトリアを帝国の後宮に送る算段だった。後宮ではギュルニハルがヒュッレム付きに復帰する。ヒュッレムは祈祷師を呼び、スレイマンが他の女によそ見をせず、次期皇帝にはメフメト皇子を、自分は母后になれるよう祈りのお守りを作るよう命じる。御前会議でアフメト宰相はフェルハト宰相を謗ることに余念がない。ベネチア大使からラヨシュ2世の報復の可能性を指摘されたスレイマンだが一笑に付した。ビクトリアは宮殿の内通者の斧槍持ち(衛兵の一種)ボンジュクとの港での待ち合わせに失敗したが、ロードス島の視察から戻ったばかりの宮廷史家マトラークチュに保護され、イブラヒムの推薦でニギャール監督のもとに側女アイシェ付きの女官として後宮に上がった。マトラークチュは持ち帰った細密画を手に、スレイマンにロードス島の城塞は強固なため坑道を掘り内部の協力者を得て城内に到達する策を提案する。


1-18 皇女の婚約

ロードス島への遠征を前に、スレイマン皇帝は後宮で家族とのひとときを過ごしていた。皇女ハティジェを大切に思うスレイマンと母后は、ハティジェの気持ちも知らずに縁談を進めてしまう。望まぬ結婚を憂うハティジェは、イブラヒムへの思いを胸に自暴自棄になり…。そんな頃、ヒュッレムには祈祷師から吉報が伝えられる。一方刺客として送り込まれたビクトリアは…。
●皇帝スレイマンは病気から快復した妹ハティジェにロードス島遠征後の婚儀の挙行を通告した。正式に婚約中となったハティジェは毒薬を飲んでしまう。知らせを受けて駆け付けたダイェによってハティジェは食あたりとされ母后には自害を伏せられる。ビクトリアは奴隷ではないという出身についての嘘を側女アイシェに怪しまれる。完成したお守りを持って参上した祈祷師から第二子懐妊を予見されたヒュッレムは喜びに沸く。婚約勅状を自らの手で筆したイブラヒムは愛用のバイオリンを叩き壊す。マヒデブランの差し金で毒を盛ったギュルシャーは追放を解かれ後宮に戻る。ハティジェの婚約式で大宰相の息子チェレビーは咳が出ている。婚約式でスレイマンの近くに控えたビクトリアはゼムン城の落城を回想し、皇子たちの別部屋にわざと放火する。


1-19 ロードス島への出陣

ハティジェの婚約を祝う宴の夜、別室で影絵を楽しんでいた皇子たちに火の手が迫る。我が子の名を必死で叫ぶマヒデブランとヒュッレムの前に現れたのは皇子ムスタファとメフメトを両腕に抱えたビクトリアだった。皇子たちを救ったビクトリアは母后の信頼を得、一方、ムスタファが放火の犯人だと放言したヒュッレムは皇帝の寵を失う。そんな中、オスマン軍はついにロードス島へ…。
●火災騒ぎの中、第一皇子ムスタファと第二皇子メフメトを抱えて煙立つ中現れたビクトリアは偽りの手柄を立て母后付き女官となる。気が動転したヒュッレムはムスタファが火事を起こしたと言い放ちスレイマンの不興を買う。疑心暗鬼になったヒュッレムはギュルニハルにメフメト皇子の小守を厳命し、ニギャールに祈祷師を呼ぶよう命じる。ロードス島の遠征中は頼るべきスレイマンも不在となり何が起こるか分からない。スレイマンに許しを懇願する恋文を書くが、メフメト皇子のみ呼ばれ、ヒュッレムは自室に取り残される。スレイマンは島民の命と財産を保証する降伏勧告を書くが、ロードス島騎士団長リラダンは破り捨て、バチカン枢機卿に救援を要請する。1522年6月18日出陣前の別れの挨拶時、スレイマンはマヒデブランに手を差し伸べ、ヒュッレムを無視する。地中海を航海中、追憶に囚われたイブラヒムは思わず故郷の話をして遠征後の帰郷を許可される。ヒュッレムは自室から出られない幽閉状態で遠征中を過ごす。スレイマンとイブラヒムは真夜中の海上で砲撃に遭う。


1-20 皇帝の命(いのち)

ロードス島沿岸で騎士団の急襲を受けた帝国の船が沈み、スレイマン皇帝崩御の一報がトプカプ宮殿に届く。後宮の女性たちは悲しみにうちひしがれ、気丈に振る舞うヒュッレムも流産の危機に…。その頃、戦地では作戦失敗の責任を感じたピリー大宰相が辞任を願い出ていた。ロードス島をめぐるオスマン帝国軍と騎士団の戦いは長期戦に。難攻不落の城塞を打ち破り、オスマン軍は勝利を手にできるのか?
●母后ハフサは皇帝スレイマンの乗った船が沈んだとフェルハト宰相から報告を受ける。後宮は悲しみに包まれ、スンビュルから知らされた懐妊中のヒュッレムは姿見を割り気絶してしまう。スレイマンはオスマン帝国の前線基地に戻り、船や人員など数か月の準備を水泡に帰した大宰相ピリーメフメトの失策を詰る。ピリーは国璽を返上して辞職を願い出るが戦時中のため保留となる。アフメト宰相はチョバンの発案であり、ピリーの戦略の失敗ではないと擁護する。スレイマンはチョバンのロードス島遠征の総司令官の職を解任し、アフメト宰相に兼任させる。皇帝の代が変わると側女は全員追放になる習わしから側女たちは口さがない。スレイマン生存の追報を受け後宮中が安堵する中、見せかけの改宗を行ってイスラム名でサドゥカ(貞淑)と名付けられたビクトリアだけが顔を曇らせている。様子がおかしいと訝しむ同室の側女アイシェ。ロードス島では騎士団長リラダンが皇帝スレイマンの大おじジェムの息子ムラトと親しく言葉を交わしている。ヒュッレムはニギャールに手紙の代筆を頼む。ギュルシャーを使い、ニギャールを呼び出したマヒデブランはヒュッレムと親しくし過ぎていることを叱責する。ヒュッレムとマヒデブランの板挟みに悩むニギャールは、告げ口したギュルシャーを責め、スンビュルに助言を求める。ロードス島騎士団長リラダンは再三要請したバチカンからの援軍が来ないことに諦念を固め、ムラトに降伏の意を伝える。ムラトはスレイマンを害しようと使いを出す。


1-21 勝者と敗者

ロードス島を落としたスレイマン皇帝は戦勝を祝う礼拝の最中、何者かに命を狙われる。放たれた短刀から身を挺して皇帝を守ったイブラヒムは、背中に短刀を受け、深手を負ってしまう。一方、トプカプ宮殿ではヒュッレムのお産が始まっていた。難産の末、美しい皇女ミフリマーフを授かるが、皇子を期待していたヒュッレムは喜ぶどころか拒絶する。そんな中、皇帝の命を狙った短刀の意外な持ち主が判明し…。
●ロードス島の教会で最初のイスラム礼拝を行う中、ムラトから差し向けられた刺客がスレイマンを狙うが、イブラヒムが命を賭して助ける。ヒュッレムは皇女を出産する。母后は皇女ミフリマーフ(月と太陽)と名付ける。マヒデブランは安堵して側女たちに金貨と菓子を配る。戦火を経て騎士団長リラダンと対面したスレイマンは約束通り命と財産と宗教上の自由を保障し、兵士たちの略奪を禁じ、降伏したリラダンに長衣(カフタン)を授けムラトを差し出すよう命じる。イスラム教徒のオスマン帝国の皇族でありながらキリスト教徒としてロードス島に育ったムラトと対峙し、スレイマンは深くため息をつく。側女アイシェはサドゥカが十字架に祈っている姿を発見してニギャールに告げ口する。大宰相ピリーメフメトの息子チェレビーはムスタファ皇子の授業中、咳が止まらなくなってしまう。


1-22 煉獄の住人

スレイマン皇帝の凱旋を待つ後宮では、相変わらずヒュッレムが孤立。しかしヒュッレムは、世界があがめる妃になると女官長に宣言。側女たちと親しくなるべく、金品を贈って宴を開くが…。そんな頃、皇帝が帰還。ヒュッレムは息子ではなく娘を産んだと、許しを請う。チェレビーは病に倒れるも皇女との結婚のために病状を必死で隠す。そんなチェレビーの異変を感じ取ったイブラヒムは…。
●チェレビーが倒れた報告を受けたスンビュルは母后に報告する。母后は教師の任を解き人を手配する。第二子として皇女を産むも側女たちからも敬意を払われず状況の変わらないヒュッレムはニギャールに助言を求める。マトラークチュはサドゥカ(ビクトリア)を忘れられない。サドゥカと斧槍持ちホンジュクが言葉を交わしているところを目撃したスンビュルとニギャールは訝しむ。スレイマンは遠征から帰還してヒュッレムと再会し、父帝セリムが母后ハフサに贈った詩を詠む。ニギャールは帰還したイブラヒムに後宮の様子を報告する。イブラヒムはチェレビーを見舞い、吐血を見てしまう。ギュルフェムに頼み、ハティジェに会うため危険を冒して夜のイチジク園に誘う。ダンテの神曲を読みながら、天国と地獄の間の煉獄の住人であることを思う。スレイマンは改めて大宰相ピリーメフメトを解任し、イブラヒムの姿を探すが、小姓頭の居室で天国と地獄について書かれた文を発見する。ヒュッレムが宴を開いているところにマヒデブランが現れる。


1-23 イブラヒムの運命

スレイマン皇帝の逆鱗に触れたイブラヒムは死を覚悟するも、皇帝はイブラヒムに帝国の国璽を差し出し、受け取るように促す。皇帝がイブラヒムに激怒して見せたのには裏に大きな意図があった。皇帝は異例の人事を敢行。だが、それを快く思わない者たちが不満を募らせる。後宮ではマヒデブランとヒュッレムが宴の開催をめぐって激しい口論をする。一方、ハティジェ皇女の婚約者チェレビーが重大な問題を抱えていることが発覚し…。
●マヒデブランは誰の許可で宴を開いたかとヒュッレムを叱責する。ヒュッレム・スルタン(Hürrem Sultan)である自分の命だと返答する。マヒデブランは皇帝妃を自称するとは厚かましいと一蹴するが、皇女ハティジェ・スルタンが割って入り威厳をもって双方ともにきつく注意する。皇帝スレイマンは短刀(地獄)を片手に国璽(天国)とどちらを選ぶか、どちらを選んでも命に関わるとイブラヒムに覚悟を迫り、ピリーメフメトに代わりイブラヒムが大宰相となるよう言い渡す。ピリーメフメトは息子の病気を知らない。ニギャールは一朝一夕では皇帝妃になれないと言い、ヒュッレムに少し慎むよう諭す。御前会議でイブラヒムの就任が正式に発表されると、昇進を期待していたフェルハト宰相、アフメト宰相、元宰相チョバン、イスラムの長老ゼンビリ一同が驚愕する。赤い礼服(ヒラット)を賜ったイブラヒムはアフメト宰相と対立する。ヒュッレムはスルタン(皇帝妃)と呼ぶ手本を示すようニギャールに言いつける。チェレビーが結核を患っていることをイブラヒムから知らされたマヒデブランは血相を変え母后に相談する。母后はハティジェには秘密にするよう言い渡す。


1-24 神聖な木曜日

皇女ハティジェの婚約者チェレビーは胸を患っていた。それが母后やスレイマン皇帝の耳に入る頃、皇子ムスタファがひどいセキをして発熱。感染かと緊張が走る。これを機に皇帝とマヒデブラン妃が接近。心穏やかでいられないヒュッレムは、神聖な木曜日に皇帝を誘い、身支度して待つが…。大宰相となったイブラヒムは故郷への帰省を嘆願。皇女へのかなわぬ思いを胸に、そのまま戻らないかもしれないとマトラークチュに話す。
●イブラヒムは約束された故郷パルガへの帰郷をスレイマンに嘆願する。ムスタファ皇子が高熱を出し、勉強中にチェレビーと長く過ごした息子が結核に感染した可能性に思い当たりマヒデブランは心を痛める。前夫を亡くした寡婦ハティジェを思い、スレイマンに縁組みを考え直させるため、母后はチェレビーを診察した医師の診断結果を奏上する。だがスレイマンはチェレビーが快復するまで婚儀は延期するとしただけだった。ロードス島からの凱旋後に夜伽のお召しがないため、スレイマンがムスタファの容態を心配して一晩中マヒデブランの部屋で過ごしたことを伝え聞くと、ヒュッレムは心穏やかでいられない。スレイマンは前大宰相ピリーメフメトが息子チェレビーの病気を知らせなかったと指摘する。サドゥカは母后に呼ばれて来たスレイマンと部屋で二人きりの状況になったが、短刀を所持しておらず手が出せない。母后はスレイマンに家族と過ごす慣習の神聖な木曜日はマヒデブランを夜伽に呼ぶよう諭す。ハティジェはチェレビーが結核であっても結婚が撤回されないことを嘆く。イブラヒムは故郷へ旅立つ前にスレイマンの部屋に手紙を残し、スンビュルにマヒデブランを最優先に考えるよう命じる。ヒュッレムは久々にご寝所に召されたのはマヒデブランと知る。


1-25 故郷へ

皇帝から故郷パルガへ帰省の許しを得たイブラヒムは出立に先立ち、皇帝とハティジェ皇女に手紙を書く。イブラヒムはある重大な覚悟を持って宮殿を後にするのだった。一方、神聖な木曜日に皇帝がマヒデブラン妃と寝所で過ごしたことを知ったヒュッレムは動揺するも心を平静に保つように努めていた。ヒュッレムは母后の元を訪れ、ハティジェ皇女の恋について話す。そんな中、パルガで父と再会を果たしたイブラヒムは…。
●皇帝の寝所から戻ったマヒデブランの機嫌が悪く、ギュルシャーは冷たくあしらわれる。実態は手も触れられず皇帝スレイマンから一晩無視されていた。スレイマンはイブラヒムの手紙を発見し、イブラヒムがパルガから戻らない決意であることを知る。ハティジェへの愛のためイブラヒムは己の将来を投げ打ったのだった。母后の計らいで木曜の夜をマヒデブランに渡した経緯を知ったヒュッレムは、ハティジェがイブラヒムに恋煩いしていることを母后に密告する。長く思い悩んでいた理由をよりによってヒュッレムから聞かされた母后はハティジェを詰問し、ハティジェはイブラヒムの命乞いのためスレイマンに目通りを願い出るが叶わず憔悴する。次第に対立していた側女アイシェさえもヒュッレム・スルタン(皇帝妃)と呼ぶようになるが、母后の影響力は大きく、スレイマンは次の木曜もマヒデブランを寝所に召す。第三宰相アフメトは第二宰相フェルハトが不正をしているとスレイマンに奏上する。


1-26 ぬれぎぬ

パルガに戻ったイブラヒムは父親と兄と喜びの再会を果たす。後宮ではヒュッレムが側女アイシェと大ゲンカ。「殺してやる」と脅したのを皆に聞かれてしまう。帝国に戻らない覚悟を決め、家族と過ごすイブラヒムのもとに、スレイマン皇帝の使者が現れる。皇帝の手紙には、帝国に戻り、自分の隣で死ねと記されていた。その頃、後宮では恐ろしい事件が起き、あらゆる状況証拠からヒュッレムに疑いがかけられていた。
●イブラヒムはパルガで父マノリスと双子の兄ニコと再会する。ニコは亡き母のバイオリンをイブラヒム(クリスチャン・ネームはテオ)に贈る。ヒュッレムはアイシェと側女たちの大部屋で激しく言い合うところを皆に目撃される。ギュルニハルはアイシェにヒュッレムと対立しないよう諫言する。夜中に起き出した同室のサドゥカを怪しみ尾行したアイシェは、サドゥカが斧槍持ちボンジュクに文を渡すところを目撃する。サドゥカは発覚を恐れ、以前から脅迫を受けていたこともあり、アイシェを殺してしまう。アイシェの擁護を叱責されたために昨夜はヒュッレムと部屋を共にしていなかったギュルニハルを始めとして、後宮中がアイシェを殺したのはヒュッレムと思い込む。調査が行われる中、アイシェとの犬猿の仲を知られていたサドゥカも犯人候補となるが言い逃れる。イスラムの長老ゼンビリの許にフェルハト宰相の傍若無人な振る舞いを訴え出る投書が舞い込む。フェルハトはアフメトが指摘したようにハティジェの姉皇女ベイハンを娶っており皇帝家の婿だった。母后は皇子皇女をヒュッレムから取り上げて軟禁状態とする。イブラヒムの許へスレイマンから拝謁するよう手紙が届く。スレイマンは母后から犯人としてヒュッレムの名を挙げられる。


1-27 聖断

アイシェ殺害の容疑をかけられたヒュッレムは、身の潔白を主張するも最愛の皇帝にさえ信じてもらえず、絶望感にさいなまれる。皇帝もまた、身を切られるような思いでヒュッレムに旧宮殿への追放を申し渡すのだった。一方、イブラヒムは故郷パルガから父と兄を伴い、皇帝が待つトプカプ宮殿へ戻る。今生の別れを覚悟して家族と抱擁を交わし、皇帝の御前に参上したイブラヒムだったが、皇帝から思いがけない命令を拝する。
●イブラヒムの家族はイブラヒムがオスマン帝国に戻る付き添う決意をする。スレイマンはヒュッレムを旧宮殿(エスキ・サライ)に追放するよう母后に言い渡す。スレイマンの許に参内したイブラヒムとハティジェはついに結婚の許可を得る。ヒュッレムは無実を訴えるが母后の冷淡な応対を浴び、スンビュル、ニギャール、ギュルニハルに全財産を差し出して助けを求める。子供たちとも引き離され泣きじゃくるヒュッレムを、さすがに側女たちも同情する。ハティジェからイブラヒムとの結婚を知らされた母后は最愛の娘ハティジェに秘密を打ち明けられずに疎まれていた心の距離を感じる。息子スレイマンともハティジェの婿選びのことで判断を誤った謗りを感じ受けている。母后の判断に全面的な信頼を置けなくなったスレイマンは逡巡してヒュッレムの件も思い直し、イブラヒムにアイシェ殺人の調査を担当させる。


1-28 ヒュッレムの追放

無実の罪で旧宮殿に追放となったヒュッレム。皇子やスレイマン皇帝と引き離されて、涙ながらに後宮を去る。宿敵の失脚に皇帝妃マヒデブランは満足するが、調査が進むにつれ、アイシェの死がヒュッレムの犯行と思えなくなった者たちもいた。大宰相イブラヒムが聞き込みを続けていると、当日の出来事を目撃したという者が現れ…。そんな頃、ヒュッレムがアレクサンドラと呼ばれていた頃の恋人がオスマン帝国にやってきていた。
●ヒュッレムはハティジェに無実を訴える。マヒデブランはヒュッレムを信じるなと言うが、皇女ハティジェたる私に命令するつもりかと逆に叱責を受ける。ヒュッレムはルテニア時代の恋人レオの夢を見るが、奇しくもレオは帝都に上陸しておりマトラークチュと親交を得ていた。イブラヒムは故郷から持ち帰ったバイオリンをテラスで奏でる。甘く哀しい調べはハティジェのテラスにも届き最上の時を過ごす。ヒュッレムは対立しているイブラヒムにさえも無実を訴え出た。母后はハティジェの結婚の件で意見が尊重されなかったことをスレイマンに漏らすが言い返されてしまう。結婚式を前に皇女ベイハンが訪れる。夫たるフェルハト宰相の命乞いを母后に頼むためだ。ヒュッレム追放の日ギュルニハルはヒュッレムと共に後宮を去る覚悟を決め、ヒュッレムは自分にも酷い仕打ちをしたにもかかわらず心からの味方が一人だけいたことを知り哀しく微笑む。ヒュッレムのいない後宮はスンビュルとニギャールにも退屈に思われ、メフメト皇子との別離の悲嘆に心動かされた側女ルフサルがずっと黙っていたヒュッレムに有利になる目撃情報を伝える決心をする。イブラヒムは初の御前会議で議決権をスレイマンから一任され、第二宰相フェルハトのスメデレボ軍政官、第三宰相アフメトのエジプト州軍政官への左遷をそれぞれ言い渡す。イブラヒムはルメリ軍政官アヤスと元宰相チョバンを新たに宰相とする。イブラヒムは旧宮殿(エスキ・サライ)を訪れ、無実の罪からヒュッレムを救う代わりに交換条件を提示する。


1-29 服従か死か

旧宮殿へ追放されたヒュッレムのもとにイブラヒムが訪ねてくる。イブラヒムはトプカプ宮殿へ戻る為の条件を提示するが、ヒュッレムは屈辱的な内容だとして毅然とした態度で突っぱねる。だが一方で引き離された息子メフメトに会いたい気持ちを募らせていた。トプカプ宮殿では皇女ハティジェとイブラヒムの縁組を公にして祝う為の宴が催される。そんな中、招かざる人物の突然の来訪に、出迎えた後宮宦官長スンビュルは慌てふためく。
●イブラヒムの交換条件はヒュッレムがマヒデブランに服従することだった。スレイマンは第一皇妃となりながら御子を得て失い、スレイマンの寵愛も失ったギュルフェムを呼び出し語り合う。ギュルフェムのお召しを知ったマヒデブランはスレイマンとの距離が自分よりも近いことに心中葛藤する。メフメト皇子が母を恋しがって泣き通しであることに心を痛めたハティジェは、夜中にお忍びで旧宮殿(エスキ・サライ)を訪れる。アイシェの死後、夜伽を務めてもいないサドゥカが個室を占有していることに側女たちが憤り、大部屋に入ることを余儀なくされる。行動に周囲の目の制限がつくことを恐れたサドゥカは黄金の道を通り夜伽を望むようになる。皇位継承権を持つ孫を伴った夜の外出を知った母后はハティジェを咎める。ハティジェの婚約発表の宴の招待がないヒュッレムは、決意を固め馬車に乗り込む。皇帝家の婿となることが発表されたイブラヒムは、エジプトに左遷されたアフメトの恨みを買う。


1-30 美しき悪魔

無実が証明されて宮殿に戻ったヒュッレムは、イブラヒムとの約束どおり、マヒデブラン妃に謝罪し服従を誓う。ヒュッレムの言葉に心を打たれたスレイマン皇帝は、神聖な木曜日にマヒデブラン妃ではなくヒュッレムと過ごす。ヒュッレムの元恋人レオは、イブラヒムの新居に絵を描くことが決定。下見に行ったところにヒュッレムが現れ…。
●イブラヒムの交換条件を飲んだヒュッレムは後宮に戻る。母后はまたしても自分の許可なく決定が下されたと知る。ヒュッレムはマヒデブランの服の裾に接吻をして敬意を見せスレイマンを喜ばせる。後宮の闘争に終わりを告げるかのように見え、安堵を覚える一同だったが、ヒュッレムは秘めた決意を抱えて後宮に戻って来たのだった。ヒュッレムの改悛を快く受け止めたスレイマンは帰還したヒュッレムと一夜を過ごし木曜の約束を反故とした。ヒュッレムの天下にさせないため母后は新しく対抗馬となりうる側女としてサドゥカを用意する。アヤスが第二宰相となったため空席中のルメリ(ヨーロッパ)軍政官の任命について、イブラヒムはスレイマンの沙汰を仰ぐが、スレイマンはベネチア(現在のイタリア)のパルガ出身のイブラヒムの兼担が適任だと言う。ハティジェとの新居の下見に訪れたイブラヒムはマトラークチュに天使の壁画制作の手配を依頼して推挙されたレオと会う。ヒュッレム不在中にサドゥカの夜伽を敢行するべく、母后はヒュッレムを連れて大宰相邸に赴く。自分が呼ばれなかったことを知ったマヒデブランは失意に陥る。壁画制作のためハティジェの屋敷に訪れていたレオはヒュッレムとすれ違う。


1-31 心の嵐

母后の誘いで皇女ハティジェとイブラヒムの結婚後に住む屋敷を下見に来たヒュッレム。一方、トプカプ宮殿ではサドゥカが皇帝の命を狙っていた。だが、庭園で遊んでいた皇子メフメトに思いもよらない災難が振りかかったことが幸いし、皇帝の暗殺は未遂に終わる。宮殿へ戻ったヒュッレムは、助けられた皇子の無事に安堵するが、サドゥカを皇帝に差し出した母后の計略を知り、波風を立てずにサドゥカを宮殿から追い出す秘策を考える。
●レオは大宰相邸で忘れもしないアレクサンドラことヒュッレム(「朗らかな声」の意味)の声を聞く。後宮ではサドゥカがご寝所で復讐を実行に移す寸前のところで、メフメト皇子が庭園の池に落ち、血相を変えメフメトの許に向かったスレイマンの背中を見送る。ヒュッレムは不在中のメフメト皇子の不慮の事故にマヒデブランの関与を疑わず完璧な服従の態度をスレイマンを含め、改めて皆に見せてスレイマンの寵愛が深まる。実は本心を隠し通すことを学んだだけなのだが、成長を素直に喜んだニギャールはサドゥカが不在中にご寝所に上がった情報を提供してしまう。ベネチア大使モチェニーゴはヨーロッパ情勢に明るいイブラヒムの就任を祝福する。ハティジェがイブラヒムとの結婚により後宮を去る際ギュルフェムも伴えないことをこぼす中、ヒュッレムは皇子たちを火難から救ったサドゥカを大宰相邸に連れて行くよう示唆する。大使から情報を得たイブラヒムとスレイマンはバチカンが目下躍起になっているプロテスタント系ルターに密かに肩入れし、キリスト教世界の対抗構造を生み出すよう策案する。またイブラヒムはアフメトのエジプト赴任にあたり、自らの息がかかった補佐を密使とする。ヒュッレムの後宮復帰、ギュルフェムの召喚、ハティジェの新居下見に母后が自分を伴わなかったこと、木曜夜伽でスレイマンに無視され続けた等々の心痛が重なりマヒデブランは体調を崩す。マヒデブラン付き女官ギュルシャーはもしや懐妊ではないかと言う。


1-32 クリミアの恋人

レオは昔、ヒュッレムと結婚して大家族をつくる約束をしていた。イブラヒムの屋敷に絵を描きながらも、離ればなれになった恋人に思いをはせる。後宮では皇帝妃マヒデブラン懐妊のニュースが駆け巡り、お祝いムードに。しかし、スレイマン皇帝は妃に手も触れていなかった。食欲が増し続けていたヒュッレムは、女官長の指摘をきっかけに診察を受ける。
●ハティジェは母后に新居に伴う側女としてサドゥカを賜る。大宰相邸に送られる決定を聞いたサドゥカは焦燥し、内通者の斧槍持ちボンジュクと相談するが、ボンジュクは後宮を去る運命と分かった美しいサドゥカに乱暴する。ギュルシャーはマヒデブランの体調不調について懐妊だと側女たちに先走って話してしまう。懐妊の噂を聞きつけた母后の祝福を受けるが、木曜の夜は触れられることもなく同室しているだけの真実を打ち明けられないマヒデブランはギュルシャーを叱責する。辱められたサドゥカの悲鳴にスンビュルが駆けつけ、ボンジュクは斬首刑となる。イブラヒムは大宰相邸に飾る絵画にスレイマンの肖像画を願い出る。イスラム教徒にとって偶像崇拝につながる禁忌(ハラム)に近いものであったが、他ならぬイブラヒムの頼みであり、メフメト2世もベリーニに肖像画を描かせたと言ってスレイマンは快諾する。イブラヒムはレオに肖像画を描くことを命じる。大好物のウズラのピラフを際限なく食べたがるヒュッレムにニギャールは妊娠中みたいと言い、ヒュッレムは医女を呼んで確認させる。結果は第三子懐妊だった。マヒデブランの涙を見たギュルシャーはヒュッレムの命を奪うことを誓う。


1-33 壮麗な祝宴

宮殿の庭園で皇帝の肖像画を描き始めたレオ。そこへ皇帝に懐妊の吉報を伝えようとヒュッレムが現れ、レオはずっと捜し続けていた婚約者アレクサンドラが今やオスマン帝国の皇帝妃ヒュッレムであることを知って驚く。一方、イブラヒムと皇女ハティジェの結婚式が執り行われる。喜びに沸く帝都では祝典が9日間も続き、祝賀ムード一色に染まっていた。
●マヒデブランはギュルシャーに思い留まるよう命令する。サドゥカは寵臣イブラヒムの大宰相邸であれば皇帝自らの訪問もあると納得する。ハティジェとの婚礼の前夜、庭園で会えるよう手引きをしたニギャールはイブラヒムに頬をなでられ動揺する。祝典は9日間続く壮麗なもので国の威信をかけて行われるが、先のロードス遠征で得た国費を費やしたと言って一般庶民と歩兵常備軍(イェニチェリ)は反感を持つ。ベネチア大使は親欧派のイブラヒムに取り入り、婚礼祝いとして欧州風テーブルを贈る。祝宴に馳せ参じる馬車の中、ヒュッレムは産気づき、三度目の出産も皇帝スレイマン不在の中で行わねばならなかった我が身と、壮麗な祝宴を挙げてもらっている皇女ハティジェとの身分の違いを痛感する。第三子は第三皇子の誕生でマヒデブランが産んだ皇子の数をついに超す運びとなった。


1-34 蜜月

宮殿ではヒュッレムの産んだ新皇子の命名式が執り行われ、マヒデブラン妃は沈痛な思いを抱えつつ出席する。イブラヒムと皇女ハティジェは幸せな生活をスタート。スレイマン皇帝は気が滅入っていたヒュッレムを森に連れ出して小鳥を贈る。イブラヒム邸で夕食会が行われ、皇帝の家族が一堂に会すも、母后はイブラヒムの欧州寄りのスタイルに戸惑いを隠せないでいた。そこに屋敷に絵を描いたヒュッレムの昔の恋人レオが呼ばれ…。
●皇子誕生の命名式への参加に気が乗らないマヒデブランだが皇妃の矜持をかけて出席する。第三皇子は父帝に倣ってセリム皇子と名付けられる。ハティジェとの婚礼の夜を迎えたイブラヒムは思いを遂げる。マトラークチュはサドゥカが大宰相邸にいることに気が付く。マヒデブランは重要なのは皇子の数ではなく皇帝の地位に就くかどうかだと言い放つ。スレイマンは皇子を2人産んだ褒美にヒュッレムを外出に誘って森で籠に入った小鳥を贈り共に自然の中で一晩を過ごす。母后以外の、奴隷として強制連行された全ての側女、女官、宦官、またイブラヒムを含む宰相たちにとっても前例のない外遊は禍根を掘り起こす。ハティジェはイブラヒムから欧州風テーブルを使った食事習慣を求められ戸惑う。エジプトに左遷されたアフメトがマムルーク朝のスルタンと接触したとイブラヒムは報告を受ける。ハティジェの夕食会に招待された一同のうち、特に母后と皇帝は欧州風テーブルを使った食事に眉をひそめる。サドゥカは自分に恋心を寄せるマトラークチュに、処刑されたボンジュクの代わりに港に行きハンガリーとの連絡係となるよう謀る。サドゥカの正体を知らないマトラークチュは受けてしまう。夕食会の席にて大宰相邸に欧州風壁画を描いた絵師として正式にレオを紹介されたヒュッレムは顔色を変える。


1-35 再会

大宰相イブラヒム邸で、ついに対面を果たしたレオとヒュッレム。ヒュッレムは死んだはずの昔の恋人が現れたことに衝撃を受け呼吸困難を起こしてしまう。その後、ヒュッレムは人目を避けて宮殿へ来たレオと言葉を交わす。一方、エジプト州では軍政官アフメトが謀反を起こし、エジプト新皇帝を名乗る。そんな中、忠誠心の厚い女官ギュルシャーは、ヒュッレムに腹立たしさを募らせていたマヒデブラン妃に、ある入れ知恵をする。
●ヒュッレムは大宰相邸の別室で昏倒してしまう。ハティジェはサドゥカを呼び介抱させる。イブラヒムとの結婚を当初から良く思わない母后は欧州風の暮らしに疑念を持つ。夕食会の席でスレイマンはヒュッレムとの肖像画を描くようレオに命じる。マトラークチュはサドゥカに得意げに連絡手段が整ったと伝える。エジプト州軍政官として赴任したアフメトは皇帝を自称して独自に新たな金貨の鋳造と人事を命じる。肖像画の制作時にレオと顔を合わせることを懸念したヒュッレムだが、レオを目前にして思わず母国語ロシア語で密かに会話を交わす。実はロシア語を解するニギャールは訝しむ。マヒデブランはハティジェが後宮を去ったことで空室となったテラス付きの部屋を母后に請う。イブラヒムは自ら後見役を務めるマヒデブランの産んだ第一皇子ムスタファを歩兵常備軍(イェニチェリ)の訪問に伴う。マヒデブランがテラス付きの部屋を母后に請願していることを知ったヒュッレムは、母后に先んじて皇帝スレイマンに直訴して部屋を賜る。


1-36 争いの火種

エジプトで反乱が起きたとの知らせが届き、スレイマン皇帝はイブラヒムに反逆者の首を取るよう命じる。後宮ではハティジェ皇女の部屋を巡りひと騒動。母后はマヒデブラン妃に皇女の部屋を与える約束をしていたが、ヒュッレムが皇帝に頼んで横取りする。イブラヒムが命の危険を覚悟して遠征の準備を進める中、すばらしい吉報が届く。一方運命のいたずらで再会したヒュッレムとレオは…。
●エジプトの密使からアフメトの謀反を知らされたイブラヒムはスレイマンに伝達する。スレイマンはイブラヒムに反逆者(ハーイン)アフメトの討伐を命ずる。母后の命で元ハティジェの部屋を新しく整えるよう命じられていたスンビュルは、スレイマン直々の命令との板挟みに陥るが、マヒデブランの前で覚悟を決め皇帝の命を明白に優先させる。スレイマンとイブラヒムとムスタファ皇子は連れ立って歩兵常備軍(イェニチェリ)の俸給の儀に出席する。イブラヒムはエジプトへアフメトの討伐に向かうことをハティジェに告げ、万が一の安全のため父マノリスと双子の兄ニコをミストラ県に送る手配を第二宰相アヤスに命じる。ヒュッレムは肖像画やイブラヒム邸の壁画制作にかこつけてレオと個人的な言葉を交わす。ハティジェはイブラヒムとの別離を嘆くがイブラヒムとの子を身籠り幸福の絶頂を味わう。


1-37 反逆者(ハーイン)の末路

イブラヒムの屋敷で密会したヒュッレムとレオは互いに心情を語る。トプカプ宮殿では後宮女官長ニギャールがマヒデブラン妃から、ヒュッレムの行動を報告しなければ殺す、と脅されていた。一方、アフメト討伐の命を受けてエジプトへ向かっていたイブラヒムは、密使カドゥザーデから思わぬ書簡を受け取る。マヒデブラン妃はスレイマン皇帝とムスタファ皇子の狩りに同行することを楽しみにしていたが…。
●ヒュッレム有利と見て次第に肩入れを深めるニギャールだったが、マヒデブラン付き女官ギュルシャーに見咎められ袋を頭に被せられ暴行を受け、マヒデブランに自分の側に付くよう二重間諜(スパイ)を命じられる。反逆者(ハーイン)アフメトを手際よく斬首の後晒し首の刑に葬ったイブラヒムはスレイマンに朗報を伝え、遠く離れたハティジェへの思いを霊鳥(シームルグ)になぞらえて恋文をしたためる。皇帝スレイマンが第一皇子ムスタファとエディルネ宮へ狩りに赴くことを知ったヒュッレムは、マヒデブランに代わり第二皇子メフメトとともに相伴に与るよう画策する。エディルネ宮にて皇帝のエメラルドの指輪がないことに気付いたヒュッレムは必死に探し、小守の側女エスマにも問うが見つからない。後宮に残ったマヒデブランはテラス付きの元ハティジェの部屋で指輪を発見する。


1-38 不吉な兆し

エディルネ宮殿での滞在を楽しむスレイマン皇帝と皇帝妃ヒュッレム。しかし、かわいがっていた小鳥の死を不吉な兆しだと考えるヒュッレムは、皇子2人と先に帝都に帰ることになる。その頃、帝都では精鋭軍団イェニチェリが決起。不満を民や都に残る皇帝の家族に向ける非常事態となっていた。ついにはイブラヒム不在の大宰相邸にも軍団が押し寄せ…。
●帝都イスタンブルでは、異教徒からの改宗者イブラヒムが最高要職に就き良い暮らしをしていること、皇帝スレイマンが遊びの狩りに出て不在であることに、歩兵常備軍(イェニチェリ)が不満を溜めていた。ニギャールはイブラヒムとの情事を夢見るようになる。イブラヒムは一人エジプトで法整備を進めている。エディルネ宮では可愛がっていた小鳥が死んだことと指輪の紛失に不吉の兆しを見たヒュッレムがスレイマンに先んじてムスタファ皇子とメフメト皇子と共に後宮へ戻ることにする。だが既に皇帝不在を機と見た歩兵常備軍(イェニチェリ)の暴動が始まっており市場が略奪され今にも後宮に押し入らんとしていた。後宮では第二宰相アヤスから報告を受けた母后がハティジェを心配して気を失いかける。ハティジェは歩兵常備軍(イェニチェリ)が憎悪を向ける大宰相邸にギュルフェムと取り残されているのだ。マヒデブランは緊急事態で失念しておりエメラルドの指輪を嵌めたまま避難していたところをニギャールに目撃される。後宮への道が封鎖されたヒュッレムは大宰相邸に向かう。サドゥカを思うマトラークチュ、ヒュッレムを思うレオも合流するが、ハティジェは気が動転して足を滑らせ階段から落ちてしまう。


1-39 反逆の代償

精鋭軍団イェニチェリの反乱でイブラヒムの屋敷に身を寄せたヒュッレムたち一行。屋敷の地下へ逃げる途中、レオが命に関わる重傷を負う。さらに、階段を踏み外し転落したハティジェ皇女にも耐えがたい悲劇が襲いかかる。一方、トプカプ宮殿の地下牢に避難していた母后らは、外部と連絡がつかず、不安を募らせていた。そんな中、火急の知らせを受け帝都に戻ったスレイマン皇帝は自らイェニチェリの長官と対峙し…。
●第二宰相アヤスの使者から報告を受けたスレイマンは迅速に行動を起こす。海路を取り帝都イスタンブル入りを果たし、歩兵常備軍(イェニチェリ)の要求を聞き暴動を抑えつける。後宮に戻ったスレイマンは母后と再会するが、自分に先立って出発したヒュッレムの姿がないため、二人の皇位継承権を持つ皇子たちの行方不明を伝える。母后から第一皇子ムスタファの消息を聞かされたマヒデブランは卒倒してしまう。20万金貨(ドゥカ)の臨時金を勝ち取った歩兵常備軍(イェニチェリ)だったが、暴動を先導した長官はスレイマン自らの手で斬首される。手引きをした書記官長も処される。ハティジェの腹の子は流れてしまっていた。大宰相邸にハティジェを迎えに行ったスレイマンは、ヒュッレムと皇子たちと再会する。無事に戻ったムスタファから、ヒュッレムが自分を守ってくれたことを聞いたマヒデブランは、エメラルドの指輪を返そうとヒュッレムの部屋を訪れるが決心をつけられない。ギュルシャーとニギャールが対立する。イブラヒムが宮殿へと戻る。


1-40 痛みの記憶

エジプトから戻ったイブラヒムは愛する妻ハティジェと久々の対面を果たすが、待っていたのは悲しい報告だった。レオは暴動で受けた傷から回復するも心の傷は癒えずにいた。ヒュッレムはレオに自分との恋を忘れるよう手紙を書くが、それを見てしまった者がいて…。その夜、ヒュッレムは皇帝と夕食を共にする約束をしていたが、皇帝は大宰相邸に泊まることに。そしてヒュッレムが皇帝を待ちわびている間に、当の皇帝は…。
●イブラヒムと再会したハティジェは流産を伝える。スレイマンは再びヒュッレムに籠の小鳥を贈る。ヒュッレムはエメラルドの指輪を探すため大部屋の側女たちに情報提供を呼びかけ、ニギャールにも問うがニギャールは知らないふりをする。マヒデブランに呼び出されたニギャールは指輪の返却を言いつけられる。ヒュッレムはレオへの手紙を報奨金に紛れ込ませニギャールに届けさせるが、感付いたニギャールは手紙をこっそりと読んでしまう。ヒュッレムの秘密の過去の恋を知ったニギャールはギュルシャーを浴場の桶に沈めてやり返す。イブラヒムは新しい書記官長にジェラールザーデを任命する。ハティジェを心配したスレイマンは大宰相邸に外泊するが、見覚えのあるサドゥカを見つけ果たせずにいた夜伽を迫る。


1-41 疑惑

イブラヒムの屋敷に泊まったスレイマン皇帝はハティジェ皇女付きの侍女サドゥカと共寝する。トプカプ宮殿では皇帝の外泊に女性の影を感じたヒュッレムが疑念を募らせていた。一方、マヒデブラン妃からヒュッレムの情報を流すように命じられたニギャール女官長は、見返りとして贈り物を贈られ、板挟みの中で心が揺れる。そんな中、皇妹ベイハンの婿で地方の軍政官に降格されたフェルハトの悪行が取りざたされ…。
●突然のことでサドゥカは武器を所持しておらず意のままになってしまう。新郎を殺した憎き皇帝に抱かれてしまった無力さに一人むせび泣く。イブラヒムはレオを帝国に留めおくため宮廷工房に送る。マヒデブランに呼び出されたニギャールは情報を持ち込めば役職の昇格を約束される。一度は母后からの懇願により左遷のみで済まされたフェルハトの税金の不正徴収と賄賂の横行が、再び取り沙汰され御前会議の議題に上がる。ニギャールは報奨金を返却するという名目で忍ばされたレオの手紙を今回も読んでしまう。フェルハトと皇女ベイハンが勝手に任地スメデレボを離れ母后を訪れる。依頼された母后はスレイマンに再度命乞いをするが跳ね除けられる。


1-42 悲しみと死の宮殿

ハレムに新しい側女たちが送られてきた。中でも軍政官の貢ぎ物である美しいロシア女性が皇帝に仕えると聞き、ヒュッレムの心は騒ぐ。赴任地での暴政と悪行を裁かれたフェルハトは制裁を受ける。それを知ったフェルハトの妻、皇妹ベイハンは、スレイマン皇帝をののしり、もはや家族ではないと言い放つ。新しいロシア人側女が皇帝の寝所に召されたと聞いたヒュッレムは、小鳥を籠から逃がして自由にしたあと、短刀を持って…。
●アッケルマン(現在のウクライナ)軍政官が送って来た特別扱いの2人の側女ニーナとターニャが到着する。自分の出身に近いロシア方面ウクライナ出身であり明るい色の髪と肌を持つことにヒュッレム(史実では「ロシア女」を意味するロクセラーナという通り名が欧州では有名)は憂慮する。徐々にイブラヒムへの懸想を深めるニギャールは、ヒュッレムとマヒデブランとイブラヒムの三者に挟まれ困惑する。誰の奴隷でもなく自分自身であれと言われたニギャールは思わずイブラヒムに迫ってしまうが突き放される。もはやスレイマンの意思が揺るがぬことを確信した母后は、フェルハトの処刑予定時間にベイハンをハティジェと共に大宰相邸へ誘い出す。後宮に戻ったベイハンはフェルハトの処刑をスレイマンから伝えられる。ベイハンは悲しみの余り錯乱し、兄としての温情を持たないとスレイマンに非難の言葉を、処刑時間に連れ出した母后への不信を、慰めの言葉をかけたハティジェには「いつか皇帝である兄が夫を処刑したときに初めて私の気持ちが分かる」と言い放ち、後宮を後にする。ダイェがターニャの夜伽の準備をニギャールに命じ、ニギャールは即ヒュッレムに情報提供する。心痛のヒュッレムは籠の鳥をテラスから空に放ち、スレイマンの寝所に乗り込み、他の女と寝るなら私を先に殺してと嘆願する。


1-43 愛の反乱

短刀を持ってスレイマン皇帝の寝所に乗り込んだヒュッレムは、ロシア人側女を宮殿から追い出さないなら自分が出ていくと皇帝に迫る。皇帝はヒュッレムの不遜な態度に激怒。マヒデブラン妃は、事の次第を知り、皇帝の逆鱗に触れたヒュッレムはもうおしまいだとひそかに喜ぶが…。そんな中、ベネチア元首を父に持つ商人アルヴィーゼ・グリッティが皇帝に謁見を許される。帝国で生まれ育ったというグリッティは美しい宝石を献上し…。
●私の忍耐と良心を試すなとスレイマンは言うが、愛と貞節ゆえに懇願するのだとヒュッレムは言い募る。もし明日中に自分とは別のロシア女を追放しなければ後宮を出て行くと主張する。立派な皇帝ではあるが近辺の者への感情が無いと他ならぬ妹皇女ベイハンに言われたばかりのスレイマンは葛藤を抱える。親兄弟を皆殺しにされ投獄され殺人の濡れ衣を着せられ親友が夜伽に差し出され私物が盗難されても服従の態度を見せ、素行が落ち着いていたヒュッレムを思い、奴隷はどこへも行けぬ子供たちにも合わせぬと迫るが、ヒュッレムは死体になってでも後宮を出て行くという。ロシアの側女たちが出て行くか、自分が死ぬかの二者択一を曲げない。後宮中がヒュッレムの敗北を確信するが、スレイマンは大方の予想に反しロシアの側女を送り返すよう命じ、後宮中がついにヒュッレムの愛の勝利を知る。母后は愛など存在せぬと自室で息巻く一方、スレイマンもまた自室でイブラヒムを相手に命懸けの愛を平定するための妥協に不満はないと宣っていた。ギュルシャーは再度ヒュッレムを廃することをマヒデブランに誓う。ベネチア大使は元首の私生児アルヴィーゼ・グリッティを擁立する。


1-44 悪夢

皇帝妃ヒュッレムはごちそうと金貨で側女たちを味方につける。その頃、宮殿ではベネチア元首の息子アルヴィーゼが皇帝に謁見。聡明さと豊富な知識で皇帝の信頼を勝ち得ていた。皇子ムスタファは弟メフメトに「皇帝になるのは自分」と言われたショックから、横暴な態度でイブラヒムを傷つけてしまう。一方、人前でヒュッレムにひどく罵倒されたマヒデブラン付き女官ギュルシャーは、恨みを募らせてヒュッレムの寝室に侵入し…。
●ムスタファ皇子とメフメト皇子を教室から連れ帰ったギュルシャーは「ムスタファ皇子のついで」「私はムスタファ皇子に使える者」との差別発言をする。無礼を聞き咎めたヒュッレムは叱責する。ヒュッレム以上に嫌われ者のギュルシャーを大部屋の側女たちも笑う。グリッティを気に入ったスレイマンは礼服(ヒラット)を贈る。ギュルシャーはマヒデブランにヒュッレム殺害許可を請う。サドゥカは近々欧州への遠征があることを立ち聞きし本国ハンガリーとの連絡手段を模索する。ムスタファ皇子は皇位継承権を持つ皇子らしからぬ振る舞いでスレイマンに叱られる。ヒュッレムはスレイマンから贈られた、本来であれば皇族にしか許されないモチーフである帝国国花チューリップのブローチを付けて母后の茶会(サロン)に出席する。得意気なヒュッレムが憎くてならないギュルシャーはその夜、闇に紛れてヒュッレムとセリム皇子が就寝する寝台(ベッド)のふくらみに向け憎悪を込めて何度も短刀を振り下ろして突き立てた。


1-45 後宮の凶行

皇帝妃ヒュッレムに仕える側女エスマは、寝台で激しく泣く皇子セリムと流血して生死の定かでないギュルニハルを見つけ錯乱する。治療院へ運ばれたギュルニハルは一命を取り止めたものの深刻な状態が続いていた。ヒュッレムは本当は自分が狙われたのだと怯える。一方、皇帝妃マヒデブランに問い詰められ、凶行を白状した女官ギュルシャーにも受難が待ち受けていた。後宮では大宰相イブラヒムの指揮のもと犯人捜しが始まるが…。
●ヒュッレム付きの小守エスマがセリム皇子の泣き声を聞きつけ寝台を確認すると血が流れている。仰天したエスマが大声で人を呼び騒ぎとなる。スンビュルとニギャールが見るとふくらみの中に横たわる姿はヒュッレムではなくギュルニハルだった。刺されて重体となったギュルニハルはすぐさま治療院へ送られる。人違いで殺人を犯し呆然自失の体で部屋に戻ったギュルシャーは、刺客がギュルシャー本人だとマヒデブランに見破られてしまう。命令を下してもいないのに殺人を疑われる立場となり激怒し血がのぼったマヒデブランはギュルシャーを折檻する。アイシェ殺害に続き皇帝妃を狙った殺人鬼が後宮に潜んでいる状況に母后もダイェも戦慄する。ギュルニハルの隣に臥せっており明らかに人為的な重傷を負っている不審に気付いたニギャールは、ギュルシャーの凶行を聞き出す。


1-46 最後の手紙

ベネチア元首の息子アルヴィーゼ・グリッティはスレイマン皇帝やイブラヒム大宰相と親交を深め、オスマン帝国の外交顧問に就任。フランスはオスマン帝国に助けを求め、オスマン帝国を警戒するラヨシュ2世はバチカンに応援を要請。欧州情勢は次第に緊張が高まっていた。その頃、宮殿ではヒュッレムの昔の恋人レオが故郷に帰ることを決意。最後にひと目会いたいと、いとしいヒュッレムへの手紙をニギャール女官長に託すが…。
●ムスタファ皇子からマヒデブランが自室で泣いて暴れたと聞かされたスレイマンは顔を曇らせる。マヒデブランはニギャールに弱みを握られた形となり、ヒュッレムの過失を情報提供すれば昇格させると約束していた役職を母后に請願せざるを得なくなる。両皇妃の部屋への出入りや恋心のため身綺麗に小まめに浴場に通うなど、仕事を疎かにしていたにもかかわらず昇格したニギャールをスンビュルは訝しむ。ハティジェはマトラークチュがサドゥカに懸想していることを確信する。サドゥカから報告を受けたハンガリー王ラヨシュ2世はバチカンへ近々遠征があることを伝えるが、敗者に肩入れしない方針のバチカンは神聖ローマ皇帝カール5世のほうに保護を懇願するよう突き放し、ベネチア元首の息子グリッティは庶子に過ぎず教会の祝福を受けていないと言い放つ。ギュルニハルは一命を取り止めた。マヒデブランに疑念を抱いたスレイマンは自室を訪れる。グリッティに満足したスレイマンはカール5世の宿敵フランス王フランソワ1世に関する書簡を託す。フランソワはカールへの対抗心からプロテスタント派のルターを庇護していた。ニギャールの後を尾行したスンビュルはレオから手紙を受け取っているところを目撃してしまう。後宮の恋愛禁止の規則に則りスンビュルはイブラヒムに報告し、イブラヒムはレオの手紙を取り上げることに成功し、ヒュッレムの過去の恋愛を知ってしまう。

1-47 命がけの密会

レオからヒュッレムに宛てた手紙を見つけたイブラヒムは、ヒュッレムを葬るチャンスだと考え、あえて手紙を届けさせる。一方、ベネチア元首の息子アルヴィーゼ・グリッティとその妹を招いた夕食会が開かれることになり、大宰相邸では準備に追われる。その会ではレオの描いた皇帝の肖像画がお披露目されることになっていた。そして夕食会の当日、ヒュッレムとの密会の待ち合わせ場所に現れたレオを、イブラヒムが見張っていた。
●思いを寄せるイブラヒムから詰問されるがニギャールはヒュッレムを可能な限り庇う。明日庭園で待ち合わせる手紙を何事もなかったかのようにヒュッレムへ届けるようイブラヒムは命令する。密会に来たところを検挙するための罠だった。当日ニギャールはヒュッレムが庭へ向かわないよう邪魔をする。それでも庭へ向かうヒュッレムだったが、母后とマヒデブランの前に現れたのみでレオは待ちぼうけとなる。痺れを切らしたイブラヒムは更に強硬手段を取り、レオを拘束して監禁脅迫する。


1-48 死の宣告

ヒュッレムとの関係を問われたレオは、ヒュッレムを救うためと言われて真実を話す。イブラヒムが何かを気づいていると察したヒュッレムは、悪夢にうなされたあと昏倒する。イブラヒムと決着をつけるため、ヒュッレムは母后や皇女の留守中に大宰相邸へ。レオとの関係をすべて知っていると言うイブラヒムと対峙する。その頃、大宰相邸にスレイマンが到着。ラヨシュ2世に送り込まれた暗殺者サドゥカは決行の時をうかがっていた。
●グリッティは妹モニカを伴って大宰相邸の夕食会に参加する。スレイマンの肖像画の完成披露もされたが、イブラヒムはレオがすでに帝国を去ったと嘘をつく。モニカはイスラム世界の女性の地位について意見を述べるが、キリスト教世界も同じだとヒュッレムにそつなくやり返される。ヒュッレムは第四子を懐妊していた。翌日ヒュッレムは大宰相邸でレオと引き合わされイブラヒムから脅迫を受け毒入りロクム(菓子)を手渡される。サドゥカはヒュッレムを追って来たスレイマンの首に短刀を押し当て復讐を遂げようとしていた。


2-1 愛の代償

オスマン帝国皇帝スレイマンの首に短刀を突きつけた暗殺者サドゥカ。その頃、レオはヒュッレムを守るため、自ら毒菓子を口にしていた。親友のマトラークチュがハンガリー王ラヨシュ2世の手紙の運び屋になっていたことを知ったイブラヒムは、マトラークチュに残酷な命令をする。レオの一件で完全に敵対したイブラヒムとヒュッレムは、互いに対して宣戦布告。皇帝のお気に入りを自負する2人の戦いが新たに幕を開ける。
●「アレクサンドラ、君は生きて」と言い残してレオは自ら命を絶った。皇帝スレイマンはサドゥカを投げ飛ばし危機を脱する。大宰相邸の侍女の突然の凶行に責任を追及されたイブラヒムだったが、後から遅れて来たニギャールが密かにレオの死体の始末を付けていた。マトラークチュの手引きでハンガリーと連絡を取っていたとのサドゥカの自白をスレイマンは立ち聞きする。アイシェ殺害もサドゥカの犯行と判明する。イブラヒムはアイシェの件で一度ヒュッレムを追放処分にしていた。ヒュッレムは喪失に我を失う。ニギャールを詰問するが一部は隠蔽しながら一部は事実を語り、どの妃どの臣官に対しても最後の一手の決定的な処分は手の及ぶ限り避け続ける態度に苛立ちを募らせる。「私のお妃はあなただけ」と懇願するが、ヒュッレムはニギャールを見限る。スレイマンに疑われたイブラヒムは焦燥で怒鳴り散らす様子が目立つ。ヒュッレムはスレイマンから贈られた見事な黒いアラブ馬に「愛(アシュク)」と名付ける。快復したギュルシャーはマヒデブランに懇願して許される。一方、捕虜となっていたフランソワ1世をカール5世が解放したとの報告がなされる。


2-2 ラヨシュへの報復

皇帝スレイマンは、暗殺者をよこしたハンガリー王ラヨシュ2世への報復を果たすべく大軍勢を組織。先遣隊として大宰相イブラヒムを送り込む。その頃ラヨシュ2世はバチカンに救援を依頼。そして遠征に同行しようと考えた皇子ムスタファは、こっそりと馬を走らせていた。イブラヒムの活躍でブダへの道が着実に切り開かれるも、スレイマンは不機嫌を隠さず、イブラヒムは暗殺未遂の日にヒュッレムと何をしていたかと問いただされ…。
●ヒュッレム付き側女ナズルを連れて母后たちと昼食を取るヒュッレムは馬を贈られた話をする。御前会議ではスレイマンが報復のためハンガリー侵攻を決する。1526年5月イブラヒムの率いる先陣はプロヴディフ(現在のブルガリア)で断食月(夜明けから日没まで水一滴も飲まずに新月から新月への一ヶ月を過ごすイスラム教の慣習、ただし戦争中の男子や妊婦や子供は免除される)を終えようとしていた。家族と過ごす神聖な断食月を優先させたスレイマンは、後から陣に発ちやすいよう帝国領のうち戦地にいちばん近い北方のエディルネ宮に妃たちと来ていた。最後の日没後の食事(イフタール)は断食を無事に終えた感謝を込めて盛大に祝われる。不興を買ったマトラークチュはイブラヒムの日没後の食事に呼ばれない。エディルネ宮の宦官ギュル(薔薇の意)は、(妊婦のため除外なのだが)ヒュッレムの好物のウズラのピラフを特別に用意する。ヒュッレムはレオを殺したデザートのロクムを見て産気づく。四度目にして初めてスレイマンがそばに控えてくれる出産。第四皇子は祖父帝に倣ってバヤジト皇子と名付けられた。ベネチア庶子グリッティはバチカン法王に呼び出され、オスマン帝国が有利となるでしょうと進言する。焦ったバチカンはラヨシュ2世へ軍資金を送る決定をする。ギュル宦官の手腕が気に入ったヒュッレムは帝都トプカプ宮へギュルを連れ帰ることを願い出る。ハティジェは懐妊していた。イブラヒムを思うニギャールは懐妊をヒュッレムの耳に入れ、それとなくヒュッレムを焚き付けるが、忠誠心を疑うヒュッレムは「一度裏切れば何度でもやる」と耳を貸さない。


2-3 疑われた忠誠心

皇帝スレイマンは森の中でハンガリー王ラヨシュ2世が放った刺客に命を狙われるも、勇敢な軍司令官の活躍により難を逃れる。皇帝に不信感を抱かせたイブラヒムは皇帝の元へ行き弁明を試みる。トプカプ宮殿では懐妊の分かった皇女ハティジェが喜びよりも不安を募らせていた。一方、皇帝妃ヒュッレムと女官ニギャールとの間に以前とは異なる微妙な空気を読み取った皇帝妃マヒデブランは、ニギャールを呼び出して事情を知ろうとする。
●軍司令官マルコチョール・バリ・ベイ(S1-9と10登場のバリ・ベイ一族の者)は狙撃されたスレイマンを庇いながら勇猛果敢に刺客を殲滅する。金属の甲冑の左胸に穿孔が残り、スレイマンは死は突然間近に来るものとの教訓を刻み込んだ。ヒュッレムと不仲になったことを知られたニギャールはマヒデブランに目を留められる。ギュルシャーはヒュッレムの子守エスマに事情を聞き込む。マルコチョールは捉えた刺客からラヨシュの司令部の場所と兵士の数を聞き出した。スレイマンは決戦地をトルナ城に近いモハーチ平原として、行く手を塞ぐ川に橋を架けるよう命じる。無事に赤子を出産することに不安を抱くハティジェにヒュッレムは占星術師ヤクップを呼ぶよう持ち掛ける。スレイマンはイブラヒムに奇襲の責任があるものと叱責する。ヒュッレムはハティジェにも内密にギュルに命じてヤクップと接触する。


2-4 モハーチの戦い

オスマン帝国軍の進軍を阻んでいた川に橋が完成し、皇帝スレイマンは架橋の作業に尽力した軍司令官マルコチョールをねぎらう。一方、トプカプ宮殿では母后が中心となり、犠牲祭の準備が進められていた。占星術師からよいお告げを聞き、笑顔が戻った皇女ハティジェだったが、あることがきっかけで皇帝妃ヒュッレムに怒りを爆発させる。そんな中、ついにモハーチでオスマン帝国とハンガリー王国の決戦の火ぶたが切られる。
●ニギャールを失ったヒュッレムは、エスマとナズルに加え新しく身辺に置く側女として後宮に来たばかりのニリュフェル(蓮花の意)を、スンビュルにもギュルにも助けを借りず自ら選んだ。母后は犠牲祭(イスラム教の祝日の1つで神に生贄として捧げた羊やヤギなどの家畜を肉として後ほど貧民に配布するお祭り)の準備を進め、祭典の儀式を皇帝代理としてムスタファ皇子に務めさせた。知っていればメフメト皇子を始めとして他皇子たちを連れて行けたのに、と自分の陣営側の手薄さを痛感するヒュッレム。しかも懐妊を黙っているハティジェの姿勢を知らず、ヒュッレムはスレイマンに私信で伝えてしまっており秘密にしていたイブラヒムにも懐妊が伝わってしまっていた。「勝手なことをするな。私はオスマン帝国のハティジェ皇女。奴隷のお前とは違う。イブラヒムが浮気をしたら離婚して破滅させる」と息巻くハティジェ。モハーチではトランシルヴァニア領主サポヤイが援軍を送らなかったため、イブラヒムの軍略が成功を修めて開戦から2時間程度でハンガリー国王軍2万を沈める。


2-5 皇妃と皇女

ハンガリー王国を落とした皇帝スレイマンは、数々の戦利品と共にイスタンブールに戻る。戦利品の中にはイブラヒムに与えたヘラクレスなどの彫像もあった。その頃、地中海でスペイン船がオスマン帝国の海賊に襲われる。乗っていたのはカスティーリャの王女。それを伝え聞いたベネチア共和国元首の息子アルヴィーゼ・グリッティは、真偽の程を調べる。帝都に戻ったスレイマンは久々に家族と再会。ヒュッレムと熱いひとときを過ごす。
●キリスト教世界の玄関口にたどり着いたスレイマンは、援軍を送らなかったサポヤイを好都合な傀儡としてハンガリー新国王に据える。イブラヒムは戦略が成功した褒美にハンガリーで惚れこんだギリシャ神話の彫像を帝都イスタンブルに持ち帰る許可をもらう。ヒュッレムは激昂したハティジェの言葉を忘れられず、娘ミフリマーフ皇女に「いつか私より強くなる。誰も命令できず誰もがひれ伏す」と言い聞かせる。スレイマンは反乱防止のためべフラム宰相をアナトリア軍政官としてへ派遣する。化膿した胸の軽傷が痛んだため従軍医師ヤセフに治療を命じる。ニギャールはイブラヒムにヒュッレムに見限られた窮状を訴えるが冷たく応対される。一方、地中海では海賊がスペイン船を捉え、カスティーリャ王女イザベラが捕虜となり、オスマン帝都にいるグリッティの知るところとなっていた。


2-6 囚われの王女

カスティーリャ王女が拉致されたと聞いたベネチア共和国元首の息子グリッティは解放を求めて海賊船の船長に会う。だが、思惑をめぐらせる船長は取引に応じず、グリッティを追い返すのだった。トプカプ宮殿では女官ニギャールが皇女ハティジェの出産が落ち着くまで、しばらく皇女の屋敷に住み込むことになる。そんな中、グリッティから王女の窮状を聞いた大宰相イブラヒムは後宮宦官長スンビュルを呼び出し、ある極秘の指令を出す。
●イザベラ王女はハプスブルグ家(神聖ローマ帝国皇帝カール5世の家柄)のオーストリア大公フェルディナントの従弟フリードリヒの婚約者で、国家紛争の火種となりかねない。グリッティはイザベラを言い値で買うと交渉を持ちかけたが、海賊は帝国のトプカプ宮殿に売るという。目下、地中海に名を馳せているバルバロス(赤ひげ)傘下だけに抜け目がない。グリッティはイブラヒムに相談するが、イブラヒムは秘密裏にイザベラを買い受けて匿ってしまう。グリッティは祖国ベネチアにも使いを出す。懐妊中のハティジェが心配でたまらない母后はダイェの助言を受けてニギャールをハティジェ付き女官にする。イスラムの長老ゼンビリが死亡したため新たに軍法官イブニ・ケマリを任じる。ヒュッレムは占星術師ヤクップに誰にも原因も治療法も分からない、ゆっくりと死に至らしめる毒の手配を依頼する。


2-7 イブラヒム邸の彫像

ヒュッレムは占星術師に毒薬作りを依頼。望みどおりの効果を得るには、対象の人物が片時も離さない物が必要だった。その頃、スレイマン皇帝はオスマン帝国の捕虜となったカスティーリャ王女イサベラと密会。自分を野蛮人とののしる王女に興味を示す。一方、イブラヒムの屋敷には戦利品の彫像が届く。偶像崇拝を禁じるイスラム社会では、それをよく思わない者たちがいて…。イブラヒムの周りに少しずつ不穏な空気が漂い始める。
●ヤクップは対象者が片時も手離さない物を持ってくるようヒュッレムに言う。スレイマンはイブラヒムから報告を受け、狩りの館に幽閉されたイザベラを訪問する。王女の世話は後宮からスンビュルだけがたまの外出を許され内密にされていた。ハンガリー遠征から持ち帰ったギリシャ神話の彫像が大宰相邸に到着する。唯一神を信望するイスラム教にとって神ならざる偶像を崇拝すること、また完全な裸の形態を人の目に触れる状態で庭に置くことは卑猥物陳列の禁忌(ハラム)であり、庭を見下ろすバルコニーから勤め始めたばかりのニギャールもハティジェと共に仰天する。ハティジェは神罰を恐れ不吉だと言う。マヒデブランはムスタファ皇子の教育を褒められスレイマンから特別予算を贈られる。マトラークチュとマルコチョールは連れ立って酒場に出かける。マルコチョールは街角で男に襲われていた娘を救助して一目惚れする。大宰相邸を訪れたヒュッレムはイブラヒムの筆記帳に目を留める。


2-8 死の呪い

詩人の集会に出かけたマトラークチュとマルコチョールは屋敷の庭に彫像を飾った大宰相イブラヒムを激しく非難する詩人フィガーニーに会う。トプカプ宮殿では彫像の話を聞き、気分を害した母后が皇帝スレイマンに詰め寄る。スレイマンはカスティーリャ王女イサベルに、ある贈り物をする。皇帝妃ヒュッレムは側女ニリュフェルを使ってイブラヒムを陥れる計画を着々と進めていた。そんな中、皇女ハティジェの体調に異変が起きる。
●帝都ではイブラヒムの彫像が物議を醸していた。詩人フィガーニーの「世界にイブラヒムは2人いる。偶像を破壊する者と建てる者」を始めとして噂が流れている(もう一人のイブラヒムとはユダヤ教、キリスト教、イスラム教で共通の始祖とされる預言者アブラハムのこと)。マヒデブランの予算を聞いたヒュッレムは母后に彫像の件を告げ口する。イブラヒムとの結婚の経緯や生まれながらのイスラム教徒でないことに加え、大宰相邸内の欧風調の食卓や絵画に抵抗感のある母后は、これに眉をひそめスレイマンに彫像の破壊を迫るが拒否される。マルコチョールが惚れた町娘がマトラークチュなじみの両替商ジョシュアの娘アルミンであることがわかる。イザベラは共に拘束された侍女カルミナと失意の日々を過ごすが、スレイマンから欧州風テーブルを贈られ心を和らげる。ヒュッレムに忠義心を見込まれたニリュフェルは大宰相邸からイブラヒムの筆記帳を持ち出す。ヤクップから呪いがこめられた筆記帳は直接手に触れてはいけない制約付きだったが、口実を付けてうまく大宰相邸に戻した。イザベラはさらに散歩と乗馬の希望を願い出てこれも許されるが逃亡を謀る。ハティジェは産気づくが、生まれた赤子は息をしていなかった。


2-9 慢心の芽

ハティジェ皇女は占いどおり、男の子を出産。しかしお産は順調とはいかなかった。そんな中、ヒュッレムが機転を利かせるが…。囚われの王女イサベラは馬で逃走。婚約者の窮状を知ったフリードリヒ王子は救出を誓う。息子が生まれた喜びから慢心とも取れる言葉を庭の彫像の前で語ったイブラヒム。その後ろにはいつしかスレイマン皇帝が立っていて…。ヒュッレムは後宮の拡張を母后に頼むも、門前払いされてイラ立ちを募らせる。
●ハティジェの絶叫に同情したヒュッレムは機転を利かせて赤子を救う。確執があるイブラヒムからも礼を言われるが、イブラヒムはヒュッレム・ハートゥン(夫人)と呼び、ヒュッレム・スルタン(皇帝妃)とは呼ばない態度は変えない。ヒュッレムは「もう1つ無垢な命の貸しがある」とレオを思い出させる。呵責に耐えかね庭に出てヘラクレス、アポロン、ダイアナの彫像を眺めながら「帝都の海を抱く7つの丘、3つの国で、臣民はいつか我が彫像の前にひざまずく」と思わず独り言をしたところを皇帝スレイマンに目撃される。「ヘラクレスの父親は神々の王ゼウス。アポロンはディアナと双子。ではお前は?」とイブラヒム自身も双子であることを暗喩しながらスレイマンは問う。ハティジェの出産で大宰相邸を訪れた母后は彫像から目をそむけながら、苦難の出産は彫像の呪いだと呟く。そばにいたマヒデブランはムスタファ皇子の後見役であるイブラヒムの絶対の信望者らしく母后をなだめる。グリッティとマルコチョールは酒場で偶然の鉢合わせをする。ギュルは後宮を抜け出して怪しい行動を取っているスンビュルの行動を疑う。第二宰相アヤスからアナトリアの反乱が広まっていると報告を受けたイブラヒムはベフラムを罷免し、そのままアヤスに平定するよう命じる。町娘アルミンの家を突き止めたマルコチョールは押しかける。その頃、水の都ベネチア近辺の海上にフリードリヒの姿があった。


2-10 浅知惠

アナトリアで起こった反乱は治まる気配を見せず、皇帝スレイマンは大宰相イブラヒムに鎮圧を命じる。だが、息子の健康状態を案じる皇女ハティジェは夫イブラヒムが不在になることを心細く思い、反発する。一方、オーストリア大公国からイサベラ王女の解放を求めて使節が宮殿にやってくる。狩猟の館に女性がいることを知った皇帝妃ヒュッレムはイブラヒムを陥れようと策を講じる。ハティジェを不憫に思う母后は皇帝に異見を呈す。
●思いが募るニギャールはイブラヒムの風呂をのぞき見る。イブラヒムはアヤスに命じたことをスレイマンに報告するが、産褥中ハティジェが心配で一人で残したくなかった心を見透かされるように、お前自身が行けと言われてしまう。スンビュルの痕跡を追ったギュルは狩りの館に辿りつき、美しく高貴な佇まいの女人であるイザベラを目撃する。グリッティはイブラヒムにイザベラの件で使節が来たと報告するが取り合われない。やむなく伝書鳩を使って王女に直接連絡を取る。ギュルから報告を受けたヒュッレムは狩りの館に女人がいてイブラヒムがたびたび訪問しているとハティジェに伝える。困惑に陥ったハティジェはニギャールを怒鳴りつけ、イブラヒムに「お前の職務は我が家族への奉仕。私こそ至高の帝国。私を失うときお前は高官の地位も失う」と言い放つ。喧嘩を立ち聞きするニギャール。ムスタファ皇子は癇癪を起こし、スレイマンから激を飛ばされる。焦りを抱えるフリードリヒは自ら極秘でグリッティに会い、金貨でも通商協定でも何でも与えるから王女を解放するよう伝えよ、とグリッティに命じるがグリッティも無力さを感じている。母后はアナトリア平定にイブラヒム以外の高官を遣るようスレイマンに願い出るが許可されない。落胆した母后は「そなたの顔は一方には明るい光、他方には冷たく濃い影。激高したときは自分が育てた子にも思えぬ。不気味で恐ろしい。父帝セリムを思い出させる。行く末が恐ろしい」と言ってしまう。大宰相邸では侍女を介して筆記帳の皮に丹念に仕込まれた経皮毒が赤子の肌に触れ、一瞬で紫に変色していた。


2-11 招かれざる客

傲慢にならないと誓ったスレイマン皇帝だが、冷酷帝こと父セリム皇帝に似てきたと母后に言われたことが気になっていた。狩猟の館にいる女性が皇帝の客人だと知ったヒュッレムは嫉妬心の塊に。ハティジェ皇女は赤ん坊の体が弱いことに悩み、庭の彫像が不幸を呼んでいると疑心暗鬼になる。囚われの王女イサベラを救おうと婚約者フリードリヒ王子は館に向かうが…。フェルディナント大公の使節は新たな提案をスレイマンに持ちかける。
●ハティジェに讒言を吹き込んだとしてイブラヒムはやり返す。狩りの館では思い詰めてイザベラ奪還を果たそうとしたフリードリヒが拘束されていた。ハティジェの子は野生梨を煮出した湯での沐浴で一命を取りとめる(実は経皮毒であるため)。狩りの館に囲った女人は皇帝陛下のとても大切な客人と聞かされたヒュッレムはハティジェに尋ねるが意地の悪い回答をされる。本性を現し始めたイブラヒムは神聖ローマ帝国の血筋(皇帝カール5世の従弟)であるフリードリヒにも尋問中に行き過ぎた暴行をふるう。愛人を疑うヒュッレムはスンビュルを詰問するが口を割らないことからスレイマン直々の命令と察しを付ける。イブラヒムに留守中を任されたニギャールは笑顔を見せてハティジェと赤子を守ることを約束する。


2-12 疑心

園庭で皇帝スレイマンと母后のよそよそしい様子を見た皇帝妃マヒデブランは2人の間に何かあったのではと怪しむ。反乱鎮圧の命令を受けアナトリアへ遠征した大宰相イブラヒムは反乱者の旺盛な勢いに水を差すべく秘策を弄する。一方、皇帝に女性の存在を感じた皇帝妃ヒュッレムは真相を突き止めるべく大胆な行動に出る。狩猟の館に幽閉されているカスティーリャ王女イサベラは不法侵入で捕まった婚約者の身を案じ、ある決意をする。
●アナトリアの反乱は3万の規模に拡大していた。イスラム教の一派の長でトルクメン(現在のイランの北東部)人でありカリスマ性の高い人物が率いているからだった。べフラムの他にカラマンとアレッポ(現在のシリア北部)の軍政官も参戦したが敵わなかったとのことで尊師と呼ばれ大変に慕われている様子。勢力は熱心なイスラム教信者のみで構成されている。更にかつて皇帝家の婿フェルハト宰相が赴任して搾取の限りを尽くしたこともあり同じ皇帝家の婿かつ改宗者でもあるイブラヒムに不信感を抱いている。対するイブラヒムは強制徴用(デブシルメ)でイスラム教に改宗した奴隷兵士で構成される歩兵常備軍(イェニチェリ)五千で多勢に無勢。その上いずれにしてもイスラム同胞同士の戦いとなるので血を流すのは最小限にしなければならない。イブラヒムは対抗勢力を内部から崩そうと部族ごとに話を持ち掛けてまわる。マルコチョールはアルミンの父の両替商の店でアルミンへの贈り物を購入し、アルミンが贈り物を身に付けたところを父に見られるよう策をこらす。贈り物を見た父は激怒し、アルミンを家から出さないと言う。我慢が効かなくなったヒュッレムは密かに狩りの館に足を運び、スレイマンとイザベラの様子を観察する。


2-13 燃え上がる炎

狩猟の館に行ったヒュッレムは、スレイマン皇帝が女性と一緒にいるのを目撃。アナトリアに遠征中のイブラヒムは反乱の支持者を説得しようと試みるが、交渉は暗礁に乗り上げていた。スレイマンはヒュッレムと過ごしながらもイサベラ王女の姿が頭を離れない。そんな時、王女に危機が訪れ、真夜中にもかかわらず皇帝自ら救出に向かう。ヒュッレムは嫉妬の炎が激しく燃え上がる中、ハティジェ皇女の屋敷で王女と同席することになり…。
●アルミンが待ち合わせに来なかったためマトラークチュが内密で両替商を訪ね、マルコチョールの身分はスメデレボ軍政官バリ・ベイの息子で将来を約束された高官だと明かす(なお史実では第8代皇帝バヤジト2世の娘ヒューマ皇女との子で、ヒューマ皇女は第10代皇帝スレイマン1世の叔母であることから従弟にあたる)。イスラム教では利息を取る高利貸しは禁忌(ハラム)であるためユダヤ教の者が営むのだがアルミンの家もユダヤ教だった(イスラム教はキリスト、ユダヤ、イスラムのいずれかの信仰者であれば結婚可能だが、ユダヤ教は異教徒との結婚を禁じている)。イザベラの美しさを目の当たりにしたヒュッレムはスンビュルを再度尋問してカスティーリャ王女であると突き止める。イザベラのほうでは囚われた婚約者を案ずるあまり自棄になっていた。狩りの館に火を放ち自殺を謀る。スレイマンは王女を大宰相邸に送り欧州には火事で死んだと連絡が行くよう指示する。反乱勢力の縮小化に成功したイブラヒムは3日以内にペルシャ方面に立ち去るよう尊師に求めるが、命だけは許すという言葉に宗教的な傲慢さを感じ取った尊師は最後まで抵抗する。内情を知るハティジェはわざとヒュッレムとイザベラが遭遇するよう手配する。


2-14 皇帝の計略

皇女ハティジェの屋敷でカスティーリャ王女イサベラに初めて会った皇帝妃ヒュッレムは、顔が青ざめ体調を崩す。アナトリアの反乱は大宰相イブラヒムの計略が功を奏して収束へ向かう。皇帝スレイマンは、オーストリア大公のいとこの王子フリードリヒの処遇について決断を下す。一方オーストリア大公は法王を訪ね、オスマン帝国への対抗策を相談していた。イブラヒムが疎ましいヒュッレムは出すぎたマネをして最悪の結果を招く。
●ハティジェさえついに共謀に加わったとヒュッレムはミフリマーフにこぼす。なりふり構わなくなったヒュッレムはニギャールに大宰相邸の情報提供を命じる。反乱勢力の各部族長を懐柔で説得してまわり五百勢力まで減らしたイブラヒムは制圧に成功し、帝都イスタンブルに戻る。従弟フリードリヒを投獄されたオーストリア大公フェルディナントはバチカンへ開戦を奏上する。バチカンは大公の兄、神聖ローマ帝国カール5世の支持を取り付けられるのであれば開戦理由になるが、重ねてルターのプロテスタント派であるハンガリーの傀儡王サポヤイが変わらない限り厳しいという。アナトリアから戻ったイブラヒムはギリシャ彫像を不吉として覆いをかけていたハティジェに詰め寄る。目前では初めての喧嘩でニギャールは心中をひた隠しにする。イブラヒムが無事に戻ったことで母后とスレイマンは和解する。母后はオスマン帝国の皇位継承者の兄弟殺しの慣習を心配していた。アナトリア制圧の褒美にイブラヒムの俸給年額は120万銀貨(アクチェ)から200万銀貨に引き上げられた。慢心したイブラヒムは詩人フィガーニーを告発する。イザベラは修復の済んだ狩りの館に連れ戻されるが、スレイマンは火事で死亡を伝え広めたことと開戦理由にもならなかったことからとうとう王女に手を出す。


2-15 危険な一手

狩猟の館でスレイマン皇帝はイサベラ王女に口づけをする。それを目撃したニギャールはヒュッレムに報告。嫉妬に燃えるヒュッレムは、激情に任せて王女のいる大宰相邸に乗り込む。しかしスレイマンの心が少しずつ自分から離れているのを誰よりも感じていた。一方、軍司令官マルコチョールは、思い人アルミンが父親によって遠ざけられようとしているのを知り、危険な一手に出る。反発していたアルミンも次第に心を許すようになり…。
●スンビュルに頼まれて王女の狩りの館への護送を手伝ったニギャールは、スレイマンが王女に口づけしたことをヒュッレムに報告すべきか思案する。いまは帝都にいるマルコチョールがいずれ高官として地方赴任するまで消息不明にするため、アルミンの父の両替商は家に軟禁していた娘を身内の家に移送するために連れ出したところをふいをつかれて娘を奪われてしまう。マルコチョールはマトラークチュの家にアルミンを匿ってくれるよう頼みこむ。ヒュッレムはイブラヒムが隠蔽しているレオの件を探し出すよう命じるが、ニギャールは狩りの館でのスレイマンの振る舞いを、王女がスレイマンに口づけをしたと事実とは逆のあべこべにして伝える。逆上したヒュッレムはイザベラに宣戦布告する。気の強いイザベラはヒュッレムの挑発に乗ってスレイマンが私に興味を持っているのだと言い返す。スレイマンは大宰相邸の夕食会でレオの名を持ち出す。


2-16 王女の告解

皇女ハティジェは夕食会で夫イブラヒムになれなれしくする王女イサベラに不快感を抱く。イサベラはイブラヒムに教会で告解がしたいと言い出すが、告解以外にも、ある思惑があった。軍司令官マルコチョールに娘アルミンを誘拐された両替商ジョシュアはイブラヒムに直訴する。だが、その後、イブラヒムは高熱を出し、ひどく体調を崩す。そんな中、嫉妬に燃えるヒュッレムは狩猟の館に乗り込み、再びイサベラに詰め寄る。
●欧州風の暮らしのイブラヒムを高く評価するイザベラが馴れ馴れしくて不愉快だとハティジェはこぼす。一方でイブラヒムは教会で告解をしたいという王女の頼みを聞いて教会へ連れて行く。スレイマンに口づけされたことから(婚約中のイザベラは婚前交渉、婚外恋愛ともに罪になる)悩みを抱えているのも本当のことではあるが、神父に2人きりの告解室で身分を明かし密かに助けを求める意図を持っていた。またイブラヒムは思いがけず教会で磔の十字架を見かけて己の宗教を鑑み直す。教会の神父はグリッティを呼び出してイザベラの生存を聞く。マトラークチュの家に匿われているアルミンはマルコチョールへの恋心を自覚し始め、結婚するための改宗をも視野に入れ始める。ヒュッレムは散策に出かけた庭園で蛇を見かける。イブラヒムと2人で内密に町へ出たことを知ったハティジェは気持ちに整頓が付かない。イブラヒムが告解へ連れて行ったことを知ったスレイマンは王女を狩りの館に戻し、自ら制作したルビーとエメラルドのネックレスを贈る。アルミンの行方を捜して半狂乱になる両替商はマトラークチュを問いただし、マトラークチュから知ったイブラヒムはマルコチョールを尋問する。製作中だったはずのネックレスが消えたことに気付いたヒュッレムはイザベラの首を飾っているのに気づき不敵な笑みを浮かべる。大宰相邸ではイブラヒムが高熱を出し、ニギャールが甲斐甲斐しく介抱する。ニギャールはヒュッレムがレオの秘密の捜索願いをしてきたと報告をする。


2-17 特別な贈り物

皇帝の作った首飾りをイサベラ王女が着けているのを見たヒュッレムは、時が来たら首から奪い取ると宣言。ニギャールはイブラヒムに民間療法を施すが、それをハティジェ皇女に見られてしまい…。マルコチョールはアルミンとの仲を認めてもらおうとするも、イブラヒムにたしなめられることに。母后は後宮で宴を開き、ヒュッレムと王女を同席させる。嫉妬の塊となったヒュッレムはあらゆる手段で皇帝を取り戻そうとする。
●民間療法を知るニギャールはイブラヒムに吸い玉を施す。親密な行為を見たハティジェはニギャールを宮殿付きに戻す。快復したイブラヒムはマルコチョールに両替商ジョシュアの娘アルミンをいちど父のもとに帰して懐柔するよう命令する。解放されたフリードリヒは神聖ローマ帝国のウィーン宮殿に戻りグリッティと連絡を取る。狩りの館では、神父からの報告を受け生存を知ったグリッティが伝書鳩を使って届けた手紙を侍女カルミナが見つけて喜ぶ。決意を固めたヒュッレムは王女に贈る衣装の製作を早め、庭で見た蛇を贈り物の箱に密かに入れさせる。マヒデブランからカスティーリャ王女の話を聞いた母后はイザベラに興味を持ち、ひとめ見るため宴を開くが狩りの館から断りもなく連れ出したことをスレイマンに知られる。スレイマンとイザベラがテラスに出ている姿を見たヒュッレムはイブラヒムにさえも助けを求める。


2-18 後宮の宣戦布告

皇帝の心が離れてしまったと思った皇帝妃ヒュッレムは、皇帝から贈られ、“愛 (アシュク)”と名付けた馬を手放そうとする。御前会議では、ペルシャから来た導師カービズの説法が問題になっていた。傷心が後宮へ王女を招いた母后への怒りへと変わったヒュッレムは、母后にこれまでの不満をぶつけ、脅しをかける。そんな中、会議の最中に皇帝の目の前で大宰相イブラヒムの体調が急変する。一方、イサベラ王女に危険が迫る。
●スレイマンは母后に「私の判断は帝国のため。王女を後宮の駆け引きに使うな」というが、母后は「国の問題が女人への関心や贈り物で解決するはずはない」と言い返す。両替商の家を訪ねたマルコチョールは、一家がすでに家を引き払っていたことを知る。母后とハティジェに再びイザベラと引き合わされた怒り心頭で、ヒュッレムは母后とハティジェとマヒデブランとギュルフェムの集う茶会(サロン)に勢いに任せ参上し、「ご皇孫を4人も産んで差し上げました。私の誇りを踏みにじって面白いですか?私は不敬者ではありません。私の罪は何ですか?母后の御子スレイマン様を愛したことですか?あとどのくらい罰を受ければいいのでしょう」「私は母后さまも皇女さまも敬愛していました。でもお2人は私を愛してはくれなかった。嫌がらせばかりなさった。マヒデブランの肩を持ってばかりでも敬意を払いました。でも無駄でした。いまだに私は邪魔者のようです」と言い放つ。母后は「千年の伝統の後宮では、いかなる女人も皇帝の支配者や絶対的な伴侶にはなれぬ。さもなくば秩序が崩れ、後宮は保てぬ」と言い返すが、ヒュッレムは「このままのご対応を続けるのでしたら、私は自分と皇子たちを守らねばなりません」とついに宣戦布告をする。翌日、母后はスンビュル、ギュル、ニギャールを呼びつけ職務を再確認させ、ヒュッレムからテラス付きの部屋を取り上げる。ヒュッレムは4人の子供と再び側室の個室に戻る。体調を崩していたイブラヒムは再び高熱に浮かされ、スレイマンはハンガリー遠征から連れ帰ったユダヤ人の侍医ヤセフを呼び寄せる。イザベラはヒュッレムが贈り物の箱に仕込んだ蛇に噛まれる。


2-19 毒牙

卒倒したイブラヒムのもとに駆けつけたヒュッレム。仕込んだ毒の効果が現れてほくそ笑んでいたが、そこにスレイマンの送った名医が現れる。その頃、狩猟の館ではイサベラ王女がヒュッレムの送り込んだ蛇の毒牙にかかっていた。イブラヒムの看病で疲れていた皇女ハティジェは息子メフメトの授乳中に眠ってしまい…。後宮ではヒュッレムの部屋が皇子ムスタファに与えられ、母親のマヒデブランから独立して生活するようになっていた。
●スレイマンはイザベラに応急処置をする。ヤセフ師はイブラヒムの容態を見抜いてレスボス島でだけ取れる土を処方し、毒を吸着させ助けた。毒と知ったイブラヒムはヤセフ師に口止めする。母后はヒュッレムから取り上げた部屋をムスタファ皇子に与える。イブラヒムの看病に疲れて授乳したまま寝入ってしまったハティジェは翌朝、冷たくなった我が子を発見する。窒息死させてしまったのだった。ハティジェの絶叫を聞いたニギャールは駆けつけて状況を知り、医女とイブラヒムを呼ぶ。イブラヒムは「私に毒を盛り、息子を殺したのはお前だな」と言うが、ヒュッレムは「自分が命を救った子を殺すわけがない」と言う。血が上ったイブラヒムはレオの日記を持ち出して脅迫する。目を覚ましたハティジェは窒息させてしまったのは自分だと告白する。


2-20 最後の切り札

愛息メフメトを亡くした皇女ハティジェは母として自らのふがいなさに打ちひしがれ、精神を病んでいく。御前会議では導師ムッラー・カービズの裁きが行われていた。一方、帝国からの脱出を計画していたカスティーリャ王女イサベラは決行の日に教会へ行くが、土壇場になって逃亡を見送る。大宰相イブラヒムはヒュッレムに毒を盛られたことを確信し、秘策をもって反撃に出る。そんな中、ハティジェが驚がくの行動に出る。
●ハティジェは夢と現実の間をさまよいながら、夢でニギャールが赤子を抱いているところを見て「もしやイブラヒムに懸想を抱いているから殺したのか」と、ニギャールを責める。イブラヒムを殺しそこねたヒュッレムは占星術師ヤクップを呼び出して叱責する。イザベラは脱出の手引きを密かに整え、スレイマンに「心に決めたことがあって許可をもらいに教会に行きたい」と頼む。スレイマンは今回はイブラヒムではなくマルコチョールに命じて教会に付き添わせる。イザベラは告解室で神父に扮した男から船の用意があると算段を説明されるが、逃亡後に責任を取らされるマルコチョールの身を案じ、決行を思いとどまる。後宮でニギャールに遭遇したヒュッレムは、レオの日記を真剣に探しているのか、と改めて聞き直す。だがイブラヒムに毒が原因だったと知らされたニギャールは筆記帳に思い当たり、ヒュッレムが復讐に燃えているから気を付けるよう警告する。決心したイブラヒムはレオの日記帳を持ってスレイマンの前に奏上しに来る。


2-21 失ったもの

昔の恋人レオの日記をスレイマンの前で読むことになったヒュッレム。青ざめながらも読み上げていくが、恐ろしい知らせが届いた混乱に乗じて日記を中庭に投げ捨てる。すぐさまニリュフェルに取りに行かせるが、その前に日記を拾い上げた者がいて…。息子を失った悲しみに打ちひしがれるハティジェは、母后とエディルネ宮殿で静養することに。イサベラ王女をライバル視するヒュッレムは、自分が誘拐して逃がしてやると提案する。
●ロシア語の日記を読むようスレイマンに命じられたヒュッレムはなるべく当たり障りのない箇所を選んでのろのろと読み上げる。時間稼ぎをしているうちにハティジェが浴場で自殺未遂を起こした知らせがもたらされる。駆けつけるスレイマンとイブラヒム。日記と取り残されたヒュッレムは皇帝の自室から物を持ち出せして小姓たちの前を通れるはずもなく、テラスから中庭に向かって日記を投げる。自室に戻る途中、ニリュフェルに中庭の日記を回収するよう命じるが、すでに日記は誰かに持ち去られた後だった。血眼になって辺りを探しているニリュフェルを見かけたギュルシャーは問いただすが、ニリュフェルは口を割らない。実は日記はギュルシャーが拾っていたが、ロシア語で書かれているため読めないでいた。ハティジェを案じたスレイマンは母后とエディルネ宮へ行って気晴らしをしてくるよう提案する。ヒュッレムはハティジェのもとに現れたイザベラに国外逃亡の手引きを申し出るが、イザベラは迷う。部下にアルミン捜索をさせていたマルコチョールは両替商の家を訪れ、意外にも家に通された。中には寝台に臥せったアルミンの姿があり、娘は悲しみに沈んで病気になってしまった、マルコチョールが最後の頼みの綱だと言われる。マヒデブランはロシア語のできるニギャールを呼び出し、レオの日記を翻訳させようとするが、ニギャールは側女が後宮に辿りつくまでの日記だと嘘をつく。トランシルヴァニアから大使が派遣されてハンガリーのサポヤイがカトリックの王を望む欧州に煩わされていると訴える。


2-22 死の病

カスティーリャ王女イサベラの生存を知った婚約者フリードリヒ王子は、オーストリア大公フェルディナントに事情を訴える。病床に伏していた両替商ジョシュアの娘アルミンは、診察の結果、恐るべき病名が明らかに。大宰相邸で献身的にイブラヒムに仕える侍女長ニギャールは、禁断の過ちを犯してしまう。皇帝妃ヒュッレムは宦官ギュルに王女イサベラを逃がす手はずを整えさせ早朝に王女を送り出すが、思いもよらない事態が起こる。
●神聖ローマ帝王カール5世はオーストリア大公フェルディナントにハンガリー王になるよう密書を送る。マルコチョールの思い人アルミンは黒死病(ペスト)だった。稀代の名医ヤセフ師でも治せないという。余命いくばくもない感染症だがマルコチョールは一晩付き添う。ヒュッレムはイザベラ逃亡の計画をギュルに命じる。イブラヒムはニギャールにレオの日記の探索を命じる。翌日マヒデブランの部屋に忍び込み、日記を発見したニギャールはイブラヒムにもヒュッレムにも献上せず庭に埋めてしまう。イブラヒムにはマヒデブランではなくヒュッレムの部屋を探索したと嘘をつく。夜中ハティジェがエディルネ宮に療養しているのをいいことに、ニギャールはイブラヒムの部屋に忍び込み、上掛けをかけ直す振りをしてイブラヒムを誘惑する。一方、トプカプ宮殿にも黒死病患者が出始めていた。ギュルの手引きで小船に乗り沖合に出たイザベラだったが、海上の船で待っていたのはイブラヒムの姿だった。


2-23 夢物語

イサベラ王女はイブラヒムに逃亡を阻止され、狩猟の館に戻された。大宰相邸から宮殿に戻されたニギャールは、部屋に籠もって泣き続け、スンビュル宦官長の怒りを買うことに。マルコチョールは病身の恋人アルミンと、幸せな未来を語ったあと結ばれる。イサベラ王女を帝国から追い払ったと信じるヒュッレムは、母后の居ぬ間に宴を開き…。イサベラ王女は、いつしかスレイマンへの思いが心の中で大きくなっていることに気づく。
●イザベラはイブラヒムに連れ戻される馬車の中でかくも強大な至高の帝国の世界皇帝の妃になりたくはないかと示唆される。またイブラヒムは関係を持ったことから、隠ぺいのためニギャールを宮殿付きに戻す。黒死病にかかったアルミンとマルコチョールは残り時間が少ないことを思い、結婚することを決意するが、イスラム法による結婚の翌朝にはアルミンは息を引き取っていた。イブラヒムはイザベラ王女の逃亡にギュルが関与したことを理由に責め、ヒュッレムを探るよう二重間諜(スパイ)を命じる。イブラヒムの言葉をひとり反芻するイザベラはスレイマンに祖国カスティーリャに送還させると言われても浮かない顔をする。ニギャールはイブラヒムに送り返された後宮で泣いてばかりで仕事をしなくなったことを理由に良縁を見つけて追放するよう言われる。ハティジェはエディルネへの転地療法から大宰相邸に戻る。


2-24 奪い合う愛

エディルネ宮殿から母后の一行が帰ってくるが、母后はヒュッレムが宴に興じる姿を見て激怒する。一方、軍司令官マルコチョールは最愛の妻を弔い最後の別れを告げる。そんな中、旧宮殿への追放からニギャールを救いたい宦官ギュルは追放を阻止するために奔走していた。静養から戻った皇女ハティジェが皆を屋敷へ招待する。美しく装って参加したヒュッレムだったが、スレイマンと親しく会話する思いがけない人物の姿を見て驚く。
●ニギャールはイブラヒムに大宰相邸での仕事から遠ざけられても後宮から追放して結婚を命じるのだけはご勘弁くださいと懇願する。レオの日記を探すギュルシャーはニギャールの部屋で見つかり騒動となる。ハティジェは寝台のそばで女人の持ち物を発見する。イザベラが逃亡に成功したと思い込み、宴を開いていたヒュッレムは母后から叱責を受ける。ダイェはニギャールが何に悩んでいるのか見当がつかずスンビュルに聞くが、スンビュルも理由が分からない。だがダイェは必死にニギャールには失態もないと庇う。ハティジェはニギャールに落とし物を渡して疑惑の目で見つめる。ギュルから相談されたヒュッレムはニギャールを問いただす。イザベラの残留を知ったヒュッレムは再びイザベラを脅すが、勝気なイザベラは逆にヒュッレムに宣戦布告し、後宮に入ることを決意してしまう。


2-25 邪視

イサベラ王女が後宮に入ることになり、ヒュッレムは心穏やかではいられない。スレイマンに詰め寄るも逆に諭され、不満はますます高まる。母后もイブラヒムも波乱の兆候を感じ取っていた。ニギャールは旧宮殿行きを阻止してもらった代償に、ヒュッレムに協力を求められる。ライバルを全員倒すと宣言したヒュッレムは、王女を排除すべく、よからぬ考えを巡らせていた。その頃、ハンガリーを巡る情勢も少しずつ緊張を増していた。
●ヒュッレムは母后からイザベラの後宮入りを宣言される。ヒュッレムはスレイマン自身の言質をもとに問いただすが、スレイマンは適切と見なしたとの一言で終わらせる。スレイマンと暮らすと放言し、改宗もしないイザベラに、自分自身、身分の違い、男女の差に悩むニギャールは一笑に付す。身分も宗教も男女の格差の違いも、身の危険さえも超えてニギャールもヒュッレムも愛する人を求めて来たのだった。ニギャールを呼んだヒュッレムは、旧宮殿(エスキサライ)行きを阻止したことを理由にイザベラの排斥に関わるよう命じるが、ニギャールはイザベラの夜伽の準備を遂行する。ミフリマーフに「お母様も王女?」と聞かれたヒュッレムは、母后、マヒデブラン、ダイェの前で皇子や皇女を産んでも奴隷は奴隷のままと答える。「勝つのは私。1人1人、排斥してやる」と言い残す。ニギャールがイザベラを黄金の道へ誘うのを見たヒュッレムは、心配するニギャールに「触るな」と言い放ち、自室でスレイマンの恋文を燃やす。アルミンを失ったマルコチョールはスメデレボ(セルビア)に一時帰郷する。グリッティはサポヤイにはハンガリー王の重責が務まらないと奏上する。ニリュフェルはヒュッレムに命令され、イザベラの馬のあぶみの調整を変え、王女は落馬する。イブラヒムに呼び出されたニギャールは王女の排除を手伝い、ヒュッレムが王女を傷つけた証拠にするよう命じられる。証拠が上がらないよう、黒死病の患者の血を吸った包帯をイザベラの落馬の傷跡に使うよう、ニギャールはヒュッレムに入れ知恵する。


2-26 狙われた王女

皇帝妃ギュルフェムと夕食を共にしていた皇女ハティジェは、もう一度、占星術師ヤクップに占ってもらいたいと考えていた。皇帝妃ヒュッレムを排除したい大宰相イブラヒムは後宮女官ニギャールを使って、ある策略を練る。一方、ヒュッレムもまた、皇帝スレイマンの寵愛を奪うカスティーリャ王女イサベラを亡き者にすべく黒死病に乗じた暗殺計画を始動させる。それぞれの思いが交錯する中、事態は思わぬ方向へ展開していく。
●愛児を失う運命を共にしたとハティジェはギュルフェムに言う。また占星術師ヤクップに会いたいとこぼすハティジェを押しとどめようとするが、ハティジェはヤクップに会いたいとこぼす。故郷に帰ったマルコチョールは幼馴染のサーリハから思いを寄せられるが、マルコチョールは応えることができない。ニギャールは庭でイブラヒムから毒薬を渡される。マトラークチュは「スレイマン帝紀」をしたためていたが、それを知ったイブラヒムは「イブラヒム一代記」も記述するよう命じる。イザベラ排除の決行日、ニリュフェルとギュルの手筈はすでに整っていたが、ニギャールはひとりで筋書きを変え、包帯を燃やす。スンビュルはギュルに命じられた側女フィダンが対策を講じていた。ニギャールの様子を伺っていたギュルはニギャールが包帯を燃やす様子を目撃する。ニギャールはイザベラの食事に毒を盛るが、死んだのは侍女カルミナだった。ギュルから報告を受けたヒュッレムはニギャールがイブラヒムと共謀したと責め、毒はニギャールの独断、カルミラとイザベラはお前の責任で始末しろという。ギュルはニギャールを問い詰める、切り捨てられるのはイブラヒムに付いたとしてもヒュッレムに付いたとしても、ニギャールだったと。それでもお前を守ったのはヒュッレム皇帝妃だったと。イブラヒムに消される可能性はなかったのかと。カルミナが死んでいることに気付いたイザベラは即座にニギャールとギュルに捉えられ、洗濯室に連れていかれる。ニリュフェルはスンビュルの足止めをする。ダイェに見咎められるが、うまく言いのける。


2-27 尽きぬ野望

ヒュッレムはイサベラ王女を監禁。その後始末をニギャールとギュルに命じる。翌朝、王女がいないと分かった後宮は大騒ぎに。スレイマン皇帝の命令で捜索が行われるも、有力な情報は一切見つからなかった。一方、王女を使ってヒュッレムを陥れようとしていたイブラヒムも、予想外の展開に翻弄されていた。ヒュッレムは、大きな野望を娘に語るが、それを扉の陰で聞いている者がいて…。
●ニギャールからイザベラの生存を知らされたヒュッレムは選択室に赴く。翌朝イザベラの機嫌伺いに現れたスレイマンは姿がないことに気付く。スンビュルやイブラヒムに行方を尋ねるが杳として知れない。ギュルシャーから洗濯室が怪しいと知らされたダイェはニギャールとギュルを伴い、洗濯室の扉を開けようとする。イブラヒムに呼び出されたニギャールは毒殺をヒュッレムに責められたと報告する。イブラヒムはお前のせいで台無しになったと叱りつける。母后がその様子を見ていたとは知らずに、ヒュッレムはミフリマーフに「あいつらは私に挑んだ。苛められたお母様は何をしたでしょう。スレイマンとの間に割り込む者は排除する。イザベラは消えた。次はイブラヒム。そのあとは母后さまよ。マヒデブラン、ムスタファ、全員消えたら私たちの王朝、お前と私とお兄様たちの王朝。宮殿の真の支配者は私たちなの」と言う。母后は「お前があの女を増長させた」と皇帝スレイマンに直接抗議するが取り合われない。スレイマンに呼び出されたヒュッレムは身の程を知らしめられながらも愛と慈悲をも際限なく降り注がれる。ヒュッレムは葬式菓子ヘルバを皆に賄う。それを知った母后は決意を固めた。ニリュフェルもエスマも荷物をまとめ大部屋に戻り、ヒュッレム付きの任を解かれる。イザベラの婚約者フリードリヒはハンガリー王サポヤイの王冠を盗み出し、オーストリア大公フェルディナントのもとに献上する。サポヤイはグリッティを大使に選出する。ギュルを呼び出したハティジェはヤクップに会う手筈を命じる。イザベラはベネチア船でウィーン近くの修道院に向かっていた。帝都イスタンブルに戻ったマルコチョールは小姓頭に任じられる。


2-28 近づく嵐

ヒュッレムの傍若無人な振る舞いに業を煮やした母后はヒュッレムに対する風当たりを強くし、締め付けを図る。一方オーストリア大公フェルディナントは皇帝スレイマンに使節を送り、帝国が支配下に置いた領土の返還を求めてくる。そんな中、母后から女官長ダイェに、ある恐ろしい計画の実行が命じられる。立ち聞きで計画を知った側女ニリュフェルは血相を変えてヒュッレムに知らせる。そして、ヒュッレムの身に恐ろしい事が起こる。
●ニリュフェルとエスマが任を解かれたことを知ったヒュッレムは母后に子供たちへの嫌がらせだと抗議する。帝都に戻ったマルコチョールはアルミンの墓を訪ね、酒場女のエレニカに通って憂さを晴らす。イブラヒムがアルミンを引き離す真似をしなければアルミンは死ななかったのだった。ギュルシャーはニリュフェルに口論をふっかけるが、2人を見咎めたダイェはヒュッレムから渡されたニリュフェルの短刀を取り上げる。ヒュッレムは愛馬アシュクに餌をやる。その様子を見た母后はダイェに何事かをささやく。ヤクップに会ったハティジェは権力を握れば握るほどイブラヒムの死が近づくと言われる。周りに味方がいないヒュッレムは更に愛馬アシュクを殺されてしまう。嘆き悲しんだヒュッレムは母后のもとにアシュクの命を奪った血塗れた短剣を片手に押しかける。

2-29 憎しみの連鎖

愛馬を殺されて激高したヒュッレムは、凶器となった自分の短刀を手に母后の部屋に押しかけ、母后を責め立てる。小姓頭マルコチョールがスレイマン皇帝の命令で犯人を捜すが、出てくる証言はどれもある1人の人物を示唆していた。マルコチョールの聞き込みに対し、ヒュッレムも母后も腹心の部下への嫌疑を否定。その頃、欧州遠征の総司令官となったイブラヒムを批判や陰謀から守るべく、スレイマンは特別な勅令を発していた。
●「同じ宮殿にいるのはもはや無理」とヒュッレムは母后に短剣を渡す。母后はなおも「奴隷に愛などなく幻想でしかない。お前は皇族に仕え、我々の慈悲と愛にすがる側女に過ぎぬ」と身をわきまえるよう諭す。ヒュッレムは私がただの奴隷であれば躊躇なく命を奪えばいい、皇帝スレイマンからの咎めもないと公算があるのなら――と賭けに出たのだ。間一髪ハティジェが母后の居室に踏み込む。一方スレイマンは近々西欧に進軍する旨を御前会議で告げ、遠征中の帝都の責任者にチョバン宰相、総司令官にはイブラヒムを任じ、書記官ジェラールザーデに任命勅令を記させた。居室に戻ったヒュッレムはニリュフェルとエスマを呼び戻す。泣き腫らした顔をミフリマーフに問われても、憎しみをよすがにマヒデブランがムスタファに恨み言を吹き込んで育てたようになってはいけないと、二度とヒュッレムは娘である皇女に愚痴をこぼさぬよう決心する。ヒュッレムは「もはや睡眠は禁忌(ハラム)。母皇に殺されてしまう」とニリュフェルに漏らす。愛馬が殺されたことを知らされたスレイマンはマルコチョールに犯人捜査を命じる。マルコチョールはスンビュル、ギュル、ニギャールから事情聴取をし、ダイェから凶器である短刀を”鞘付き”で手渡され、ニリュフェルが短刀を持っていたと証言する。ハティジェに余計なことを吹聴したとしてイブラヒムはヤクップを殺害してしまう。ニリュフェルの自白からダイェと母后が裏で糸を引いていたことを知ったマルコチョールは母后から事情を聞きただす。

2-30 ウィーン進軍

皇帝妃ヒュッレムの愛馬殺害の容疑で投獄された側女ニリュフェルは牢でうちひしがれていた。母后と対峙したヒュッレムは、自分への怨嗟はあといくつ犠牲を払えば消えるのかと悲痛な思いを吐露する。そんな中、皇帝スレイマンがウィーン遠征に出発する。迎え撃つ神聖ローマ帝国皇帝カール5世も着々と準備を整えていた。一方、宮殿ではヒュッレムが思いがけず母后に過去の秘密を知られてしまい、かつてないほどの危機に直面する。母皇ハフサ・アイシェの言い分に気圧されたマルコチョールはニリュフェルの単独犯行で●あると皇帝スレイマンに報告してしまう。聡いスレイマンは母后と会話を持つが、母后は先回りして「ヒュッレムが私に濡れ衣を着せようとしたと言う。スレイマンは「後宮の平穏が保たれないのなら私が介入する」と牽制する。ニリュフェルは縛り首に処された。母后はメフメトとミフリマーフのもとを訪れるが、誰よりも本質を見抜いていたミフリマーフに「私たちが嫌い? お母様や私達が。私もあんたが嫌いよ」と言う。その頃ヒュッレムは愛憎を共にしたニリュフェルと対面していた。ハティジェはイブラヒムの得意なバイオリンの練習を続けている。ヒュッレムはついに罪をなすりつけ人を殺めた母后に「まだ犠牲が必要ですか? 私を殺せば怨嗟は終わりますか?」と問う。母后は質問には答えず「ミフリマーフをお前は洗脳している」となじるが、その実ヒュッレムはマヒデブランのように恨み言を吹き込んではいないのだった。腹立ちのあまり「子を取り上げ二度と会えないようにしてやる」と言い残して去る。1529年5月、スレイマンはブダとウィーンを主眼に遠征に赴く。ヒュッレムは孤立無援、敵にとっては排斥する千載一遇の好機であることを見抜いていたスレイマンは、遠征の別れの挨拶時に「後宮をお願いする。特にヒュッレムを」と母后に言い残す。ハンガリーはブダ王宮ではオーストリア大公フェルディナントに戴冠式が行われる。8月モハーチ平原にてオスマン帝国は大勝をあげる。神聖ローマ帝国ウィーンではフェルディナントの従兄弟フリードリヒが援軍要請を受理していた。その代わりにルター派(プロテスタント)への態度の軟化を要求する。ヒュッレムはマヒデブランが善行を積み、犠牲祭にて臣民に施しを行い、感謝の祈りが捧げられていることを知る。ヒュッレムも一番の善行であるメッカやカーバ神殿への祈りを母后に願い出るが、神殿のイスラム神官から奴隷が善行を積むなどと却下されてしまう。イブラヒムとニギャールの関係を知らぬハティジェはニギャールを大宰相邸付きへ戻す。マヒデブランは「ヒュッレムの子と仲良くしないで」とムスタファを諌める。ニギャールは異動前にレオの手記を掘り起こすが、ギュルシャーに奪われ、母后の手に渡り、ヒュッレムは詰問される。

2-31 包囲

元婚約者レオの手帳を手にした母后に問い詰められたヒュッレムは、不義の関係ではないと必死に弁明。数々の知られざる事実を聞いた母后はショックを受ける。隙を見て手帳を奪おうとするヒュッレムだったが、なかなかうまくいかない。その頃、欧州に進軍した皇帝スレイマン率いるオスマン帝国軍はウィーンの城を包囲。しかし、その頭上には暗雲が広がり始めていた。宮殿で四面楚歌となったヒュッレムは、ある取引を持ちかけるが…。
●ヒュッレムはイブラヒムがレオを毒殺した事実を伝える。何よりも常にハティジェを心配をする母后は呼吸が荒くなり、ついには倒れてしまう。スレイマンはウィーンを包囲する。ハティジェはヒュッレムにとうとう「母上に何かあったら容赦しないから」と宣戦布告するが、自らの行く末の心配ばかりしているマヒデブランを目の当たりにして辟易もする。ヒュッレムは考えを巡らせ、ダイェにスレイマンから下賜された農場の取引を持ちかける。昏睡状態だった母后はムスタファを前に目を覚まし、ヒュッレムを呼び寄せる。再び直接対決となったが、ヒュッレムは「至高の存在であるスレイマン皇帝の公正さと良心と愛に頼る」と返答する。一方ダイェに問われたニギャールは「お妃様に数々の所業はあれど、すべての行動は陛下への愛ゆえです。あれほどの愛と情熱が裏切りになるでしょうか。私は目撃者であり生き証人。コーラン(キリスト教の経典)に誓って無実です」と回答する。母后の居室に戻ったダイェはヒュッレム追放を命じられる。

2-32 後宮の反乱

皇帝妃ヒュッレムは、まんまとレオの手帳を手に入れ、母后の目の前で勝ち誇ったように燃やしてみせる。一方、ウィーンへ迫るオスマン軍は、悪天候に悩まされ撤退することに。皇帝妃ヒュッレムは帝都に戻った皇帝スレイマンにさっそく自分の身分解放を迫る。大宰相イブラヒムへの許されない恋心に悩む女官ニギャールはしだいに自分を追い込んでいく。そんな中、さらなる野望を抱くヒュッレムが皇帝に対して大胆な行動に出る。
●マヒデブランは回復した母后のもとに入り浸りである。お互いに子を守るために、と主張するマヒデブランとヒュッレムだが、「皇子たちを何から守ると言うの? 皇統は私の家族なのよ、母たるお前が守る必要なんてない」と主張するハティジェとは裏腹に、母后はマヒデブランに「お前たち親子を見捨てはせぬ」と言質を与える。宮殿を去る前に母后と2人きりで会話する機会を得たヒュッレムは、ダイェとの取引に成功し、手帳を入手していた。勝ち誇ったように母后の前で燃やして見せる。皇帝スレイマンは冬季のウィーン包囲から帰郷を決心する。ニギャールは帝都に戻ったイブラヒムとハティジェの幸せを目の当たりにした上、イブラヒムから「一夜のあだ情けなど忘れてしまえ」と言われる。ヒュッレムは皇帝不在中にメッカやメディナに慈善事業を施そうとしたが長老イブニ・ケマルに拒絶された話をする。聖なる使命のためとしてスレイマンはヒュッレムの身分解放を宣言する。母后から身分解放を反対されヒュッレムを悪し様に言うのを耳にしたスレイマンは、「私の4人の子の母親だ」と突っぱねる。ヒュッレムは後宮に祝いの菓子を配る。イブラヒムは開いた口が塞がらない。ニギャールは自殺を図る。ヒュッレムは夜伽に応じず、もはや奴隷の身ではないので婚姻関係にない男性と寝ることはできず、「結婚しないと同衾できない。でないと不義の大罪になるから」とイスラムの掟を持ち出す。

2-33 賭け

自由の身となったヒュッレムは、結婚しない限り一緒には寝られないと夜伽を拒否。結婚が目的で身分解放を求めたと知ったスレイマンは激怒し、ヒュッレムの処罰を命じる。大宰相邸では道ならぬ恋に悩むニギャールが、イブラヒム宛ての遺書を箱に入れて屋上へ。その手紙を皇女ハティジェが見つけてしまい…。マヒデブランがスレイマンに召されて怒りに震えるヒュッレムだが、結婚という野望のため、犠牲を承知で大きな賭けに出る。
●イブラヒムはハティジェにニギャールの自殺未遂時の遺書を見せないよう奮闘する。母后はヒュッレムに「正当で適切な振る舞いです。立派だわ」と言いながら、ヒュッレムの再度の追放を決定した。行き先はベイコズで離宮ですらなく、皇子メフメトはトプカプ宮殿に留め置き、皇帝になる可能性のない皇女ミフリマーフのみ連行を許す、と。ヒュッレムはスレイマンに直談判するも「私の忍耐を試すな」と言われてしまう。マヒデブランが夜伽に指名されたと知ったヒュッレムは、皇帝の指輪を返上して手紙をマルコチョールに託す。帰り道に夜伽に上がるマヒデブランとかち合ったヒュッレムは何事かを耳元に囁く。泣き叫ぶ幼い皇子たちを後にヒュッレムはミフリマーフと旅立つ。

2-34 戦う理由

ベイコズの館で幼い皇女ミフリマーフが高熱を出し、病状を案じた皇帝スレイマンが見舞いにやってくる。皇帝に会えたうれしさを隠せないヒュッレムだったが、皇帝は冷たい態度でヒュッレムを突き放すのだった。一方、皇女ハティジェの屋敷を皇帝妃マヒデブランが訪問し、女官ニギャールは不吉な存在だと吹き込む。そんな中、ヒュッレムが後宮に再び返り咲くことを恐れる母后は大宰相イブラヒムに接触し、ある陰謀を持ちかける。
●ハティジェは懐妊する。マルコチョールはエレニカの酒場にマトラ―クチュと共に訪れる。ミフリマーフが冷えから熱を出し、スレイマンが見舞いに来る。「私は公正でありたい。無垢な子の小さな心を傷つけたくない。己と家族にどこまで公正でいられるか?」と逡巡しながらも館を発つ。皇族の正式な結婚が成立すれば百年来の伝統を破ることになるためだ。一方、阻止するため母后はイブラヒムに共謀を持ちかける。イブラヒムはマトラークチュの酒場通いを注意し、ニギャールと結婚して身を固めるよう命令する。真夜中に宮殿へ戻るよう伝え聞いたヒュッレムは喜び勇んで馬車へ乗り込むが、森の中で襲撃に遭う。母后にヒュッレム殺害の罪を着せたくないダイェの機転により、事前にマルコチョールを動かしており、間一髪、ヒュッレムは難を逃れる。ダイェは後宮に着いた日にニギャールから聞いた「皇帝に寵愛されて子を産めば世界すら支配できる」と聞いたというヒュッレムの決心を知り、もはや後宮だけではない先を見据えるヒュッレムの愛と覚悟を知っていたのだった。

2-35 暗殺

山賊に襲われたヒュッレムは、森の中で凍えているところを発見され、スレイマン皇帝に抱えられて宮殿に戻る。マルコチョールを独断で護衛につかせたダイェに母后は不審の目を向ける。スレイマンは事件を裏で操る者がいるのではと危惧。そんな頃、病床のヒュッレムは自分たちの敵が仕組んだのだと弱々しくスレイマンにささやいていた。その一方で母后には必ず皇帝と結婚すると宣言。結婚という野望に向けて着々と外堀を埋めていた。
●知らせを聞いて現場に駆けつけたスレイマンは「我が家族の話だぞ。妃を見つけろ! さもなくば全員処刑だ!」と激怒する。スンビュルが母后に経過報告をするが、母后は命を下していないダイェの行動を知る。マルコチョールは鬼気迫る表情で襲撃者の残党の尋問に当たる。ヒュッレム死亡の誤報を聞いたギュルは卒倒する。イブラヒムは暗殺失敗の報を受けて動転しながらも「山賊のしわざ」「谷があるのでお妃様はもう…」とスレイマンに吹き込むが取り合われない。夜を徹しての捜索の末、スレイマンはヒュッレムを発見する。後宮に運び込まれたヒュッレムの姿を見て、イブラヒム、母后、マヒデブラン、ハティジェは運命を悟ったかのような表情を浮かべる。イブラヒムは共謀の痕跡を消す事後処理に奔走する。疑念が芽生え始めたスレイマンはイブラヒムにも内密にアヤス宰相に真相解明を命じる。一連の騒動を受けてスレイマンはある決心をする。

2-36 祝典

後宮の熾烈な戦いを制するため、皇帝妃ヒュッレムは忠義な者を集めるように宦官ギュルに命じる。一方、皇子ムスタファとメフメトが割礼式を迎える。帝国の栄華を極めた祝典にご満悦の皇帝スレイマン。身重の皇女ハティジェは占星術師の予言に不安を募らせていた。帝都が割礼式の喜びに沸く中、祝典の催しに紛れて不穏な動きをする者が現れる。ヒュッレムを裏庭に呼び出した皇帝は、ヒュッレムに思いがけないものを見せる。
●1530年6月、ムスタファとメフメトの割礼式が大々的に祝われる。母后はスレイマンの寝所に側女を送り込むが送り返される。ヒュッレムは祝典中に斧槍持ちのペルチェムを通して弓兵がイブラヒムを狙うように画策するが、ハティジェの身内を失う嘆きを目の当たりにし、寸でのところで中止させる。イブラヒムによって左遷された元アナトリア軍政官ベフラム宰相はアヤス宰相に「割礼にしては盛大すぎる」と漏らす。スレイマンはイスラムの長老イブニ・ケマルに何事かを相談し、名代にイブラヒムを据えて祝典を抜け出し、ヒュッレムを呼び出す。スレイマンに誘われて着いた部屋の中には長老がおり、スンビュルを代理人とし、婚姻の儀式を執り行っていた。

2-37 回りゆく毒

華やかな割礼式に隠れて結婚の儀を執り行ったスレイマン皇帝とヒュッレム。後宮に報告に行くが、母后から厳しい言葉を受けることになる。その頃、ヒュッレムの命令を受けた暗殺者がイブラヒムを狙っていた。計画を中止したはずが、何者かの放った矢がイブラヒムの背に突き刺さり…。奴隷の身分から解放されて皇帝の正妻となったヒュッレムだが、欲望と憎悪は一向に収まる気配を見せず、まだ胸の中で燃えたぎっていた。
●割礼式のために母后の居室に集まっていた皇族一同にむかってスレイマンはヒュッレムとの婚姻を報告する。「お前は私を殺す気か」となじり、母后は気を失う。祝典の中イブラヒムは矢を背中に射られる。ヒュッレムが斧槍持ちペルチェムを通して雇った傭兵ではなく、その残していった所有者不明の弓を使って別の者がが兵に扮して企てたものだった。イブラヒムにはヒュッレム以外にも政敵の存在することが明白になる。またイブラヒムは庭に偶像崇拝となる彫像を置き、西洋風の暮らしをしている悪評が市中にも知れ渡っているため犯人探しは容易にはいかないだろうと踏み、懐妊中のハティジェの心痛を思い、事件を知る皆に口止めをする。ミフリマーフは母が花嫁になったことを知り、自分もマルコチョールと結婚したいと幼い頼みを口にする。気を取り戻した母后は「もはや安眠は禁忌(ハラム)となった」と嘆く。マヒデブランもまた嘆き悲しみのあまりギュルフェムに失言するが、ギュルフェムは「私の苦しみは神のみご存知よ」と言い残して去る。母后とダイェとスンビュルのやり取りにより、スンビュルは故意に陛下の命として結婚式の証人代理人になることを事前に母后に知らせなかったことが分かる。「私だって命が惜しい、風向きが変わったのでヒュッレム妃との関係を保たなければ」と言う。スレイマンとヒュッレムが初夜を迎える一方、イブラヒムは矢に塗られていた毒が全身にまわり混濁状態となる。

2-38 深まる溝

大宰相イブラヒムの暗殺を企てた者は誰か? 皇帝妃ヒュッレムは自分の刺客が犯人ではないかと疑い宦官ギュルを問い詰める。一方、暗殺未遂事件のことを何も知らされていなかった皇帝スレイマンは激怒し、早急な調査を命じる。瀕死のイブラヒムは、回復へのいちるの望みを抱いて湯治を試すことに。ヒュッレムの尊大な態度に堪忍袋の緒が切れた母后はヒュッレムを巧みな罠にかけ、念願の正妻の座を失うかもしれない危機が襲う。
●自分が嫌疑をかけられると悟ったヒュッレムはダイェを呼び、「母后の仕業ではないの? 私に疑いをかけるために」という発言をわざと聞かせ、「権力も地位もほしいままの大宰相イブラヒムには味方と同じくらい敵の数もあるでしょう」と言わしめる。着想を得たヒュッレムは何事かを考え込む。アヤス宰相はベフラム宰相と後で密談するよう合意を取り付けていたが、マルコチョールの手前だったため追い返される。港から脱出しようと企てていた兄弟が捉えられ、マルコチョールの尋問を受け、アヤス宰相の名で命を狙ったことを自白する。スレイマンは医師長ヤセフに地下洞窟にあるという万病に効く温泉でイブラヒムを静養させることを提案する。マルコチョールはスレイマンにアヤス宰相の命であったことを報告するが、罪を着せるための計略かもしれないとの進言もする。イブラヒムに次ぐ地位に就くアヤス宰相はイブラヒム自身が抜擢して据えた者だからだ。スレイマンが自ら尋問に向かうと既に牢獄の中で射手は双方とも絶命していた。衛兵を問いただすと、上官である伝令長が受け取った封蝋印のあるスレイマンの勅令のためだという。アヤス宰相に鎌をかけるが乗って来ない。ヒュッレムはダイェに聖地の慈善事業について意見を求め、水路の建設がいいとの返答を得る。母后の祖国クリミア・ハンから書簡が届き、跡目争いが始まったことが奏上される。母后は姪にあたるアイビゲが巻き添えを食わぬよう後宮へ呼び寄せる。ニギャールは保養地でイブラヒムの懸命な介護を続ける。ヒュッレムは妃の位に相応しい冠を注文する。心労が極限に達した母后はレオに関する重大な告発を証拠なしにスレイマンに奏し始める。

2-39 死の淵(ふち)より

レオの死の秘密をスレイマン皇帝の前で暴こうと、母后はヒュッレムを呼び出して問いただす。スレイマンは部屋の中に身を隠し、2人の話を聞いていた。癒やしの洞窟で解毒治療を続けるイブラヒム。献身的に介護するニギャールだが、イブラヒムへの秘めた思いを宦官長に知られてしまい…。宮殿では、帝都に舞い戻った高官が、イブラヒム暗殺未遂事件の黒幕候補の1人に挙がっていた。自白を導こうとマルコチョールが罠を仕掛ける。
●スンビュルはニギャールが懸命にイブラヒムを看病する様子から特別な想いを抱いていると悟る。母后の居室に罠とも知らず呼び寄せられたヒュッレムだったが、蝋燭台の反射により物陰にスレイマンが立って傍聴していることに気付く。尋問から逃れダイェと話してダイェが必死に目配せしていたことを知る。「何という憎悪を。孫の母親に無実の罪を着せようとは母上らしくもない」と、母后は窮地に立たされる。必死の思いでイブラヒムが証人であると名を上げるが、もはや母后とイブラヒムの旗色が鮮明になるばかりだった。心痛のあまり発狂しかけているハティジェは庭の彫像に関する恐ろしい夢を見る。スレイマンはアヤス宰相に問いただすが、次に謁見したベフラム宰相に疑いを抱き始め、マルコチョールに調査を命じる。動かない彫像のようになったハティジェにヒュッレムは声をかける。愛する者を失った自分が生きる力を取り戻したのは子を腕に抱いたときであり、懐妊中のハティジェももうすぐ母になるのだからしっかりしなさい、と。その様子を見たスレイマンと母后は思わず踏み込むことに躊躇いを見せる。一方ニギャールは「私の絶望的な愛をご存知ないのね。離れるのは死よりつらい」とイブラヒムにつぶやいていた。それを聞き、次第に活力を取り戻す。スンビュルからニギャールの恋の報告を受けたダイェは胸に秘める。ニギャールの結婚が急かれる中、母后は結婚後も通いの教育係としての職を約束する。ベフラム宰相がエレニカの酒場に通っていることを知ったマルコチョールは秘密調査を依頼する。

2-40 妃の冠

正妃となったヒュッレムは、世間から皇帝を惑わした魔女だとウワサされていた。一方、内政が混乱しているクリミア・ハン国から母后の姪アイビゲ王女が帝都に到着。民に健在ぶりを知らしめるために街へ出たイブラヒムは、不測の出来事に遭遇する。豪華な冠が完成したヒュッレム。得意げにかぶって現れるが…。皇女ハティジェが産気づいた頃、宮廷史家マトラークチュに嫁いだ女官ニギャールには、まさかの事態が起こっていた。
●マルコチョールはアイビゲの登殿のため迎えに行く。山伏の一族の生まれで山賊のようなマルコチョールとまるで女海賊のようなアイビゲの邂逅はいたずらに満ちたものだった。ニギャールの結婚前夜、スンビュル、ギュル、料理長シェケルは連れ立ってエレニカの酒場へ繰り出す。混み合う中でマルコチョールと来ていたマトラークチュの姿を発見し、あわやのところをスンビュルが取りなす。祝賀ムードに誘われて茶目っ気を出したアイビゲは宴の隅に押しやられていたヒュッレムに自ら近づき興味を引かれたように殊更親しげに挨拶を交わす。そこへ赤い婚礼衣装のニギャールが到着し、手のひらに染め粉ヘナを塗り金貨を握らせる儀式が始まる。アヤスとベフラムを伴い、当日の朝イブラヒムは市中の繁華街を練り歩き、敵味方に健在であることを知らしめていた。ロクム売りが威勢よく声をかけて味見を願い出るが実は毒の混ぜられたロクムをまずは自ら口にするべきとベフラムが主張する。結果ロクム売りは罪人と露見するのだが最初の手筈ではベフラムが雇った男だったのだが、恩を売り被疑を避けようとしたベフラムの画策なのだった。結婚を嫌がるニギャールにダイェは「家族を持ち、子を胸に抱くのよ。ここに残っても人生の無駄。若さと美貌がどれだけ貴重か。私のように孤独な年寄りになりたい?」と自らの胸中を露呈させるがごとく諭す。結婚行列の前に居並ぶ一同。ヒュッレムは居丈高に冠を被って現れるが、まるで女性版のトルコ帽のように大きく高く薄張りの絹で作らせたものだった。順列もハティジェの次と決め込んで割り込む。ヒュッレムは「私を公正な正義の目で見てください。それさえあれば満足です。過去は水に流します」と母后にひざまずくが顧みられない。夜マトラークチュの家に着いたニギャールは驚きの展開を迎える。

2-41 マヒデブランの決断

結婚式を終えたニギャールの前に突然現れたイブラヒム。2人はマトラークチュの家で秘密の関係を続けることになり…。イブラヒム不在の大宰相邸ではハティジェの出産が始まっていた。一方マヒデブランは、スレイマン皇帝に軽んじられる怒りと悲しみが限界に達していた。そんな彼女の暴走を母后とイブラヒムが案じる中、マヒデブランは皇帝に気持ちをぶつけてしまう。母の行動を目の当たりにした皇子ムスタファはある決意を固める。
●マヒデブランは母后に手を打ってくださらないなら自分でヒュッレムとのことを解決すると啖呵を切る。ハティジェのお産が始まったがイブラヒムは不在である。マトラークチュに頼んで初夜を迎える前にニギャールを離縁するよう手を回していたのだ。結婚当日の夜もエレニカの酒場に通っている姿が多数目撃される。ハティジェの子は双子だった。アザーン(イスラム礼拝を呼びかける放送)と共に朝が明けスレイマンが名付けに来る。ベフラムは何やら高位の男と内緒話をしている。いわく「御前会議に潜り込め」との命令が下される。既にイブラヒムの秘密の恋を弱みとして握っているベフラムは請け合う。怒り心頭のマヒデブランはスレイマンの寝所に規則を無視して上がり込み、身分を解放するよう懇願する却下される。泣き腫らすマヒデブランを見たムスタファは制止も聞かず単身スレイマンの前に躍り出て、母とエディルネ宮殿へ行く意志を伝える。もはや風向きが変わったことをダイェ同様に認めつつあるスンビュルが経過をヒュッレムに報告する。立派に成長したムスタファにむしろ誇らし気なスレイマンだった。

2-42 暗闘

エディルネ宮殿へ移ることになった皇帝妃マヒデブランと皇子ムスタファが出発の前に皇帝妃ヒュッレムの部屋に挨拶に来る。一方、御前会議では新たな遠征が話し合われていた。酒場に行った宦官ギュルはひょんなことから重大な秘密を知ってしまう。母后は皇帝妃ヒュッレムを夕食に招くが、何か裏があるのではないかと怪しむ。そんな中、互いに致命的な弱みを握ったイブラヒムと元アナトリア軍政官ベフラムが激しい攻防を繰り広げる。
●皇帝の寵に関しては誰の目にも勝敗が明らかだった。後継者争いに関してはこれから戦いが始まったばかり。時が来たら必ず呼び戻す、と母后がマヒデブランに言葉を下賜し、有力な後継者と見做されている第一皇子ムスタファと共にエディルネ宮へと発った。アイビゲとマルコチョールは中庭で乗馬をする。赤ひげ(バルバロス)の異名を持つフズル・ハイレッディンから要所を落とし要塞を築き上げ領海を順調に広げている旨の書簡が届く。一方その頃神聖ローマ帝国のカール5世はキリスト教世界の存続のため聖ヨハネ騎士団への応援要請をし、アンドレア・ドリア提督を以って制すべく指揮を取る。イブラヒムとニギャールは隠れ家を見つけてマトラークチュの家から出る。夜ごと帰って来ないイブラヒムをハティジェは待っている。ベフラムは通っているエレニカの前でイブラヒムを狙ったことをよって口走ってしまう。マヒデブランが去って元のハティジェの部屋を自由に使えるようになったヒュッレムは夜のバルコニーでアイビゲのマルコチョールに対する想いを知る。エレニカは伝言してほしいとギュルにベフラムの正体を教えてしまう。ギュルは即ヒュッレムに伝えるが、ヒュッレムは事もあろうにイブラヒム本人に真実を話す。イブラヒムがベフラムと接触した瞬間、ベフラムはニギャールとのことをスレイマンに奏上すると先手を取り、既に隠れ家の登記簿も手紙も手中に収めていた。イブラヒムがベフラムを切って捨てようと剣を抜きお付きの者共も剣を抜くが、エレニカの酒場にいた周囲の客も一斉に剣を抜く。ベフラムの背後の黒幕の巧妙な罠なのだった。アイビゲはエレニカとマルコチョールの仲を知る。母后とヒュッレムは夕食を共にする。ベフラムは口封じに殺されたと見せかけて翌朝元気な姿を見せる。

2-43 派閥争い

イブラヒムとニギャールの関係を知る元アナトリア軍政官ベフラムは、スレイマン皇帝に奏上することとなる。秘密の発覚を恐れたイブラヒムは許可も取らずに皇帝の前に進み出てしまい…。後宮では母后がヒュッレム派の締め出しを画策。ヒュッレムに賃上げを邪魔されたと思った側女たちは暴動を起こす。一方ベフラムに脅迫されたイブラヒムは、要望を聞くふりをしつつ、ベフラムのいる酒場に向かう。
●ベフラムはスレイマンに奏上する直前でイブラヒムに邪魔される。しかし機転を利かせ奏上しない代わりの条件を飲んだものとして発言を変え望み通り御前会議に参加する資格を得る。イブラヒムは犯人を知るマルコチョールにもスレイマンと同様に今はまだベフラムを泳がせて黒幕を引きずり出そうとしているだけだと辛くも説明し、ニギャールの件で脅迫されたことを伏せる。ヒュッレムはダイェを呼び、母后の意図を聞き出す。母后はファトマとスンビュルを使い、ヒュッレム派を除いた側女の月額50アクチェ昇給を決行する。フィダンを筆頭に俸給が足りないことに不満を持つ側女たちはヒュッレムに直談判するが、派閥の対立構造が明白になっていく。イブラヒムは隠れ家の登記簿を取り返しベフラムを殺害する。大宰相職の罷免になりかねないスキャンダルを阻止するべく大胆な一手に出たイブラヒムの形相は一変しており、自らの手を血に染め自己中心的にまみれた権力欲と残虐性を次第に顕にしていく。イスラム教ではニギャールとの不義密通のような人徳を失った振る舞いは大変不名誉なことである。エレニカの酒場は死屍累々の有様だった。給料日当日、約束された50アクチェの昇給はなかった。母后は一度約束したにもかかわらず翻したのだが、ファトマが扇動する側女たちはヒュッレムが邪魔したのだと不満を持つ。もはやヒュッレム憎しのため側女たちによる騒動を諌めもせず後宮の安寧を脅かした張本人となった母后をダイェは複雑な顔で眺めやる。マルコチョールから報告を受けたスレイマンは即座にイブラヒムを呼びつけるが、イブラヒムは黒幕に消されたのだと主張する。グリッティからアヤス宰相へとブダが包囲された旨の報告があり緊急会議となる。ヒュッレムは味方分に昇給分の補填を進み出る。母后以上の良心と規則の塊であるダイェは「本来であれば後宮追放相当の厳罰よ」と側女たちに言い含める。

2-44 入隊式

月日は流れ1532年、皇帝スレイマンと皇帝妃ヒュッレムは4人目の皇子ジハンギルを授かっていた。エディルネ宮殿から、りりしく成長した第1皇子ムスタファが、母であり皇帝妃であるマヒデブランとトプカプ宮殿に戻ってくる。ムスタファに後宮が用意されるという話を聞き、色めき立つ側女たち。ヒュッレムは息子たちの皇位継承のライバルとなるムスタファの厚遇に嫉妬心を燃やす。そんな中、母后が宮殿に不思議な占い師を招く。
●1532年3月、スレイマンは前回の冬季のウィーン包囲の反省から春を待ちブダ奪還の遠征を決行すべく、また今回の遠征にはムスタファを伴うため入隊式の手筈を整えていた。ヒュッレムは第五子ジハンギル皇子を出産する。側女たちは相変わらず母后派とヒュッレム派に分かれている。マヒデブランがギュルシャーと共にエディルネ宮からトプカプ後宮に戻ってくるが、側女たちは成長したムスタファに浮足立ち色めき立つ。皇帝スレイマンに顧みられる見込みがなくムスタファがこれから持つである後宮に移動して寵愛される一縷の望みを持ち白羽の矢を立てているためだ。吹きすさぶ逆風の中、見事に第一皇子に相応しい成人男子となったムスタファにイェニチェリからの信望と士気も高まる。スレイマンもいまやイブラヒムに任せている御前会議への出席を許可する。翌日、側女選出となるがマヒデブランは注意深くヒュッレム派の側女を避け容色より若く従順で黒髪の側女を選び出す。マルコチョールとアイビゲは遠征による別離の前に共に中庭を散策し2人きりで語らう時間を持つ。母后は砂を使う女性占い師を招く。ムスタファ皇子と皇族の未来を聞くが、占い師は「見知らぬ土地、広がる領土、だが宮殿に巣食う竜がもたらす、青い海に赤い血、死が見える。1人1人排斥する」と言う。

2-45 頂上対決

後宮で孤立するヒュッレムは巡回を強化させ、新たなお付きの者たちに身の回りを警護させる。手下の側女たちに金品を振る舞うも、そのことでさらに敵と味方に分裂することに。そんな時、ヒュッレムを批判した側女が血の海の中で発見されて…。その頃、遠征中のスレイマン皇帝のもとにはオーストリア大公やフランス国王の使節が代わる代わる訪問していた。列国との駆け引きが続く中、順調に進軍するも包囲戦で苦戦を強いられる。
●疑心暗鬼になったヒュッレムは竜の夢を見る。後宮は母后派、マヒデブランの後宮派、ヒュッレム派に分かれていた。ヒュッレムは子守のエスマとナズル、大部屋のヒュッレム派を掌握するフィダンの他に、ギュルに命じて身辺警護に当たらせる側女を増やして警戒する。新入りのノラのような娘たちに「奉仕よりも忠誠を求める」と言い渡し組織する。スレイマンは再三和平交渉の使節を受けるがことごとく無視し、提案は戦場で吟味するものとする。母后は自分側につくようフィダンに命ずる。ヒュッレムは大部屋で側女の1人ラーレザールと言い争いになり「舌を引っこ抜くわよ」と言うが、その夜ラーレザールはフィダンから呼び出され舌を切られてしまう。だが話せないために犯人を伝えられることはなく、伝えたとしてもフィダンが元ヒュッレム派の側女であることは周知の事実なのだった。たまたま登殿していたニギャールやスンビュルも不可解な顔をする。ハティジェは側女の制圧のために「お前たちの前にいるのは皇帝の正妻で皇子たちの母よ。生意気を言うなら全員追放する」と叱責する。遠征中はスレイマンの介入もなく見せかけの和解をかなぐり捨ててついに母后とヒュッレムは直接舌戦を繰り広げる。もとより心配性のハティジェを煩わせることもないが、もはや母后は計略にダイェを通すことはない。思い余ったダイェは口を開きかけるが母后はフィダンへの処罰を命じた。腹心の側女を失ったヒュッレムは片翼をもがれた形となる。

2-46 増悪の炎

大宰相イブラヒムが率いる軍はウィーン東南の小都市ギュンスで包囲戦を展開。神聖ローマ帝国皇帝カール5世はモハーチの戦いでのラヨシュ2世の二の舞いを恐れ、スレイマン皇帝との会戦を避ける。その頃、後宮で側女の給金の盗難事件が起こる。皇帝妃ヒュッレム派とそうでない者たちの不和は、もはや修復不可能なまでに悪化。反ヒュッレム派の側女たちは、ヒュッレムがすべての元凶とばかり怒りを爆発させ、危険な行動に出る。
●包囲戦を展開し20ばかりの城を次々と陥落させていくオスマン帝国軍に対し、モハーチ平原の戦いの苦渋からカール5世は正面衝突を避けようとする。もはや和平交渉は望めないのだった。後宮も同様に対立が深まっていく。クリミア・ハン位を巡り実兄と係争していたカザン・ハンの国王でありアイビゲの父サーヒブからのタタール兵3万の援軍を得て勢いを増す。ヒュッレムは命の危険を感じて自室に閉じこもっている。怯えながら毒見役を務めるナズルをニギャールもノラも複雑な顔で見やる。フィダンを失い、大部屋での求心力を失ったヒュッレム派の残りの側女たちが50アクチェの昇給分の盗難に遭う。母后派に詰め寄ったところでダイェが盗まれた給金の捜査に当たる。ニギャールもダイェにヒュッレムを陥れる計略であることを忠告する。果たして給金はムスタファの夜伽を務めたエリフの寝具から発見され追放処分が言い渡された。ギュルは洗濯室に閉じ込められる。ニギャールはマヒデブランの部屋に引き止められる。ヒュッレムの子供たちは母后の居室に呼ばれる。様子がおかしいことを察知したアイビゲはダイェに助けを求める。エリフが焼身自殺を図るとファトマが先導し騒ぎが大きくなっていく。斧槍持ちを呼びに行ったダイェは宮殿の外に足止めされる。アイビゲもついに数で押され捉えられてしまう。ヒュッレムの部屋の前で最後の攻防がなされるが、ノラはヒュッレムを振り返って不思議な笑みを浮かべる。ファトマは容赦なく燃え盛るトーチをヒュッレムの顔に近づけた。

2-47 傷痕

後宮で起きた側女たちの反乱により火をつけられたヒュッレムは、重傷を負っていた。遠征中のスレイマン皇帝に手紙で知らせるも、イブラヒムの判断で皇帝には届けられない。スレイマンに包み隠さず報告したと母后に告げたヒュッレムは、自分の証人として思わぬ人物を挙げる。後宮では女官や宦官たちの職務能力が審議されることになり、スンビュル宦官長やギュル宦官が色めき立つ。その頃オスマン軍の長い遠征は終わりを迎えていた。
●ヒュッレムは辛くも難を逃れハティジェの大宰相邸に匿ってもらう。戦場のスレイマンにダイェの連名で手紙を認めるもイブラヒムに握り潰される。顔に大火傷を負いニギャールに手当てを受けるが回復を待たずエスマとナズルを連れ子供たちを案じ後宮へと舞い戻り「私は回復するごとに強くなる」と宣言する。ダイェの裏切りを詰問する母后だが、ダイェは「後宮の平和と秩序を保つのが私の職務。ヒュッレム妃は陛下の正妻。今回の残虐さに沈黙はできません」と返答する。母后が公正さを失ったことから少しずつ乖離が始まっていたのだ。ヒュッレムはフィダンに裏切られたことを忘れられずノラに関与の疑いを持ち叱責する。風見鶏のスンビュルはダイェの降格により昇進を期待するが、母后付き女官長兼後宮出納官はマヒデブランの腹心ギュルシャーに任命され落胆しアラビア語で何事かをつぶやく。ギュルシャーはヒュッレム派から袂を分かったノラに近づく。季節が巡りスレイマンが帰還した。出迎えの挨拶にヒュッレムの姿がない。気丈な筈のヒュッレムは輝くばかりの美貌に傷をつけられてスレイマンの目前で泣き落として見せる。スレイマンは母后に不興も顕に40年来の腹心ダイェからとの関係も失ったと言及し、ムスタファはマヒデブランに陰謀に加担せぬよう諭す。戦勝の花火が上がる中アイビゲはムスタファと会話を交わす。

2-48 皇子の宴

皇帝妃マヒデブランは遠征から戻った皇子ムスタファの労を労うために宴を計画。宴で舞を披露する側女の1人に皇帝妃ヒュッレムのお付きだったノラが選ばれる。大宰相イブラヒムは母后とヒュッレムのために食事会を開くが…。後宮の新女官長に就任したギュルシャーは、これまでのうっぷんを晴らすかのように威張り散らす。激怒したヒュッレムがギュルシャーを威嚇し、ついにはヒュッレムとマヒデブランの戦いに発展する。
●ノラはムスタファの部屋の掃除を命じられたと言い繕ってエリフを失った心に入り込む。戦場で負傷したムスタファのためにマヒデブランは宴を開く。次第に無能で理不尽で横柄なギュルシャーの振る舞いが目立ち始める。スレイマンはイブラヒムに対し「私に隠し事を持っても強くなれぬ。お前はむしろ臆病になる。何の権限で私に隠した?目的は事実の隠蔽か?」ときつく叱責する。形ばかりでも歩み寄りを見せることが得策と母后の説得に当たり、晩餐会が開かれるが母后は態度を隠さない。スレイマンは静かに「決して変わらない強い意志を持つ人間もいる。変えようとすればややこしくなるだけだ」と諦念を表す。ノラはムスタファに見初められる。夜半過ぎ人目に付かない廊下でヒュッレムはノラに命令する。火事による叱責から疎遠になったものと見せかけてムスタファの懐に送り込んでいたのだった。ダイェはギュルシャーから辛い目に遭わされる。理由はしかも業突張りで利己的なものだった。ニギャールは思わず「恥知らずな。母親程もの年齢の女性を」と声を荒らげる。ニギャールを突き飛ばしたギュルシャーを思わずダイェは平手打ちしてしまう。追放の罪を言い渡される。処遇を聞いたヒュッレムはギュルシャーに「ネズミのような顔」と暴言を吐き、マヒデブランに「いつかムスタファの足枷せになるのはお前自身」と挑発する。頭に血が上り手を上げたところをスレイマンに制止され、ヒュッレムに謝罪するよう言い渡される。スレイマンは後宮に自ら介入すると請け合う。

2-49 反抗

ヒュッレムに侮辱されて泣き崩れるマヒデブランを見たムスタファは、スレイマン皇帝の所に押しかけ、母と自分の運命を決めるのはスレイマンなのかヒュッレムなのかと問い詰める。ムスタファの行動にスレイマンは激高。いつか息子を手にかけるのではないかと不安になる。大切な金曜礼拝を父親への抗議で欠席すると言うムスタファ。皇帝への謀反とも取られかねない危険な決心を前に、マヒデブランは息子を説得しようと奔走する。
●泣いて自室に戻ったマヒデブランを見てムスタファはスレイマンのところへ押しかけ詰め寄る。ほとんどスレイマン自身への侮辱とも取れるヒュッレムへの不当な言及に「世界帝国は女の涙などで統治はされぬ」とスレイマンは激高するが、ムスタファは反抗の態度を崩さない。マヒデブランにも釈明せず1人自室に戻るが寝台にはヒュッレムの差し向けたノラが純真無垢な眠りを貪っていた。スレイマンは約束を違えずダイェを元の役職へ戻し、追放の命令を下した母后の決定を覆す。ギュルシャーは母后付き専従に留め置かれた。ムスタファはノラと朝まで過ごし大切なイスラム教の金曜礼拝にも欠席する意を示す。金曜礼拝は皆でモスクに行き全イスラムの民が同時刻同方向(聖地の方角)へ向かって祈りを捧げる合同礼拝であり、欠席は必ず皇族や御前会議の居並ぶ閣僚の面々など皆の知るところになる。それを父親への抗議から欠席するなどと唯一神アッラーへの不敬の態度を恐れ多くも盾にした上で父親への反発を表す方法で紛うことなき神と皇帝への不遜であり、あってはならないことなのだった。マヒデブランは母后、イブラヒム、ハティジェに相談し、イブラヒムはスレイマンに対してムスタファを擁護する。アイビゲとマルコチョールは夜更けに2人きりで話す。

2-50 角が生えた男

酒場に入り浸り、浴びるように酒を飲む宮廷史家マトラークチュ。そんな彼を家まで送った小姓頭マルコチョールは、彼の妻ニギャールが家にいないことを不審に思う。一方、宮殿では皇帝スレイマンに反発心を抱く皇子ムスタファが金曜礼拝にも姿を見せず、母であるマヒデブランをやきもきさせていた。そんな中、クリミア・ハン国の王女アイビゲに帰国の日が迫る。だが、母后とマヒデブランの思惑により、事態は意外な展開を見せる。
●マトラークチュはニギャールとの偽装結婚の夜から連日酒場で目撃されている。ハティジェもイブラヒムに連日帰りが遅い理由を問う。ノラはムスタファに毎夜召される。ヒュッレムの信仰告白の勧めにより改宗の意があることをムスタファに伝えムスリムの名をエフスンと賜る。マルコチョールはマトラークチュの秘密に勘付き始める。朝になり一刻の猶予もないイブラヒムはムスタファの自室に乗り込み、ノラと共に御寝しているところに踏み込み諭す。チョバン宰相とアヤス宰相が噂する中、イブラヒムに伴われたムスタファが到着する。マトラークチュは自宅の軒先に水牛の角が吊るされているのを発見する。寝取られ男と不義密通女が住む家を意味する象徴だった。後宮出納官の地位に返り咲いたダイェは大部屋にファトマとフィダンが戻っていることを発見する。皇帝妃に火を架けた罪で斬首及びラーレザールの舌を切った罪で追放の厳罰を受けて本来では決して戻れない筈なのだった。ファトマはマヒデブラン付き、フィダンはニギャールに変わる女官となる。アイビゲの帰国が決定する。アイビゲはマルコチョールとの別れの夜に初めて美しく女らしく装った姿を見せる。底なしの優しさと激情ゆえにエフスンという一介の1人の奴隷女に入れあげる姿を目の当たりにしたマヒデブランは母后と相談してアイビゲをムスタファの正妻として迎える意を固める。

2-51 良縁

ムスタファとクリミアの王女アイビゲの縁談が決まり、戸惑う本人たちをよそに周囲はお祝いムード。そんな中、ムスタファの権威が増すことを恐れるヒュッレムは、ムスタファとアイビゲのそれぞれの恋心を利用して縁談の破談をもくろむ。イブラヒムとニギャールの不義の関係に巻き込まれたマトラークチュは疲れ果て、ついに行動に出る。イブラヒムは石職人に自分の胸像を作らせようとするが、それが原因でハティジェと不穏な空気に…
●マルコチョールと想いが通じ合ったのもつかの間、アイビゲは母后からムスタファとの結婚を言い渡される。ムスタファも同様に乗り気ではない様子。イブラヒムが痛みの進む異教の神々の彫像を修復させていたかと思えば今度は自分の彫像を作らせるという。ハティジェはイスラム大帝国の皇女として生まれた矜持を賭してイブラヒムに抗議して口論となる。アイビゲから相談されたヒュッレムはムスタファにクリミア・ハン国の血縁を作ってはならないとしてアイビゲとマルコチョールの恋心に訴えかけ、エフスンがムスタファの心を捉え続けるよう援護する。市中の噂の的となり忍耐の尽きたマトラークチュからハティジェはニギャールが離縁されていたことを聞き、ダイェに事情を尋ねる。おませに成長したミフリマーフはマルコチョールとの結婚を夢見るようになる。母后はエフスンを旧宮殿(エスキサライ)に異動するよう命じる。ダイェはあらゆる苦悩や悲しみに効くという宝石メノウをニギャールに握らせる。ムスタファの縁組について聞き及んだスレイマンは久々に母后を訪れて祝福する。母后も久々に気を良くしてスレイマンにムスタファの年齢頃に起こったことを思い起こさせる。実の息子に毒殺用の長衣(カフタン)を送ったことを。スレイマンは「アイビゲとムスタファの同意がなくば結婚を許可しない」と言い残して去る。

2-52 政略結婚

母后と皇帝妃マヒデブランはムスタファ皇子の縁談の妨げになるとして側女エフスンを旧宮殿へ送る。マヒデブランはムスタファが縁談を承諾するよう大宰相イブラヒムに説得を頼む。一方、クリミアの王女アイビゲとの許されない愛に葛藤する小姓頭マルコチョールは、アイビゲの愛を受け止め切れず酒と美女に逃げていた。体調を崩したと言う女官ニギャールを見舞った女官長ダイェは見てはいけないものを目撃してしまい…。
●マヒデブランとファトマが連れ立っているところにヒュッレムは「その女は私を殺そうとした。残念な方ね。あんたが黒幕だと思われかねないわよ」と嫌味を言う。ノラを追放したマヒデブランはファトマに夜伽の準備をさせるが、エフスンを呼んだつもりのムスタファは取り合わず、エフスンがエスキサライに追放されたことを知るとマヒデブランの自室に乗り込み、連れ戻すよう命令して取り戻す。ヒュッレムから庭の彫像の件を聞いたスレイマンは大宰相邸を訪れる。離縁されたニギャールの一人住まいを訪ねたダイェはイブラヒムとの密会現場を見てしまう。エフスンが第二のヒュッレムのようにムスタファの心を捉え縁談を断るのではないかと心配したマヒデブランはイブラヒムに相談するが、男女の仲の理の無さを自身も知るイブラヒムは複雑な表情を浮かべる。斧槍持ちペルチェムはヒュッレムの命でフィダンとファトマを人気のない部屋に閉じ込め顔を火で焼く。マルコチョールがエレニカの酒場へ行っていたことを知ったアイビゲは敬意を見せろと言い勢い余ってムスタファとの婚約を承諾してしまう。イブラヒムがムスタファと会っているところをバルコニーから見やったスレイマンは、かつてイブラヒムが彫像に向かい「帝都の海を抱く7つの丘で、3つの大陸で、臣民は我が彫像の前に跪く」と一人ごちていた日のことを思い返していた。ダイェは翌朝参内してきたニギャールを破廉恥と叱責する。スレイマンはイブラヒムを呼びつけ運ばせた彫像の首を前に激怒する。

2-53 イブラヒムの首

胸像の首をスレイマン皇帝に斬り捨てられたイブラヒムは、すべてを捨てる覚悟を決める。突然、イブラヒムがいなくなったことにハティジェ皇女は困惑。イブラヒムの胸像の首が届いたことから、スレイマンがイブラヒムを殺したのではないかと疑心暗鬼になり…。後宮ではムスタファとアイビゲの婚約式の準備が始まる。そんな中、マルコチョールやアイビゲ、ニギャールも、思いどおりにならない愛や苦しい思いを抱えていた。
●イブラヒムは国璽(こくじ)を返上し約束は全て辞す覚悟を見せる。イブラヒムはニギャールに一言も漏らさず大宰相邸を後にする。御前会議はしばらくアヤス宰相が預かることとなった。ハティジェは気も狂わんばかりとなる。自室に戻ったマヒデブランは暗がりの中に顔を焼け爛れさせた異形のファトマの姿を見つける。同様のフィダンを発見したダイェは問い質すが「火遊びがどれほど危険か身に沁みたはず」と突き放す。不義密通の事情を知ったダイェは更にニギャールを宮殿詰めに戻し自宅へ帰らせない措置とした。ハティジェはスレイマンがイブラヒムの首を取る夢を見るが正夢に近く彫像の首が切り取られているのだった。夢うつつの境が分からなくなったハティジェはスレイマンのもとに押しかけて騒動を起こす。一連の騒ぎを見ていたスンビュルはイブラヒムが斬首刑に処されたと勘違いして側女の大部屋で一同を前に発表してしまい、ニギャールは卒倒する。イブラヒムは人質同然にオスマン帝国内に邸宅を与えられて生活している双子の兄ニコと父のいるゲイックリ館に到着する。

2-54 婚約式

皇子ムスタファとクリミアの王女アイビゲの婚約式が明日に迫り、もしイブラヒムがそれまでに戻らなければ皇帝から厳しい沙汰が下る事態となる。ハティジェ皇女はイブラヒムの命を守るため、ムスタファをイブラヒムのもとへ。そんな中、アイビゲの父サーヒブ・ギレイが帝都に到着。アイビゲに思いを寄せるマルコチョール、2人の結婚を阻止したい皇帝妃ヒュッレムなど、それぞれの思いが交錯しながら、ついに運命の婚約式を迎える。
●イブラヒムの帝都不在に反体制側は動き出す。アヤス宰相に接触してかつてベフラム宰相の黒幕として暗躍した人物だ。アヤス宰相は慎重に返答する。ハティジェはスレイマンから明日の婚約式に出席しなければイブラヒムの首が本当に危ないことを聞きつけると必死の形相でムスタファに捜索を依頼する。ムスタファの身辺情報を探るため潜り込ませているエフスンからヒュッレムは報告を受ける。ミフリマーフは妃の王冠を身に着けて遊戯に興じて落として壊してしまうが、隠し事を持つ才覚のあるところを見せる。ハティジェは有力な皇位継承者であるムスタファを勝手に1人で派遣したことで初めて母后とマヒデブランから叱責を受けるがイブラヒムの命が最優先と言ってのける。マトラークチュと館に到着したムスタファはイブラヒムを連れ戻すと宣言する。ミフリマーフは罪をナズルに被せる。ムスタファの夜伽を務める寸前でエフスンに出し抜かれヒュッレムに顔を焼かれて復讐の憎悪に身を焦がすファトマはエフスンがギュルの指示を仰いでいるところを目撃する。

2-55 大勝負

婚約式には出席したものの、許可なく去ろうとしたイブラヒムをスレイマン皇帝は投獄。イブラヒムは夜を地下牢で過ごした後、目隠しをされて連れていかれる。ムスタファの寵愛を受けるエフスンがヒュッレムの手先であると気づいたファトマは、ギュルシャーに報告しようとするが、逆に脅されることに。その頃、戻らぬイブラヒムを案じるハティジェの前にヒュッレムが現れ、不吉な知らせを告げる。果たしてイブラヒムの運命は…。
●イブラヒムがムスタファの婚約式を途中退席したことを知ったスレイマンは斧槍持ちに命じて地下牢に連行する。ファトマはフィダンを通してマヒデブランを探すが直後ギュルに捕らえられる。危機一髪ギュルはファトマの口止めに成功する。スレイマンはかつて斬首刑に処した婿を持つ、血を分けた実妹ベイハンの言葉を思い返していた。母后に相談するも「お前がイブラヒムもヒュッレムも作り出したの。一介の小姓を大宰相に抜擢して、奴隷の側女を皇帝妃に」と言われる。地下牢の中でイブラヒムは叶わぬ夢を見るが結末は絞殺というものだった。「お前を地獄へ誘う墓は森の中ではない。私の手の中にある。これは報奨であり罰である」とスレイマンは告げる。手のひらの上には返却した筈の国璽が鎮座していた。イブラヒムの帰宅を安堵と悲哀のない混ぜになった表情で迎える一同。母后は顔色が冴えない。王冠の真実を知るメフメトは罰を受けているナズルを同情の目で見つめる。ミフリマーフは機智を働かせてマルコチョールと中庭を散策する機会を得る。ヒュッレムをも出し抜く才覚を見せるミフリマーフ。「いい子ね。いつも兄弟を守ってね」と褒める言葉までもらう。口止めされ困り果てたファトマはニギャールを頼る。偶然浴場に来たギュルシャーとまたも嫌味の応酬といった因縁のやり合いが始まり「お前なんか男に手も握られない。ミイラ化した処女として死んでいく」と侮蔑する。ヒュッレムに再度凄まれたファトマは懲りずについにギュルシャーに告げ口を決意する。

2-56 皇帝の天秤

皇子ムスタファとクリミアの王女アイビゲの婚約式を終え、クリミア・ハン国の君主サーヒブ・ギレイが帰路に就く。側女エフスンがヒュッレムの手先だと知ったマヒデブランは激怒。大宰相の職務に復帰したイブラヒムは不在時にアヤス宰相が承認した助成金の決定に異を唱える。皇女ハティジェはイブラヒムの態度に不信感を抱いていた。エフスンのことでマヒデブランにののしられたヒュッレムは激高するも皇子ムスタファに戒められる。
●ギュルシャーから聞いたマヒデブランは激怒してエフスンをムスタファの部屋から引きずり出し、ヒュッレムに突き出す。ギュルはファトマに更なる脅迫で牽制する。ヒュッレムはミフリマーフの中庭散歩にアイビゲが同行するよう差し向ける。そこにはマルコチョールがいるのだった。マヒデブランからエフスンの正体を聞いてもムスタファはにわかに信じない。ムスタファはエフスンとマヒデブランを信じるが、告げ口をしたファトマに嘘があるとする。食い下がるマヒデブランだったが聞き入れられない。イスラムの宗派に理解がない筈のイブラヒムは不在時にアヤス宰相が決裁した決定事項を覆した上に事もあろうに愚弄する。一度与えた助成金を取り上げれば不満も出る。反イブラヒム派の黒幕が代わって助成金を渡す。アヤスはスレイマンに確認を求めたところをイブラヒムに見咎められ叱責を受ける。イブラヒムを取り戻したハティジェだったが他に愛する女の影があることを感じ取っている。マヒデブランの表立って無礼な中傷に堪忍袋の尾が切れたヒュッレムは怒号を上げてしまうが、ムスタファが聞き咎めていて割って入る。「私の少年時代は母の涙の中にありました。母から離れてください。私を敵にまわしたいですか?」「私は世界皇帝の長男。この部屋の誰よりも高位かつ高貴な者です」とヒュッレムに宣戦布告してしまう。屈辱に目の縁を赤らめるヒュッレムだったが、おとなしく従う。ミフリマーフはいまだ幼少の過渡期でありながら生来の賢さ鋭さと女の勘でアイビゲの想い人がマルコチョールであることを見抜く。庭先に彫像を置いた大宰相亭の前に助成金の決定の転覆の説明を求めてムスリムが詰め掛ける。ヒュッレムから事情を聞いたスレイマンはムスタファを呼びつけ言い分を聞くがヒュッレムに謝罪を要求する。取り込み中にエフスンはマヒデブランに捕らえられる。

2-57 新たな対立

ムスタファにいさめられたヒュッレムは、涙ながらにスレイマン皇帝に訴えるが、スレイマンは逆にヒュッレムに謝罪を要請。ヒュッレムはムスタファへの憎しみを募らせる。裏切りが発覚した側女エフスンは、マヒデブランとムスタファへの忠誠を証明することに。イブラヒムに恨みを持つ教団の動きは、宮殿の人間も巻き込みながら大きくなっていた。謝罪の一件でムスタファの脅威を味わったヒュッレムは、恐ろしい計画の実行を告げる。
●もはやマヒデブランが相手ではなくムスタファとの対立構造となっている。有力な後継者候補だけに表立っては行動できないことを踏みにじられた威厳と誇りにかけて肝に銘じる。本音を隠しスレイマンに「一介の門兵から大宰相に至るまで皇子の待遇には差別がある。スレイマンあなただけは違うと思っていた。私は5人のあなたの子供の母親。でもムスタファだけは別格なのよね。ただの子供に頭を下げさせるなんて。あなたへの愛と忠誠ゆえにしたことよ。ただの子供であるなら、私はその子供5人の母なのに」と涙を流しながら言い残して立ち去る。マヒデブランへの命乞いに何でもすると言ってのけたエフスンはヒュッレムの弱みを調べるよう命じられる。エフスンはヒュッレムがマルコチョールとアイビゲの恋を取り持っているという秘密を話して難を逃れる。イブラヒムは熱心なムスリムの対応に手を焼かされる。容赦なく牢に入れても市井に躍り出てイブラヒムの悪評を広めるばかりで、マトラークチュにも同胞の投獄は間違っていると言われて針のむしろ状態だ。スレイマンからは怒りに任せた采配だから付け込まれるとなじられる。アヤスにも影響が出ているほど既に反乱分子の勢力が大きくなっていた。先祖代々イスラム教徒であるマトラークチュからは思わぬ反論を受け、うまくいかない苛立ちから腹いせに牙を剥き声を荒らげる様を御前会議の一同に目撃される。マヒデブランは中庭でアイビゲとマルコチョールとムスタファとヒュッレムを発見する。ダイェは後宮の帳簿の仕事に滞りを発見してギュルシャーを出し抜く。ニギャールは再婚させられそうになる。

2-58 皇子の災難

尊師と呼ばれる謎の人物は、教団の問題でいら立つイブラヒムをさらに追い詰めるべく、宮廷史家マトラークチュを教団に取り込むよう指示する。ヒュッレムはエフスンを呼び出し、ムスタファ排除のための劇薬を渡す。一方、末の皇子ジハンギルは火がついたように泣き続け、医女が診察するも原因が突き止められず、皇帝は医師長ヤセフを呼ぶ。そんな中、ムスタファがエフスンを夕食に誘う。劇薬をしのばせるエフスンに決断の時が迫る。
●尊師と呼ばれる反イブラヒム派の長はアヤス宰相にマトラークチュに近づくよう指示する。エフスンの命を助けた見返りにヒュッレムは毒薬を手渡す。夜伽の際にムスタファの食事に混ぜるよう命が下った。ジハンギルは夜半すぎにむずがって大泣きする。スレイマンは歩み寄りのためヒュッレムに首飾りをプレゼントされるが返されてしまう。スレイマンは気も無さげにマヒデブランに下賜するが、久々の贈り物を有難がって付けて練り歩くマヒデブランの胸に光る首飾りをヒュッレムは目ざとく見つける。ムスタファとエフスンは中庭を散策する。ニギャールはギュルと一芝居打って再婚を退ける。ジハンギルの病変を知らされたスレイマンは医師長ヤセフを呼びよせ診察させる。ヤセフの見立てでは脊椎の1つ1つの椎骨に異常があり背中が曲がるというものだった。ムスタファ毒殺決行の夜、エフスンは見事な首飾りをプレゼントされる。皇子と共に食事を始めるが迷いがよぎる。

2-59 運命と罪

ムスタファの食事に毒を盛るようヒュッレムに命令された側女エフスンは、恋心との間で葛藤。その頃、ヒュッレムの末の息子ジハンギルも背骨の痛みに泣き叫んでいた。ヒュッレムは祈祷師を呼んで占ってもらうが、その占断に苦悩が和らぐどころか激怒する。ムスタファと婚約中のクリミアの王女アイビゲは、結婚式の前に一時帰国することに。アイビゲの思い人を知るヒュッレムは…。
●ムスタファは夜中に高熱を出す。実は一口つけた後、エフスンが故意に盆をひっくり返して食事を中断させたのだった。ジハンギルの許から病床のムスタファへと駆けつける姿を見送った上、泣いて取り乱すマヒデブランを抱き止めるスレイマンの様子をヒュッレムは目の当たりにする。イブラヒムは一度は追放し、マトラークチュが幼少を過ごした教団に戻る遠因を作ったにもかかわらず呼び戻す。ヒュッレムはジハンギルの病状は負担を伴う方法しか打つ手立てがないことを知る。アイビゲの一時帰国にマルコチョールが同行することになったがマヒデブランは不服だ。ムスタファは誠意を見せてアイビゲが祖国クリミア・ハンに留まれるよう手を尽くすつもりだと言う。エフスンはムスタファと寛ぐひとときに突然吐き気に襲われる。なかなか暗殺任務に応じないエフスンに業を煮やしたヒュッレムは呼びつけるが、既にエフスンは皇子ムスタファを愛するようになっており傷つけられなくなっていることを知り、あることをギュルシャーの耳にささやく決意する。

2-60 愛の行方

尊師は、教団指導者サーリムに教団存続の危機をあおり、イブラヒムを排除するようにけしかける。椎骨に障害を持つ末の皇子ジハンギルが医師長ヤセフの治療を受けることになる。皇子ムスタファのお気に入りの側女エフスンが倒れ、医師の診察を受ける。クリミアの王女アイビゲと小姓頭マルコチョールはクリミアへ向かっていた。一方、家族で休暇に出かけたイブラヒムに命の危険が迫る。そんな中、スレイマンの体に異変が現れる。
●尊師は教団指導者サーリエにイブラヒムの首をあげるよう命ずる。イブラヒムは悪びれず朝帰りをするようになり、ハティジェの詰問に弱り果てた調子で言い訳を繰り返す。エフスンは倒れてスンビュルの監視のもと医女の診察を受けるが妊娠していた。スレイマンは哀しくも決然とした様子で負担の大きい処置を拒否するヒュッレムの腕からジハンギルを受け取る。血に染まった戦勝を幾度も上げ自らも子を成してきたスレイマン、イブラヒム、ムスタファ、威風堂々のオスマン帝国の男たちも、ジハンギルに用意された医務室に足を踏み入れて形相を変えた。曲がった背骨を伸ばすために手足を四つ裂きに拘束し、滑車に力を込めて引き伸ばすための装置が置かれている。口が戦慄き祈りの言葉をつぶやかずにはいられない。目を背けたくなる光景だ。起死回生の手に出ざるを得ないヒュッレムはエフスンを使ってギュルシャーに「アイビゲとマルコチョールは駆け落ちでクリミアに向かわず帝国にももう戻らない」と信じ込ませることに成功する。スンビュルはムスタファに真っ先に側女の妊娠を伝える。後宮では皇統を正しく保つために皇帝スレイマン下の後宮においては皇子のお手付きによる子種は中絶の措置を取るのが習わしだった。ムスタファは他言一切無用の箝口令の意をスンビュルに示す。ムスタファはエフスンに夏のマニサ赴任まで秘密にして何とか産めるよう尽力すると約束する。イブラヒムとハティジェは家族旅行に出かけるが何者かに襲撃される。マトラークチュは教団に幽閉される。ジハンギルの容態を見に廊下に出たスレイマンは倒れてしまう。

2-61 不例

昏倒したスレイマンは呼吸停止に陥る。名医ヤセフの懸命の治療で息を吹き返すも、意識は戻らないまま。その頃、教団の刺客がイブラヒム一家の馬車を襲撃。皇女ハティジェが盾に取られてしまう。眠り続けるスレイマンは父帝との会話を夢に見ていた。ヒュッレム、マヒデブラン、イブラヒムもそれぞれスレイマンとの思い出を回想。後宮ではスレイマン亡き後の継承問題が話題に。マヒデブランはムスタファを玉座に就けるべく動き出す。
●昏倒したスレイマンは父帝セリムの夢を見る。知らせを受けた後宮は静まり返る。代替わりがあれば側女は全員追放処遇になるためだ。マヒデブランはマニサ宮殿でのスレイマン皇子との若き日を回想する。海上のアイビゲとマルコチョールは船が係留され、マヒデブランから奏上されたスレイマンの追捕(ついぶ)に引っ捕らえられていた。ジハンギルの看病明けに大部屋に出たヒュッレムは異変に気づきファトマに問い質す。スレイマン卒倒を知ると重い足取りでご寝所まで赴くが気絶してしまう。マトラークチュは尊師の正体に感づいた可能性のため斬首の刑に処される直前でイブラヒムの奪還に救われる。ヒュッレムはスレイマンのムヒッビーの詩を回想する。バルコニーからあわや半身を投げ出す寸前に母后に引き止められた。イブラヒムもまた回想していた。故郷パルガからオスマン帝国に拉致されて後、12歳でエーゲ海はサルハンの牧場に奉公に出てスレイマンの目に留まったこと。マヒデブランは先走って次の玉座に就く準備をムスタファに進言し、「ヒュッレムと皇子たちに同情や慈悲は無用だ」と凄むが、ムスタファから「復讐しか見えぬか?」「彼らは私の弟たちです」と非難される。母后は密やかにイブラヒムと談話を持ち、万が一の際には”平和に”継承されるよう強く確認する。大部屋で側女たちに次代の寵姫ね、とからかわれたエフスンはつい大きな夢を語り出し、聞き咎めたヒュッレムに皆の前で叱責を受ける。イブラヒムとの談話の内容を伝えようとマヒデブランの部屋に立ち寄った母后はマヒデブランの本音を立ち聞いてしまう。「ムスタファを唯一の後継者とすべく介入暗殺する。ヒュッレムも母后ももはや関係ない。私の時代が始まるの。私が母后となり後宮を支配するのよ」

2-62 死を迎える時

スレイマンに回復の兆しはなく、宦官ギュルは皇位継承者以外の皇帝の子供は排除されるという“兄弟殺し”の習わしを心配し、皇帝妃ヒュッレムに子供たちを宮殿から連れ出すよう勧める。皇子ムスタファの母マヒデブランは、皇帝亡き後、ムスタファが帝位に就くことを思い描いていた。クリミアへ向かった王女アイビゲと小姓頭マルコチョールは不義の罪を疑われ、宮殿へ戻される。そんな中、使節の間で皇帝の健康不安説が流れ始める。
●恨みと怒りの権化となったマヒデブランは血迷い、自らを母后と称し、イブラヒムに帝座の道が開けた感謝と今後も補佐してほしい旨を伝える。イブラヒムに時期尚早と窘められるが「回復は”私達の”利にならぬ」と言う自己中心ぶりを印象づける。憔悴しきりながらもヒュッレムはハティジェの屋敷へ子供たちの安全護送を申し出を受けるが信じず噛み付きそうな剣幕で追い返す。母后から協力を要請されたハティジェがヒュッレムを説得にかかる。後ろに控えるダイェのかすかな頷きを見たヒュッレムは子供たちを預けることには同意するが、自分はスレイマンの暗殺を恐れて避難しないものと言い張る。イブラヒムはグリッティから皇帝崩御の噂の問い合わせを受ける。アヤスは尊師からイブラヒムの権力の展開図を説明される。マヒデブランは病床のスレイマンの枕元で「ヒュッレムお前はまだ殺さない。皇子たちの運命を見届けるまで」と脅迫する。アイビゲが後宮のマヒデブランのもとに連行されて来た。告発を続けるマヒデブランの前に母后が立ちはだかる。マヒデブランはもはや引かず、私の息子の婚約者だから私が追求すると主張する。母后は「いつか私に聞いたわね。ヒュッレムとお前との違いを。あの者は己の頭で行動する。でもお前にはそれが欠けている」と言い残して去る。マルコチョールは幽閉されイブラヒムの尋問を受ける。大宰相邸で顔を合わせ図らずも肩を並べてイブラヒムとヒュッレムは胸中を開いて会話する。「お前はマヒデブランの同類なの?よもや陛下の死後は自分が大帝国を支配するつもり?」と聞き、「お妃様おやめください。私は臣下でハティジェ皇女の夫であるだけでなく、最も近しい友であり同志。我が心痛を知るのは神と己のみ」と述懐する。ただし万が一の際の皇子たちの命に関する約束には承服しかねる様子であることからヒュッレムは背を向ける。イブラヒムは早朝からスレイマンのもとに馳せ参じ、目を開けた最初の証人となる。もはや母后がマヒデブランにかつてと同じ目を向けることはない。勝利の笑みを浮かべて後宮を練り歩きながらヒュッレムは参じる。

2-63 忠誠と裏切り

意識が戻った皇帝スレイマンは家族の祝福を受ける。スレイマンはヒュッレムに病床で皆の忠誠と裏切りを見たと語る。アイビゲとの駆け落ちの疑いで連れ戻されたマルコチョールは地下牢へ。その処分はムスタファに委ねられる。またもニギャールの家で夜を明かしたイブラヒムに、ハティジェの疑念は高まるばかり。ムスタファの側女エフスンは食事中に気分が悪くなったことから、妊娠していないか診察を受けることになり…。
●休息を取らないスレイマンを案じながらも、万が一の際にはスレイマンの死を追って自害する覚悟を決めていたヒュッレムだけに、愛が戻った喜びはひとしお深い。皆の前でマヒデブランから暴言を受けて口論となるが、母后は初めてヒュッレムの肩を持ちマヒデブランを沈黙させる。スレイマンは「我が力が及ばぬこともある。神がそれを思い出させてくれた」とイブラヒムに漏らす。ムスタファを呼びマルコチョールへの処罰を自分で決めさせる。アイビゲはムスタファのお気に入りの側女のエフスンがマヒデブランに進言したことを聞き及び、「破談になれば皇子は自分のものになると仕組んだのか?」と激高する。エフスンは「皇子の名誉を考えました。あなた様は軽率です」とやり返す。ギュルシャーはヒュッレムが元凶だと矛先を変える。マルコチョールの申し開きは「私ごときがアイビゲ様の心に応えましたがご婚約の日にアイビゲ様も私も心をしまいました。これ以上は何もありません。あろう筈があり得ません。それでもわずかな疑念でも残る場合は首をお取りください」と見事なものだった。地下牢を訪れたマトラークチュに「陛下の目に己の末路が見えた。神に願うのは戦場で散ることだけだった」と清廉潔白の身で命を落とす無念を訴える。イブラヒムは教団の祖サーリムを捉えるが既に口封じのため舌と口が切り取られていた。スレイマンが死の淵から戻り、正義公正の目で曇りなく後宮を平定できるまでに改めた母后は、老齢と憤怒で正誤の判断を間違えていたと詫びて久方ぶりにダイェと坦懐なく語らう。後宮の平和と秩序と安寧の保全のために共に向かう意思を再確認する。イブラヒムがニギャールに睦言を与える。「皇族の家族では安らげない。無条件で愛してくれる子供と家族が欲しい」と心から真実をささやく一方で、連日の朝帰りを訝しむハティジェはついに尾行を決心する。ムスタファはマルコチョールを斬首する意を伝える。エフスンの妊娠に感づいたファトマは夜伽を邪魔された過去の因縁もありギュルシャーに告げ口する。サーリムは公開処刑なされる。ヒュッレムは自室に孫を見に来た母后に礼を述べる。

2-64 残酷な規則

マヒデブランに皇子ムスタファの子が宿っていることを知られた側女エフスンは堕胎処置を施されそうになる。マヒデブランは、堕胎に反対するムスタファに後宮の規則を説くのだった。イブラヒムの不審な行動に疑問を抱いたハティジェは密偵イドリスから尾行の報告を受ける。東方遠征を控えたスレイマンはイブラヒムに命じ、神聖ローマ帝国皇帝カール5世との和平交渉を進めるように言う。そしてマルコチョールに処刑の日が訪れる。
●スンビュルが機転を利かせてムスタファに奏上する。ムスタファは間一髪マヒデブランの中絶処置を制止する。出産までエディルネ宮殿で匿い、マニサ赴任の際に同行させる手配とする。ダイェの返り咲きが面白くないギュルシャーはニギャールとの話を立ち聞きして、ダイェが土地の登記簿を持っていることを知るや否や家探しして目的のものを発見する。マルコチョールの斬首執行の手筈が整った。あわや一閃のところでムスタファは衛兵を止め、恩赦を与える寛容性を見せる。「マルコチョール・バリ・ベイは長年、帝国と皇族に仕えた誉れ高き軍人である。罪の代償は死に非ず。なぜなら悪意があって犯した罪ではない。よって命を助ける」と。ムスタファは帝位に相応しい判断力と勇気を持つ器であることを証明する。慈悲を受けたマルコチョールはスレイマンのもとへ騒動の謝罪に赴く。イブラヒムの目の前で潔く身分を返却し帰郷を許される姿はあたかもイブラヒムには叶わぬ夢のようだった。居室の前で小さな訪問者を受ける。幼い恋心を燃やすミフリマーフに美しい別れを告げてマルコチョールは帝都を去る。死を目前に回避した経験からスレイマンはイブラヒムに、あの日ヒュッレムが求めるもイブラヒムが応えることのできなかった望みを託す。「その日が来たら皇子たちに正しい道を示せ。あの子達の手を血で流してはならぬ」と。イブラヒムもまた「私が先に天に召されたら我が子たちをお頼み申し上げます」と。スンビュルと医女の話を立ち聞きしたギュルはヒュッレムに指示を仰ぐ。ムスタファはスレイマンと変装して市中へ赴き、親密なムードの中でマニサ赴任を早めてもらうよう頼む。ギュルシャーはダイェの裏切りの証拠である登記簿を母后に突きつけるが、逆に不興を買い女官長の職を剥奪されニギャールを逆恨みする。エフスンの旅支度が整った直後にダイェに出くわして母后に妊娠話が伝わってしまう。マヒデブランが独断でエフスンをエディルネに送る手配をしていたことを叱責し、母后は「何年も同情して損したわ。自業自得ね」と言い放つ。エフスンは厳格な規則通り中絶処置された。

2-65 魔女

ムスタファの側女エフスンは堕胎手術中に大量出血。意識がもうろうとする中、ヒュッレムにムスタファの毒殺を命じられたことを明かす。その事実がマヒデブランとムスタファからスレイマン皇帝に伝えられ、ヒュッレムの運命はスレイマンに委ねられることに。ヒュッレムは自分を陥れる中傷だと訴えるが…。一方、イブラヒムと不義の関係にあるニギャールにある事実が発覚。ダイェに相談しているところを医女に立ち聞きされてしまう。
●「ヒュッレムは危険。あなたに毒を盛ろうとしていた。でもできなかったの。愛していました。私を忘れないで」と言い残してエフスンは絶命する。激高したムスタファはヒュッレムに、マヒデブランはスレイマンに詰め寄るがはっきりした証拠はない。嘆き悲しむムスタファにスレイマンは「男が泣いてよい状況は2つだけだ。愛を失ったときと死ぬ前だ。だから抑えるな。泣いてよい」と肩を貸す。窮地に立たされたヒュッレムはスレイマンに釈明するが毒を飲むよう言い渡される。死にゆく者が残す言葉を聞く中でスレイマンはヒュッレムの本心を確かめる。またマヒデブランとイブラヒムが敵であるとはっきり言ったことも聞く。エフスンの葬儀が執り行われる。ニギャールは自宅に医女を呼び妊娠を知る。ギュルフェムは母后にハティジェがイブラヒムの不貞を疑っていることを話す。母后はハティジェの雇った尾行係の密偵イドリスを呼び出して今後はハティジェより自分に報告するよう言いつける。エフスンを処置した医女が追放されるところを見てギュルシャーは計略を持ちかける。イブラヒムが自宅へ運んだ金の獅子を象った玉座を見てハティジェは顔色を変える。妊娠したニギャールはダイェに相談するがダイェを見張っていた医女の知るところとなる。

2-66 去り行く者

側女エフスンが命を落とし、責任を問われて追放を言い渡された産婆アレフェは女官ニギャールの醜聞を逆手に取り女官長ダイェを脅す。ところが、逆上したダイェはアレフェを平手打ちし、最悪の事態を招いてしまう。皇帝妃ヒュッレムに憎悪の炎を燃やす皇帝妃マヒデブランは、ヒュッレムの弱点を突く手で報復をたくらんでいた。大宰相イブラヒムはオーストリア大公フェルディナントの使節との和平交渉に臨む。
●大宰相とニギャールの子を理由に脅迫する医女を平手打ちしたダイェは事故死させてしまう。各人との厳粛な別れと威厳を持って宮殿を去る。ムスタファはヒュッレムの一番の弱点を狙うため兄弟の情と絆を確かなものにしようとする。イブラヒムは西欧風に屋敷を設えさせて神聖ローマ帝国カール5世の使節を迎えている。エルサレムの王はカール5世ではなくスレイマン皇帝のみ、と言いながら、自らの指にはめた指輪の宝石は300万アクチェ(銀貨)の俸給をもらう自分が6万ドゥカ(金貨)でキリスト法王から買い取ったもの、ルビーはフランス王から戦果として得たもの、などという。書記官ジェラールザーデは遺憾な面持ちで見やっている。スレイマンは倒れた日に父帝セリムと夢の中で会った浜辺を散策している。また別の日にイブラヒムと海辺に出て地中海を掌握する構想を話し合ったときのことを思い返している。スレイマンの感傷とは大局的に、その頃イブラヒムは使節に向かって「尊きオスマン帝国は私が支配している」と出過ぎた発言をする。ジェラールザーデも書記しながら思わずイブラヒムを見返してしまう。「私がすることは何であれ不滅である。すべての権力が私の手中にあるからだ。尊き陛下の命令さえ、私の承認がなければ適用されることはない」と言いながら、とうとう皇族のみに許される手の甲への接吻の挨拶を強要する。己自身の権力欲が行動理由となるのではなく帝国と皇統の未来のためかどうかなのだがイブラヒムには根本的かつ決定的に間違えているところがあるのだった。ダイェの後任の出納官にニギャールが推挙される。ニギャールを憎悪の目で見つめるギュルシャー。まずは東の制圧に向かうため、スレイマンはオーストリア使節との会談の結果、協定に背かぬ限りは恒久的平和を保証すると宣言する。ダイェは宮殿から運び出した財産を山賊に襲われて失ってしまう。ニギャールの家に逃げ込む。母后は尾行していた密偵イドリスからイブラヒムの不貞相手がニギャールであることを聞かされる。

2-67 悲劇の前触れ

イブラヒムの不義の相手がニギャールだと知った母后は激怒。ニギャールを問い詰めるが、さらなる事実を告げられ、大きなショックを受ける。スレイマン皇帝に報告しようとしたところ、母后は発作を起こして昏倒。そのまま意識を失ってしまう。母后の回復に時間がかかる場合、後宮は代理人が運営することになる。規則では最年長の皇子の母親であるマヒデブランだが、後宮を仕切る絶大な権限をヒュッレムも狙っていて…
●イブラヒムとニギャールの不義密通を知った母后は気が気でない。天地をも揺るがす悪行にイブラヒムの罷免がもしあればハティジェの繊細な神経では耐えられそうにもないからだ。ダイェも失ったばかりの母后の心臓に負担がかかる。母后付き女官長兼後宮出納官ニギャールが母后の居室に足を踏み入れるや否や鬼の形相で平手打ちを食らわすが、更に腹に子がいることに気付く。報告にはなかったことだ。頭がよく逃げ道を探すのも言い訳も上手いニギャールは昇進に妬んだ者の中傷だと言い張る。懐で蛇を育てていた悔しさから思わず倒れそうになるもスンビュルに命じてニギャールを牢屋に閉じ込める。一方スレイマンとムスタファ、ヒュッレムと皇子たちは郊外の狩りの館に剣術訓練に出かけている。ムスタファが息子たちに親しく振舞う度にヒュッレムは歯噛みしそうになるが「私はあなたとは違う。手を血で汚しはしない。弟なら尚更だ」と言われる。ニギャールの拘束を知ったマヒデブランに詰問を受けるが、ニギャールはダイェの襲撃事件を話して難なく交わす。やはりギュルシャーの仕業だった。アゼルバイジャン軍政官からペルシャに圧されたとの報告がある。西から東への政局の転換期に財務長官イスケンデル・チェレビーもブルサ宮から政権の中央に戻ってきている。トプカプ宮殿に戻ったヒュッレムはマヒデブランに「ムスタファを争いに巻き込むの? 私は子供たちに憎悪の種を植え付けなかった。父スレイマンのような公正であって欲しいからよ」と弱点を突く。ムスタファは一見すると完璧で頼り甲斐があるように思えるが、反面、皇子を私怨で動かさせる行動を非難しているのだった。息子の欠点を指摘されて顔を歪めるマヒデブラン。スレイマンに報告しようとした矢先、母后が倒れる。夢の中で先帝セリムから毒殺用の長衣(カフタン)が届いた日のことを回想していた。

2-68 祈る思い

昏睡状態に陥った母后の容体を案じるダイェは、道ならぬ恋に走るニギャールのせいで母后が倒れたのだとなじる。一方、遠征準備に旅立つイブラヒムは望んだ予算が下りないことに腹を立てていた。母后に一目会いたいダイェはひそかに宮殿へ忍び込むが、マヒデブラン一行に見つかり、追い出される。ヒュッレムは母后に付き添えるのはダイェしかいないと皇帝に訴え、ダイェ復帰の道筋をつける。そんな中、母后の容体に変化が訪れる。
●ニギャールとマトラークチュの話からダイェは母后がニギャールのせいで倒れたことを知る。ギュルシャーは斧槍持ちメフトゥンからダイェ襲撃の分前を受け取る。怖いもの知らずのファトマは立ち聞きで事情を知る。西欧遠征中に反乱を起こした東の制圧にすぐにでも立たなければならない政局の中、イブラヒムは財務長官イスケンデルに予算を請求するが半額しか許可されず、腹立ち紛れに「身銭を切って賄え。土地財産など幾らでもできよう。お前は帝国一の金持ちだろ」と侮蔑の命令をする。罪を問われ財産を全て失っても母后に一目会いたいダイェはスンビュルとニギャールの手引で宮殿に潜入するがマヒデブランに見つかって追い出されてしまう。一方ヒュッレムはダイェ復帰のためハティジェとスレイマンに訴えかける。イブラヒムはマトラークチュからイドリスが密告者であることを知る。スレイマンはムスタファに「あの瞳こそ我が鏡であり良心。比類なきご両眼を拝する度、己と我が父の姿を見る」と述懐する。母后と生きてきた年月はあまりにも長く今は母后の他に誰も若き日の父帝の有り様を知る者はない。一方マヒデブランはファトマから聞き及び、「長年同じ間違いを繰り返してきて尻拭いはこの私がしてきた」とギュルシャーを激しく叱責して解任する。イブラヒムは密偵イドリスの口を封じる。ニギャールは匿うと言われるが母后の雲隠れの可能性を考え宮殿に出納官として戻る。

2-69 権力の行使

皆の祈りが通じて意識の戻った母后だが、全快には程遠い状態だった。しかし追放処分になったダイェも看病に戻り、少しずつ回復の兆しが見え始める。後宮を運営する権限を手にしたマヒデブランは、早速改革に着手。それが面白くないヒュッレムはスレイマン皇帝に訴える。一方、財務長官イスケンデルはオーストリアとの和平協定の写しを入手。皇帝と同等であるかのようなイブラヒムの発言に憤慨し、スレイマンの御前に向かっていた。
●母后の意識が戻った。ニギャールは顔色を変えるが、母后は身体の筋肉が一切動かせない状態となっており口が利けなくなっていた。イブラヒムはアゼルバイジャンに赴き不在。イスケンデルはオーストリア使節との会談の記録を見て顔色を変える。スレイマンは後宮をマヒデブランに、恩赦を与えられたダイェには母后の世話に専念する意を示す。マヒデブランはギュルシャーを遠ざけたため出納官は引き続きニギャールを任命する。ファトマはムスタファのお気に入りになってみせると豪語する。早速後宮改革に乗り出したマヒデブランは側女を一新するため全員エスキサライ(旧宮殿)に送り、ギュルを監禁し、ヒュッレムの子守エスマを治療院付きに配置換えすると発表するが、ハティジェが介入して越権行為だと叱責する。イスケンデルはイブラヒムの不遜な発言「尊きオスマン帝国は私が支配している」との記録をスレイマンに奏上する。ヒュッレムはイスケンデルの訴えを立ち聞きして何事かを考えながら去る。ギュルはマヒデブランに取引を持ちかけられる。

2-70 駆け引き

マヒデブランの後宮の支配に辟易したヒュッレムは、皇子ムスタファを早く地方へ赴任させて、マヒデブランを同行させ、宮殿から追い出そうと画策する。ヒュッレムは財務長官イスケンデルに近づき、策を練るのだった。一方、さらなる失態を犯した女官ギュルシャーは、マヒデブランを諦め、新たな主人を求める。スメデレボへ逃がしたはずのニギャールがまだ後宮にいることを咎めたイブラヒムは驚くべき事実を知り絶句する。
●ヒュッレムはマヒデブランと接触したギュルの目を矯めつ眇めつ見る。マヒデブランの条件はヒュッレムの動向を毎日知らせることだった。ニギャールの腹が膨らみ始める。ヒュッレムは現状の打開策としてマニサ赴任を早める着想を得てヒュッレムは離宮にイスケンデルを呼び寄せる。後宮の中には通常の男性は入れないからだ。マヒデブランは側女たちに高級な贈り物を重ねる。反乱の首領シェリフ・ハンの首をあげてイブラヒムが戻る。残るはタフマースブのみ。権限は共有できても絶対帝政の唯一の象徴である玉座は共有できない。イスケンデルの報告した件についてイブラヒムの説明をスレイマンは受けるが、王朝を脅かす不遜な振舞いを決して長く忘れることはないのだった。イスケンデルとヒュッレムが政局について密談を交わす中で、マヒデブランが天井知らずの浪費をしている件を財務長官として介入するよう頼むことも忘れない。一方イブラヒムは書紀の写しを持ってスレイマンに密告した者がイスケンデルであることを突き止める。ファトマは側女たちの前でギュルシャーを殴り倒す。喧嘩はファトマの圧勝で頭に来たギュルシャーは斧槍持ちメルトゥンにファトマの暗殺を依頼するが失敗し、逆にマヒデブランに呼び出され罵倒され、罰としてメルトゥンとの結婚追放を命じられる。残虐で金に汚く一夫多妻制では幸せになりようもなくギュルシャーは思わず死んだほうがましと嘆く。ギュルは泣いているギュルシャーを発見する。ムスタファのマニサ赴任が決まるがマヒデブランは同行しないと高らかに宣言する。ギュルシャーはファトマの他にも宿敵であるニギャールの後をつけてイブラヒムへの妊娠報告を立ち聞きする。

2-71 地獄への道

ニギャールが妊娠していると知ったイブラヒムは激怒。しかも対策を話し合っていたところを立ち聞きされてしまう。マヒデブランの信頼を失ったギュルシャーは旧宮殿に追放されることに。ヒュッレムの命令で皇子メフメトの個室の準備を進めたニギャールは、マヒデブランの怒りを買って解任される。財務長官イスケンデルはイブラヒムと対立して罷免に。そんな中、ギュルシャーは必死でヒュッレムに連絡を取ろうとしていた。マ●ヒデブランに見限られ、宿敵ファトマとニギャールへの憎悪と無念を胸に起死回生の情報を得たギュルシャーは差し出せるものがあれば庇護するとのヒュッレムの発言を思い出す。ヒュッレムはイスケンデルと再び密談を持つ。ギュルがマヒデブランに進言して、ギュルシャーは即座にエスキサライ(旧宮殿)に送られる手筈となり、スンビュルがギュルシャーを拘束している前で、宿敵のファトマとニギャールに嘲笑される。ギュルがギュルシャーが至急ヒュッレムの面会を求めていたことを伝えなかった一方で、少しずつ大人の真似事をして頭角を現しつつあるミフリマーフがヒュッレムにメフメト専用の部屋を用意するよう助言する。スンビュルが閉じ込めたのは治療院だったため、ギュルシャーは医女を通して伝言を頼む。ギュルは愚かにもニギャールに医女が使者に発ったことを伝えてしまう。ニギャールはイブラヒムに走り書きを渡らせ、ギュルシャーを誘拐させる。イブラヒムはイスケンデルに横領で財をなしたと暴言する。イスケンデルは「蓄財は役職に依るものではなく家系に由来するもの。禁忌(ハラム)は犯さない。私は先祖代々のイスラム教徒です」と言い返すが、イブラヒムは度を失って皆の前でイスケンデルを締め上げて「地獄への道は歩きやすい」と脅迫する。なお天国と地獄はキリスト教独特の概念でありイスラム教には存在しない。マヒデブランはメフメトの部屋を封鎖し、反対したニギャールに横領の罪を告発して解雇する。チョバン宰相がスレイマンにイスケンデルの解雇が決定した旨を報告する。

2-72 どんでん返し

皇帝妃マヒデブランの後宮支配に業を煮やした皇帝妃ヒュッレムは、腹心の宦官ギュルと行動に出る。マヒデブラン妃に従う側女ファトマは、あの手この手で皇子ムスタファに取り入ろうとしていた。そんな中、母后が命を狙われる。暗殺は未遂に終わったものの、宮殿を揺るがす大事件に皆、動揺を隠せない。一方、行商人の女がヒュッレムを訪ねてやってくる。女の伝言を聞き、離宮へ向かったヒュッレムは、まさかの人物と対面する。
●母后の部屋に一同が会する中、マヒデブランは母后が崩御したら後宮の支配者は自分だと発言する。メフメトの部屋の取り上げに抗議するヒュッレムの訴えを聞いたハティジェはメフメトの部屋を用意したと機転を利かせて発言する。皇統の皇子に何よりも敬意を払っているためである。密かに好意を抱いているニギャールの濡れ衣の追放を決定したマヒデブランに反感を持ったギュルは情報の横流しをやめてマヒデブラン排斥を懇願する。夜伽に差し出された娘の誘導役をフィダンから取り上げたファトマは階段から転がして落とす。ギュルは情報の横流しで得た信頼で偽話をフィダンに信じ込ませ、母后の部屋まで案内する。ヒュッレムの部屋にハティジェとダイェが呼び寄せられるが、ヒュッレムは呼んだ覚えがないと主張し、母后が1人御寝されていることが気になり皆で急いで戻ることになる。そこには見張りの娘を殴り倒して絞殺用の長い紐を手にしたフィダンの姿があったのだった。激高するハティジェはフィダンを牢屋に閉じ込める。頭を冷やすにつれムスタファを考えマヒデブランをマニサ同行に同意させる。だが同行をスレイマンに奏上させる直前でマヒデブランが発言を変えてダイェを再任すると言う。実はニギャールから事情を聞いたイブラヒムが手を回したのだった。ニギャールの所業にあんまりだとギュルは訴えるがあなたのためだと言い返す。イブラヒムはヒュッレムに「手下は総入替えしたほうがいい足並みが揃っていない」と謎の言葉を残して去る。ニギャールがイブラヒムの手駒であることに気がついたヒュッレムは「私は”一度裏切れば何度でもやる”と言った。お前は否定した。でもまた裏切ったのね。裏切りの代償は払わせるから覚悟して」とニギャールに詰め寄る。その夜ヒュッレムは行商人を装った女から伝言を受け取る。翌朝、斧槍持ちのペルチェムに確認して離宮に向かう。そこには行方不明になっていたギュルシャーの暴行されて変わり果てた姿が待っていた。

2-73 暴かれる秘密

一命を取り留めたギュルシャーは、ヒュッレムに情報を提供する代わりに庇護を求める。後宮の運営権を得たマヒデブランは、ムスタファの地方赴任の準備の名目で贅沢品を購入。母后を計略の駒にしてハティジェの怒りを買ったヒュッレムは、自分が始めたケンカではないと言い放つ。後宮がさまざまな欲望に揺れる中、母后が回復の兆しを見せ、明るい空気に。ニギャール追放で空いていた後宮出納官は、スレイマン皇帝が直々に任命する。
●イブラヒムとニギャールに半殺しの目に遭いながらも一命を取り留めたギュルシャーは宮殿でヒュッレム付きになることを引き換えにイブラヒムの首が飛ぶ重大な情報を渡すという。マヒデブランの厄介者で疫病神のような女官で、浅薄で威張るだけが取り柄だが忠誠心には疑いようもないギュルシャー。しかしこのような姿で現れたことは明白に罠であるべくもない。ヒュッレムはニギャールの子の父がイブラヒムであるという重大な情報を得る。一方イブラヒムはイスケンデルを私怨から排除したくてたまらないことをスレイマンに見透かされる。ギュルフェムはマヒデブランの浪費に忠告する。ファトマはムスタファのお手付きになかなかなれないことを悩んでいる。ハティジェはニギャールとイブラヒムによって暴かれた母后を巻き込んだ計略に怒ってヒュッレムとは口も利かない。マヒデブランはスレイマンの夜伽に新しく入ったロシア人の側女を選ぶ。スンビュルはこれまでうまく立ち回りヒュッレムの決定的な敵にはならず褒め言葉は口にするがギュルのような手足に成り代わるような働きはしなて来なかった。だがムスタファの出立を控えてか珍しくヒュッレムにすり寄ってくる。ヒュッレムは「お前は私の味方か? 敵か?」と率直に尋ねるが、「私ごときがお妃様の敵などと」と当たり障りのない返答だ。スンビュルの望みが後宮に長く留まり願わくば高い権力を振るうことと見抜いたヒュッレムは「私と共に後宮の未来の一部になるか?」と訊き、ついにスンビュルを配下に置くことに成功する。ヒュッレムがニギャールの尾行のために雇った男は確かにイブラヒムとニギャールが密会しているところを目撃する。後宮の騒ぎが収まらずマヒデブランの浪費が続くことからスレイマンは誰に対しても公正で心優しいギュルフェムを任命する。スレイマンは市中に暮らしている乳兄弟のヤフヤを尋ねる。

2-74 偉大なる母后

後宮出納官に就任した皇帝妃ギュルフェムは皇帝妃マヒデブランの浪費を指摘する。皇帝スレイマンは、夢見が気になり、乳兄弟ヤフヤに占ってもらう。側女ファトマは、ずる賢く立ち回り皇子ムスタファの心を奪おうとする。おなかが目立ってきたニギャールは帝都を離れるが、道中、不審な者たちに襲われる。皇帝妃ヒュッレムは、母后を見舞い、これまで抱えてきた思いと共に、ある決意を伝える。その直後、母后の容体は急変し…。
●東方遠征で節約が必要なときに一皇子の赴任に年間予算を遥かに超える浪費をするとはとギュルフェムはマヒデブランに苦言を呈すが、身の程を知れ、余計な口を挟むなと高飛車な態度を取られる。スレイマンはヤフヤに母后の夢の見立てを頼みに来たのだが思わしくないものだった。帰りがけに困窮した市民を助けて礼としてメノウを受け取る。悩みや苦痛を取り去る宝石だ。ヒュッレムはニギャールの家を訪ね、旅支度をしているのを目撃する。かつてヒュッレムの顔を火で焼き、暴力的で怖いもの知らずのファトマはいつか皇帝妃になる夢を抱き、ムスタファに用意した側女を治療院送りにしているが自身は顧みられず焦眉の急で画策している。早くお手付きにならなければマニサ赴任に側女として参加できないからだ。ニギャールは出産する家に移動する途中で何者かに襲撃される。ギュルフェムに頼めないマヒデブランは財務長官イスケンデルを呼び出すが追加予算は承認されない。イブラヒムの名を出し食い下がるが手元に資金そのものがないという。ヒュッレムから依頼されているイスケンデルは巧妙にユダヤ人両替商への借金を勧める。イブラヒムは市中の自分の悪評を口にしている詩人フィガーニーを拘束するが、信仰告白を迫られる。軟禁されたニギャールは思わぬ人物との対面に向き合っていた。自分の告げ口により闇に葬り去ったはずのギュルシャーだった。全てを知ったヒュッレムは身体を動かせない母后を前に、実は母后はとうに知っているとも知らず、イブラヒムとハティジェの不貞関係を吹き込む。スレイマンが手に握らせていたメノウは母后の手のひらの中で漆黒に染まっていく。

2-75 新たな秩序

ヒュッレムがハティジェにイブラヒムの不貞を明かそうとした時、母后の容体が急変。スレイマン皇帝も後宮も悲しみに暮れていた。そんな中、皇子ムスタファの地方赴任の日が迫り、新たな秩序のもとで皆が再出発を模索する。ハティジェの帰りを待っていたヒュッレムは、ニギャールをイブラヒム排除のために引っ張り出す。イブラヒムは謎の人物の正体を調査。後宮を辞したダイェは、人知れず下働きの生活を始めていた。
●ヒュッレムがハティジェに真実を直接伝えようと大宰相邸を訪れたところでイブラヒム本人が割り込み、母后が亡くなったと告げる。宮殿中が黒い喪服で染まり、荘厳な葬式が営まれた。ギュルフェムがマヒデブランに代理職としての後宮の全権をそのまま引き継ぐようにと賜ったスレイマンの下命を伝える。マヒデブランは相変わらずの贅沢三昧である。ダイェはスレイマンの引き止めにもかかわらず、ギュルシャーにより土地財産を失っていても、宮殿の外のとある農場の片隅で重労働をしている。市中でスンビュルと会うが威厳を持って理由を話したがらない。ファトマはムスタファの寝所に連夜通っている。ニギャールは元の自分の家に監禁されている。アヤス宰相はフィガーニーを訪れて尊師の名を割るように勧める。ニギャールは逃亡を図るが失敗する。マヒデブランは母后の部屋に移住する準備をする。

2-76 自責の念

イブラヒムは詩人フィガーニーから得た情報をもとに“尊師”につながる人物を調べる一方、ニギャールの行方を捜す。母后の後継として後宮の運営を任されたマヒデブランは母后の部屋に移るため、改装に着手。それを知ったヒュッレムは心穏やかではいられず後宮出納官ギュルフェムに苦情を言う。母后の死を思い、自責の念に駆られていたダイェは悲劇の決断をする。匿名の不審な手紙を受け取ったハティジェは深く苦悩する。
●イブラヒムはフィガーニーが名を出した尊師への仲介者セイフィなる男を追う。ヒュッレムはギュルフェムにマヒデブランの母后への部屋への移動は尊き母后の思い出を汚す不敬行為だと印象づける。ファトマはマニサ宮へムスタファを1人で赴任させればヒュッレムがまた毒殺を仕掛けるやもしれないとマヒデブランに進言して自分を一行に加えるよう示唆するが、手放すつもりのなかったフィダンを出納官として行かせると言われる。ダイェは母后の形見の見事なルビーとダイアモンドのネックレスを農場の下女に奪われるが取り返す。マヒデブランは皆に知られぬよう真夜中にユダヤ人両替商のラケルを自室に迎えている。だが実はヒュッレムがイスケンデルを通して紹介した女商人なのだった。ダイェは夢の中で母后崩御の元凶であるニギャールの顔を見る。ヒュッレムはスレイマンにメフメトの部屋を何ヶ月も待たされているのに何故自分はすぐに母后の部屋に移るのだとこぼす。フィガーニーは見せしめとして市中の広場で公開絞首刑となる。イブラヒムはマトラークチュから尊師の場所が判明したとの報告を受ける。スンビュルはダイェを農場に訪ねるが「母后様の死は自分のせいだ、お力になれなかった」との無念を口にするばかり。全財産を喜捨しており進み望んでいた暮らしをしているのだった。母后の葬式に帝都を訪問中のハティジェの姉ベイハンはスレイマンにフェルハト宰相を処刑されたときのことを回想する。ヒュッレムと共に大宰相邸を訪れたスレイマンと話し、日にち薬で少しは楽になったが心に刻まれたことは消えないと訴える。ヒュッレムはナズルに命じてハティジェの宝石箱に書き付けの手紙を忍ばせる。マヒデブランは母后の部屋を上階の隅まで全て大掛かりに改変することに夢中になっている。主権建築官に伝えて専用の浴場の制作も命ずる。ハティジェは一同の談話の間を抜け出し、自室に戻り投書に気づき読む。不貞関係にある女の家の住所が記されていた。ダイェはスンビュルと会った夜更けに縊死を図る。最後の貴重品である母后の首飾りは農場の下女に取られぬよう、市中の物乞いに与えていた。

2-77 懐の蛇

イブラヒムの不貞を密告する手紙に書かれていた家に向かったハティジェは、おなかの大きなニギャールを見つけて衝撃を受ける。スレイマンは棒術の試合中にカッとなり、ムスタファを殴打。父帝と同じように息子の成長を喜べなくなっている自分に気づく。イブラヒムはついに尊師を追い詰めるが…。マニサ赴任を翌日に控えたムスタファは、弟たちやマヒデブランと別れを惜しむ。ハティジェはニギャールの子供の父親を調べることに。
●朝になりハティジェは記されていた住所を訪ねる。そこには追放されたはずのニギャールが大きな腹をして立っていた。ギュルフェムはスレイマンの意向により母后の居室の改修の停止を命じる。スレイマンはムスタファと棒術の対戦をしながら父帝セリムの「もはや無邪気ではいられぬ」という言葉を思い返していた。イブラヒムとマトラークチュは尊師のいるという教団の一角に向かっていた。そこには前大宰相ピリー・メフメトの息子アラウディンが鎮座していた。イブラヒムと対峙するがアラウディンは自決を選ぶ。その頃アヤスはイスケンデルと話している。尊師と思われていたアラウディンは実は尊師の存在を秘すために犠牲となった者で、真の尊師とはイスケンデルのことなのだった。ヒュッレムはスンビュルを通してイスケンデルからユダヤ人両替商ラケルに接触を取ってもらう。マニサ赴任を翌日に控えた前日の夜、ファトマはムスタファと過ごす。当日の朝マヒデブランはイブラヒムを訪ね金の無心をする。とうとう後宮の年間運営予算の数倍に膨れ上がっていた。イスラム金融では金の貸付に利息を取ってはいけないことがコーランで決まっているので金を借りることはできず、その分ユダヤ教徒の営む金融は利息が高いのだった。イブラヒムは数日中に女を消すので待つように言い渡す。

2-78 愛が壊れる時

皇女ハティジェは宮廷史家マトラークチュを呼び出し、ニギャールの腹の子の父親は誰かと問い詰める。マニサへ向かう出立式の日を迎えた皇子ムスタファは盛大に見送られて宮殿を後にする。ユダヤ人両替商から借金を重ね、首が回らなくなった皇帝妃マヒデブランは、後宮出納官ギュルフェムにも事情を知られ、窮地に陥る。ヒュッレムは大宰相イブラヒムの不貞の証人をハティジェに引き合わせる。ヒュッレムの逆襲が、いよいよ始まる。
●ハティジェはイブラヒムとともに尊師討伐から戻ったマトラ―クチュを捕まえて詰問する。マトラークチュは自分が父親だと主張するが、もし嘘なのであればお前も共謀者ね、とハティジェに言われる。イブラヒムはグリッティーがハンガリー玉座を目指して拘束され殺害された旨をスレイマンに伝えるが、スレイマンは「王位に執着した者の末路だな。己の出自を忘れ王朝を夢見た者の行末は戒めにせねば。イブラヒム宰相(パシャ)」と言う。スレイマンは常であればパルガ人と呼ぶ。明らかに当てこすりなのだった。イブラヒムは腹いせに「大宰相に口を出す者、暗殺を企てる者は震え上がるがいい」とイスケンデルに言う。後宮ではムスタファの出立の挨拶が行われる。ヒュッレムを呼び出したハティジェは真相を求める。ヒュッレムは証人としてギュルシャーを招聘する。スレイマンはムスタファとの別れに「貧困は最大の豊かさだ。最も恐ろしいものはおごりである。最も尊いものは高潔な人格だ」「愚か者やケチな者を仲間にするな。彼らは助けが必要なときに傍観するだけだ。利口でも悪人を仲間にするな。彼らは多少のものと引き換えに簡単に裏切る。嘘つき者を仲間にするな。彼らは蜃気楼のように言葉で遠くのものを近くに見せて操ってくる」と言って送り出す。マトラークチュはイブラヒムにハティジェに露見したことを伝える。鉢合わせたヒュッレムに「手下は総入れ替えするべきね」とやり返される。ユダヤ人両替商ラケルはマヒデブランに追い返される。つまみ出されそうになったラケルはギュルフェムの名を連呼する。追い詰められたマヒデブランはギュルフェムの妨害をファトマに命ずる。同じく追い詰められたイブラヒムはハティジェの前でニギャールとの不貞を告白する。

2-79 最後の勝者

ギュルフェムが後宮で襲われ、犯人が名前を出したことから、スレイマン皇帝はマヒデブランの命令と判断。マヒデブランは否定するが…。その頃、ヒュッレムの計略でニギャールとの不貞が露見したイブラヒムは、ハティジェと対面。後宮の運営を誰に任せるか、スレイマンはギュルフェムに相談。その答えはスレイマンの考えと一致していた。ヒュッレムは奴隷として宮殿に来た時の自分を回想。後宮だけでなく世界の支配者になると誓う。
●「あなたの職務は我が家族への奉仕。私こそ至高の帝国よ」と言われたときに愛は壊れたのだとイブラヒムは述懐する。ハティジェは姉ベイハンに支えられながら泣き通す。スンビュルがギュルフェムの救助に間に合い医務室に運ぶ。スレイマンは誰何(すいか)するがギュルフェムは答えない。「何様のつもりでマヒデブランを脅迫するか」と言われたと事実のみを答える。スレイマンはマヒデブランを呼び「お前に後宮を任せたとき予感はあったが機会を一度だけ与えたかったのだ」と後宮の全権者解任を言い渡す。意気消沈して廊下に出たところでイブラヒムを見つけ取りなしを頼もうとするが、こちらも気もそぞろの様子で頼りにならない。「長年のお世話に疲れました」と言われてしまう。自分の不貞の露見にも、手駒であるはずのマヒデブランの度重なる失態にも、辟易していたのだった。ヒュッレムには「何年も前に話した。私がお前を蹴落とすと。お前はやれるものならやってみろと言った。今もお前は奴隷。だが私は自由な女」と言われる。元はと言えばイブラヒムが奴隷市場で買い求め皇帝に献上した女がヒュッレムなのだった。とうとう後宮の全権を掌握して勝利の笑みを浮かべるヒュッレム。皇帝の正妻、絶世の美女、押しも押されもせぬ5人の皇統の母、かつて自分と子供たちに誓った通り、屈服させられひざまずかされ、隷属の証に裾に接吻させられた者をついに皆ひれ伏せさせたのだ。「後宮が何だ。私は世界を支配するのだ」

3-1 後宮の支配者

かつて地中海の大海賊であり、先帝セリム1世から州軍政官に任じられたフズル・ハイレッディン、通称バルバロスの船が大海原を進んでいく。難破船に遭遇したバルバロスは、ペルシャ語を話す女を助ける。一方、トプカプ宮殿では、ついに後宮の頂点を極めた皇帝妃ヒュッレムが、感慨深げにテラスからボスポラス海峡を眺めていた。そんな中、鬼気迫る表情で皇女ハティジェが参内する。
●波間に一命を取り留めたペルシャ人らしき女が漂っている。海賊出身のフズル・ハイレッディンは女の若さと美貌を見てムスリムでないことを確かめると部下に保護を命じる。イスラム教徒を奴隷にすることはできないからだ。その頃トプカプ宮ではヒュッレムが全権掌握の祝賀として身銭を切って大盤振る舞いする一方で、ハティジェがイブラヒムと離縁する噂が飛び交っていた。ヒュッレムはスンビュルに政治高官の情報を集めさせ、手付けを配り、外交団に接触するよう命じる。ハティジェは意を決してスレイマンに話に参内する。イブラヒムは逃げ去るように東方遠征への出陣を命じる。地下牢にいるニギャールはイブラヒムの使者の接触を得る。マニサのフィダンはムスタファの夜伽の準備をする。メフメトは元ムスタファの個室を与えられる。リュステムが主馬頭に任命される栄誉に浴す。忠誠心の高さを見て取ったスレイマンは戦場のイブラヒムへの配達物を命じる。

3-2 結託

後宮の支配者となったヒュッレムは、亡き母后の部屋を自分のものにしようと画策していた。空室のままにするというスレイマン皇帝の意思と慣例に反したヒュッレムの行いを阻止すべく、ハティジェ皇女、マヒデブラン、出納官ギュルフェムは策を練る。遠征中のイブラヒムは宿敵の財務長官イスケンデルと一触即発の状態に。その頃、帝都には“赤ひげ”ことフズル船長が到着。大海賊だったこの軍政官をスレイマン皇帝は盛大に迎える。
●セルジューク朝の時代からペルシャはずっとオスマン帝国が西欧を向くと反乱に立ち上がる。今は首領タフマースブが反旗を翻している。同じイスラム教文化圏を武力でもって制圧することにイスケンデルは乗り気ではない。イブラヒムは血と死を求めるかのように戦いに身を投じていく。側近のマトラークチュやチョバンも心配している。主馬頭の主要な仕事は国中の伝達包囲網を把握することである。リュステムは戦場のイスケンデルからの文をヒュッレムに手渡す。そこにはリュステムは信頼に足る有能な男であるとの推薦が書かれていた。スレイマンは御前会議にてアヤス宰相に地中海を掌握するフズルの到着を盛大に用意するよう命じる。フズルはスレイマンに地中海の要所アルジェ(現在のアフリカ大陸のアルジェリア)の鍵と奴隷女を献上する。ヒュッレムは母后の部屋を得るべく奔走し、到着した奴隷女を検分し、美人は自分付きにするよう手を回す。ハティジェは自分の結婚を割いた一端にヒュッレムを逆恨みして自分と同様にスレイマンとヒュッレムの間に女を割り込ませるべく策を練る。また自分が育った厳格な規則を遵守していた後宮に戻すためにギュルフェムに引退を勧告する。

3-3 激突

出産を間近に控えた元女官長ニギャールは、大宰相イブラヒムの使いクドレットの手引きにより屋敷の牢から逃亡を図る。マニサでは、皇子ムスタファが悪徳高官の処刑を執行していた。一方、遠征中のイブラヒムに皇帝からの下賜品が届く。それは皇帝がモハーチで奇襲を受けた際に身に着けていた甲冑だった。宮殿では、皇帝に越権行為をとがめられた皇帝妃ヒュッレムが、ついに強硬手段に出る。
●ムスタファは順調に軍政官としての仕事をこなすがマヒデブランの苦境を伝え聞く。ヒュッレムはスレイマンの乳母アフィフェが後宮出納官の任命されたことを知り、荷物をまとめ母后の部屋へ移住を決行する。抗議に乗り込んだハティジェの暴言に怒り「ご立派な皇女様より平凡な女官がいいだなんてプライドが傷つきますわね。大宰相の地位が惜しくて離れないだけですものね」とやり返す。愛よりプライドよりヒュッレムへの復讐の憎悪が勝ったハティジェはイブラヒムとの離縁を撤回する。ヒュッレムはミフリマーフの狩りの館への旅行に同行する。戦場のイブラヒムへスレイマンから死を意識した日の鎧が届けられる。だがイブラヒムの無鉄砲は収まらず配下の君侯まで叱責のために殺害する始末。イスケンデルはアゼルバイジャン軍政官ウスマーと接触する。ウスマーはかつてイブラヒムからシェリフ・ハンの首を上げなければお前の首を取ると脅迫されていた男だった。

3-4 手ごわい女

母后の部屋を求めるヒュッレムと、慣例に従い空室にすると命じたスレイマンは険悪な状態になっていた。その頃、後宮には新たに奴隷となった娘たちが到着。その中にはフズルに連れてこられたフィルゼも含まれていた。後宮に秩序を取り戻すために呼ばれた皇帝の乳母アフィフェは、早速厳しい取り締まりを開始。遠征中のイブラヒムは野営地で詩を詠む兵士と知り合い、マニサにいるムスタファは狩りの最中に若い娘と出会う。
●ヒュッレムはイスケンデルへの伝令をリュステムに依頼する。完璧な筈のリュステムだが、ふいに乗馬中のミフリマーフが怪我をしてしまう。責めを問われる途中でミフリマーフが遮り機転を利かせる。母后の部屋のことで口論になっている件についても、お母様の部屋が欲しかったの、と言い張り、目の中に入れても痛くないほど可愛がっている小さな皇女のためにスレイマンは矛を収める。イブラヒムは戦時下にタシュルジャルという詩人と親交を結び始める。反乱の同盟勢力が次第に力を持ち盟主に成り上がっていく様を見つめるイブラヒムはまるで皇帝の称号に見合うようだとの着想を得る。ムスタファはお忍びでの狩りの最中に村娘ヘレナと出会う。新しい後宮出納官アフィフェがトラブゾン宮から到着して早速厳格な規則を適用し始める。

3-5 難敵

皇帝妃ヒュッレムの命令により、幽閉中のニギャールを逃がす計画が実行される。だが、ニギャールの体調に異変が起こり…。一方、皇帝から海軍提督に命じられた元海賊フズルが大宰相イブラヒムの野営地を訪れ、イブラヒムに1枚の婦人画を贈る。宮殿では、新任の後宮出納官アフィフェの主導で、近く遠征へ向かう皇帝のために宴を催す計画が秘密裏に進められていた。だが、その事実を知ったヒュッレムは…
●イブラヒムの元にフズルが訪れて語り合う。征服すべきアフリカなどの大洋側の新世界のことや世界一の美女ジュリア・ゴンザーガのことまで気が合い、現在のオスマン帝国での身分を遥かに超えた野心を隠して行動していることをお互いに鋭く感じ取る。フズリが地中海から救出したペルシャ人の女フィルーゼはお稽古で優美な楽器である琴をあてがわれるが聞くに耐えない演奏をする。だが深夜に片付けの仕事をしている途中で誘惑に勝てず1人で美しく演奏する。ハティジェはアフィフェを呼び、スレイマンの遠征前の宴の準備を命令する。アフィフェは宦官キラズと共に夜伽の側女を選ぶ中でフィルーゼを指名する。タシュルジャルがイブラヒムの暗殺を防ぐ。ムスタファは村娘ヘレナとの牧歌的な恋に惹かれていく。ギュルシャーはリュステムに惹かれている。ニギャールの出産が始まる。夜伽の件を知ったヒュッレムは宴を開くのに私の許可が求められなかったとアフィフェに指摘する。

3-6 見染められた娘

遠征中に野営地で命を狙われたイブラヒムは、自分を救ったタシュルジャルに信頼を寄せるように。暗殺に失敗したイスケンデルは、進軍先を変えさせようと策を巡らす。その頃、ニギャールは難産の末に赤ん坊を出産するが、衝撃の事実を伝えられ…。トプカプ宮殿では新任の後宮出納官アフィフェの主導でスレイマン皇帝のための宴が準備されていた。踊りを披露すべく秘密裏に選ばれた側女たちの中には…
●暗殺失敗したイスケンデルはウラマーを使ってイブラヒムの信頼する者を騙って偽の情報を掴ませて進軍方向を変えようと目論む。出産が終わったニギャールは赤子は死産だったと聞かされる。スレイマンはムスタファを出征させず皇帝代理に据えて帝都を守らせる。スンビュルはヒュッレムに命じられて宴に参加する側女を確認しようとするが、アフィフェに阻止される。かくして宴ではアラビア風の魅力を持つフィルーゼがスレイマンに見初められる。

3-7 運命の導き

大宰相イブラヒムの失脚をもくろむ財務長官イスケンデルは、皇帝に書簡を送り、ペルシャに新王国を建てるという彼の野望を告発する。皇帝妃ヒュッレムは皇帝から紫色の手巾を受けた側女を特定しようと躍起になっていた。一方、マニサで、皇子ムスタファは商人アッバスが村の娘ヘレナたちが作った絨毯を安値で買い取り、搾取していることを知る。野営地ではイブラヒムのもとに敵についての有力な情報が届き…
●赤子は娘だったと聞かされたニギャールは「お前のように切れ長の目で鼻の愛らしい女の子がいい」と睦言を聞いた日のことを思い返しながら自殺未遂を起こす。バグダッドに進軍予定だったところへ進軍方向を揺らがしかねない有力情報が届く。イスケンデルが周到に用意した偽の情報なのだった。イスケンデルはまた帝都のスレイマンにイブラヒムがペルシャに新王国を樹立する構想を抱いているとの告発文を届ける。大ペルシャ国家の設立に心を惹かれるイブラヒムは7万の軍勢を率いて急遽タブリーズ(ペルシャ)への進軍を決定する。フィルーゼは夜伽に祖国の伝説の鳥ブーティマールの髪飾りで美しく装う。ムスタファはヘレナの家が絨毯職工をしており、悪徳商人の不当に安い買付額で買い叩れ、法官もグルになって見て見ぬ振りしていることを知る。スレイマンはイブラヒムの元から戻った海軍提督フズルにペルシャ新国家設立の是非を問うが、フズリは強大な権力すぎるため致命的になる危険も伴うと返答する。

3-8 魔法の手

側女フィルーゼはスレイマン皇帝から紫の手巾を受け取り夜伽を務めた。それが許せないヒュッレムは、誰が召されたのか執拗に探る。ハティジェとマヒデブランはフィルーゼを守るため、ある計略を実行するが…。ヒュッレムが嫉妬の炎に焼かれている頃、息子のジハンギルが体の痛みに苦しみ出す。しかしフィルーゼが触れると不思議と泣きやむのだった。遠征中のイブラヒムは重大な決断に関してワナが仕掛けられていたことに気づく。
●ギュルシャーは夜伽の側女がミフリマーフ付きだとの情報を得る。だがどの側女であるかを聞き出す前にファトマに邪魔される。ミフリマーフの部屋に行くも間違えてナディアと勘違いする。ムスタファは素朴なヘレナに惹かれ、ヘレナも少しずつ想いを返すようになる。ジハンギルが再び夜中に泣き出すようになり弱り果てたところにフィルーゼが解決策として軟膏の調合を提案する。ヒュッレムはフィルーゼに治療院への出入りを許可する。バグダッドのサファーヴィー朝の王(シャー)タフマースブは進軍がこちらに来なかったことから好機と見做す。弟サームと湖を渡り一気に首都タブリーズに移動して合流し、一気にイブラヒムを叩き潰す作戦に出る。

3-9 スルタン・イブラヒム

皇子ムスタファが皇帝代理を務めるためにマニサから戻ってくる。遠征の準備が整う中、主馬頭リュステムがヒュッレムに思いがけない贈り物をする。遠征前、皇帝スレイマンは側女フィルーゼとひとときの逢瀬を名残惜しんでいた。一方、ヒュッレムは夜伽を務めた側女がナディアであることを疑わず、皇帝の不在中に排除しようと考える。そんな中、タブリーズを掌握した大宰相イブラヒムが、皇帝を意味する“スルタン”を自称し…
●皇帝代理となったムスタファがトプカプ宮殿に戻る。リュステムはニギャールを捕らえヒュッレムの前に連行する。スレイマンは出征前の挨拶を交わして出立する。タブリーズを陥落させたイブラヒムは書記官ジェラールザーデの前で「セラスケル・"スルタン"・イブラヒムが命じる――」と名乗りを上げて一同を驚かせる。総司令官であり”皇帝の”イブラヒム、という意味なのだった。イスケンデルは遺憾な面持ちで見やる。スレイマンはアヤスとリュステムを伴い戦勝祈願のため、オスマン中央南部のコンヤにある旋舞セマーで知られるイスラム教神秘主義メヴレヴィー教団の総本山を訪れる。なんと言っても今回の東方遠征は同じイスラム教徒同士の戦いであるためだ。イブラヒムもタブリーズの略奪を”スルタン”の名において禁じる。

3-10 陰謀には陰謀を

ハティジェたちの思惑どおり、スレイマン皇帝の寵愛する娘をナディアだと思い込んだヒュッレムは、嫉妬の炎に焼かれるまま恐ろしい策略を仕掛ける。宿敵イスケンデルの陰謀で苦戦を強いられていたイブラヒムは、陰謀には陰謀で返すべく、ある計画を実行する。ハティジェはイブラヒムから届いた愛の手紙を読んで心の折り合いをつけようとしていたが、後宮に現れた人物を見て目を疑う。
●ファトマはムスタファがヘレナに恋い焦がれていることも知らず喜び迎え出る。夜伽を務めた女への嫉妬に焼け付くような痛みを覚えながら、ヒュッレムは遠征中に始末する決心を固めている。翌朝、側女の大部屋にナディアの首吊り死体が吊るされているのを側女たちが発見して大騒ぎとなる。フィルーゼは自分の身代わりとなったナディアを愕然と眺める。スレイマンは伝令からイブラヒムが”スルタン”を名乗っていることを知る。ヒュッレムはナディアに手を下しただけでは飽き足らず、ハティジェを苦しめるためにニギャールと宮殿に戻す。フズルはチュニス(現在のチュニジア)攻略の前にムスタファに面会を求める。

3-11 皇帝の恋文

ニギャールの存在が許せないハティジェ皇女は後宮出納官アフィフェに連行を命じるが、皇帝妃ヒュッレムの巧妙な論法に屈し、引き下がらざるを得なくなる。そんな中、宦官長がスレイマンの手紙をヒュッレムに届ける。顔をほころばせるヒュッレムだったが、読み進めるうちに顔色が変わり…。一方、遠征地にスレイマンが到着。大宰相イブラヒムの傲慢な言動を把握していたスレイマンはお目通りを願うイブラヒムを拒絶する。
●アフィフェはハティジェに命じられてニギャールの引き渡しを要求する。ニギャールはスンビュルにヒュッレムの忠実な下僕になった理由を尋ねる。ギュルシャーがアフィフェに口答えしている場面に出くわしたヒュッレムは謝罪させる。地中海への航海に戻ったフズルは手下にジュリア・ゴンザーガの拉致を命令する。地中海だけでは飽き足らず、アフリカなどの新世界側の大洋を、ペルシャ新王国のスルタンになっているはずのイブラヒムと共に暴れまわるための条件として世界一の美女の献上が条件として提示されたからだ。スレイマンはイブラヒムと合流する。イスケンデルはここぞとばかりスレイマンに奏上するが逆に讒言と取られて叱責を受ける。ヒュッレムはスレイマンからの恋文を受け取るが、それはヒュッレム宛てではなかった。だが宛名の女の名はハティジェによって塗りつぶされていた。タフマースブはスレイマンに和平を申し出るが、返答は交戦か降伏の要求で「獅子の不在時に狩りをする狐を勇敢だと思うな」と痛烈に当てこすられていた。東方遠征が一段落したところでスレイマンはイブラヒムの不貞についに対峙する。

3-12 宿敵の処刑

スレイマン皇帝の怒りを買ったイブラヒムは、不和の原因を作った宿敵イスケンデルを告発。軍の窮状の責任と横領の罪を問い、裁判に追い込む。イスケンデルを慕うリュステムはイブラヒムへの憎悪を募らせることに。後宮ではヒュッレムが“皇帝の女”を血眼で捜していた。その張本人であるフィルーゼがハティジェ皇女と話しているところを目撃した者がいて…。ヒュッレムは邪魔者を排除しようとニギャールと恐ろしい策略を練る。
●ハティジェから離縁は回避されたことを知ったイブラヒムはマトラークチュに嬉しい以上に悲しいとの素直な胸中を打ち明ける。ギュルシャーは単独行動が起こして失態したことをアフィフェに知られたヒュッレムは激怒する。戦場のリュステムはハティジェの密使による手紙を発見して破り捨てる。イブラヒムはバグダッドでも勝利を挙げるも軍資金と人名が失われた汚名を補佐官イスケンデルに着せ告発する。スレイマンは裁判を提案する。名誉挽回しようとハティジェとフィルーゼの話を立ち聞きしたギュルシャーは例の女がフィルーゼであることを知り投獄される。ニギャールは監禁状態が逆転したかようなギュルシャーをいとも簡単に手玉に取る。イブラヒムはイスケンデルと共謀していたウラマーに不利な証言を強要する。イスケンデルは極刑を免れ得ないことを感じリュステムに最後の意思を伝える。ウラマーと財務局書紀アリに手を回して証言を変えさせた不平等裁判だった。裁判の結果、無実のイスケンデルが絞首刑となる。処刑の様子をスレイマンは厳しい顔つきで眺めていた。スレイマンがリュステムと忌憚なく話す様子を見たイブラヒムは初めてリュステムを意識する。その夜スレイマンは枕元に立ったのはイスケンデルの夢を見て飛び起きる。実は激しい気持ちを隠し通して「私に無実の男を殺させたな、イブラヒム。お前も同じ道を辿るがいい」と燃えるような憤怒を胸中に秘めていたのだった。側近くに控えていたリュステムもまたそれを知る。

3-13 帰還

自分が処刑されることを恐れた女官ギュルシャーは、ニギャールの口車に乗り、愚かな凶行に及ぶ。事件には皇帝妃ヒュッレムの関与が疑われたが、決定打はなくうやむやになるのだった。月日は流れ、皇帝スレイマンと大宰相イブラヒムが東方遠征から帰還する。スレイマンは見違えるほど成長した子供たちとの再会を喜ぶのだった。そんな中、ヒュッレムと側女フィルーゼは、美しく着飾り、それぞれの部屋で夜のお召しを待っていた。
●命を助けて逃がす条件としてハティジェの暗殺を強要されたギュルシャーは愚かにも決行してしまう。ハティジェに馬乗りになったところでニギャールが背後から近づいてギュルシャーを口封じに始末する。助け出されたハティジェと窮地に立たされたヒュッレムの双方が、ニギャールのほうを振り向きながら退出する。マヒデブランにもギュルシャーの最後に思うことがあるためか「お前はギュルシャーより惨めに死ぬ」と吐き捨てるように言われる。後宮はスレイマンとイブラヒムの凱旋が伝えられ浮足立つ。ミフリマーフは美しく成長していた。ファトマはムスタファの子を解任していた。ニギャールはこのときを待っていた。ヒュッレムが秘密に気付いたらお前を消すとフィル―ゼを焚き付ける。

3-14 2人の皇子

成長したメフメトは歩兵常備軍の入隊式を迎える。兄ムスタファは喜ぶが、ヒュッレムとマヒデブランは皇子の母親同士で火花を散らしていた。スレイマン皇帝が遠征から戻ってもお召しがないフィルーゼは恋しさに身を焦がす。ムスタファの子を宿したファトマは幸せにはち切れんばかり。それをうらやましそうに見るニギャールには、イブラヒムとの不義の罰が下る。その頃、マニサでは村の娘ヘレナがムスタファの帰りを待ちわびていた。
●ミフリマーフは中庭の散策中にタシュルジャルと出会う。メフメトはイェニチェリへの入隊式を希望する。ハティジェはニギャールの処遇を決める。再度結婚させるというもので、ムスタファの子を宿したファトマに「結婚できるだけ有り難く思わなきゃ」と嘲笑されて頭に来たニギャールは嫌味とも脅迫とも取れる言葉をかけて去る。マニサでは村娘ヘレナが父親の借金の片に悪徳商人アッバスと婚約させられそうになっていた。ヘレナは本当の名も身分も行方も知れないムスタファのことを思わずにはいられない。メフメトの入隊式が麗々しく執り行われる。

3-15 側女の告白

皇女ハティジェは大宰相イブラヒムと言葉を交わすことも拒んでいた。皇帝代理の役目を終えた皇子ムスタファが皇帝妃マヒデブランと共にマニサへ発つ日が近づき、夕食会が開かれる。だが、皇帝スレイマンは出席せず、フィルーゼとの逢瀬を楽しんでいた。扉の外から2人の笑い合う声を聞いた皇帝妃ヒュッレムは嫉妬で体を震わせる。一方、入隊式を終えたメフメトのために夜伽を務める側女の選定が進められ、ある娘に白羽の矢が立つ。
●フィルーゼはミフリマーフがタシュルジャルに惹かれていることを知り、橋渡し役を買って出る。皇帝代理の役目を終え、メフメトの入隊式も済み、ムスタファとマヒデブランがマニサへ戻る日が近づいている。メフメトも地方赴任を望む。後宮に戻るなりハティジェとヒュッレムの小競り合いや諍いに疲れたスレイマンはフィルーゼを召す。夜伽のあったことを知るヒュッレムは嫉妬の業火に苛まれる。思い出すのは「もう若く美しい婦人ではないわ」とのハティジェの言葉。容色の衰えが気になり始める。マヒデブランとの別れの言葉にも自然と愁傷さがにじみ出る。タシュルジャルはムスタファと共にマニサに発つ。メフメトの成人に伴い、夜伽の側女を選ぶにあたってヒュッレムはフィルーゼこそ例の女だと知る。あまりの仕打ちに決然としてスレイマンの部屋に踏み込むが、ヒュッレムは卒倒してしまう。スンビュルはニギャールが長年知っていたことに気づき話を聞くが、例によって煙を巻くような弁解と真実と嘘を織り交ぜた話の上手さで、誤解を正解と思わせて面従腹背巧みに操っていたことを知る。

3-16 愛の終わり

スレイマンの寵愛を受けていることが公になり、フィルーゼは仲間たちから祝福される。しかしヒュッレムから恐ろしいほどの憎しみを向けられ、スレイマンの前で涙する。マニサ宮殿に到着したマヒデブランは、皇太子時代のスレイマンと過ごした愛しい日々を思い出して胸がいっぱいに。イブラヒムはハティジェとの仲を修復しようと昔の手紙を暗唱するが…。ムスタファの思い人ヘレナは、極悪商人アッバスとの婚約に追い込まれていた。
●常であれば美貌を生かしてスレイマンの腕の中で涙ながらに訴えるのはヒュッレムの筈であった。ご寝所に上がるなり気絶したヒュッレムの様に後宮の異変を感じ取ったスレイマンはアフィフェを呼び出して「後宮を保てと言ったはずだ。理由が何であれ醜悪な計略に加担するな」と初めてきつく叱責する。リュステムはスレイマンにイスケンデル派である自分はいずれイブラヒムから粛清の憂き目に遭うと奏上する。イブラヒムに確認するが「帝国の大宰相を侮辱し、陰口を叩く者は不要です。私は陛下の絶対的代理人なのですから」との弁だった。ミフリマーフと共にいたフィルーゼを見たヒュッレムは思わず声を上げる。フィルーゼはスレイマンの寝所で涙ながらに窮状を訴える。イブラヒムとハティジェは狩りの館に旅行に行き心を近付ける。イスタンブールの法官エブッスードが市中の視察に出る。

3-17 トルコ石

皇帝の寵愛を奪った側女フィルーゼが許せない皇帝妃ヒュッレムは、ある計略を巡らせていた。大宰相イブラヒムは、リュステムとヒュッレムの結託を恐れ、何とかリュステムを遠ざけようとする。マニサでは遠征から戻ったムスタファと村の娘ヘレナが再会する。帰りを待ちわびていたヘレナはムスタファの無沙汰をなじるのだった。一方、イスタンブールの法官の悪評が皇帝の耳にも入り、召喚して、事実関係を問いただすことになる。
●事態を知ったミフリマーフはフィルーゼの個室を訪れる。ヒュッレムが嘆き悲しむ姿を初めて見たミフリマーフは「陛下の側女として何をしても構わない。だがお前は私たちの懐に入り名乗り出ず欺いた。その失態だけで私には十分」と述べる。厳かな気品に満ちた姿にフィルーゼは縮こまる。スレイマンは自室でトルコ石(フィルーゼ)の宝石装飾に注力している。イブラヒムはフィルーゼを呼び後見役を申し出る。ジハンギルはフィルーゼを恋しがる。ヒュッレムとリュステムはフィルーゼの排除に関する共謀をする。2人の結託を恐れるイブラヒムはリュステム排斥が既に失敗しているため、せめて中央政権から遠ざけるべくテケ県軍政官への昇進を言い渡す。スレイマンはチョバンに命じてイブラヒムが任命及び解任を行った抄録をまとめ上げさせる。スレイマンに奏上する機会を得たチョバンはイスタンブールの法官が悪徳裁判を行っていると付け加える。マニサに戻ったムスタファはヘレナと再会する。イブラヒムは政争による罷免は素早く行動する割に、大切なイスラム法に則った遵守がなされているかどうかについては後回しで調査が滞っていることを知ったスレイマンは自ら調査に乗り出す。

3-18 わだかまり

スレイマンと愛を交わし、詩を詠み合うフィルーゼ。2人の仲むつまじい様子を盗み見たヒュッレムは、恐ろしい計画を実行に移す。フィルーゼは周囲の制止も聞かずに単身ヒュッレムの部屋に乗り込んでしまい…。ハティジェはイブラヒムに思いの丈をぶつけることに。その頃、ニギャールはヒュッレムとハティジェの間で隠密行動を繰り返していた。イスタンブールの法官を呼び出したスレイマンは、正義を貫く法官の姿勢に感銘を受ける。
●エブッスード師の父もまた賢者で先帝セリムに仕えていた。小麦粉で作るはずのパンに大麦を混ぜて作ったパン屋の罪に適用される処罰は法令集には書いてはいない。もし全ての罪に対応する処罰があるのであれば法令集がありさえすれば誰でも法官になれる、だがそうではない。法令にない場合は良心に従って裁く。法にも良心にも依らず不正に人を裁いた場合は死後の世界で業火に焼かれる。このように述べた。深いイスラム法への知識と敬愛を見て取ったスレイマンはエブッスードに褒め言葉を下賜する。イブラヒムはその様子を敵視する。ハティジェは結婚指輪をはめる日が来たとイブラヒムに宣言する。ヒュッレムはフィルーゼの食事に睡眠薬を混ぜて眠ったところをリュステムにバルコニーから落とさせようとするがニギャールに阻止される。ヒュッレムはニギャールを問い詰めるがまた二枚舌で言い抜けられてしまう。命が狙われたことに気付いたフィルーゼは単身ヒュッレムの部屋に乗り込み啖呵を切って脅迫する。アフィフェが顔色を変えてお妃様であるヒュッレムに謝るよう叱りつける。

3-19 隠された真実

皇子ムスタファは素性を隠して村の娘ヘレナの父親に会う。大宰相イブラヒムはリュステム排除を画策するが思うように事が進まない。そんな中、イブラヒムの部屋にニギャールが現れ、皇女ハティジェに赤子を殺されたと訴える。一方、裁判を傍聴した皇帝スレイマンは、法官エブッスードの手腕を見込んで、あることを依頼する。狩猟の館へ行く準備をしていた皇帝妃ヒュッレムは宦官長から衝撃の事実を聞かされ、がく然とする。
●ムスタファはヘレナの父から婚約が決まっていることを聞かされる。ムスタファが村娘に夢中になっていることを知ったマヒデブランは反対の声を上げる。スレイマンとフィルーゼが中庭を散策していることを知ったミフリマーフは2人の間に入り、娘である自分との時間を作ってくれるよう父帝の約束を取り付ける。イブラヒムがリュステムの命を狙っていることを知ったニギャールは真夜中にリュステムの家を訪ねて結託を持ちかける。イブラヒムはハティジェとの仲直り晩餐会でメフメトにフズルからの献上物であるティツィアーノによるジュリア・ゴンザーガの絵を贈る。イブラヒムの抱擁の中ではハティジェはイブラヒムとニギャールの娘の面影を思い浮かべる。スレイマンは身分を隠してエブッスードの裁判傍聴に出かける。まさしく不貞行為についての裁きだった。見事な判決を聞いたスレイマンはエブッスードの見事な自宅の庭を訪れる。花も人も適量な水や正義がなければ枯れてしまうとの言葉に胸を打たれたスレイマンは、現在の帝国の法律を調べて足りないものを明らかにするよう頼む。

3-20 命を賭けた愛

狩猟の館への同行を許されなかったヒュッレムは、息子のジハンギルも行かせようとしない。それを知ったミフリマーフは、ヒュッレムが一緒でなければ自分も行かないとスレイマン皇帝に直訴する。フィルーゼへの憎悪を募らせるヒュッレムは邪悪な秘策を練る。そして、ついにフィルーゼを追い詰め…。その頃、マニサではムスタファの思い人ヘレナが皇子の後宮へ。皇子の正体を知らないヘレナは愛する人を思い、心を痛めていた。
●スレイマンとイブラヒムは法改正の方向性を話し合う。ヒュッレムはスレイマンと子供たちの狩りの館への旅行に同行を許されなかったことを知る。それを知ったミフリマーフも旅行を取りやめる。ムスタファに返り見られないファトマはフィダンに愚痴を言う。ヒュッレムはフィルーゼを呼び出し絞首台の前に立たせて首を締めるがすぐに解放し、お互いにスレイマンの心を失ったほうが猛毒をあおって死ぬ、という賭けを取り付ける。ヘレナはついに悪徳商人よりはましであろうムスタファ皇子の後宮に正体を知らぬまま入るがフィダンやファトマの冷たい視線にさらされる。ギリシャ系で純朴で貧しい娘ながら身分も知らずに愛した真っ直ぐな情熱をムスタファ皇子に向けるのだった。ファトマはマヒデブランにまで泣き言を言う。

3-21 皇帝の憂い

フィルーゼを恫喝して心を晴らしたヒュッレム。だが、あくまでもフィルーゼを守ろうとする後宮出納官アフィフェの態度に業を煮やす。一方、大宰相イブラヒムはフランス王の大使と面会。宮殿へ戻った皇帝は法官エブッスードから現行法の問題点について意見を聞く。その頃、ヒュッレムは、またもやハティジェ皇女とイブラヒムにワナを仕掛けていた。皇帝は部屋に籠もりきりのフィルーゼを訪ね、首に残っていた赤いアザを見て驚く。
●ヒュッレムは後宮がハティジェ主導のもとアフィフェが総力を上げてフィルーゼを扱ってきたことについて、アフィフェに「お前のどこが公正? それはどんな正義?」と抗議する。「ハティジェ皇女、イブラヒム大宰相、母后、マヒデブラン、皆が私を冷血、魔女、妖術使い、毒婦、と呼び、何度殺されかけたか分からない。追放され処罰も受け、それでも皆が私への仕打ちには口をつぐみ誰一人語らない。フィルーゼはその皆を味方に付けた。皆が結束してあの者を守り、私の懐に忍び込ませ、私を笑い者にした。これがお前の公正なの? アフィフェ」と語り、アフィフェは目をそむけてしまう。マトラークチュが歴史戦記を書いていることを知り、イブラヒムは自分の遠征記の執筆も依頼する。スレイマンは狩りの館でメフメトと真剣で手合わせをする。ヒュッレムは以前スンビュルに頼んでいた、国内外の要人についての調査結果を受け取る。ヘレナはムスタファに他に妃がおり、しかも解任していることを知る。ミフリマーフは宦官ズムルトを使い、タシュルジャルへ手紙をやる。フィルーゼは宦官キラズから木曜はイスラム教における家族で過ごす安息日なので夜伽はないことを聞き出すと何やら考えを巡らせる。スレイマンが狩りの館から戻り、ミフリマーフは母上の嘆きが不憫で狩りの館に遊びに行けなかったの、もちろん母上はお怒りになったわ、と愁訴する。ヒュッレムとともに大宰相邸を訪れたスンビュルは宮殿の子守係を見つける。すでにハティジェの双子も大きく医女でもないことから不審がる。ヒュッレムはイブラヒムの密会現場の密告にきたのだった。スレイマンはフィルーゼの首筋に残る跡に気付く。

3-22 新たな手札

神聖な木曜の夜にご寝所に向かったヒュッレムだが、スレイマン皇帝に門前払いされてショックを受ける。スンビュルはハティジェの家で見かけた産婆を尾行。着いた先には小さな女の子がいた。スレイマンは法改正に本格的に着手。一方、ヒュッレムは宗教寄進を行おうと考える。ニギャールの結婚相手が決まり、後宮における情勢がめまぐるしく移りゆく中、ヒュッレムは卑劣な権謀術数を巡らし、イブラヒムに揺さぶりをかけようとする。
●神聖な木曜の家族の日にフィルーゼを寝所に上げ、自分は帰されたことからヒュッレムはフィルーゼとの賭けに負けたと思い込む。かつてマヒデブランが木曜に上がろうとも手も触れられることもなく過ごされていた日。自分がいつしかマヒデブランから奪った日。自分の血のつながった家族は一体にどこにいるのだろう? ルテニアで死んでしまった者たちだろうか? 絶望から頭の冠を外しバルコニーで猛毒をあおろうとした瞬間、アフィフェの手が伸びて毒を奪い、命を救われ、あのあとフィルーゼは部屋に帰され夜伽はなかったと聞かされる。アフィフェは命を賭けたヒュッレムの誠実こめた強い愛情と神聖な木曜に準ずる信仰心を知り、真のお妃様であると信じるに足ると知ったのだった。マヒデブランはタシュルジャルにムスタファの側近として戒める。ヒュッレムはスレイマンに宗教寄進(ワクフ)として政府高官の妻を集め金銭的物質的ではなく精神的な協力による救貧院の建立を希望する。スンビュルは子守係の跡をつけてニギャールの子が生きていることを知る。ニギャールはイブラヒムとハティジェにリュステムとの結婚を希望する。ヒュッレムはイブラヒムにニギャールとの子の居場所を知っていることを匂わせる。

3-23 運命(カデル)

スレイマンは皇子ジハンギルを寝所に呼び、フィルーゼに会わせる。大宰相イブラヒムは夜中に赤子の墓を掘り返し、死産の真偽を確かる。ヒュッレムは宗教寄進 (ワクフ) の計画を進めるため、高官夫人らとの食事会を企画。後宮出納官アフィフェらに準備を指示する。マニサでは、皇子ムスタファが家族を恋しがる側女ヘレナを実家へ連れていく。リュステムとの結婚式を控え、寝つけないニギャールの前に思いがけない人物が現れる。
●スレイマンはご寝所にジハンギルを呼び寄せてフィルーゼと3人で過ごす。ミフリマーフがジハンギルを寝かしつけのため連れ戻しに来る。イブラヒムはギュルフェムに詰問して子の墓の場所を聞き出すが、果たして墓には何も埋まっていないのだった。スンビュルは子の名前がカデル(運命)だと知る。夜も遅く初めてヒュッレムはイブラヒムから呼び出される。カデルを渡す代わりにフィルーゼを追放する取引をする。ムスタファは村と両親を恋しがるヘレナを後宮の外に連れ出す。純朴な両親には野心などはなく、ただ外聞と名誉のためヘレナとの結婚を希望される。ヘレナは貧しい暮らしながらも奴隷でなくオスマン帝国の自由市民なのだった。許し合い元鞘に収まったのもつかの間、イブラヒムはハティジェにいたいけもない幼子を連れ去るとは人間のすることか? と怒号を浴びせてしまう。イブラヒムは執拗にスンビュルも尋問する。メフメトは母が次々と降りかかる問題に対処する間にミフリマーフ付きの側女クララに入れあげている。ミフリマーフの理解を得ようとフィルーゼは躍起になる。ファトマは皇子がいるからといってマヒデブランが後から来たヒュッレムに出し抜かれたように安心できないと言ってフィダンに窘められる。

3-24 密約

スレイマン皇帝の命令で法改正の討議が始まるも、反対派も多く会議は紛糾。そんな中、イブラヒムはフランスとの同盟問題にも積極的に取り組んでいた。ヒュッレムは高官の妻たちを招き、慈善活動への協力を求める。後宮での地位は盤石と見られているが、スレイマンに寵愛されるフィルーゼが邪魔で仕方ない。ヒュッレムはイブラヒムの弱みにつけ込んでフィルーゼを永遠に排除しようと画策。そして大宰相邸に呼ばれたフィルーゼは…。
●ヒュッレム主催の政府高官の妻たちの茶話会が開催される。反対票はなく皆からの賛成を取り付ける。スレイマンはエブッスードとジェラルザーデに法改正の検討委員会の結成させる。ニギャールはリュステムと再婚する。イブラヒムとハティジェはカデルとフィルーゼの交換条件について利害が対立している。ムスタファはマニサの市中で引きずり回されている女を助ける。既に髪は処罰のため短く刈り込まれているその女は、ディアナという名からイスラム教徒ではなく帰る家も家族もない天涯孤独であることが分かったため後宮に連れ帰る。ヒュッレムはスレイマンにイブラヒムに関する讒言を聞かせるが、スレイマンは「お前はイブラヒムばかりを言うが、お前がもし他の者だったらとっくにどうなっていると思う?」と口にする。ファトマは出産する。果たしてムスタファの子は皇子だった。近く皆で祝福に訪ねることとなる。木曜の家族日に入り込むため、フィルーゼはスレイマンとミフリマーフとの昼食さえ実現させる。

3-25 法と秩序

大宰相イブラヒムは皇帝妃ヒュッレムに側女フィルーゼを後宮から追放したことを報告。イブラヒムは、密約どおり、ニギャールの子を渡すよう要求するが、ヒュッレムが子供をハティジェ皇女の屋敷に送ったことで、修復しつつあった夫婦の関係に再びヒビが入る。一方、スレイマン皇帝は、初孫誕生の吉報を受け、ヒュッレムらとマニサを訪問することに。道中、皇帝は、同行した皇子メフメトに帝座を巡る兄弟殺しの法令の話をする。
●大宰相邸から娘が熱を出した知らせを受けてハティジェは癒しの手を持つフィルーゼを所望する。イブラヒムは大宰相邸の馬車をやるが行き先はボスポラス海峡の船上であり、中にはスンビュルが待っていた。取引成立とみなしたヒュッレムは大宰相邸にカデルを届ける手配をする。イブラヒムはその晩、世界でただ一人自分に属する家族カデルと共寝する。マニサに行くわずかな乖離の時間も今のメフメトには惜しい。クララにヌルバハル(光る春)と名付ける。翌朝すがすがしい気分で目覚めたヒュッレムは側女の大部屋にフィルーゼがいるのを発見する。イブラヒムはヒュッレムとの密約を破ったのだった。

3-26 皇族の威信

皇子ムスタファに息子が誕生し、スレイマンとヒュッレム一行はマニサに向かう。ムスタファとマヒデブランの待つ宮殿では赤子の命名式が行われ、スレイマンが与えた名前にどよめきが起きる。昔を思い出し、楽しく過ごしていたスレイマンだが、市場である事件が起きて…。ヒュッレムは言葉巧みにマヒデブランとムスタファの危険性をスレイマンに吹き込む。その頃、帝都ではイブラヒムがフランス大使を前に衝撃的な発言をしていた。
●スレイマン一行はマニサに到着する。イブラヒムはエブッスードの庭で詩人と死生観についての話をする。イブラヒムが敬愛するダンテ・アリギエーリ作「神曲」の中で「地獄への道は善意の石が敷かれている」との格言を引きながら傲慢な態度を示唆するが、イブラヒムは気分を害したように背を向けて去っていった。その夜は気の合うフズルとイタリア及びローマ征服に向けて語り合うことにする(イブラヒムの故郷パルガは現在のイタリアにある)。フズルは約束したジュリア・ゴンザーガについて「かの有名な公爵夫人を攫おうと攻撃するとローマ法王が勘違いして逃げちまって」と陽気に冗談を飛ばす。マニサではムスタファの息子に皇帝スレイマンと同じ名が与えられ衝撃が走る。ミフリマーフは中庭でタシュルジャルと密会する。アフィフェはフィルーゼに「ヒュッレムと張り合うな。あの夜止めなきゃ死んでいた。何も見ていなかった。お子たちも、有り余るほどの財産や地位さえも。頭から吹き飛んでいらした。過去の行いを正当化はできない。それでもあのような愛の前には誰もが頭を垂れるべきだ。ちょうど陛下でさえもそうあられるように」と説き伏せようとする。ヒュッレムはヘレナに嫌がらせしていたファトマを諌める。スレイマンは結婚の許可を願い出るムスタファに「お前は私の正義の代理人。奴隷でも戦利品でもない娘を拉致したのか。我が皇子たるものの振舞いか? 皇族の威信に傷がつく」と激怒する。一方、オスマン帝都のイブラヒムはフランス大使を前に「陛下は私に全権を託された。戦争も和平も私次第だ。最も危険な猛獣、獅子であろうと力ではなく知性で調教できる。猛獣使いはまず餌で手懐け習慣化させる。獅子とは君主であり、猛獣使いは宰相だ。私も尊きオスマン帝国の主を真実と正義の棒により躾ている」との衝撃的な発言をしていた。

3-27 暗殺者

スレイマンはマニサで過ごした若き日々に思いを馳せ、皇子ムスタファとメフメトにかつてイブラヒムと大樹の下で夢を語り合った思い出を話して聞かせる。一方、帝都では大宰相イブラヒムが皇帝のような尊大な態度でフランス大使と協定の話を進めていた。再び、マニサの森では、ムスタファとメフメトが兄弟殺しの法令の話をしていると突然、1本の弓矢が降ってくる。ニギャールはマトラークチュの訪問を受け、ある屋敷に案内される。
●スレイマンは2人の皇子ムスタファとメフメトに、イブラヒムとのマニサでの若き日々の話をする。目には楽しげな光が宿り息子たちに伝えることにもまた喜びを感じているようだった。イブラヒムはフランス大使を前に書記官ジェラールザーデの目がときたま鋭く光るような際どい発言を続けている。通商協定を提案する大使に「協定はしよう。だが我々はこれを協定とは呼ばない。我々からの下賜だからだ」と言い放つ。ムスタファはメフメトが狩りの館でスレイマンから聞いた、玉座を照らす一筋の光、それがメフメトだった――との夢の話を思い返していた。散策を続ける2人の背後の木立の陰から矢を射掛けた者がいるのを見てメフメトはとっさにムスタファを庇って負傷する。一方、帝都ではマトラークチュがニギャールをカデルのもとに案内する。フィルーゼが退屈しのぎに乗馬に出かけるが落馬する。リュステムが介抱しつつ首をへし折ろうとしたところ、首筋にタトゥーで刻まれた紋章を発見する。

3-28 父と子

ヒュッレムは、息子メフメトを襲わせたのはマヒデブランだと信じて疑わない。スレイマン皇帝もムスタファに疑惑の目を向けていた。無実を証明したいムスタファだが、首謀者はなかなか捕まらず、焦りが募る一方だった。事件の発端となった女人問題について、スレイマンは態度を硬化。結婚は許さないと断言する。帝都ではイブラヒムが娘に新たな名前を与えていた。娘と一緒に暮らしたいニギャールはイブラヒムに直談判するが…。
●スレイマンはムスタファの関与を疑っている。リュステムはニギャールが娘に会ったことを知り、母親と別れた日を回想する。ディアナはマヒデブラン妃に心酔しており、悪く言うナズルを平手打ちする。エブッスードは不肖の息子に手を焼かされている。スレイマンはムスタファの師にヘレナとの結婚を阻止するよう言いおいて帝都への帰途に着く。フィルーゼ存命を知ったヒュッレムはスンビュルから事情を聞き出し、リュステムを呼び出す。マヒデブランはムスタファの結婚について説得する。

3-29 フィルーゼの秘密

ヒュッレムは主馬頭リュステムを呼び出し、フィルーゼがいまだ健在でいる理由を問いただす。リュステムは、フィルーゼには秘密があり、危険を冒さなくても追い出せると答えた。一方、皇帝に謁見を許されたフランス大使は両国でのイタリア遠征を提案する。そんな中、ヒュッレムがフィルーゼを投獄し、その理由を聞いたスレイマンはがく然とするのだった。その後、スレイマンの前に引き出されたフィルーゼは涙ながらに釈明をする。
●スレイマンはハティジェを呼び出してイブラヒムの隠し子についてヒュッレムの所為にするのではなくイブラヒムと解決するよう言い渡す。リュステムが軍政官として赴任するのではなく妻ニギャールがカデルの世話をするために帝都に留まっていることが面白くない。リュステムはヒュッレムにサファーヴィー朝の王族を意味する紋章を見せ、危険を犯さずともフィルーゼを追い出せると請け合う。スレイマンはフランス大使の直接の拝謁を許し、フランスとの友好を宣言する。ローマのカール5世を亡き者にする同盟が申し出られるが、手のひらを返される可能性を鑑みて却下する。フズルの攻略したチュニスとアルジェが奪還されたことを引き合いに食い下がるが、カール5世がスレイマンの東方遠征の不在を狙った意気地の無さを避難して交わす。フランス大使は引き下がり通商協定の下賜への感謝と政治同盟は秘する盟約を述べる。ヒュッレムはフィルーゼを投獄する。怒り心頭のスレイマンはヒュッレムの居室に足を運ぶが、ヒュッレムはフィルーゼを引っ立てて「後宮に乗り込んだ目的を話せ」と命令する。スレイマンにサファーヴィー王朝の間諜である旨を暴露する。イブラヒムを呼び出し、レイ出身のアッシリア(現在のイラク)人だと思っていたとの弁解を受けるが、厳然として身元とこれまでの隠密行動の解明を命じる。タフマースブの一族をイブラヒムが隠れて連れ帰り後宮へ忍び込ませた疑惑を捨てきれないのだった。東方遠征のあいだ諜報活動をしていたのか、ジハンギルの薬と称して治療院から薬を調合してスレイマンの寝所で使用していたのか、杳として判明しない。ヒュッレムはハティジェに「私を消すために皇族の未来を危機に晒した」と詰め寄る。ハティジェはイブラヒムに苦境を訴える。イブラヒムは私がこの手で斬首すると答える。フィルーゼ黙秘を続けてスレイマン本人のみに釈明すると主張する。いわく「私はフィルーゼ・ベギュム・ハン。名前は私の愛と同じく偽っておりません。タフマースブの姪で、父はタフマースブに殺された。切り札として利用された」と釈明する。「キリスト教とだと嘘をつきましたが、後宮の規定ではイスラム教徒は側女になれない。結婚しない限りは」と結婚を迫る。

3-30 結婚か追放か

敵国の王女だと判明したフィルーゼの処遇について、スレイマン皇帝は考えを巡らせていた。元々イスラム教徒だった者を後宮に置く唯一の方法は結婚のみ。それを知るヒュッレムは毒を片手にスレイマンの決断を待つ。その頃、マニサも結婚問題に揺れていた。ムスタファがヘレナとの結婚を決めるが、それはスレイマンとの仲にヒビが入る選択でもあった。マヒデブランは何とか息子を思いとどまらせようとイブラヒムに手紙を書く。
●スレイマンはフィルーゼの涙ながらの愛の告白を聞く。ハティジェは再び懐で蛇を育てていた憤怒を顕にする。イブラヒムはフィルーゼがタフマースブの従姉で、父がサームを支持したため追われたと話す。ファトマは皇子スレイマンをマヒデブランの腕に抱かせる。マヒデブランはフィダンに命じてファトマを追い詰めてヘレナを追放するようけしかける。企みが成功しそうになりながらディアナに暴かれる。実はマヒデブランの意図通りであったが忠実さゆえに正しく暴露したディアナを疎んじ始める。マヒデブランはイブラヒムに説得を頼む。ヒュッレムは愛を賭けて猛毒を片手にスレイマンがフィルーゼを後宮に残し正式な結婚をするかどうかを息を飲んで待つ。スレイマンの決定は「私の庇護を求める者は誰であれ敵(ペルシャ王朝のこと)の手には渡さぬ」と言葉を下賜し、アマスヤの館を渡すが生涯二度と会わぬというものだった。トプカプ宮殿を去るフィルーゼにヒュッレムは「お前の言う"真実の"愛は私の渡した毒薬を飲むほどの勇気を与えない」と言う。ヒュッレムはリュステムにペルシャから迎えが来るよう手配する。

3-31 密会

フィルーゼが追放になり喜ぶヒュッレムは、スレイマンのよそよそしい態度に傷つく。一方、アマスヤの館へ向かうフィルーゼの馬車が何者かの襲撃を受ける。ヒュッレムは法官エブッスードに会い、宗教寄進について助言を得る。皇女ミフリマーフは詩人タシュルジャルとのひとときの逢瀬に心をときめかせるが、その様子をヒュッレムが見ていた。大宰相イブラヒムはイタリア遠征の準備のために皇帝にエディルネ行きの許可を申し出る。
●ヒュッレムから渡された猛毒を手にフィルーゼを乗せた馬車がアマスヤへの道を辿る。途中で馬車が止められ、血が流されることもなく迎えが来たことを知る。ペルシャからの使者はフィルーゼをヒュメイラ・ハートン("女官"の意)と呼び、不仲と騙ったはずのタフマースブが心配していること、また本物のフィルーゼが別にいること、スレイマンの前で王族と偽ったのは結婚を迫るためであり、王族印を付けられていたのは間諜のためであり、そして真の王族ではないことから命も奪われず、騙った愛もおそらく真実ではなかったことが判明する。被り物のベールが落ちて顔が男たちの前で顕になる。一方、ローマでは法王が交代する。イブラヒムは新法王が先代法王ほどの支援をフランスに対してしないと忠言する。カール5世(神聖ローマ帝国)とフランソワ1世(フランソワ)の仲裁を担い、オスマン帝国への抵抗勢力を拡大し、再び十字軍遠征を組織するとの見方を示す。ただし法王には12万ドゥカ(金貨)ほどの財力しかないと足元を見て、スレイマンはキリスト教世界の分裂を目論見、ルターのバチカンへの抵抗活動を指示する。またヒュッレムの宗教寄進(ワクフ)に200万アクチェ(銀貨)の直領地を加えるよう御前会議で決定する。なお、この時点でのイブラヒムの俸給は300万アクチェである。ヒュッレムはエブッスードと離宮で会談を持ち、宗教寄進の助力を請い、モスク、救貧院、イスラム学院、コーラン学校、病院を含むモスク複合施設を建設するべきとの助言を得る。ヒュッレムはリュステムにタシュルジャルを見張るよう命じる。イブラヒムはブルサでムスタファと密会する。結婚の件を説得するためだった。しかしスレイマンにはエディルネ行きの許可を願い出たのであり嘘をついていることをヒュッレムがスレイマンに奏上する。「あなたを玉座から引きずり下ろす画策では?」と。リュステムはテケ赴任を前にニギャールに家中の財産を盗まれる。

3-32 血の宣告

イブラヒムがエディルネと偽ってブルサに行ったことを知ったスレイマン皇帝は、帝都に戻ったイブラヒムを問いただす。イブラヒムはムスタファの結婚問題を解決するためだったと説明するが、ヒュッレムは反乱の準備だと言葉巧みにスレイマンに吹き込む。ムスタファはヘレナとの関係に決着をつけるべく決断。ミフリマーフはタシュルジャルへの切ない思いを抱えていた。ニギャールは娘をつれて逃げるも、背後には追っ手が迫っていた。
●ニギャールは娘を誘拐して逃げていた。イブラヒムは不在で、マトラークチュがリュステムに知らせる。スレイマンはブルサから戻ったイブラヒムを詰問する。イブラヒムは次第にスレイマンとの間に流れ始める不協和音を感じ取る。ヒュッレムが言葉巧みに誘導しているのだった。ヒュッレムはアヤスに近づく。イブラヒムはヒュッレムに蛇が小さいうちに潰さなかったのでいまや7つの頭を持つ竜になった、今こそ抹殺するべきだと脅迫とも取れる言葉を投げかける。ニギャールはボスポラス海峡の渡し船を手配する男に声をかけて生まれ故郷のスリナ(現在のルーマニア)へ渡る算段をする。ムスタファはイブラヒムの説得により考えを改めてヘレナと話をする。ヘレナは結婚せず村に帰ることとなる。ヒュッレムはミフリマーフ付き宦官ズムルトを締め上げてタシュルジャルとの仲を取り持っていたことを知る。スレイマンは玉座に座ったムスタファに命を奪われる夢を見る。

3-33 宿命の対決

逃亡を続けるニギャールは、娘エスマヌルを連れ、故郷スリナを目指し船に乗り込む。宮殿ではスレイマンとヒュッレム、その子供たちが集い、夕食会が開かれることに。だが恋に悩む皇女ミフリマーフは、食事もノドに通らず、体調不良を理由に部屋へ下がってしまう。ヒュッレムの権力がさらに強大になることを恐れた皇女ハティジェとイブラヒムは、ヒュッレムを帝都から遠ざけようと画策する。そんな中、スレイマンの体に異変が…。
●イブラヒムはニギャールの足跡を追い娘エスマヌルを取り戻す。「お前に娘と会わせぬ選択肢もあった、その返礼がこれか」と怒号を飛ばす。ヒュッレムはマニサへ忍び込ませた側女からムスタファが結婚を諦めたとの報告を受ける。ハティジェはメフメトの地方赴任を言い出すが時期尚早と言われる。イブラヒムはメフメトが地方赴任を望むようフズルと共に進言する。ミフリマーフは晩餐にも意気消沈している。ハティジェはミフリマーフに近づく。ヒュッレムは離宮でアヤスと密会する。ムスタファとイブラヒムの謀反の疑いが拭い去れず心痛が続くスレイマンは嵐の夢を見て倒れてしまう。

3-34 首のない影

スレイマン皇帝が突然倒れ、宮殿が悲しみに包まれる中、ヒュッレムはイブラヒムやハティジェ皇女への憎悪を膨らませていた。イブラヒムは名医でもあるスレイマンの乳兄弟ヤフヤを急いで呼びに行く。ヒュッレムは献身的に祈りをささげる一方、病床のスレイマンに反逆者は近くにいると盛んに吹き込んでいた。その頃、マニサにいるムスタファの夢にイブラヒムが現れて皇帝の不調を告げる。壁に映るイブラヒムの影には首がなかった。
●ヒュッレムは昏睡状態のスレイマンを発見する。医師から毒を長い間盛られていたと聞かされたイブラヒムは顔色を変える。フィルーゼが長年に渡り投薬していた可能性に思い当たる。アフィフェは息子でスレイマンとは乳兄弟でもあるヤフヤを呼び寄せるよう提案する。嫌疑を向けられていることを感じ取ったイブラヒムはヤフヤを即刻参内させる手配にまわり、夜を徹してマニサのムスタファのもとへ参上し、「オスマン帝国があなたをお待ち申し上げております」と奏上する。リュステムはヒュッレムにお子たちの命を救う道を確保すると約束する。ヒュッレムはメフメトと運命を待つ。翌朝マヒデブランはスレイマンの不調を聞く。幸い一命を取り留めたスレイマンは毒の調査をイブラヒムではなくアヤスに命じる。スレイマンはその理由をイブラヒムに「誰もお前に疑いを残さぬようにアヤスに命じたのだ」と言う。

3-35 間諜

マニサ宮殿に行商人の女がやってくる。側女たちは珍しい品を見て喜ぶが、女官フィダンは女の不審な行動に違和感を持つ。一方、帝都では法官エブッスードの息子アフメトが殺人未遂事件を起こして投獄される。皇帝はお忍びで乳兄弟ヤフヤに会い、自身が見た夢を占ってもらう。イブラヒムは、献身的に仕えてきた皇帝から毒を盛った犯人として疑われていることにやるせない思いを抱く中、ヒュッレムからの手紙を受け取る。
●マニサ宮に行商人(史実ではエステル・ハンダリ?)が参内する。密書を携えマニサの者と連絡を取っている。フィダンは調査を命じられる。エブッスードは断食月(ラマダン)に従うべき規則を書き出す。エブッスードの息子アフメトは暴力事件を起こして投獄される。それを知ったイブラヒムはパルガ生まれの子供でも偉大なる帝国の大宰相職にあるのにお前の息子は酒場で放蕩三昧だと侮辱する。ヒュッレムはスレイマンからメフメトの赴任が決まったことを聞かされる。スレイマンは命を救った乳兄弟ヤフヤの住まいを訪ねて夢の話をする。ヤフヤは重大な決断の岐路に立たされてお心を煩わせていらっしゃいますと言い当てる。調査から外されたイブラヒムはマトラークチュからフィルーゼがアマスヤに向かわずにペルシャの使者に迎えられたことを聞かされる。スレイマンは取りなしに参上したイブラヒムに「私が可能性で動けば皆が苦しむことになるだろう」と言う。回復してからのスレイマンは長らくヒュッレムを顧みなかった態度を改め優しく接する。ヒュッレムはスレイマンの数ヶ月に渡る被毒を許せずイブラヒムをとある館の建設現場に呼び出す。

3-36 底なし沼

ヒュッレムから和解したいと呼び出されたイブラヒム。約束の場所に向かいヒュッレムと話をするが、2人の意見は平行線をたどる。スンビュルや夫のリュステムの様子からヒュッレムが何か企んでいると気づいたニギャールは、イブラヒムに注意を促すが…。マニサではヒュッレムの送り込んだ間諜捜しが続いていた。ディアナが疑われるも、怪しい人物がもう1人。ハティジェはヒュッレムに対抗すべく、新たな助っ人を呼び寄せることに。
●ヒュッレムはイブラヒムと話し合いを持つ。ヒュッレムが去った後、イブラヒムは十数人の刺客に襲われる。1人2人斬り伏せ剣戟が舞う。辛くもイブラヒムは逃れる。一方マニサ宮では密偵探しが続いていた。タシュルジャルが手紙を燃やすところを見られ疑いの目を向けられる。ミフリマーフと連絡を取っているのだが言い出すことができない。マヒデブランは恋文は燃やすものではないと詰問を続ける。ファトマは皇子スレイマンを心配するあまり夜も眠れなくなる。ディアナが罠にかかり投獄されるが、ディアナを糾弾したギュリザールも疑われる。タシュルジャルからの頼りを待つミフリマーフの前でヌルバハルが失神する。医女の見立てでメフメトの子を身ごもっていることが分かる。ハティジェは断食明けに姉シャー皇女を招待するとアフィフェに言いつける。

3-37 狙われた皇子

フランス大使ラ・フォレはオスマン帝国との協議の進捗状況を報告すべく本国宛ての書簡を従者に書かせていた。その中で大使は、傍聴した帝国の裁判に言及し、帝国がいかに優れた法体系を実現しているかを伝える。宮殿では、皇子メフメトが姿を消すという騒動が起きる。皇帝妃ヒュッレムはメフメトの命を心配してひどく取り乱すのだった。一方、マニサでは、投獄されたディアナの処刑が明日に迫る中、皇子ムスタファの命が狙われる。
●ディアナ投獄中にもかかわらずムスタファの命が狙われ、ギュリザールは追放される。メフメトはイブラヒムと過日フズルと造船所を見に行ったことにかこつけて海を見に連れ出される。それを知ったヒュッレムは命を狙った報復にメフメトが狙われると直感し顔色を変える。ヒュッレムはリュステムにメフメト捜索を依頼する。果たして崖下にメフメトの衣を纏った斧槍持ちペルチェムが倒れていた。エブッスードはスレイマンに「この世で最も大切なことは正義の天秤を保つこと、だが親しい者が疑われると人はまっすぐに天秤を持つことができなくなる」と奏上する。ヒュッレムはメフメトが心配になり地方赴任を遅らせるよう懇願する。

3-38 断食月の悪行

新月が確認され、ついに断食月が始まる。この期間は善行を行うのがよしとされるため、ヒュッレムも宗教寄進を熱心に行っていた。そんな中、ムスタファ暗殺のためマニサに送り込んだ間諜と思わぬ所で顔を合わせることに。動揺するヒュッレムをよそに、イブラヒムはヒュッレムを倒すべくスレイマンの前で勝負に出る。その頃、ミフリマーフは思い人タシュルジャルとひそかに再会。聖なる断食月に様々な思いが交差していた。
●断食月が始まる。善行を積むためヒュッレムも寄進を進める。エブッスードの妻とアヤス夫人にも協力を仰ぐ。マヒデブランとムスタファはマニサの騒動をイブラヒムに相談すべくタシュルジャルを帝都に派遣する。イブラヒムはギュリザールをスレイマンの前に突き出すとヒュッレムを脅す。ヒュッレムは朝までに女を殺すようリュステムに命ずる。リュステムはイブラヒムに暗殺者を始末されたことを知るが、機転を利かせて女の家族を捕らえ、馬車で護送されてくるギュリザールに見せる。家族の命を狙われたギュリザールはヒュッレムの密偵である証言を変え、タフマースブの使者の名を挙げ、イブラヒムがヒュッレム妃の名を言わせようと強要したと言い残してバルコニーから身投げする。ヒュッレムは女の家族が生涯食い扶持に困らぬよう手配する。イブラヒムはリュステムの出身を豚飼いの息子でクロアチアのブトミルの奴隷だと言うが、リュステムは一点だけ訂正する。「私は奴隷や徴用された改修者ではなく9歳で自分の意志を以って帝国に来た」と。

3-39 コーランの贈り物

マニサ宮殿で皇子ムスタファの息子スレイマンが発熱する。幼いスレイマンは恐ろしい病に感染していた。帝都イスタンブールでは、皇帝妃ヒュッレムとリュステムがイブラヒム失脚をもくろみ新たなワナを仕掛ける。皇帝スレイマンは御前会議で断食月に市場で売買される食料の売買が公正に行われるよう指示を出す。ハティジェの姉シャーが間もなく宮殿に到着することを知ったヒュッレムはスンビュルにシャーの人となりを聞く。
●スレイマンは断食月に空腹のため気が荒ぶり立つ民を思い、市中の売買、衛生管理、取締りが法に準拠してなされるようエブッスードに監視を厳命する。イブラヒムでは外国人通商の権益を守る側に徹するからだった。蚊帳の外に置かれたイブラヒムは腹いせに御前会議にてエブッスードの不肖の息子アフメトの当てこすりを口にする。スレイマンとヒュッレムは最初の日没後の断食明けの晩餐(イフタール)を大宰相邸で過ごす。イブラヒムは400万アクチェへの俸給増額を願い出るが却下される。マニサでは皇子スレイマンが天然痘に罹患する。宮殿に出入りする者からの感染か陰謀かを嘆き悲しみながら審議する。ヒュッレムは宗教寄進を進める中、シェムセッディン夫人から贈られたイスラム教の聖典コーランをアヤスからイブラヒムに渡るよう手配する。イブラヒムはコーランの贈り物を拒絶し、夜間の特別礼拝(タラウィー)を欠席する。

3-40 大宰相の未来

ハティジェはヒュッレムに対抗するため姉のシャー皇女を招くが、シャーは期待をよそに宮殿でヒュッレムと過ごしていた。スレイマン皇帝は海の上でイブラヒムとマニサ時代を懐かしく語りつつ、どのように死にたいか聞く。断食月の特別礼拝後、イブラヒムに対して民衆から罵声が飛ぶ。実はイブラヒムの悪評が広まるよう、ヒュッレムが操っていた。ヒュッレムは同時にスレイマンの耳にもイブラヒムは反逆者だと事あるごとに吹き込む。
●ハティジェの招聘により皇女シャー・フーバンが到着する。幼少からハティジェとは気性が合わないと言われるシャーは先にトプカプ宮殿に参内する。リュステムはアヤ・ソフィア・モスク夜間の特別礼拝でイブラヒムに民衆の声を届けるよう命令する。逆上したイブラヒムは明日処刑すると喚く。翌朝、大宰相邸は怒れる民が押しかける。スレイマンは斬首はお前の一存ではなく裁判で決定すると言い渡す。マニサ宮では皇子スレイマンが夭折する。

3-41 正義の判決

夫リュステムの地方赴任に同行するニギャールは、愛娘エスマヌルとの別れを惜しみ、いつか必ず戻ってくると娘に誓う。皇女ハティジェとシャーは皇帝妃ヒュッレムと夕食を囲むが、ハティジェは夫である大宰相イブラヒムの裁判のことで、いら立っていた。やがて法廷でイブラヒムに暴言を吐いた商人とイブラヒムの裁判が始まる。マニサでは皆が皇子ムスタファの息子の死を悼み、悲しみに沈む中、一筋の光となる知らせがもたらされる。
●ニギャールは娘との別れを嘆き悲しむ。イブラヒムはいつか必ず娘と再会できると請けあって安心させる。ハティジェとシャーとヒュッレムは晩餐のイフタールを共にする。ハティジェは裁判の必要性はないとスレイマンに訴えるが退けられる。ミフリマーフはメフメトの説得を続ける。エブッスード法官の裁判の見事さに傍聴していたスレイマンはある決心をする。悲しみに沈むマニサに側女のアイシェが懐妊したと伝えられる。ヒュッレムはアヤスと密談を持つ。アヤスはジェラールザーデに議事録の調査を命じる。ミフリマーフはヌルバハルの堕胎処置を知ったキラズに口止めをする。アイシェが皇子スレイマンを殺したと信じるファトマは深夜の襲撃に出る。アヤスはスレイマンに議事録を奏上する。

3-42 決断の時

スレイマン皇帝はフランスとの交渉記録を読み、イブラヒムの数々の傲慢な発言に衝撃を受ける。1人で考え続けていたスレイマンだったが、雪がちらつく夜、法官エブッスードのもとを訪れて決断を下したと語る。一方、ヒュッレムは断食月の善行にシャーを誘う。一見、ヒュッレムと親しくしている様子のシャーだったが…。皇子メフメトは子供を身ごもった側女に関して、ミフリマーフが命の決断に関わる大きなウソをついていたと知る。
●「最も危険な猛獣であろうと力ではなく知性で調教できる」「猛獣使いはまず餌で手懐け、それを習慣化させるのだ」「獅子とは君主であり、猛獣使いは宰相である」「尊き帝国は私が支配している」との議事録にスレイマンは衝撃を受ける。日没後の食事(イフタール)を政府高官を呼びイブラヒムの大宰相邸で共に晩餐するとの招きにも気もそぞろな様子である。まるで我が傀儡であるかの傲岸で不遜な発言の数々に心痛の日々が続く。ミフリマーフは容赦なくキラズをトラブゾン宮に追放する。トプカプ宮殿に雪が降って側女たちも大喜びである。イブラヒム邸での晩餐にはスレイマンは欠席する。フランス大使がマキャベリ「君主論」の贈り物を献上する。フズルが悪魔の書と言われているとの風評を伝える。スレイマンは決意を抱えてエブッスードの家を訪ねて自分の勅令にイスラム法にかけても背かず死刑を執行するための知恵を仰ぐ。メフメトはミフリマーフが中絶をヌルバハルに強要したことを知る。

3-43 法官の答え

大宰相イブラヒムは皇帝妃ヒュッレムと懇意にする皇女シャーの目的を問うがはぐらかされる。イブラヒムとシャーが話しているのを見かけたヒュッレムは2人の過去の関係をスンビュルに問う。一方、シャーの夫であり軍政官のルトフィーと娘エスマハンが宮殿に到着する。スレイマンはイブラヒムとの思い出に思いを馳せていた。そんな中、法官エブッスードが皇帝のもとへ参上し、皇帝を悩ませている問題に関して、重要な話をする。
●イブラヒムはシャーの訪問を受ける。過去イブラヒムとシャーは想いを通じ合っていた時期があったのだった。スレイマンはイブラヒムのバイオリンの音を所望する。ヒュッレムはヌルバハルの処置を知る。ヒュッレムはミフリマーフに秘密を持つなとたしなめる。側女ニサからヌルバハルが追放されたことを聞いたメフメトはミフリマーフに声を荒らげる。エブッスードはスレイマンに知恵を授ける。コーランには預言者は眠りは死の兄弟であると書いた一節があるとのことで、眠る時に死に、目覚める時に生き返る、要はスレイマンが睡眠中であれば己の勅令にも背かず自分の決断として死刑を執行することができるというものだった。イブラヒムはシャーの夫であるアナトリア軍政官ルトフィーの謁見を行う。ルトフィーと共に娘エスマハンと宦官メルジャンが到着する。マヒデブランはフィダンにファトマの埋葬を命ずる。

3-44 同志イブラヒム

イブラヒムはハティジェ皇女や子供たちと幸せな時間を過ごしていた。家族でエディルネに行くことを約束した日、スレイマン皇帝から日没後の食事に招かれて喜んで出かける。その食事にはヒュッレムも呼ばれていた。食事後、家に帰るイブラヒムを引き止めたスレイマンは、以前のように宮殿に泊まるよう勧める。スレイマンのイブラヒムへの寵愛はヒュッレムさえ疑っていなかった。その頃、スレイマンは1人、眠れぬ夜を過ごしていた。
●スレイマンは憂いを振り払うがごとく速駆けに出る。森を馬で駆け抜け海を眺め、無実のイスケンデルを思い、イスケンデルの財産を没収して我がものとしたイブラヒムを思う。年の近いミフリマーフとエスマハンは仲を深める。スレイマンはヒュッレムを呼びイブラヒムと晩餐の会を持つ。スレイマンは若き日に鷹匠だったイブラヒムの姿を思う。イブラヒムは遅い晩餐だったことからトプカプ宮殿で夜を過ごすこととなる。悪魔の書「君主論」を床に就きながら読む。スレイマンは眠れぬ夜を過ごす。夜更けに黒服の死刑執行人が就寝しているイブラヒムを絞首する。ハティジェは真夜中に姉ベイハンの訪問を受ける。翌朝、目覚めたハティジェはイブラヒムの棺を目にする。

3-45 大いなる喪失

皇女ハティジェは、棺に納められたイブラヒムの変わり果てた姿を見て、激しく取り乱す。棺のそばには無念の表情を浮かべる宮廷史家マトラークチュがいた。官僚たちもまた、大きな衝撃をもって、偉大な大宰相の突然の悲報を受け止める。一方、険しい表情のスレイマン皇帝は御前会議を招集。毅然とした態度で新たな人事を発表し、新体制を整える。大きな障害を取り除くことに成功した皇帝妃ヒュッレムは、次なる目標に狙いを定める。
●イブラヒムが庭の偶像に囲まれて横たわっている。スレイマンはルトフィーやカスムを含む御前会議を開くとアヤスに命じ、アヤスが大宰相職に任命された。ルトフィーはルメリ軍政官に異動となる。シャーはメルジャンからイブラヒムの死去を伝えられる。ハティジェは半狂乱でスレイマンに食って掛かる。側女、女官、宦官たちも勢揃いしている中でヒュッレムに暴言を吐く。マトラークチュはスレイマンにも知られぬ場所にイブラヒムを埋葬するよう命じられる。ヒュッレムはリュステムを帝都イスタンブールに召還できるよう画策する。アヤスと会談し、リュステムを御前会議に推挙するよう命じる。スレイマンは睡眠が禁忌(ハラム)になったかのように感じて一人苦しむ。

3-46 炎の衣

宮殿では、イブラヒム亡き後の権力争いが始まっていた。ヒュッレムはリュステムを御前会議に送り込もうと新大宰相アヤスに念押しするも、シャーも夫のルトフィーを選ぶようスレイマンに働きかけていた。そんな中、皇子ムスタファとマヒデブランが帝都に戻り、悲しみに暮れるハティジェに寄り添う。断食月が終わり、祝いの行事が行われるが、ヒュッレムやシャー以外の顔は暗い。様々な思惑が飛び交う中、ついに新宰相が発表される。
●リュステムは一年前のイスケンデル処刑の日とイブラヒム処刑の日が同日であるとの指摘をする。日を決めるに当たっては思いつきなのではなくしばらく以前から決意を秘めていたのではないかと拝察する。ニギャールはマトラークチュのもとを訪れる。マトラークチュはニギャールと共に墓参りをする。マヒデブランとムスタファが帝都に戻る。マヒデブランとギュルフェムとハティジェはヒュッレムへの復讐を誓い合う。断食明けの皇帝挨拶の席にハティジェの姿はない。ルトフィーとリュステムのどちらが新しく御前会議に入閣する宰相になるか固唾を呑んで両陣営が緊張する中、ルトフィーの名が発表される。

3-47 ハゲワシの争い

皇女ハティジェは、庭で彫像を壊す音を聞き、阻止するために屋敷を飛び出す。彫像の破壊は皇帝スレイマンの命令だった。一方、懐かしい者が帝都に向かって馬を走らせていた。ヒュッレムは、リュステムでなくシャー皇女の夫ルトフィーが宰相に任じられたことを知る。怒り心頭のヒュッレムはシャーもハティジェ側についたと思い、喪中でありながら不謹慎な命令を下す。ハティジェたちもヒュッレムに一矢報いるために動き出していた。
●リュステムと共に帝都に戻ったニギャールはハティジェに近づき「墓さえ作らせなかった者たちが大宰相の子供を生かしておくと思いますか?」と言葉巧みに誘導する。その実、自分だけはマトラークチュに聞いて墓の場所を知っているのだった。ヒュッレムはルトフィー宰相就任の祝いにかこつけてシャーの真意を確かめに訪れる。ハティジェはヒュッレムもシャーもハゲワシのようだとマヒデブランにこぼす。ムスタファはアヤスに忠告と見せかけて脅迫する。帝都より遥か山中にマルコチョールの姿があり十字軍の盾を持った兵士を切り伏せる。ギュルフェムはエスキサライ(旧宮殿)から優秀な女官を連れてきたと言ってマヒデブランに忠実なファーリエをトプカプ宮殿に務めさせる。ヒュッレムはイブラヒムの喪に沈む後宮で断食明けの祝宴を催して皇女陣を挑発する。地方赴任を再三申し出るメフメトはムスタファの横槍によりスレイマンにまずは遠征に出てから地方赴任を考えようと言われる。マヒデブランはミフリマーフとの恋を諦めるようタシュルジャルを説き伏せる。タシュルジャルはマトラークチュとエレニカの酒場で酌み交わす。

3-48 報復の誓い

ヒュッレムが喪中にもかかわらず宴を開いていると知ったハティジェは、後宮へ。宴をやめるよう一喝するが、そこにヒュッレムとの言い合いを聞いていたスレイマン皇帝が現れて…。ヒュッレムはリュステムを御前会議に送り込むべく、再びアヤスに命令。アヤスは皇子ムスタファの前でヒュッレムへの忠誠を見せる行動をする。ムスタファには、シャー皇女と夫のルトフィーが味方だと宣言。イブラヒム急逝の余波は今も続いていた。
●挑発に昂然と反発を現すハティジェは「下劣な女」とヒュッレムを罵る。ミフリマーフは決意を秘めた瞳で「お言葉に注意を」と対抗する。頭の良いシャーはスレイマンを動かせた。ハティジェがヒュッレムを側女たちの前で侮辱し続ける中、スレイマンが宴を訪れる。大宰相邸にてシャーは初めて「感情的に振る舞っていいことがあった?」とハティジェ、マヒデブラン、ギュルフェム、ベイハン側に立ちたしなめる立場を表した。マヒデブランの意に従い、タシュルジャルはミフリマーフを諦める。ニギャールはイブラヒムの墓に語りかける。後を尾行したシャーはイブラヒムの墓の場所を知る。シャーは言葉巧みにニギャールの復讐の矛先をヒュッレムに向ける。ニギャールが去った後、シャーは一人イブラヒムの墓に誓う。シャーはマヒデブランをマニサに戻す。アヤスを呼び出したヒュッレムはリュステムの御前会議入りについてテケ県軍政官からディヤルバクル州軍政官に昇進させるのが先決だと言われる。マルコチョールが帝都入りする。エブッスードのもとを訪れたスレイマンは暗い胸の内を慰められるような思いをしていた。

3-49 暗殺命令

皇女ハティジェの刺客ディアナは女官ファーリエとして後宮に溶け込んでいた。一方で、皇女シャーの計略も動き始める。リュステムを呼び出したシャーは、これまでの所業を知っていると脅す。シャーの手先となったニギャールは皇帝妃ヒュッレムに会い、あることを吹き込む。ハティジェの屋敷では皆が集まり、イブラヒムを追悼する祈りがささげられていた。だが、その頃、人が出払い警備が手薄になった後宮で驚愕の事件が起こる。
●帝都に任務のため到着したマルコチョールとマトラークチュは馴染みの酒場で忌憚なく語り合う。シャーはリュステムを離宮に呼び出して面会を持つ。ニギャールが後宮に上がりヒュッレムへリュステムへの疑いを植え付ける。ハティジェは私的なイブラヒムの追悼の儀を大宰相邸で催す。後宮に潜入したファーリエはマヒデブランの密命で入浴中のヒュッレムのもとへ短刀を片手に向かう。異変を感じ取ったスンビュルが外から扉を叩く音で形勢不利と見て取り、お妃様の命を守るためだったと嘘をつき手柄を褒めて遣わされる。アフィフェはファーリエに目を光らせる。メフメトとエスマハンが近づく。

3-50 イチジクの木

ハティジェに刺客として送り込まれたファーリエはヒュッレムに気に入られ、身近で仕えることになる。スレイマンはヒュッレム襲撃事件の裏にハティジェがいると考え、ある決定を下す。シャーはヒュッレムへの報復は持久戦だとハティジェを説得するが…。オスマン帝国各地ではイタリア遠征の準備が着々と進行。その頃、ローマ法王が放った刺客もイスタンブールでスレイマン暗殺の機会をうかがっていた。
●中庭の開放的な空気の中ミフリマーフは数年ぶりにマルコチョールと再会する。幼い頃はマルコチョールと結婚するのだと口にしていた相手だった。メルジャンから報告を受けたシャーはハティジェに大人しくしているよう言い渡す。さもなくばムスタファにも疑いがかかるのだった。シャーはギュルフェムとファーリエを呼び出して事情を聞き出し、今後は自分に仕えるよう言い渡す。アフィフェはエスキサライに送り返すよう主張するがヒュッレムは退ける。ヒュッレムはファーリエに自分に仕えるよう大金を渡す。その頃バチカン法王はオスマン帝国のイタリア遠征への対処の心構えを説いていた。御前会議ではベネチアを攻撃対象とするか否かを焦点に話し合いが持たれる。バチカンはモルダヴィア(現在のロシアの西側の東欧との境にあった国)大使が訪れる。ヒュッレムはミフリマーフのタシュルジャルとの恋の手引をしたズムルトの追放を決定する。ハティジェはマニサに追放となる。

3-51 イタリア遠征

法官エブッスードの市場の視察中に、お忍びのスレイマンが現れる。側近が宮殿から出してくれないとボヤく皇帝の背後から魔の手が迫っていた。一方、宮殿ではシャー皇女がヒュッレムの用意した住まいではなく、妹ハティジェの屋敷に移ると言い出す。シャー皇女とヒュッレムの確執は見えないところでくすぶり続けていた。そんな中、いよいよオスマン軍が遠征に出発する。皇帝が不在の中、ヒュッレムのもとに不穏な情報が寄せられる。
●思惑が交錯する中、パルガ出身のイブラヒムの生涯の夢だったイタリア遠征に向けて始動する。マルコチョールを従えたスレイマンは外国人に通商を与えている市中観察に赴く。バチカンが差し向けたモルダヴィア大使の手先が凶刃を振るおうとした瞬間マルコチョールが捉える。後宮ではシャーがヒュッレムの用意した新居ではなくハティジェの屋敷に移ると言い出す。マルコチョールの誠心の重臣ぶりを再確認したスレイマンは近侍として帝都に留任させる。セリムとバヤジトは喧嘩が絶えない。殊に今回のイタリア遠征にはメフメトとセリムを伴い、ムスタファとバヤジトを残留するとの沙汰が下ったからだった。ヒュッレムは皇子たちを諌める。シャーはニギャールに時期を待つように言い渡す。ヒュッレムのもとへリュステムの手配したマニサの厩舎の馬番ハリルが重大な告発を携えて参内する。ヒュッレムは血相を抱えて帝都の責任者チョバンを呼び出してムスタファが挙兵して帝都に進軍したと報告する。

3-52 試練

皇子ムスタファの反乱を聞いたヒュッレムは対策を考える。悪いことは重なり、遠征中のスレイマンが奇襲を受けたとの報告も入る。ムスタファが玉座に就けばヒュッレムの息子たちは慣習に従い殺される。シャーが保護を申し出る一方、ニギャールは禁じ手とも言える別の方法を提案。危険が迫り来る中、ヒュッレムはある決断を下す。オスマン帝国軍の野営地ではリュステムがイブラヒムを侮辱し、マトラークチュと一触即発になっていた。
●皇子たちの命を守るためミフリマーフと案じるヒュッレムはバヤジトの思わぬ勇敢な一言に救われる。スンビュルはアフィフェに急ぎ知らせる。スレイマンは遠征先で奇襲に遭い、メフメトとセリムの安否も分からないという。チョバンを呼び出したシャーはムスタファの進軍を止める手紙を書くよう説得される。ミフリマーフは弟たちの命を守るためシャーに援助を請う。バヤジトは安全を考慮してヒュッレムしか知らぬ筈の場所へ護送されるが途中で襲撃される。ニギャールはヒュッレムにリュステムは自分の利益が一番の男だと吹き込み、ムスタファが玉座に就けば他の皇子が殺されるため、先んじて王座に皇子の一人を就けるよう勧める。スレイマンの無事が確認された中、バヤジトが行方不明になる。捜索の末にある小屋にたどり着いたヒュッレムはシャーから全て自分の仕組んだ狂言だと聞かされる。一瞬で破滅が訪れるので教訓を得るように、と言われ、ヒュッレムは激高してとうとう立場を表明したシャーに戦線布告する。一方リュステムはマトラークチュとイブラヒムを巡り対立していた。

3-53 姉妹の確執

ムスタファの反乱はすべてシャーの狂言だった。ヒュッレムは無事に幼い皇子たちとの再会を果たす。究極の状況に置かれながら、皇子バヤジトを皇帝に擁立しなかったヒュッレムはスレイマンに捧げる愛と忠誠が身を救ったのだとスンビュルに語る。一方、遠征中のスレイマンは海軍提督の報告からベネチアの裏切りを知り、アヤス大宰相の見通しの甘さに激怒する。マニサでは、ある手紙を受け取ったハティジェが血相を変えて帝都へ戻る。
●ミフリマーフは母ヒュッレムにシャーの魂胆を見抜けなかったと謝罪する。シャーはスレイマン不在中にヒュッレムがいずれかの皇子に玉座占領宣言を勧告すると踏んでいたのだった。ニギャールは役目を担ったものの予想通りの結果だったとシャーに奏上する。ニギャールが敵であると判明したヒュッレムとスンビュルは話し合う。アフィフェは単身シャーの館に乗り込み計略への遺憾の意を表する。シャーはヒュッレムは悪行三昧だが私は品行方正で私の関与を兄が信じる筈がないと言い切る。マニサのハティジェとマヒデブランは占い師サーリハを呼び寄せる。シャーに元大宰相邸を乗っ取られたと知ったハティジェは激怒し帝都へ帰る。その手紙にはシャーこそがイブラヒムの死に関与した者だとあったからだ。戦場のセリムは兵士処刑を見て嘔吐する。スレイマンにフズルからベネチアの裏切りが伝えられる。あまつさえオトラント(現在の南イタリア)にも艦隊を以って参戦するため上陸したとのことでアヤスが叱責される。シャーの館を訪れたハティジェは昔シャーがイブラヒムに宛てた手紙を手にする。

3-54 持久戦

イブラヒムの遺品の中に入っていた手紙は、シャーからイブラヒムに宛てた恋文だった。怒り心頭のハティジェは、姉に自分の屋敷から退去を求める。その頃、イタリア遠征中のオスマン軍はコルフ島の包囲に苦戦。ベネチアの参戦もあり、持久戦の様相を呈していた。シャーはヒュッレムに仕える側女を尋問し、恋文の真実を聞き出す。一方、遠征に行けずマニサで待機となったムスタファは、外国商人の間に不満が高まっていることを知る。
●ハティジェはシャーが昔イブラヒムと恋仲にあったことを知った。
●シャーに元自分の館からトプカプ宮殿に移るよう言い争う。ハティジェは宮殿の地下から自分のものを屋敷に戻すようアフィフェに言いつける。ハティジェから非難されたシャーは怒り心頭でヒュッレムに「奴隷として連れて来られたのだから奴隷として死ね。スルタンは称号ではなく血だ。お前には流れていない」と暴言する。一方、大艦隊を率いたフズルはバチカンのローマ法王、カール5世、フェルディナント、中立だった筈のベネチア、逃げ回っていたはずの十字軍、全キリスト教世界が一丸となってイタリアに集結したことに敵を一掃する機会であると熱り立っていた。シャーの意向でメルジャンが陣頭指揮を執り作戦が展開される。ファーリエが主犯格でニギャールはスンビュルを足止めする役だったが、スンビュルからシャーがイブラヒムと熱愛関係にあったことを聞かされる。ハティジェはミフリマーフを引き止める。ファーリエはナズルを捕らえ地下牢に拘束する。メルジャンが尋問し、ナズルはハティジェにシャーの手紙について証言させられる。ハティジェは皇統の血族を長年世話してきたナズルの死について責任がヒュッレムにあるとなじるが、手を下したのはシャーなのだった。ヒュッレムへの憎しみから考えを変え、シャーに屋敷を渡したまま宮殿に留まる決意をする。マニサ宮にジェノバの女商人シニョーラ・ガブリエラが参内する。

3-55 消えぬ地獄

マニサ宮殿のマヒデブランのもとにジェノバの女貿易商ガブリエラが訪ねてくる。ガブリエラは自身の所有する商船が不当な扱いを受けていると訴え、皇子ムスタファが調査に乗り出す。トプカプ宮殿では、ハティジェがマニサからいわくありげな女官を呼びよせていた。イタリア遠征中のスレイマンはコルフ島で苦戦を強いられていた。悪天候にも悩まされたスレイマンは、苦渋の決断を下す。一方、宮殿では新たな計略が動き出していた。
●ガブリエラはマヒデブランに外国人通商の保護を求める。
●ムスタファは法官に事情を聞きただす。
●ハティジェの計らいで占い師サーリハが女官としてトプカプ宮殿に参上する。長期戦になる見通しだったスレイマンからヒュッレムに恋文が届けられる。
●スレイマンはベネチアが手のひらを返したためコルフ包囲が冬季に差し掛かりそうなことから引き上げを決意する。帰還の挨拶にはハティジェも出席してスレイマンを喜ばせた。シャーの屋敷にルトフィーが戻る。
●ハティジェはサーリハに怪しげな薬を煎じさせる。ヒュッレムから事情を聞かされたとしてもスレイマンが自分の側を信じるものと思っていたシャーだったが、スレイマンはムスタファの挙兵を一番の問題として激怒していることに気付かされる。皇子を玉座に座らせる計略だったと説明しても同じことがムスタファにも言えるだけで説明の意味をなさないのだった。

3-56 呪術

ミフリマーフがマルコチョールと離宮で密会していると聞いたヒュッレムは、急いで現場に向かう。しかし、そこで待っていたのは別の人物だった。その頃、スレイマン皇帝は乳兄弟のもとでイブラヒムを殺した苦しみを吐露。しかし、良心の痛みは一生消えないと言われて衝撃を受ける。離宮に行って以来、体調を崩したヒュッレムは、死を感じて不安になる。シャーはハティジェが秘密裏に動いているのではと疑い、ニギャールを呼び出す。
●スレイマンはエブッスードを帝都イスタンブールの法官からルメリ軍法官へ昇進させる。
●ヒュッレムはニギャールからミフリマーフとマルコチョールが離宮で密会をしていると聞かされるが、そこに待っていたのはハティジェだった。ヒュッレムはサーリハに羽交い締めにされ薬を嗅がされ気を失う。気がついたときには記憶を失って自室に寝かされており身体には発疹が出始めていた。
●シャーはハティジェが単独行動を始めたことに気づき詰問するがはぐらかされる。シャーはメルジャンにヒュッレムの監視を命令する。シャーはニギャールを呼び出しハティジェの行動について訪ねるがニギャールは自分がハティジェとヒュッレムを引き合わせたにもかかわらず知らぬ振りをする。
●スンビュルとアフィフェは記憶を失う直前のヒュッレムがニギャールの訪問を受けていたことを突き止める。
●シャーは夜にルトフィーと部屋で語り合うが共寝はせず自室に帰るよう言い渡す。スンビュルがニギャールをヒュッレムの前に突き出すがいつもの如くしらばくれるばかりだった。


3-57 業火

ニギャールから呪術の話を聞いたヒュッレムは占星学者に会う。スレイマンに謁見した軍法官エブッスードは法官になるための任用制度を整えるべきだと進言。リュステムは皇帝にイブラヒムの資産が一部しか国庫に没収されていないことを報告し、皇帝を驚かせる。ベネチア領事が帝国への裏切り行為を釈明するために参内するが、スレイマンの怒りは収まらない。マニサでは、ムスタファが貿易商ガブリエラの問題解決に取り組んでいた。

3-58 暗黒の死闘

呪術をかけられたと信じ込んだヒュッレムは悪夢に悩まされ、ついに夜分にハティジェの部屋に乗り込む。その乱心ぶりは後宮中のウワサとなり…。一方、元大宰相邸には衛兵が押し寄せ、イブラヒムの資産を捜索。規定に従って没収するというスレイマン皇帝だが、処刑の際は規定に沿わなかったとハティジェに責められ、顔を見せるなと言い放つ。そのあと、ハティジェが行方不明になり後宮は騒然。スレイマンも衝撃を受ける。

3-59 皇女の行方

ハティジェが宮殿から忽然と姿を消し、スレイマンは捜索を命じる。シャーとギュルフェムもハティジェの無事を祈っていた。するとそこへヒュッレムがやってくる。ハティジェ失踪の裏にヒュッレムの関与があると疑うシャーはヒュッレムを厳しい言葉で問い詰めるのだった。マニサでは貿易商ガブリエラが皇子ムスタファのもとを訪れ、船を燃やされたと訴える。マヒデブランは頻繁に皇子のもとを訪れるガブリエラが気になっていた。

3-60 一石三鳥

ヒュッレムに殴打されて重傷を負ったハティジェは、マルコチョールを呼び出して警戒を促す。呪術をかけられたと悩み、不眠が続いていたヒュッレムは、またしても黒い影に苦しめられたことから、自分たちの中に裏切り者がいるのではないかと考えるように。ミフリマーフはマルコチョールにつれない態度を取っていたが、ふとしたことから手紙の誤解が解けて歓喜。シャーとハティジェは虚偽の証言をした内廷宦官長を問い詰める。

3-61 内廷宦官長

皇女ミフリマーフが受け取ったマルコチョールの手紙の返事には、謎の代筆者がいた。ミフリマーフは、その者の正体が気になり、マルコチョールの部屋を訪れる。一方、帝都に地方を治めている忠臣が反乱を企てているという知らせが届く。スレイマンは大宰相アヤスに告発の真偽を調査させる。そんな中、後宮にも一大事件が起こり…。街では、亡きイブラヒムの遺品が軍法官エブッスードの立ち会いのもと、競売にかけられることになる。

6-62 イブラヒムの遺産

シャー皇女の腹心メルジャンが内廷宦官長になったことから、宮廷の動きは皇女たちが把握できるように。劣勢に立ったヒュッレムはイブラヒムの資産を何としても見つけ出し、皇女たちとルトフィーを一気に葬るべく、リュステムを使って策略を仕掛ける。危険を察知したハティジェは対策を取るが、そこにリュステムが現れて…。一方、マニサではムスタファがガブリエラに貿易上の特権を与え、それが新たな問題を引き起こしていた。

3-63 皇子の出陣

マニサにいる皇子ムスタファに反乱者ピリー討伐の勅令が下る。スレイマン皇帝がムスタファに重大任務を任せたと知った皇帝妃ヒュッレムは、心穏やかではいられず、リュステムを呼んである計略を巡らせる。一方、度重なる皇女ハティジェの暴走に業を煮やしたスレイマンは、ハティジェを立ち直らせるため荒療治ともいえる大胆な決断をする。戦果を報告するため御前に参上した海軍提督フズルはスレイマンから思わぬことで咎められる。

3-64 狡猾なワナ

反乱を企てているとされるラマザンオール・ピリーの処刑をスレイマンから命じられたムスタファは、関係者の言い分を聞くことから始めていた。ヒュッレムに送り込まれたリュステムは、言葉巧みにムスタファを陥れようとする。その頃、帝都ではリュステムの広めたウワサが後宮を賑わしていた。ウワサに巻き込まれたマルコチョールは難しい立場に置かれることに。ハティジェを結婚させる決断をしたスレイマン皇帝は、その相手を選ぶ。

3-65 皇子の召喚

皇女ミフリマーフとの会合の場をヒュッレムに目撃されたマルコチョールは忠誠を誓う皇帝スレイマンに誤解を与えかねないことを懸念する。一方、スレイマンは、反乱者ラマザンオール・ピリーの討伐へ向かった皇子ムスタファから何の音沙汰もないことに気をもんでいた。そんな中、ムスタファの背信行為を知らせる書簡が帝都に届く。絶対的な忠誠心を求めるスレイマンは激怒し、ヒュッレムはムスタファの背信行為を朗報だと喜ぶ。

3-66 悩める者

ムスタファは勅命に従わなかった理由を説明。激高していたスレイマン皇帝も冷静さを取り戻す。しかし、公正であれとのスレイマンの教えを貫いたムスタファだが、期待を裏切られる命令を下され、スレイマンのようであろうとするほど罰されると悩む。シャーの娘エスマハンとミフリマーフの間で翻弄されるマルコチョールは、本心を明かすことに。その頃、バチカンではカール5世とフランソワ1世が和解。インドでも争いが勃発していた。

3-67 モルダヴィア遠征

モルダヴィア遠征への同行を許されなかった皇子バヤジトは、禁じ手を使って戦地へ向かう。一方バチカンでは、カール5世がオスマン軍を迎え撃ち帝都を攻略する戦略を力説。フランソワ1世は本国で議論すると態度を保留する。女市場にモスク複合施設の造営を目指すヒュッレムは、軍法官エブッスードから地上げに反対する者がいることを聞く。マルコチョールを巡って言い争いになったミフリマーフとエスマハンに思わぬ出来事が起こる。

3-68 秘策

後宮では、給金が滞っていることから側女たちの不満がたまっていた。ヒュッレムは対策を取ろうとするが、遠征中のため資金を調達できない。緊張が高まり、もはや一触即発の雰囲気に。一方モルダヴィアに遠征中のスレイマン一行は、プルト川の前で足止めされていた。水流が速く地盤が緩いため、何度かけても橋が崩落してしまう。対岸に渡る方法をスレイマンに尋ねられたマトラークチュは、イブラヒムが見いだした男の名前を出す。

3-69 黒幕

マニサでは、側女ルメイサが、貿易商の実姉ガブリエラから後宮を出て自由に暮らそうと迫られる。だがルメイサの決断は意外なものだった。後宮では側女たちに未払いの給金を支払うため、帝妃ヒュッレムが金策に走る。一方モルダヴィア遠征では、将校シナンが進軍を阻んでいたプルト川に橋を完成させる。地中海のプレヴェザでは、赤ひげことバルバロス率いるオスマン帝国海軍と十字軍艦隊による海戦の戦端が開かれようとしていた。

3-70 プレヴェザの海戦

オスマン軍のモルダヴィア遠征は成功裏に終わり、スレイマン皇帝は新たな領主を任命。貢納や治安維持の方法を細かく取り決める。その頃、プレヴェザではフズル提督率いるオスマン海軍が、ドリア率いる十字軍艦隊と激突していた。マニサでは海賊対策としてムスタファが造船所の再稼働を指示し、スレイマンに書簡で許可を求める。ヒュッレムは資金を工面し、たまった給金を側女たちに払うが、後宮ではまた新たな問題が起きて…。

3-71 完璧な計画

ヒュッレムは、所有する農場に買い手がつき、借金返済のめどが立ったことに安堵していた。だがシャーに先手を打たれていたことが発覚。借用証書はシャーの手に渡ってしまう。一方、遠征から凱旋中のオスマン軍がエディルネへ到着。スレイマン皇帝に不都合な借金の発覚を恐れたヒュッレムは、シャーに禁じ手を使い、借用証書を奪い返そうとする。だが、その暴挙によってヒュッレムはさらなる苦境へと追い込まれてしまう。

3-72 天国と地獄

エディルネに呼ばれたヒュッレムは、不安な気持ちを抱えてスレイマン皇帝の前へ。皇帝の手にあったのはヒュッレムがベネチア元首の一族から借金をした証書だった。ヒュッレムはシャーのワナだと巧みに言葉を重ねるが…。その頃、マニサではまたもや海賊がオスマン帝国の商船を襲う事件が発生。一刻を争う事態のため、ムスタファはスレイマン皇帝からの返事を待たずに問題を解決しようとする。そのことがマヒデブランを不安にし…。

3-73 形だけの結婚

ヒュッレムがエディルネ宮殿へ追放され、5人の子供たちは突然の事態に困惑していた。ハティジェは、姉シャーの言葉巧みな説得で覚悟を決め、宰相ヒュスレヴとの婚儀に臨む。リュステムは皇帝に皇子ムスタファが独断で造船所を再建していると告発。驚いた皇帝は海軍提督に問いただす。シャーは、リュステムを配下に加えるべく、ある取引を持ちかける。皇帝は宰相チョバンの容体の件で侍医を呼び出すが、別件で思わぬ報告を受ける。

3-74 皇帝家の婿

エディルネに追放されたヒュッレムの元に、意外な人物が現れる。ヒュッレムは言葉巧みに持論を展開するが…。シャーにヒュッレム暗殺を命じられたリュステムもエディルネに到着。リュステムはヒュッレムの命を取るか、何年も前より抱えていた大きな野望をかなえるか、考えを巡らしていた。そんな中、ミフリマーフもマルコチョールの助けを借りてスレイマン皇帝を説得し、ジハンギルと共にエディルネの母の元に向かっていた。

3-75 皇女の嘆き

トプカプ宮殿ではスレイマンがメフメトらと夕食を囲んでいた。だがヒュッレムの話が出るとスレイマンは不機嫌になり部屋を出て行ってしまう。マニサでは、海賊退治に本腰を入れるムスタファが自ら海賊との人質の交渉に向かうと言い出す。エディルネではヒュッレムがミフリマーフに将来に関わる重要な話を切り出していた。そんな中、再婚後も新居へ移らず、イブラヒムとの思い出の館で暮らすハティジェの元にスレイマンが訪れる。

3-76 黒死病

ヒュッレムが追放されているエディルネ宮殿で黒死病の感染者が発生。スレイマンは安全のためにブルサ宮殿に移そうとするが、ヒュッレムは応じない。業を煮やしたスレイマンはエディルネに赴いて理由を問いただす。その頃、マニサではムスタファが海賊の船に乗り込んで人質を救出。民は喝采するが、マヒデブランの不安は募るばかりだった。マニサを訪れたフズル海軍提督は、造船所に関わるスレイマンの決定をムスタファに伝える。

3-77 母の約束

海軍提督フズルは、ムスタファが造船所の再建にあたり、事前にスレイマンへ書簡を送っていたことを明らかにする。だが書簡は届いておらず、事態を重く見た皇帝は使者へ尋問を命じる。ヒュッレムは、リュステムとの結婚を拒むミフリマーフの説得を試みていた。一方、帝国を裏切ったベネチア共和国の大使が和平を求めて大宰相ルトフィーのもとへ面会に訪れる。その後、マルコチョールは大使からおもてなしの招待を受け、公邸へ赴く。

3-78 亀裂

ブルサでムスタファと会うことにしたスレイマン皇帝に、ヒュッレムは言葉巧みにムスタファへの悪意を植えつける。ムスタファの行いは傲慢さから来るものと思い込んだスレイマンは、ムスタファの話をろくに聞かずにメフメトに狩りを指南。それを見たムスタファは父との間の亀裂が大きいことを知る。ハティジェはイブラヒムと過ごした家を追い出されるようにして新居へ。ヒュッレムはシャーの侍女にルトフィーを誘惑させようとする。

3-79 傷心の決断

ブルサでスレイマンから冷遇を受けたムスタファが傷心のままマニサへ。マヒデブランは打ちひしがれた様子の息子を見かね、言葉を尽くして元気づけるのだった。一方、マルコチョールをあきらめきれない皇女ミフリマーフにしびれを切らした皇帝妃ヒュッレムは、あえて娘の心を傷つけることで、未練を断ち切らせようと考える。そんな中、追放したはずの神秘主義者マシュキが帝都へ舞い戻ったことが分かり、スレイマンは連行を命じる。

3-80 ウワサの真偽

ミフリマーフとリュステムの結婚を阻止すべく、シャーたちはあるウワサを流し縁談を壊そうと考える。ヒュッレムに雇われたシャーの侍女は、ルトフィーを誘惑できないまま旧宮殿に追放されるが、ヒュッレムはルトフィーと侍女が不適切な関係にあるとシャーに吹き込む。その頃、マルコチョールもベネチア大使の姪との関係で苦境に立たされていた。法廷では聖者アリの息子マシュキの裁判が行われ、傍聴席にはスレイマンの姿もあった。

3-81 小さな証明者

ルトフィー大宰相の浮気を疑うシャーは、動揺しルトフィーを激しくののしる。一方、皇帝からリュステムの健康状態を調べるよう命令を受けた侍医モシェがディヤルバクルに到着。助手の立ち会いのもと、リュステムを診察する。リュステムと離婚したニギャールは、宮廷史家マトラークチュを訪ね、生き別れた娘の行方を聞く。街では、触れ役によって皇子たちの割礼式とミフリマーフ皇女の婚儀が執り行われることが伝えられていた。

3-82 ミフリマーフの結婚

婚儀の日を迎えてもミフリマーフの気持ちは晴れない。エスマハンの前では強がってマルコチョールを忘れたと言うが、余計に傷ついてしまう。そんなミフリマーフにアフィフェが語りかける。誕生時、皇子でないことを母のヒュッレムに嘆かれた彼女は、今、皇子の将来のために必要とされていた。婚儀と同じ日、バヤジトとジハンギルの割礼式も行われる。街が祝宴でにぎわう中、ミフリマーフは自分の人生を振り返っていた。

3-83 皇子の赴任

ハンガリー王妃から帝国に助けを求める書簡が届く。スレイマンはハンガリーの政情不安を抑えるため、遠征の準備をするよう命じる。一方、ミフリマーフの屋敷では、生まれたばかりの娘のために新たな乳母が雇われる。大宰相ルトフィーは皇帝にメフメトらの県への赴任を進言する。だが、ヒュッレムは母として皇子の赴任に同行し、帝都から排除されることに懸念を抱いていた。そんな中、数年前に帝都から姿を消した女が再び現れる。

3-84 ニギャールの運命

ミフリマーフとリュステムの娘がいなくなった。部屋にあった遺留品から犯人が判明。帝都中に徹底した捜査網が敷かれる。シャーとハティジェの命令だと信じて疑わないヒュッレムは、大宰相邸に乗り込んで、必ず真相を暴くと宣言する。一方、ヒュッレムの息子たちの地方赴任の準備も進んでいた。皇帝から離れて力を失うことを恐れるヒュッレムは、帝都に最も近い重要な県であるマニサからムスタファを追い出そうともくろむ。

3-85 罪深き怒り

宮殿から戻ったリュステムはミフリマーフと語らい、自分はミフリマーフのおかげで生かされていると話す。風紀の取り締まりに力を入れていた大宰相ルトフィーは、捕らえた売春婦から性的に不能だとののしられ激高。怒りに任せた行動を取ってしまう。リュステムは、狡猾な策を使って、ムスタファを追い込もうとしていた。一方、森の中を散策するスレイマンと皇子たちの前に修道僧が現れ、スレイマンに奏上したいことがあると言う。

3-86 楽園からの追放

リュステムの仕組んだ修行僧の予言を気にするスレイマンは、ムスタファがヒュッレムとその子供たちを皆殺しにした夢を見てうなされる。そしてムスタファを帝都に召喚し、彼の将来に関する重大な決断を伝える。一方、ヒュッレムの皇子たちはブダ遠征への帯同や県への赴任が決定。ムスタファは、かつての大宰相邸の庭に立ち、ヒュッレムに玉座と国を支配されてもよいのかと忠告した亡きイブラヒムの言葉を思い出していた。

3-87 後継者の母

皇子たちの県への赴任が決まり、ヒュッレムは後宮でお祝いのお菓子を振る舞う。それは、腹違いの第1皇子ムスタファを東の国境の県へ追いやり、自身の長子メフメトが玉座に近いマニサへの赴任が決まったことへの勝利宣言でもあった。ムスタファを支持する者たちはそれぞれが憤まんやるかたない思いを抱え、この世の理不尽にイラだっていた。そんな中、スレイマンがブダ遠征へ出発。だが、ほどなくして帝都へ一大事の知らせが届く。

3-88 消えた皇帝妃

コンヤのセリムから書簡が届いた。大病のセリムを見舞うためにヒュッレムが訪れたはずだったが、書簡には異なることが書かれていた。ミフリマーフはヒュッレムへのワナと考え、兄のムスタファや叔母のシャーやハティジェに詰め寄る。そんな中、スレイマン皇帝がブダ遠征から帰還。第一報を聞いたスレイマンはひどく取り乱し…。悲嘆に暮れるスレイマンは、血統の者に用心しろと告げた修道僧のことを暗い気持ちで思い出していた。

3-89 失踪の謎

皇帝妃ヒュッレムが消息を絶った。マルコチョールは、皇帝の命を受けて皇子ムスタファやマヒデブラン妃、シャー皇女らを尋問に招致する。一方、皇帝スレイマンはヒュッレムの自室で無事を祈りながら夜を明かす。末の息子ジハンギルは、そんなスレイマンにヒュッレムと夢の中で会話をしたと言うのだった。だが、ある日、ヒュッレムに随行した従者の1人が宮殿へ戻り、そのまま倒れ込む。従者が語ったヒュッレム失踪の真相とは…。

3-90 永遠との結婚

ヒュッレムが行方不明になってから年月が流れ、捜索は続いているものの、すでに多くの人間は諦めていた。そんな中、スレイマンは日々ヒュッレムを思い、政務からも手を引く状態に。ハティジェは苦悩する兄を見ていられず、再び兄と妹に戻りたいと提案する。スレイマンも運命を受け入れ始めた頃、偽の書簡を運んだ男が見つかって…。その頃、アマスヤでは父親の寵愛を失ったムスタファが立ち直れないまま自暴自棄な生活をしていた。

3-91 小さなヒュッレム

皇子メフメトは赴任地のマニサで、皇子ムスタファはアマスヤで、それぞれの日々を過ごしていた。ある日メフメトは鷹匠頭のイリヤスに勧められて狩りに出る。一方、アマスヤで失意の日々を過ごすムスタファのもとに海軍提督フズルが訪れる。フズルはムスタファを励ますため、ムスタファを慕う歩兵常備軍のもとへ連れていく。ハンガリーへ遠征に出た帝国軍は快進撃を続けていた。後宮ではミフリマーフの手紙がなくなる事件が起きる。

3-92 衝撃の結末

ミフリマーフはシャーを呼び出し、乳母のエミネがシャーの間諜だったことを自白したと話す。それをスレイマン皇帝に告発されたくなければ帝都から出ていけと言い放つ。マニサではメフメトがイリヤスと剣術の稽古中に負傷。イリヤスは暗殺任務を実行しようと、ある仕掛けを施し…。遠征中のオスマン帝国軍は幾多の勝利を挙げて帰路に。その頃、マルコチョールはヒュッレムの行方に関する有力情報をつかみ、痕跡を追っていた。

4-1 家族の集い

陰謀による失踪から不死鳥のごとくよみがえった皇帝妃ヒュッレム。我が子を玉座に就けるという決意を新たにする。スレイマン皇帝は皇子メフメトの死から立ち直れず自室に籠もる日々を過ごしていた。宮殿の勢力図も変化し、今や皇女ミフリマーフの夫リュステムが大宰相の座に就いている。そんな中、皇子たちが地方の赴任県から帝都へ召喚される。皇子たちが一堂に会したところでスレイマンから重要な決定が下されると思われていた。
●舞台は奴隷兵(カプクル)イブラヒムの声と共に幕を開ける。断食月のある春の夜に謀殺された無念さと死して煉獄に落ちた苦しみを訴える。
ヒュッレムは占星術師に帝国の後継者を占わせる。
●アマスヤに赴任中の
ムスタファはある日帝都に呼び戻される。セリムとバヤジトも呼び戻され、ジハンギルの成人の帯刀式の儀のためだけでなく近く玉座に一番近い県と言われるマニサに赴任する皇子の名が発表されるからこその招聘と噂される。
●大宰相となった
リュステムのもとを訪れたフズルは大宰相職を象徴する赤の長衣(カフタン)は言わば炎の衣だと言う。
●ミフリマーフが侍女長となったギュルバハルを呼びヒュッレムを探させるが宮殿内に姿が見当たらない。ルメイサの娘ネルギスシャーを連れたムスタファが帰途する道上に歩兵常備軍(イェニチェリ)が激励の列をなして見送る。リュステムもアジズから報告を受ける。ヒュッレムはマヒデブランの計略により殺害されたメフメトを思い出す。スレイマンはメフメトを思い、エブッスードとマトラークチュ以外の者と会わぬ日々が続いていた。

4-2 後継者の器

末の皇子ジハンギルの帯刀の儀が執り行われ、皇子は極度の緊張に襲われながらも儀式の詠唱をやり遂げる。その夜、皇帝は皇子たちと食事会を開き、同席した大宰相リュステムは玉座の後継者候補からムスタファを引きずり下ろすべく、ムスタファに不利な話をする。ヒュッレムとマヒデブランは自分の息子がマニサの軍政官に指名されるように願っていた。そんな中、遠征で海軍提督フズルに捕らえた女奴隷たちが宮殿に連れてこられる。
●フズルはムスタファを自分の艦船に誘う。エブッスードはリュステムにイスラム長老と宗教的見解(ファトワー)が合わないとこぼす。スレイマンはジハンギルに獅子の指輪を贈る。帯刀式のマヒデブランはヒュッレムに「お前の罪を背負った可哀相なジハンギル皇子」と暴言を吐き「私の血は王朝で染まっていないわ。悪人を見たければ鏡を見なさい」と言われる報いを受ける。リュステムはスレイマンにイェニチェリが敬愛するムスタファを数千の兵を持って出迎えたと言う。セリムの側女ディルシャーは側女たちの大部屋で皇妃になる夢を語るが、ヒュッレムはスンビュルに「強い女がいてこそ男は成功する。もっと強い側女を探しなさい」と言いつけ、ベネチアの貴族出身チェチーリア(後にヌールバーヌー)に目を留める。マトラークチュとバヤジトが棒術の練習を重ねる中セリムが参会し、皇子同士の試合が行われる。その様子を見たスレイマンは顔色を変える。ヒュッレムはスレイマンに皇子の推挙を問われる。チェチーリアは義母の所為で運命の綾から結果的に追いやられる羽目となったオスマン帝国の後宮で侍女ヴァレリア(後にナーゼニン)と同格とされ怒りに燃えていた。


4-3 玉座への道

4人の皇子たちはマニサの軍政官に誰が任命されるのかと落ち着かない日々を送っていた。バヤジトを推すミフリマーフと夫のリュステムは、決定が下されるまで注意して過ごすようバヤジトに釘を刺していた。ヒュッレムは、どの皇子を指名すべきだと思うかスレイマンに尋ねられる。緊張が高まる中ついに会議が招集されるが…。一方、宮殿に女奴隷として連れてこられたベネチアの貴族の娘チェチーリアが夜中に自害を試みる。
●ミフリマーフの屋敷にて内輪の晩餐会が催される。セリムが棒術の疲労を理由に自室へ下がるとバヤジトが口を開く。ミフリマーフとリュステムにはバヤジトが有力と見られていた。国庫の手当の少なさを理由にバヤジトは50万アクチェ(銀貨)の補填を願い出る。セリムは傍聴していた女官から資金困窮の内輪話を入手する。チェチーリアは真夜中に父が殺されたときの夢を見て飛び起き自殺を謀るがミフリマーフの屋敷から戻る途中のセリムにより介抱される。ヒュッレムは「知恵がなければ美しさなど無価値」と言う。女官ジャンフェダーがかつてニギャールがヒュッレムに女の栄華を説いたようにチェチーリアの行末に一筋の光明を当てる。スレイマンは宮廷建築家シナンの建造したメフメトの霊廟の視察に出る。エブッスードが玉座の重みを常に死が付き纏うと表現する。スレイマンは兄弟殺しによりトラブゾン軍政官に過ぎなかった父帝セリム1世が先々帝バヤジト2世から玉座を奪い取った経緯を思い浮かべる。ついに宣告が下された。マニサ軍政官となった皇子セリムはコンヤにいる腹心のガザンフェルを呼び寄せる。ムスタファは皇子たちの狩りの誘いを断りアマスヤに一足先に戻る。


4-4 陰の守護者

玉座の県への赴任者がセリムに決まり皇帝妃ヒュッレムはバヤジトが父帝の決定を受け入れる姿を見て成長を感じていた。一方、傷心の第1皇子ムスタファは、そうそうにアマスヤへの帰路に就く。他の皇子たちもそれぞれの赴任県へ戻る日が近づき、皇子の後宮に入る側女が選ばれることに。野望を胸に秘めるチェチーリアは選ばれるために宦官長に近づくが…。狩りに出た皇帝と皇子たちだったが、またもセリムとバヤジトがいさかいを起こす。
●皇子選出の聖断が一段落してスレイマンとヒュッレムは久しぶりに語らい合う。気がかりが晴れてあえてヒュッレム失踪の暗雲が重く垂れ込めた時期の離別の苦しみを吐露する。マヒデブランはヒュッレムがセリムを推挙した真意など誰にも分からないという。リュステムはヒュッレムにセリムでは勢いが衰えると忠言するがヒュッレムは狙われるのはむしろ皇子たちではなく自分だと言う。チェチーリアは一計を講じてセリムの湯浴みに居合わせるが一顧だにされない。アマスヤへ急ぎ帰るムスタファ一行を木立の陰から下見する黒衣の男が二人隠れ潜んでいる。ムスタファの護衛が何事かを頷くと、夜明けと共に身なりの粗末な男共が一斉に襲撃を開始する。しかし黒衣の男二人で掃討される。襲撃者が一人捕らえられアマスヤの商人カスムの命令だったと白状する。だが実際はリュステムとヒュッレムにより仕組まれた罠でヒュッレムは失敗に激高する。陰の守護者がいるようだとリュステムは弁解としてフズルの名を挙げるがヒュッレムは納得しない。懐妊中のルメイサがムスタファを庇って身代わりになったのだった。一方チェチーリアはセリムのマニサ赴任の後宮に入るべくスンビュルに心付けを見せ取引するが侍女だったヴァレリアに出し抜かれる。エブッスードがスレイマンに現金による宗教寄進(ワクフ)の廃止の弊害を語る。セリムとバヤジトが早駆けの勝負をして行方不明となるがバヤジトがセリムを助ける。口論となった二人の皇子は血相を抱えて駆けつけたスレイマンに違う説明をする。


4-5 光り輝く女

ある日の早朝、戸外で星を見上げて運命を占っていた側女チェチーリアは、星から重大なお告げを受ける。皇子たちと狩りに出ていた皇帝スレイマンは事あるごとに衝突を繰り返すセリムとバヤジトに業を煮やしていた。アマスヤでは、皇子ムスタファが暗殺を企てたとされる商人を問い詰め、真相の一端が明らかになる。トプカプ宮殿では皇子セリムがマニサへ出発する日が訪れ、皇子の後宮に入れなかったチェチーリアは強硬手段に出る。
●チェチーリアは稽古場から持ち去った紙と鉛筆で夜に後宮の屋根に登り星を素描する。アフィフェは衛兵に命じて連れ戻す。牢屋に禁固される直前にヒュッレム妃の行く末を星々から教わったので伝えて欲しいと叫び残す。スレイマンがバヤジトに「誰かに過ちを唆し更に追い打ちをかけるのであれば、その誘導した過ちはお前自身のものだ。怒りで我が身を滅ぼす性分を直せ」と叱る。翌朝アフィフェがチェチーリアをヒュッレムの目前に連れ出す。チェチーリアはヒュッレムという炎を読み解く。マニサではマヒデブランがメフメトを謀殺した自分の罪を被ってルメイサと孫皇子が死んだのではないかと嘆き沈む。ムスタファは剣を手に勇猛にカスムと渡り合い、リュステムの従者アジズが依頼者との自白を得る。カスムを生かしておくも口封じに殺害されたことからムスタファはアマスヤ宮殿内部に反逆者がいることを知る。リュステムがムスタファの師から受け取ったとされる、ペルシャ人の庇護者カスムとの確執を書いた手紙がスレイマンに奏上される。ムスタファは慎重の上に慎重を重ねてフズルが差し向けたという黒衣の伝令二人の身元を照会する。マニサ赴任を明日に控えて浮き立つヴァレリアをよそ目にチェチーリアは落ち着かない。ヒュッレムに直接訴え忠誠を誓う代わりにヌールバーヌー(光り輝く女)の名を賜り、ヴァレリアの代わりにマニサ後宮へ上がることとなる。


4-6 ヒュッレムの憂い

周囲が病状を心配する中、ヒュッレムは真実を必死で隠そうとしていた。そんな中、スレイマン皇帝の妹ファトマ皇女が予定より早く宮殿に到着する。皇女は、ある若くて美しい娘を同伴させていた。アマスヤでは皇子ムスタファが内部の反逆者を見つけ出そうと躍起になる中、意外な訪問者が現れる。一方、皇子セリムは赴任が決まったマニサに到着。セリムの後宮にはヒュッレムから新たにヌールバーヌーという名をもらったチェチーリアがいた。
●ヒュッレムが自室のバルコニーで倒れる。医女の診断は閉経による更年期障害だった。もはや皇帝の皇子を産むことはできない。ヒュッレムはスンビュルとファーリエと医女に箝口令を敷く。皇女ファトマがハティジェの娘フーリジハンを伴い、腹心のメレキと共にトプカプ宮殿に参内する。ギュルフェムからヒュッレムの不調を聞いたファトマは医女を詰問する。フズルの元に伝令アトマジャ(鷹の意)が訪れてフズルの娘が応対する。だがフズルからではなくまた別の陰の守護者からの伝令なのだった。リュステムが直接イスラムの現長老フェネリザーデを招聘する。前イスラムの長老チヴィザーデ同様、現金による宗教寄進(ワクフ)廃止派かどうかを聞き出すためだったが暴言を吐き捨てられる。「楽しみと喜びの皇女」と噂されるファトマがわざわざ窮屈な金の鳥籠と呼ばれる後宮に舞い戻った裏には理由がありそうだとヒュッレムはスンビュルに警告する。フーリジハンはバヤジトに急接近する。セリムがマニサに着任する。ムスタファのもとにアルジェ出身のフズルの娘ミフリュニーサが使者として立つ。伝令アトマジャがアマスヤに戻りヤヴズと話すところに警備隊長が聞き込みに来る。


4-7 ムスタファの策略

皇妹ファトマが宴を開き、久しぶりに後宮が活気づいていた。だが、そんな宴の席でファトマはヒュッレムの心の傷をえぐるような暴露をする。一方、皇帝スレイマンは、ほぼ毎夜、同じ夢を見ることを気に病み、軍法官エブッスード師に相談をしていた。マニサでは赴任したばかりのセリムがお忍びで市場を視察。商人から自分の悪い評判を聞いてショックを受ける。アマスヤではムスタファが内部の反逆者を特定するため、敵をワナにかける。
●後宮ではファトマ主催の宴が催され、ヒュッレムとミフリマーフが招待される。側女たちも勢揃いの中、ファトマにより更年期障害を暴露されたヒュッレムは一人部屋で号泣する。ミフリマーフは「楽しみのため女心を弄ぶとは」と公然とファトマを非難する。スレイマンはフェネリザーデを直接召喚して事情を聞く。その夜フーリジハンの奏でるバイオリンの音を聴いたスレイマンはイブラヒムとの思い出の記憶に圧倒される。閉経を迎えた女は美貌を持つ若い女に敵わないとしたファトマはスレイマンにギュルフェム推薦の側女を夜伽の献上品として用意する。内廷宦官長ロクマンを通じてヒュッレムは企みを阻止するもアフィフェから夜伽を用意するのが職務ですと泣訴される。ファトマは実はムスタファがヒュッレムという蛇を潰すために後宮に送りこんだ皇女なのだった。アマスヤでは警備隊長がアトマジャとヤヴズの罠にかかりリュステムの差し金と知られてしまうがムスタファは状況を利用するため泳がせておくことを決定する。マニサではジャンフェダーが侍従ガザンフェルを説き伏せ、ヌールバーヌーを夜伽に参らせるよう画策するが、あいにくセリムは市中で揉め事を起こしており虫の居所が悪かった。ジャンフェダーの禁酒を一番の任務とするという制止も聞かず、「セリム皇子が私の楽園に入るの」「釘を抜くのは釘よ。葡萄酒を持ってきて」と自信満々に奮い立つ。


4-8 誇り高き者の選択

マニサの市場で自分の悪い評判を聞いた皇子セリムは心が荒れていた。どうしても夜伽を務めたい側女ヌールバーヌーはセリムの寝所に入り込む。一方、トプカプ宮殿ではヒュッレムが身も心も引き裂くようなつらい選択をしていた。だが、その事実を知ったファトマは好機を逃さず、ヒュッレムにさらなる打撃を与えようともくろむ。そんな中、大宰相リュステムのもとにアマスヤの間諜からムスタファ皇子の計画を知らせる書簡が届く。
●皇子は痩せた女はお好みではない、と言われながらも葡萄酒を片手に、単身夜伽に乗り込んだヌールバーヌーは全て忘れさせるとの約束の一夜を過ごす。フーリジハンはファトマから手渡されたイブラヒムの日記を毎夜繰る。誇り高いヒュッレムは閉経の事実を公開されて側女を献上しない訳にはいかなかった。女人としての感情を抑えヴァレリアを選び赤い衣を着せて夜伽に参らせ、過ぎ去った残酷で美しい時間を思い慟哭する。ファトマはメレキから昨夜女人がご寝所に送られたことを聞く。ヒュッレムは「盲人は見えず。誇り高き者は見ず」の故郷のことわざを胸に、己の自惚れや虚栄心に負けないことを誓う。バヤジトはキュタフヤにすぐには戻らない意をジハンギルに明かす。ヌールバーヌーが朝食の手配をする間にセリムは苛立ちから鏡を割り豹変する。ジャンフェダーにお悩みを知らなければ忘れさせてあげられないと懇願するが事情はガザンフェルしか知らないと言われる。アトマジャが非正規騎兵(アクンジュ)ヤヴズをフズルに紹介する。ミフリュニーサはフズルのもとに帰らずアマスヤのムスタファの後宮近くの農家に住むことを決意する。アトマジャはイェニチェリの長官アリに重大な任務を伝令する。警備隊長は命が狙われているとリュステムに伝令する。ごひいきの部屋に通されたヌールバーヌーはディルシャーと同室と知る。ファトマはヴァレリアを訪れてヒュッレムの施した避妊処置を知ると、ナーゼニン(上品かつ優美の意)の名を与えて今後は処置しないよう言い渡す。


4-9 皇子の苦悩

自分の命が狙われていると知らされたリュステムは落ち着かない日々を過ごしていた。マニサではセリムが落ち込んでいる原因を突き止めたヌールバーヌーが何とかセリムを元気づけようとする。一方、ヒュッレムがスレイマンの寝所へ側女を送ったことを知ったファトマは、より確実な方法でヒュッレムを追い詰めようと画策。そんな中、スレイマンとバヤジトの仲を取り持とうと努めるヒュッレムの元にスンビュルからある知らせが入る。
●スレイマンはバヤジトの荒い気性を気に病む。神聖な合同金曜礼拝を前にマトラークチュとジハンギルはバヤジトに反省の色をスレイマンに見せるよう促す。リュステムは屋敷の警護確認に余念がない。ムスタファはミフリュニーサと木剣で手合わせする。ファトマはフーリジハンを焚き付けてバヤジトとの恋を後援し、ナーゼニンをスレイマンのご寝所に送り込む。スレイマンはムスタファ暗殺の件で内心引責をリュステムに負わせているため不協和音が漂っている。命の危険から再三イェニチェリの長官アリを罷免するようヒュッレムを説得しかかるが許可が降りず不安を拭い去れない。民衆にムスタファやバヤジトより愛されていないのではないかと自信をなくす中、カザンフェルがセリムを市中のモスクへ金曜礼拝に行くよう説得する。果たしてそこには敬愛を表して民衆が集まっていた。マニサ宮に戻ると一年分の食糧が寄付されており、セリムは民に慕われていることを確信して自信を取り戻す。だがそれらは全てカザンフェルに命じてヌールバーヌーが手配させたものだった。安堵するガザンフェルの前に市中で殺された商人アフメトの妻が現れる。リュステムは長官アリの大宰相就任祝いの宴の招待を受ける。スンビュルは市中の女生地商人ジェヴヘルと出会う。スンビュルからバヤジトとフーリジハンが市中で買い物をしていた報告を受けたヒュッレムは、激怒してバヤジトの欠点をあげつらってしまう。


4-10 皇女の追撃

ヒュッレムの怒りを買ったバヤジトは、予定を早めて赴任県へ戻ってしまう。アマスヤでは海軍提督の娘ミフリュニーサのムスタファに対する思いにマヒデブランが気づき始めていた。一方、歩兵常備軍のアリ長官の招きで兵舎を訪れたリュステムは、宴は自分を殺すための罠だと思い込んでいたため冷静さを失う。さらに、久しぶりに2人きりで食事を楽しんでいたスレイマンとヒュッレムの元にファトマが衝撃の事実を知らせにくる。
●皇子の赴任先で宗教寄進(ワクフ)を行うのは皇子の母の務めである。マヒデブランは宴を開いて支援者を探す。リュステムはイェニチェリの兵舎で長官アリの歓待を受けるが我慢の限界に達する。バヤジトはスレイマンに赴任先のキュタフヤに出立の挨拶をする。マトラークチュがリュステムとアリの諍いをスレイマンに奏上する。会議で独断にてアリを罷免しようとするリュステムにフズルが意見する。リュステムはスレイマンの叱責を受ける。アマスヤではミフリュニーサが農場の改装に出た途中に怪しい動きをしている警備隊長を発見するが逆に見つかってしまう。危ういところをアトマジャとヤヴズに救われる。ムスタファが警備隊長を生かして利用する命令に背いたとして慌てるが、警備隊長が持っていた文を手渡し、役目を無事に終えたと報告する。ヒュッレムがリュステムを取りなす奔走に追われる中、ナーゼニンがファトマに何事かを奏上する。マニサではヌールバーヌーがセリムの夜伽に上がり、全てを忘れさせるとの約束を果たしに参上する。ヌールバーヌーはベネチアの舞踏会では皆が仮面に顔を隠し、男も女も共に踊ると話してセリムを楽しませる。スレイマンとヒュッレムが朝食を共にする中、ナーゼニンが懐妊を伝える。リュステムは腹心のアジズを亡くし、代わりに格闘家を倒して名を上げ、ザール(伝説の勇者)とも噂される従者マフムードに密命を託す。マフムードは21番部隊の兵士の中から役に立つ者を見つけ出してみせると豪語する。ヒュッレムはファトマとの全面対決を決意する。


4-11 愛の鎧

皇女ミフリマーフは宮殿で側女たちに揚げ菓子が振る舞われているのを見て驚きの事実を知る。赴任地キュタフヤに到着した皇子バヤジトはフーリジハンのことを思っていた。歩兵常備軍との宴席で抜刀騒ぎを起こしたリュステムに皇帝の沙汰が下る。マニサでは市場での皇子セリムの騒動で側女ヌールバーヌーたちが対応に苦慮していた。アマスヤではミフリュニーサに縁談話が持ち上がる。そんな中、ミフリマーフの体調に異変が…。
●ナーゼニンの一件が仕組まれたものだとのロクマンからの報告で初めて懐妊を知ったリュステムは驚きと嫌悪の表情を隠せない。失意の中、ラナ妃と2人の幼い息子の待つキュタフヤに戻ったバヤジトは師父ムスタファにセリムの動向を探るため配下をマニサに送らせることで冷静に対処するも、寝所ではフーリジハンへの想いが募り落ち着かない。窮地に陥ったロクマンはファトマの侍女メレキを問い詰めファトマの秘密を聞き出すことに成功した。離縁したのは夫側ではなくファトマ本人の不貞が原因だったのだ。これをスンビュルから伝えられたヒュッレムはほくそ笑む。スレイマンは歩兵常備軍との騒動の件でリュステムに非があると断罪しヘルツェゴビナ県への追放処分を下す。ミフリュニーサを息子から遠ざけようと仕組んだ縁談話をマヒデブランから聞かされたムスタファは狼狽し苛立つ。リュステムを宴席に招待した歩兵常備軍長官の側近から自供を得るべく拉致監禁した旨の報告をマフムードから受けた直後、リュステムはミフリマーフが原因不明の体調不良により意識を失ったことを知らされる。市場で殺された商人の妻がセリムを法官に訴えることを侍女から聞いたヌールバーヌーは、このことがセリムに知らされる前にガザンフェルを妻に会いに行かせ訴えを取り下げさせることを画策するも高圧的な物言いが災いし失敗する。そこでヌールバーヌーは宮殿を抜け出して自ら妻に会いにいくことを決意する。


4-12 心の命

ミフリマーフの体調は幸い大事に至らずスレイマンとヒュッレムは安堵する。心配してヘルツェゴビナへの出立を遅らせていたリュステムは、捕まえた歩兵常備軍の兵士から自分を陥れた黒幕が誰なのかを聞き出す。一方、ファトマが離縁した本当の理由を知ったヒュッレムは、アンタキヤからファトマの元夫を呼び出し、ファトマが宮殿へ来た真の目的を知る。夜、ミフマリーフの回復祝いの席にファトマの元夫ムスタファが現れ…。
●歩兵常備軍長官の従者の口を割らせたマフムードから、自分の失脚を画策した黒幕はフズルであったことをリュステムは伝えられる。事の真相とフズルとムスタファの強い結びつきをリュステムから聞かされたヒュッレムは、ムスタファを殺すのかとの問いに対し心の命を奪うのだと答える。マニサ民衆のセリムへの不評と商人の殺害事件の情報にいきり立ったバヤジトは離県禁止を無視しマニサ行きを決める。ファトマの元夫である軍政官ムスタファを呼び寄せファトマに復縁を求めるようそそのかしたヒュッレムの策略にはまったファトマは、スレイマンへの不貞の暴露を恐れやむなく復縁を奏上しに行く。ファトマが復縁を望んでいるとの偽情報をすでにヒュッレムから伝えられていたスレイマンは即座に許可する。ガザンフェルを従え秘密裏に宮殿を抜け出し例の商人の妻に会いに市場へ赴いたヌールバーヌーは身分を明かし、訴えを取り下げるなら残された子との生活を保障すると約束し同意を得るが踵を返した瞬間、こちらを睨み屹立しているセリムの姿に驚愕する。かねてから自らへのムスタファの偽らざる気持ちを確かめたかったミフリュニーサだったが、ついにムスタファ呼び出され愛はないとの非情な言葉に傷つけられ立ち去る。リュステムはフズルのもとを訪れ、誰にでも大切はものがあり時にそのためにはすべてを犠牲にするが、フズルにとってそれがミフリュニーサなのかムスタファなのかを問い詰める。


4-13 海軍提督の窮地

海軍提督の娘ミフリュニーサの身に危険が迫る。マニサでは側女ヌールバーヌーが地下牢に入れられていた。トプカプ宮殿では皇帝スレイマンが皇子ムスタファが帝都に攻め入る夢を見る。リュステムはヘルツェゴビナへ出立。皇女ファトマは招かざる元夫ムスタファが帝都に現れたことに腹を立てる。宦官長スンビュルは後宮でまさかの再会をする。皇子セリムは訴訟騒動に終止符を打つべく寡婦と会う。海軍提督フズルは窮地に立たされる。
●ムスタファと別れ泣きじゃくるミフリュニーサにマフムード率いる郎党が忍び寄り拉致を図る。ナーゼニンと仲睦まじいスレイマンの姿に苦悩するヒュッレム。市場で亡き商人の妻に会ったかどで地下牢に入れられたヌールバーヌーはセリムの厳しい追及に対し、愛ゆえの行動だったと訴えるも、プライドを傷つけられたセリムは越権行為として断じて許さない。ミフリュニーサの身柄を担保に、歩兵常備軍との騒動はアリ長官の計略だと奏上するようフズルに要求した後、リュステムはヘルツェゴビナに向かうが、別れ間際、体調不良はリュステムの出立を阻むための詐病だったとミフリマーフから打ち明けられる。娘の命とムスタファへの忠誠心のどちらを選ぶかフズルは窮地に立たされる。スレイマンへの奏上はアリが支持を表明したムスタファへの糾弾に繋がるからだ。ジェヴヘルはスンビュルが後宮宦官長であることを突き止め行商を口実に大部屋に入り込むと、それに気づき立ち去るスンビュルを追いかけ先日告白した愛に変わりはないと伝える。ミフリュニーサの拉致を知らされ従者らと共に捜索にあたるムスタファは手掛かりをもとに帝都へ向かう。バヤジトは忍びで訪れたマニサの市場で商人らからセリムの醜聞を自分の耳で確かめるもスレイマンへの奏上は急がない。セリムは商人の妻を呼び出し訴えの取り下げを要求するが、その人間性に信を置いたヌールバーヌーとの約束通りすでに実行したと聞かされる。


4-14 スンビュルの恋

娘を拉致された海軍提督は、依然見つからない娘のため意を決してスレイマンのもとへ出向く。ヒュッレムはスレイマンの子供を身ごもった側女を排除したいと考えていたが、子供を心待ちにするスレイマンを見て迷いが生じてくる。一方兄セリムの失態を探るため、バヤジトは赴任県を離れひそかにマニサに来ていた。ヒュッレムの指示を受け翌朝の市場へ出向くはずだったスンビュルは、伝言をもらった行商人の女性のもとを訪れる。
●ヒュッレムはナーゼニンの部屋に侍女を忍び込ませ薬に毒を仕込む。正体を隠しマニサ法官を訪ねセリムへの訴え取り下げに怒りをあらわにしたバヤジトは、セリムに見つかり宮殿でもてなしを受けるが互いに罵詈雑言が昂じると席を蹴る。皆にとっての最善策であると、フズルは体調不良を理由にスレイマンに辞意を伝えるが、沙汰は病因判明後と先送りになる。フズルの辞意奏上をムスタファ擁立派黒幕に伝えた伝令ヤブズは「例の女人」を使ってミフリュニーサの居所の探りを入れるよう命ぜられる。セリムが下した追放処分により自由と大金を手にしてベネチアに帰れるとガザンフェルに伝えられるがヌールバーヌーはこれを拒む。ミフリュニーサの拘束継続をマフムードに指示した手紙をヒュッレムはスンビュルに手渡す。久方ぶりの我が子の誕生はメフメト亡き後の神の思し召しと心待ちにするスレイマンにヒュッレムは慌てふためき、ナーゼニンが毒入りの薬を服用するのを食い止めるようファーリエに命じ、すんでのところで難を逃れる。再び訪れたジェヴヘルの自宅で互いの愛を確かめあい一夜を過ごしたスンビュルの寝姿の傍らでジェヴヘルはヒュッレムの手紙を盗み見る。ヤブズらが間諜として送り込んだ女人とはジェヴヘルだったのだ。リュステム不在の間、大宰相代理を任命された門衛長ソコルルは、敵対勢力であるフェネリザーデ師の失脚を画策するヒュッレムに師の過去の過ちを探り出すことを誓う。


4-15 仕組まれた疑念

マニサの地下牢で意識を失っていたヌールバーヌーは驚きの事実を知る。トプカプ宮殿でヒュッレムから密命を受けた門衛長ソコルル・メフメトは、イスラムの長老を辞任に追い込むための証拠を探していた。ムスタファの一行は拉致されたミフリュニーサの行方を懸命に追跡する。だがその後、責任感の強いムスタファは自身の行動があだとなりスレイマンに深い疑念を抱かせてしまう。ヒュッレムは占いの結果に強い危機感を覚えていた。
●地下牢で意識を失ったヌールバーヌーは回復後、セリムから懐妊の診断を伝えられる。スンビュルが使者に渡したヒュッレムの手紙がミフリュニーサの拉致犯宛てだとジェヴヘルから教えられたヤブズは使者を追跡する。ソコルルが探し出した文書をフェネリザーデに突きつけたヒュッレムは、地位乱用の発覚による解任を望まなければ辞意を奏上するよう迫る。スレイマンは辞意の理由が明かされないままフェネリザーデを解任しエブッスードを後任に充てる。ムスタファはミフリュニーサ救出後、互いの愛を確かめ合うも愛する者への危害を恐れ帝都送還という苦渋の選択を告げる。救出劇での剣術からただの伝令ではないと勘づかれたアトマジャは、フズルから皇子守護の特命を授かったのだとムスタファに打ち明ける。フズルの見舞いをヒュッレムから勧められたスレイマンが赴いた先で目にしたのはミフリュニーサといるムスタファとアリ長官の姿だった。ムスタファが規則違反の帝都行き情報を得たヒュッレムがスレイマンに皇子への疑念を生じさせようと邂逅を仕組んだのだった。ムスタファ率いる艦隊から一斉砲撃を受けるという直近の悪夢を思い出したスレイマンに呼び出されたムスタファは嘘を交えこう釈明する。山賊に誘拐された相談役ミフリュニーサを救出後、フズルの元に送り届けるための帝都行きだったのだと。しかし疑念にかられたスレイマンは内廷出身の軍団将校らの内偵調査をソコルルに命ずる。


4-16 戒め

兄セリムの不誠実な行いに納得がいかないバヤジトは、この事実をスレイマンも知るべきだと考えていた。ムスタファはスレイマンから呼び出され、兵舎で起きたリュステムとアリ長官の事件についてスレイマンが下した決断を知らされる。スレイマンの子を身ごもった側女の出産が近づく中、ファトマ皇女の婚礼が執り行われ、ファトマが帝都から去る日が近づいていた。一方マニサではセリムの子を妊娠したヌールバーヌーが後宮で騒動を起こす。
●セリムの失態と醜聞を洗いざらい暴露することに決めたバヤジトは、赴任県を離れた自らの非も含めてしたためたスレイマン宛ての書簡を師父ムスタファに手渡す。しかし日頃からフーリジハンからの恋文をバヤジトの手元に届かぬよう計らっていた師父は恋文もこの書簡も密かに火にくべてしまう。ムスタファの一連の行動に悪意はないと擁護するミフリマーフに苛立ち、玉座を奪おうとする計略を潰してスレイマンに真実を見せてやったのだとヒュッレムは豪語する。ムスタファを呼び出したスレイマンは処分保留にしていたアリ長官を斬首刑に処すことを告げその執行の任にあたるよう命ずる。宣告を甘受しムスタファにより刑場に連行されたアリは「我らムスタファ皇子殿下のしもべ」と叫び絶命する。処分を解かれ帝都に戻ってきたリュステムは参内し後任の海軍提督の選任を急ぐべきだとスレイマンに進言する。忠誠心への疑念は人を蝕むという警句を口にしたヒュッレムに対し、あなたの命運は自分の発言しだいだとムスタファは忠告する。忌み嫌う元夫との再婚を悲観していたはずが婚礼の宴でなぜか上機嫌にしているファトマの姿は周囲の者たちにとっては理解不能だった。アマスヤへの帰還の許可を求めるムスタファに対し、アリの後任の長官の任命式が執り行われる御前会議への出席を命ずる。そしてこう戒める。誤解を招かぬよう皇子として誰といかなる関係を築くかについては熟慮のうえ決めるようにと。


4-17 皇子たちの恋

海軍提督の娘ミフリュニーサに思いを募らせる皇子ムスタファは気持ちを率直に伝える。トプカプ宮殿では婚礼を終えたファトマ皇女が夫との夜を迎えていた。一方、マニサからヒュッレムのもとにヌールバーヌー懐妊の朗報が届く。皇子ジハンギルはフーリジハンとキュタフヤにいる兄バヤジトを訪ねる。皇帝はマトラークチュに密命を下す。そんな中、ついに皇帝の側女ナーゼニンが産気づき…。アマスヤへ戻ったムスタファのもとに意外な人物が現れる。
●不相応な恋慕が不幸の原因と自責の念にかられるミフリュニーサは、ムスタファの将来を気遣い身を引くことを伝える。婚礼の夜、夫に精力増強のための滋養食の過剰摂取を煽ったファトマは自然死を装った殺害計画に成功する。ファトマを宮殿から追い出すヒュッレムの算段は潰える。バヤジトから返事が来ないことに煩悶するフーリジハンに、ジハンギルをキュタフヤに行く気にさせれば同行してバヤジトに会えるとファトマは智恵をつける。歩兵常備軍の将校がムスタファを訪れ、長官処刑後、一触即発の軍団は皇子即位のための反乱の準備は万全だと伝える。謀反を起こすつもりはないとムスタファが激昂し平手打ちをした将校の正体は、皇子に探りを入れるためにスレイマンが直々に送った囮だった。事件再発防止のため赴任県を回り皇子たちの評判を密かに探るようスレイマンはマトラークチュに命ずる。フーリジハンとの手紙の行き来の妨害をバヤジトに叱責された師父はスレイマンにこの交際が知られた際の沙汰を案じている。あらゆる困難に立ち向かう覚悟でミフリュニーサとともに生きる決意のムスタファは、フズルの了解のもと希望を託してアマスヤに戻ったミフリュニーサに秘密の結婚を申し出る。滞在先のキュタフヤ宮殿内のフーリジハンの部屋の前で躊躇するジハンギルは廊下の足音を聞き身を隠すと、扉の外でフーリジハンがバヤジトを迎え入れるのを目にし自分が利用されたことを知ることになる。


4-18 秘密の関係

皇帝の側女ナーゼニンが無事に出産を終えた。フーリジハンとキュタフヤにいる兄バヤジトを訪れたジハンギルは、元気がなく部屋に籠もりきりだった。皇子たちの赴任県を見て回ったマトラークチュが戻り、スレイマンに各皇子たちの報告をするが、セリムに関する報告を聞いたスレイマンは激しく動揺する。マトラークチュの土産の蜂蜜を病気療養中の海軍提督に渡すようスレイマンから頼まれたリュステムは、ソコルルに蜂蜜を届けさせる。
●ナーゼニンの出産の知らせに焦燥するヒュッレムは慌ててその場に駆けつけるが後で女児と分かり安堵する。フズルは参内し改めて辞意を伝えるが懸念を払拭したスレイマンは職務の継続を命ずる。フズルの留任に不満と危機感を募らせるヒュッレムに、フズルを「名誉に見合った方法で見送る」とリュステムは意味深な発言をする。ミフリュニーサの滞在を快く思わないマヒデブランに対し、規則ではなく心の声に従って生きる決意をムスタファは伝える。皇子たちの赴任県を見て回ったマトラークチュの報告で、セリムに着せられた汚名と殺人事件の訴えのもみ消し疑惑を知ったスレイマンは憤る。後宮の慣習を受け容れることができないヌールバーヌーは、いまだにセリムの他の側女との夜伽に耐えられず怒鳴り散らす。フーリジハンとの関係を知っているとバヤジトに漏らしたジハンギル。これを秘密にするよう頼み込まれた目には嫉妬と怒りがにじむ。フズルの順調な回復ぶりをリュステムから聞いたスレイマンはマトラークチュから土産にもらった蜂蜜の壺をフズルに贈ることにする。リュステムはかつてフズルと遠征をともにしたソコルルに蜂蜜を届けさせ、滋養のため毎日摂ることを伝えさせる。ミフリマーフがリュステムと寝室をともにしていないことを知ったファトマは、2人の前でマルコチョールの近況と過去の悲恋について話し出し動揺を誘う。リュステムからミフリマーフを引き剥がす作戦は昂じていく。


4-19 禁断の愛

アマスヤで皇帝妃マヒデブランは海軍提督の娘ミフリュニーサと皇子ムスタファが深い仲になることを懸念していた。帝都では皇女ファトマの言動がきっかけとなり皇女ミフリマーフとリュステムの夫婦関係に微妙な亀裂が入る。一方、健康を回復した海軍提督フズルが御前会議に出席。訴訟問題が再燃した皇子セリムは部屋に引きこもっていた。フーリジハンに思いを募らせる皇子バヤジトは掟破りの行動に出るが、その行為が重大な事態を招くことになる。
●皇子と海軍総督の娘の深い関係の発覚を恐れるマヒデブランにミフリュニーサは極秘結婚の意を打ち明け、絶大な影響力を持つフズルの娘との結婚はいわば愛のある政略結婚だと含める。若いうちの身を焦がすような恋愛をファトマに焚きつられたミフリマーフは、それを振り払うかのように夫と一夜を過ごそうとするが、いまだに愛されていないことを悟ったリュステムは部屋を出る。皇帝との更なる関係悪化を懸念したアトマジャはミフリュニーサとの決別をムスタファに忠言するが、翻意に至らずタシュルジャル同様、絶対的服従を誓う。殺人事件を再審理せよとの帝命はバヤジトの告げ口のせいだと思い違いをしたセリムは憤る。皇帝下賜の蜂蜜を毎日摂取していたフズルは御前会議の最中、昏倒してしまう。スレイマンに届けられる前にヒュッレムの手に渡った書簡の中身は、セリムによるバヤジトのマニサ行きの告発だった。帝都に戻り離宮に呼び出したフーリジハンを待つバヤジトの前に現れたのは、師父からの知らせで駆けつけたヒュッレムだった。ヒュッレムに帰還を急き立てられたバヤジトにアフィフェまでが現れ、スレイマンからの呼出しを伝えられる。無許可の帝都入りに加えフーリジハンへの愛ゆえとの釈明はスレイマンの逆鱗に触れ、バヤジトは辺境への追放を言い渡される。バヤジト追放によるヒュッレム陣営の弱体化を恐れるリュステムはスレイマンを説得できるのはヒュッレムしかいないと諭す。


4-20 皇帝の孤独

バヤジトが許可なく帝都へ来たことに憤慨したスレイマンの怒りを何とか鎮めようとしたフーリジハンは亡き父イブラヒムの日記帳を持ってスレイマンに会いにいく。会議中に倒れたフズル海軍提督の容体は悪化する一方で、回復の兆しは見えずにいた。そんな中、スレイマンはマトラークチュを呼び出し、皇子たちをかばうため自分にウソをついたことを責める。長年の友たちとの関係の変化を嘆くスレイマンのもとに、さらに悲しい知らせが届く。
●亡き父イブラヒムの日記を手に取り部屋を飛び出したフーリジハンはスレイマンを訪ね日記の献上を申し出る。潔白にもかかわらず父親は処刑されたと信ずるフーリジハンは、バヤジトへの怒りを鎮め処断を改めさせるには、スレイマンにイブラヒムの忠誠心の証しを見せるしかないとの咄嗟の判断だった。マニサをセリムに任せたのは大切な皇子を敵の目から遠ざけ護るためだったのだとヒュッレムはバヤジトに伝え、処分の撤回に尽くすと約束する。臣下の忠誠心が見えず疑心暗鬼になっている自らを嘆くスレイマンは、バヤジトの過ちを報告をしなかったマトラークチュの忠誠心にも疑いの目を向け叱責する。衰弱するフズルを訪れ勝利宣言をしたリュステムはその大きな手を掴み笑みを浮かべる。その後フズルは亡くなる。皇子の過ちは自らの責任であり教えが不十分であったとスレイマンは涙に震えるバヤジトを抱き寄せ許す。その慧眼を示すとともに詩情豊かなイブラヒムの日記を夜明かし読み耽ったスレイマンは、臣下かつ朋友からの忠誠と敬愛を目にして心をかき乱される。フズルの後任に海軍司令官トゥルグットを推すマヒデブランにファトマは手を貸すと約束する。4人の皇子が集う中、セリムとバヤジトの口喧嘩が始まるが、ムスタファとジハンギルに咎められたセリムはその場を立ち去る。海の賢者と称され信任の厚い海軍司令官ピーリーはスレイマンの求めに応じ、後任の海軍総督の推挙のため参内する。


4-21 謀略の海図

海軍提督フズルが天に召され、皇帝妃ヒュッレムと大宰相リュステムは、さっそく海軍提督の後任者探しに着手。海軍を支配下に置きたいヒュッレムはまたもや策を巡らせる。一方、皇帝妃マヒデブランは、ヒュッレムたちの動きに危機感を募らせていた。後宮宦官長スンビュルは行商人ジェヴヘルに酒を勧められ、ほろ酔い気分で口を滑らせる。皇女ミフリマーフは不仲のセリムとバヤジトを見かね、屋敷に兄弟たちだけを招いて食事会を催す。
●辺境への追放を免れたバヤジトはフーリジハンと会うことを禁止されるにとどまったが2人は逢瀬を重ねる。ムスタファ擁立派の黒幕を訪れたアトマジャは、ミフリュニーサ排除の命令がいまだに生きているかと尋ねる。ムスタファの即位には結婚という禁忌が障害となるであろうと改めて速やかな遂行を命じた人物は司令官ピーリーだった。海軍提督の後任としてトゥルグットが最有力だと話すスレイマンに対し、独断専行のフズル流でなく慣習と規則に忠実なソコルルをリュステムは推す。スンビュルを従え宮殿内の人気の無い回廊を急ぐヒュッレムは、石壁と見まがう秘密の扉を開け奥に消える。会議の間では任命式が行われソコルルの提督任命が宣言される。忠誠心を確かめるスレイマンの問いに前任の路線継承を表明したトゥルグットは脱落した。任命式の様子や、ソコルルを推挙したのは自分だと恩を着せ忠誠を求めるリュステムの声に、秘密の部屋の伝声管を通してヒュッレムは耳をそばだてる。提督艦船で遺品整理をするミフリュニーサの背後でアトマジャは短剣を引き抜こうとするが思いとどまる。ジェヴヘルの家で慣れない葡萄酒に酔いが回ったスンビュルは、御前会議の内容を盗み聞きするためにヒュッレムが秘密裏に作らせた部屋の存在を漏らしてしまう。かえって悪い結果を招きかねないとのリュステムの危惧をよそにミフリマーフはセリムとバヤジトの和解を図るため、きょうだいだけの食事会を開く。


4-22 深まる亀裂

ミフリマーフの屋敷で食事会が開かれ、久しぶりに兄弟全員が一同に会したものの不仲のセリムとバヤジトの距離は縮まる気配がなかった。自分に対する激しい嫉妬から兄弟全員に責められていると感じたセリムはヒュッレムの忠告も聞かずスレイマンに会いに行く。一方、伝令アトマジャはムスタファを守るために命じられた任務を遂行すべきか迷っていた。そんな中、皇女ファトマのもとへヒュッレムに関する耳寄りな情報が入る。
●海軍提督に就任したソコルルを密かに呼び出し、ヒュッレム側かと探りを入れるファトマだが煙にまかれてしまう。ミフリマーフの開いた食事会は和やかに進んだものの、いつものセリムとバヤジトの口論はついには殴り合いの喧嘩に発展してしまう。兄弟からの敵意は自分のマニサ赴任に対する嫉妬からだと叫ぶセリムは孤立を深めるとともに次第に自暴自棄になっていく。ヒュッレムが秘密の部屋で御前会議を盗み聞きしていることをジェヴヘルはヤブズに伝える。迎えに来たと偽ってミフリュニーサを誘い出しついにその喉元に刃を当てたアトマジャだったが、ムスタファの子を身ごもっていると告げられ後ずさる。食事会での乱闘をミフリマーフから聞かされたヒュッレムのもとにヌールバーヌーが駆け込み、セリムがスレイマンに解任を願い出ると伝える。申し出にスレイマンは激怒するが、兄弟との無用な争いを避けるためでありマニサは他の皇子に譲りたいとセリムは退かない。ヒュッレムと皇子たちが揃う中、セリムのサルハン軍政官任命に対する異議は自分に対する異議であり、その申立てには代償を伴うと警告したスレイマンはセリムへの信任を宣する。出所不明の情報をもとに、以前挙動不審なスンビュルを見かけた回廊でファトマは侍女とともに秘密の部屋の在り処を探る。侍女が諦めかけたそのとき、ファトマは松明の燭台を引くと石壁が動き、秘密の部屋にたどり着くとヒュッレムの終わりを確信する。


4-23 ヒュッレムの秘密

皇帝妃ヒュッレムは皇子バヤジトが腹違いの兄ムスタファを慕うことに危機感を覚えていた。ヒュッレムの秘密を握った皇女ファトマは大宰相リュステムに会い、不安をあおる言葉で揺さぶりをかける。マニサではセリムが他の女人と過ごしていることを知った側女ヌールバーヌーが皇子の部屋に押しかけるが、その勢いで産気づき…。トプカプ宮殿では、ヒュッレムの秘密を暴き、引導を渡すべくファトマとムスタファの計画が進められていた。
●ミフリュニーサ殺害命令を反故にされたピーリーはアトマジャの釈明を頑として聞き入れない。バヤジトまでもがムスタファに傾倒することに業を煮やし、すぐにでもスレイマンとムスタファの絆に楔を打ち込みたいヒュッレムに、リュステムはいい考えがあると言う。自分は玉座を夢見ているがそれが叶わぬ運命なら代わりに果たして欲しいと、バヤジトとムスタファは互いへの支持を誓う。フーリジハンがバヤジトを惑わせたのは計略かもしれないとほのめかすヒュッレムにスレイマンは怪訝そうな表情をする。ムスタファはアトマジャに帝都に残りファトマに会って特別な任務を遂行するよう命ずる。危険を回避するには出産まで農場に身を隠し、子供は側女が産んだことにするのが最善だとミフリュニーサを説得するマヒデブランだがムスタファはこれに反対する。リュステムも知らないヒュッレムの秘密があり、リュステムもその秘密の被害者だと謎めいた言葉でファトマは揺さぶりをかける。セリムの部屋に側女がいると聞いたヌールバーヌーは興奮して駆け込むと突然産気づきその部屋で男児を出産する。会議の間でリュステムがムスタファの使者と会うという情報にヒュッレムは秘密の部屋へと急ぐ。会議に間でアトマジャはリュステムにヒュッレムの秘密を話すと切り出し、ここは盗聴されていると暴露する。不吉な予感に襲われ部屋を飛び出したヒュッレムを回廊で待っていたのはスレイマンの鋭い視線だった。


4-24 最大の裏切り

ヒュッレムの秘密の部屋の存在が明るみに出てスレイマンは憤慨する。秘密が漏れた原因がスンビュルの軽率な行動によるものと知ったヒュッレムは罰としてスンビュルに残酷な命令を下す。さらにヒュッレムとリュステムはムスタファに次なる一手を講じるべく新たな計略に乗り出す。一方のファトマやムスタファは今回ばかりはヒュッレムも許されないだろうと勢いづく。そんなムスタファのもとに来客があるとのことでムスタファは自ら出迎えに行く。
●唯一信頼していた者の裏切りに憤怒の形相のスレイマンに、宮殿内の数多の裏切りを防ぐためだったとヒュッレムは言い訳する。しかし今回のことこそ、その中の最大の裏切りだと反駁しヒュッレムを下がらせるとスレイマンは激しい悲嘆に襲われる。打ちのめされたヒュッレムを待っていたファトマは、おごりが死を招いたイブラヒムに触れ、もう終わりだと宣告する。凋落するヒュッレムは誰かに代償を払わせるだろうとのギュルフェムの言葉にナーゼニンが自分がそうなるのでと不安になるが、宮殿にいれば安全だとファトマは請け合う。秘密を漏らした裏切り者は誰かと腹心に詰問するヒュッレムに、スンビュルは自らの軽率な行動に思い当り白状する。まさかの不始末により全てを失うことになると烈火のごとく怒るヒュッレムは、スンビュルに毒の小瓶を差し出し非情な命令を下す。スンビュルを本気で愛してしまったジェヴヘルは、一緒に遠くに逃げ養子をもらい幸せに暮らそうと懇願する。土産のパイの毒が回り瀕死の状態のジェヴヘルは、スンビュルの追求にヤブズの名を絞り出した後、その腕の中で息絶える。リュステムはムスタファへの苦情の手紙を捏造しスレイマンに奏上すると、当地の重鎮たちに書簡を出しムスタファの統治への所感を調査することを提案し同意を得る。これが望んだ結果をもたらせばスレイマンとムスタファの間の溝を広げることに成功するとリュステムはヒュッレムに自信を見せる。


4-25 不肖の息子

キュタフヤのバヤジトのもとに長兄ムスタファから書簡が届く。ムスタファは至急アマスヤへ来てほしいとバヤジトに要請する。一方、トプカプ宮殿ではヒュッレムの裏切り行為を許すことのできない皇帝スレイマンが皇帝妃ナーゼニンを連れ、セリムの子供の誕生を祝うためマニサへ。リュステムのもとには計略のためにアマスヤの名士に送った書簡の返事が届き始める。ヒュッレムの残酷な命令を実行した宦官長スンビュルは生気を失っていた。
●忍びでアマスヤに来るようにとのムスタファからの手紙に胸騒ぎのバヤジトは、師父の制止も聞かずに出立する。初めての愛を自らの手で葬り去ったスンビュルは憔悴しきった様子でヒュッレムに処罰を乞うが、その姿と罪悪感に動かされたヒュッレムは、これまでの奉仕への報酬として後宮から解放し、自由な人生を取り戻すよう計らう。スレイマンの怒りと不信は収まる気配はなく、目通りも許されないヒュッレムに更なる試練に見舞われる。セリムの子の命名式にマニサに出立したスレイマンはナーゼニンを同伴させたのだ。不意打ちをかけ予定より早くマニサ宮殿を訪れたスレイマンは、酔い潰れたところを起こされたばかりのセリムを目にし猛り狂う。セリムへの処分を案ずるヌールバーヌーにかつての侍女であるナーゼニンが挑発する。アマスヤの名士らから返信された書簡にはムスタファへの称賛の言葉が溢れ、「将来の皇帝」という過度な表現さえあった。この思惑通りの反応に喜び勇むリュステムは、ムスタファへの速やかな聖断を仰ぐべくマニサ滞在のスレイマンの元へ急ぐ。自らを崇高なる皇帝の不肖の息子だと恥じ入り、今度こそはと断酒を誓うセリムに無言のスレイマンの視線は冷たい。再び呼び出したものの、醜い抗争には加担しないとの意思の固いソコルルに対してファトマはくすぐりを入れる。すでにヒュッレムに見限られたリュステムが更にはミフリマーフに離縁されればソコルルに運が向くと。


4-26 将来の皇帝

兄ムスタファの赴任県アマスヤを内密に訪れたバヤジトは、ある人物との再会を果たす。マニサではセリムの息子の命名式が行われる。マニサ到着時に酒に酔ったセリムを目撃したスレイマンは、息子を許せずにいた。ヌールバーヌーは、スレイマンと共にマニサに来ていたナーゼニンを殺すようヒュッレムから命じられていた。さらにマニサにいるスレイマンのもとに、リュステムがムスタファに関するアマスヤの名士たちからの返信を持って現れる。
●暇乞いに訪れたスンビュルを見送るヒュッレムの表情から喪失感と不安は拭えない。アマスヤに駆けつけたバヤジトは、ムスタファを仲介に呼び寄せたフーリジハンとの念願の再会を果たす。フーリジハンを連れ帰り内密に結婚する決意のバヤジトに対して、ムスタファはミフリュニーサを紹介するとともに妻であり子を身ごもっていることを打ち明ける。バヤジトはムスタファの秘密を守ることを誓うとともに、自らの秘密もスレイマンに知られてはいけないとのムスタファの忠告を受け入れる。殺害された商人の妻の元を忍びで訪れたスレイマンは、セリムから判決より多額の賠償金と農場を与えられたことを知った後、戒めとともにセリムに許しを与える。マニサ宮殿のテラスからの転落事故を装った殺害命令がヌールバーヌーらによって実行され、ヒュッレムはナーゼニン排除に成功する。アマスヤの名士らの書簡を携えたリュステムからの報告で、彼らがムスタファを「将来の皇帝」と一様に称えていると知ったスレイマンは目を見張る。リュステムへの警戒を促すジハンギルの手紙によりその計略を知ったムスタファは、状況を調査させた結果、事の重大さを知る。父セリムが自分を殺そうと贈った毒の仕込まれた長衣を昔に埋めた場所をスレイマンを訪れる。自分の息子に対してその過ちを犯さぬよう思い出し自らを戒めるためだった。よもやのナーゼニンの死を知るや否やファトマはヒュッレムに疑いの目を向ける。


4-27 長衣(カフタン)の贈り物

マニサから帝都に戻った大宰相リュステムは皇帝妃ヒュッレムにスレイマンがアマスヤの名士たちからの返信を読んだあと、激怒し、押し黙ってしまったことを報告。ヒュッレムは秘密の部屋の件でいまだ自分の顔も見てくれないスレイマンに手紙をしたため許しを請う。スレイマンは皇子ムスタファのために豪華な長衣を作らせる。その後、長衣はアマスヤのムスタファのもとへ運ばれるが、その長衣が誤解を呼び、前代未聞の事態を招いてしまう。
●フーリジハンの宮殿居住は許されないと詰め寄る師父は、逆らえば追放だとバヤジトに迫られ黙認と守秘を誓う。宿敵タフマースブの弟アルカスから帝都での庇護を求める書簡が届くと、王座争いから敗走したこの者を利用することをスレイマンは決める。スレイマンにがムスタファに豪華な長衣を仕立てるとの情報にヒュッレムはほくそ笑む。ジハンギルの使いと名乗る者が宮殿内の仕立て部屋に現れ、贈り物を入れるため長衣を収めた箱の持ち出しを申し出る。持ち出された長衣はマフムードにより襟元に液体を染みこませられた後、アマスヤに送られる。スレイマンから長衣が届いたところだと知らされたマヒデブランは血相を変え部屋を飛び出し、袖を通したムスタファのうなじに長衣が触れる寸前で駆け込むと警告する。代わりに試着させられた使いの者の絶命を目の当たりにし、スレイマンの害意を確信したムスタファは怒りに燃え帝都行きを決意する。不意にスレイマンからの訪問を受けたヒュッレムは、山のような手紙を読んでもらいようやく許しを得られるものと喜んだのも束の間、よもやの後宮からの追放処分を言い渡されてしまう。ムスタファの帝都への進軍の一報に、リュステムこれを反乱だと断言する。スレイマンは歩兵常備軍長官を呼び出し反乱軍の帝都入りを阻止するよう命ずる。ムスタファへの火急の知らせを携え馬を駆けるアトマジャは急襲され、連行された牢でマフムードによる尋問が始まる。


4-28 ムスタファの反乱

兵士を引き連れ帝都に進軍するムスタファの前に歩兵常備軍長官が現れ、このまま帝都に入ればスレイマンは処刑も辞さない気だと伝える。不穏な空気の宮殿ではジハンギルとミフリマーフがスレイマンに会うことも許されず、うろたえていた。ジハンギルの手紙をムスタファに届ける道中でリュステムの従者に捕らえられたアトマジャは真の主を吐けと執拗な拷問を受けていた。一方キュタフヤでは急なヒュッレムの来訪にバヤジトが慌てていた。
●狩りの帰りに牧場を営む女性に出会ったセリムは、自宅でのもてなしの申し出を受ける。キュタフヤが追放先であるとは露知らぬバヤジトらは、ヒュッレムの突然の訪問と滞在に慌て、フーリジハンを宮殿外に住まわせる。ミフリマーフとジハンギルは事を穏やかに運ぶようスレイマンを説得しようとするが会ってももらえない。歩兵常備軍長官フェルハトは帰還命令をムスタファに伝え、従わなければ反乱とみなし処刑になると警告するが、皇子の不退転の決意を見るやひざまずき、軍団とともにその征途に命を捧げると誓う。風雲急を告げる中、宮殿衛兵らを数で凌駕するムスタファの軍勢は宮殿門に到着し、リュステムの警告にも動じない。参内を許可されたムスタファはスレイマンからの一喝に応酬し、子の毒殺を図ったと難ずると緊迫した状況に変化が生ずる。長衣の木箱を前に、父セリム帝と違い自分はこんな卑劣な処刑はしないとスレイマンは言い切り、リュステムに犯人を捜し突き出すよう命ずる。帝命に背きムスタファの帝都入りを助けたかどで召喚されたフェルハトは、皇子は反乱者ではないとの確信から宮殿での和解を実現させるための機転だったと弁明する。牢で拷問を受けるアトマジャはムスタファ擁立派黒幕の名を白状するよう迫られる。リュステムの関与を疑うジハンギルは、宮殿内で長衣に毒が仕込まれたとの確信をムスタファに伝えるとともに、スレイマンの前でそれを証言することを約束する。


4-29 隠蔽工作

皇子ムスタファへ贈られた長衣に毒が塗られていた件で事態を重く見たスレイマンは海軍提督ソコルル・メフメトに極秘調査を命じる。皇子ジハンギルは、母親ヒュッレムと兄ムスタファの間で板挟みになり、皇帝スレイマンの前で長衣の件に関する証言を躊躇する。一方、イランからタフマースブ王の弟アルカスがオスマン帝国に亡命する。玉座を目指して再び兄タフマースブに挑みたいと言うアルカスに大宰相リュステムは言葉巧みに近づくのだった。
●ムスタファの長衣の件を極秘に調査するようスレイマンはソコルルに命ずる。皇位継承者はバヤジトだと話すヒュッレムに師父は皇子とフーリジハンの関係は終わったと偽る。ムスタファはジハンギルとともにスレイマンを訪れるが、長衣の件は宮殿内の犯行と証言する約束をした弟から裏切りに遭う。証言により関与が疑われることになる母の、更なる状況悪化を恐れたジハンギルは、それは推測にすぎないとスレイマンに偽る。皇帝を後ろ盾に兄タフマースブから王座を奪う野望を語るアルカスに、イラン遠征の見込みはないと水を差すリュステムだが、もしスレイマンとムスタファの間にタフマースブが入り込めば状況は変わるとほのめかす。参内前にリュステムの屋敷の外に立ち寄ったアルカスと窓越しに目が合ったファトマとミフリマーフ。理想の男性だとファトマは持ち上げ、アルカスのミフリマーフへの視線にはただならぬものがあったと焚きつける。ラナの密告によりキュタフヤ滞在が暴かれたフーリジハンは、気色ばんだヒュッレムに見つかるや非難されるが一歩も退かない。拝謁が叶ったアルカスはスレイマンから最高の待遇を約束されると重大な情報の提供を申し出る。長衣の毒はタフマースブが送り込んだ間諜の仕業であると伝えられると、行方不明の仕立て職人助手の名前との一致も判明する。フーリジハンをめぐる母子の言い争いが始まり追放を求めるヒュッレムに、バヤジトは母子の縁を切ると迫る。


4-30 父子の誓い

スレイマンとムスタファは和解し、親子で殺し合うようなことは決してしないと互いに誓い合う。そんな中追放されていたはずのヒュッレムが宮殿に現れ、スレイマンは動揺する。ムスタファは行方不明だったアトマジャを無事に見つけ救い出すが、リュステムに告げられたことが頭から離れずにいた。ミフリマーフとリュステムはヒュッレムの指示でアルカス王子を食事に招く。マニサではヌールバーヌーが狩りに行ったはずのセリムを尾行していた。
●父セリムからの仕打ちを胸に刻み込んだスレイマンはいかなる場合も息子を殺すことはないと、そしてムスタファは決して反乱を起こさないと互いに誓い合う。キュタフヤではバヤジトとフーリジハンの秘密の婚礼が執り行われる。許可なく宮殿に戻ったヒュッレムは、たとえ許されなくとも追放だけは免じてほしいとスレイマンに懇願し、さもなくば命を奪うようにとすがりつく。見かねたスレイマンはヒュッレムに許しを与えるが、もう二度と信頼はできないと言い放つ。ムスタファらは衰弱したアトマジャを地下牢から救出するが、この伝令は陰の雇い主に仕えていると居合わせたリュステムから聞かされる。農場主エフタリアの家での飲酒後に帰途につくセリムを隠れ見ていたヌールバーヌーは、家に押しかけ関係を問い詰める。そして皇子が人妻と密会し断酒の誓いを破っていたことを知る。偽の情報の提供によりリュステムを救ったアルカスは、次はリュステムがイラン遠征を実現する番だと迫るがあしらわれる。ヒュッレムからの言いつけどおり、良好な関係を築くためにアルカスを屋敷に招待したミフリマーフは、お礼にと月桂冠を模したブローチを贈られる。素性の知れない者はムスタファの安全を脅かすとしてタシュルジャルから放逐を言い渡されたアトマジャは、ついに重い口を開き実の雇い主の名を明かす。黒幕と分かったピーリーの元を訪れたムスタファは真実を話すようと短剣をその喉にあて詰め寄る。


4-31 新たな遠征

皇帝スレイマンは地図を広げ、新たな遠征について思案していた。ハンガリー遠征を行うべきか、イランのアルカス王子が帝国に亡命したことを好機と見て、タフマースブ王を討つべきか。スレイマンは議会を招集し、宰相や皇子らの意見を聞く。一方、キュタフヤでは師父ムスタファがフーリジハンを退去させようとするが、フーリジハンは師父に、ある取引をもちかける。父帝スレイマンと和解し、アマスヤヘ戻ったムスタファには吉報が待っていた。
●ピーリーらの暗躍は皇帝への裏切りであるとムスタファは叱責するが、反乱の企図など無くヒュッレムらの罠からムスタファを守っているだけだと言葉を返される。宿敵タフマースブ討伐のイラン遠征か、オーストリアからの和平要求を蹴ってのハンガリー征服かを諮るため、スレイマンは御前会議を招集する。スレイマンの若き頃からの野望であるローマ侵攻に共感するムスタファとジハンギルはイラン遠征に強く反対するが、リュステムらの説得によりスレイマンはこれを裁可する。遠征中に帝都を守る皇帝代理としてスレイマンはムスタファを指名すると、セリムだと確信していたヒュッレムは動揺する。マニサで醜態を晒したセリムをスレイマンは許すことはできても、信頼にはほど遠かった。狩猟の館にいるバヤジトからの呼び出しにフーリジハンは馬車で向かう。しかし途中で止まった馬車の外には、ヒュッレムからフーリジハン追放を命ぜられた師父ムスタファが立っていた。ベイハンの元に送り返すと言われたフーリジハンは、ヒュッレムが喜ぶ秘密の情報を教えると持ちかけ、見返りとしてキュタフヤ滞在を勝ち取る。セリムと妻エフタリアの関係を知った夫ディミトリはマニサ宮殿に押しかけ拝謁を乞うが追い返される。ミフリマーフは差出人不明の一通の恋文を受け取ると、月桂樹という文字にアルカスと察し心は乱れる。ムスタファがアマスヤに戻ると男児を出産したばかりのミフリュニーサが待っていた。


4-32 ミフリマーフの決意

ミフリマーフが謎の人物から手紙を受け取ったことが発端でリュステムとミフマリーフは口論となり大問題に発展する。イラン遠征を決めたスレイマンは、オーストリアと5年間の休戦条約を結ぶ。さらにスレイマンはキュタフヤにいるバヤジトの師父からの書簡で皇子ムスタファに関する驚愕の事実を知らされ、落胆と共に激しく動揺する。一方マニサではそうとは知らずに人妻と関係を持ったセリムのもとに夫が会いに来ていた。
●手紙の主へ不快感と警告をしたためる返事を書く最中のミフリマーフは、部屋に入ってきたリュステムに読まれてしまう。嫉妬にかられたリュステムは相手が誰なのか問い詰めるがミフリマーフは明かさない。その後ヒュッレムのいる場でミフリマーフから離縁の決意を伝えられたリュステムは呆然自失となる。娘を思いとどまらせたいヒュッレムの説得も功を奏さず、せめて遠征後にと言うしかすべはない。スレイマンはオーストリア大公ならびにカール5世との間で休戦条約を締結しハンガリーを支配下に置く。バヤジトの師父からの書簡により、スレイマンはムスタファとミフリュニーサの極秘結婚を知る。この情報はバヤジトから引き離されないためにフーリジハンが師父に取引条件として差し出したものだった。まもなくしてヒュッレムも同じつてからこれを知ることとなる。ミフリマーフとリュステムとの間の騒動を聞いたファトマは仕掛けた罠にかかったことを喜ぶ。ミフリマーフ宛ての手紙の主はアルカスを騙ったファトマだった。ところが、そんなファトマはアルカスから会いたいとの手紙を受け取ると、逢瀬の場で王子から不意に告白される。スレイマンへの隠し事の重さに耐え切れなくなったムスタファは、皇帝代理就任にあたり妻子を連れて帝都に行き秘密を打ち明ける決意をする。ミフリマーフは離縁の意志は前からあったというが、決断のきっかけは手紙の主の存在だとのリュステムの疑念は晴れない。


4-33 皇帝代理の座

大宰相リュステムは従者マフムードにミフリマーフに届いた恋文の差出人を探るよう命じる。皇帝スレイマンは皇子ムスタファに再び裏切られたという思いで怒りの手紙を送る。一方、自由人となった元後宮宦官長スンビュルは街で商売を始めようとしていた。そんな中、ヒュッレムが突然、スンビュルを訪ねる。マニサでは、再びエフタリアの夫ディミトリがセリムのもとへ現れ、金を無心する。皇女ファトマはミフリマーフの離婚問題についてスレイマンに話す。
●ミフリマーフへの手紙の主を捜し出すとともに、疑いの濃いアルカスを監視するようリュステムは命ずる。信頼を裏切られ失望したスレイマンはもう二度と信用しないとムスタファに手紙で宣告する。ムスタファへの皇帝代理の任命は取り消され、セリムが拝命する。アマスヤでは密告者の追求が始まるとムスタファは内部に間諜がいると疑い、マヒデブランはバヤジトを疑う。不相応なセリムが皇帝代理になることに憤り、信頼するムスタファの不遇を嘆くバヤジトを見て密告者フーリジハンは凍りつく。自由の身となったスンビュルは商売を始める相談に行った先でコーヒー豆に興味を示し、焙煎して飲むことを試す。言いつけどおり離縁は遠征後に延ばすが、ひとつ条件があるとミフリマーフはヒュッレムに申し出る。相手が誰であろうと娘が愛する者と結婚することを認めるとヒュッレムは約束する。スレイマンへの秘密の発覚はキュタフヤからの書簡によるものとの報告にムスタファは愕然とする。セリムに対して解決金の上乗せを要求し応じなければ法官に訴えると脅すディミトリにガザンフェルは応諾を伝える。ミフリマーフの離縁の決意とそれがスレイマンに報告されていないことをジハンギルから聞いたファトマは即座に奏上する。スレイマンはミフリマーフを呼び、時間をかけて考えるように諭す。我が子を悪だくみに利用しないようヒュッレムはファトマに迫り、さもなければ本気で潰しにかかると警告する。


4-34 皇女の恋

離縁の件はよく考えるようミフリマーフに伝えたスレイマンだったが、思い悩むミフリマーフを見て心を痛めていた。遠征中の皇帝代理に任命されたセリムは帝都へ向かう準備を進めていたが、金を無心するエフタリアの夫ディミトリのことが気になり落ち着かない。キュタフヤでムスタファからの手紙を受け取ったバヤジトは、手紙の内容に激しく動揺する。一方リュステムはミフリマーフに手紙を送った差出人をようやく突き止める。
●密会のためにアルカスが用意した家に招かれたファトマは、愛の詩を捧げられると硬い表情は消え笑みを残しながらその場を立ち去る。そして愛が再び訪れたと侍女に明かす。ムスタファからの手紙でスレイマンに秘密を暴露した張本人として非難されたバヤジトは、師父に嫌疑を向けると真犯人の名を告げられる。二人の再会の恩を仇で返すこととなったフーリジハンの裏切りに、もう二度と顔も見たくないとバヤジトは激昂する。離縁を認めるようあらためてスレイマンに懇願した結果、ミフリマーフは遠征後を条件に承認を得たことをリュステムに突きつける。最大の支えである妻を失えば職務は全うできないと、リュステムは国璽を返納し大宰相職を辞することを願い出るが、スレイマンは速断をいさめ遠征後にあらためて聞くとし却下する。リュステムは手紙の差出人がファトマだったとの報告を受ける。すぐさまこの事実はリュステムによって伝えられると、離縁を告げた時とは立場が逆転し、ミフリマーフは激しい衝撃に襲われた後、塞ぎ込んでしまう。ディミトリ夫婦がいる限り不安は消えないとヌールバーヌーは訴え、セリムが払うべきの罪の代償は金ではなく良心の呵責だとし究極の選択を迫る。そしてセリムは自らディミトリの元を訪れ、下臣に命じて夫婦ともに殺害し家を焼き払う。自らの権力を示すための帝国随一のモスク建造を命じたスレイマンは、予定地の視察後に自室で突然の発作に襲われ倒れる。


4-35 籠の鳥

皇女ファトマはイランの王子アルカスの求愛に応え密会を重ねる。自室で意識を失い倒れた皇帝スレイマンが目を覚まし、体調不良を他言しないようアフィフェらに命じる。皇帝代理に任命された皇子セリムがヌールバーヌーと共にトプカプ宮殿へ到着。アマスヤでは皇子ムスタファのもとに怪しい使者が訪ねてくる。セリムとの口論で傷ついたジハンギルはスレイマンに遠征への参加を請う。ミフリマーフは皇女ファトマへの報復の機会を伺っていた。
●偽の手紙がファトマの仕業だと分かったにせよ傷心をどうすることもできないミフリマーフに、ファトマとアルカスの密会の事実を掴んだと侍女長ギュルバハルは伝える。意識は回復したものの病因不明のスレイマンはアフィフェらに昏倒の事実を口外しないよう厳命する。アルカスには支持基盤がなくイラン遠征は失敗に終わると話す帝都からの使者ジャフェルは、スレイマンに遠征の中止を進言するようムスタファに乞う。セリムは宮殿できょうだいと再会するが、反感を示すジハンギルに対して理性を失い、一生宮殿内にいればいいと暴言を吐く。するとジハンギルはスレイマンの元を訪れ、遠征への同行を懇願する。リュステムはミフリマーフに向かって、離縁したとしても他の高官と愛のない結婚をさせられるのが落ちだとあなどるが、今度は愛する人との結婚を約束してもらったと言い返される。ムスタファの指示でジャフェルを尾行していたアトマジャは、帝都でアルカスの従者と密かに会っていることを目撃する。尾行を続け忍び込んだ家での格闘の末、アトマジャは意図せずジャフェルに短剣を突き刺してしまう。死を覚悟したジャフェルは誰の配下かを教えるかわりに、死を伏せたまま息子を知人に託すようアトマジャに頼む。ある晩、ミフリマーフは重大な計画の遂行をギュルバハルに命ずると、ファトマとアルカスの逢瀬の場に役人が突然踏み込む。姦淫行為の訴えがあったと告げられた二人は慄然とする。


4-36 リュステムの計略

ミフリマーフの計略でイランの王子アルカスとの密会が暴露されかけたファトマはリュステムの機転で何とか危機を逃れる。ファトマを許せないミフリマーフは計略を阻まれて面白くない。ヒュッレムは宮殿へ来たスンビュルの助言で、遠征に行くと言って聞かないジハンギルの気をそらせようとある試みをする。遠征を直前に控え、スレイマンの体調不良は相変わらず続いていたがスレイマンはかたくなに周囲に知られることを拒んでいた。
●姦淫の罪を着せファトマに復讐する計略をヒュッレムに話したミフリマーフは、皇統の評判を落とす愚行だと叱責される。窮地のファトマとアルカスの前にリュステムが現れた後、しばらくして宮殿に戻ったファトマはすぐさまスレイマンを訪れ、アルカスから求婚されたことを伝えるとともに聖断を仰ぐ。この結婚話は二人を危難から救うためにリュステムが提案したものだった。これを受け入れなければアルカスの斬首刑でイラン遠征が中止となり、またこれが実現すればファトマは宮殿から去ることになり好都合であると、リュステムはヒュッレムに説明する。ジャフェルが死に際に息子ユスフを託す相手として伝えた商人はすでに亡く、アトマジャ以外に寄る辺がない。アルカスの従者はタフマースブの間諜であり、スレイマン暗殺を目論んでいるとのジャフェルの自白をアトマジャはピーリーに報告する。スレイマンの時代の終焉を待ち望むピーリーはこの状況に介入しないことを決める。ファトマを陥れるはずの画策に介入し自分に復讐を遂げようとしたとしてミフリマーフはリュステムを非難するが、怒りの原因は二人の結婚への嫉妬であると看破される。遠征を諦めないジハンギルの気をそらすため、ヒュッレムは後宮を持たせることとし早速側女に夜伽をさせる。スレイマンが遠征後の結婚を許可したことをファトマは満面の笑みでミフリマーフに伝え、このしあわせを知らない者は哀れでむなしいとあてこする。

4-37 父親の愛情

叔母ファトマを許せないミフリマーフは次の手を打つ。皇子ムスタファは父帝スレイマンに許しを請うべく遠征の野営地へ赴く。バヤジトもフーリジハンとの結婚をスレイマンに隠していることに罪悪感を覚えていた。一方、トプカプ宮殿では皇帝代理を任された皇子セリムがヒュッレムに取り入ろうと奮闘する。そんな折、ポーランド王の娘アンナ・ヤゲロニカから帝都を訪問したいという書簡が届く。野営地ではスレイマンに命の危機が迫っていた。
●ミフリマーフはマフムードを呼び、リュステムには内密でアルカスが遠征から帝都に戻らぬよう画策を命ずる。側女の視線に傷つき自己嫌悪に陥ったジハンギルは遠征を辞退するが、スレイマンは皇子を慰め遠征に誘う。兄弟らに引け目を感じる自分が皇帝代理に就いたことへの気後れを口にするセリムに対して、皇帝による相応しい人選とソコルルは持ち上げる。遠征後にスレイマンに結婚を伝える決意をしたバヤジトだが、皇帝の怒りを招きセリムを利することになるとバヤジト即位を望むリュステムから反対される。ムスタファは野営地に赴きスレイマンの許しを乞うが、弱さゆえの過ちとの釈明がスレイマンの逆鱗に触れ、最後通告をされると赴任県に戻る。皇子らの過ちを許してきたのは父親としての愛情だったが、それがあだになっているとスレイマンは嘆く。ヒュッレムがバヤジト即位を望んでいることを知るセリムは、自分を選んだほうが母親の思いのままの支配ができると、ヌールバーヌーの入れ知恵で説きつける。内密にヤブズを呼んだピーリーは、ムスタファ即位の最大の障害であるヒュッレム排除を命ずる。アルカスの従者がスレイマン暗殺を企てていることを、ピーリーの命令に背いてムスタファに知らせたアトマジャは事態への介入の是非を尋ねる。凶器を隠し持つ二人の従者はアルカスとともにスレイマンの天幕に入ると間もなく、マヒデブランの制止を振り切ったムスタファが野営地に駆けつける。


4-38 ポーランドの王女

スレイマンは間一髪で危機を逃れる。遠征の野営地で久しぶりにゆっくり顔を合わせたムスタファ、バヤジト、ジハンギルの3人の皇子は互いに対する信頼をさらに強固にする。一方イスタンブールではではポーランドの王女アンナ・ヤゲロニカを宮殿に迎えていた。祖国の王女が支援を請う姿にヒュッレムは人生の不思議を感じる。セリムはヌールバーヌーの助言に従い、ひたすらヒュッレムを立てていた。そんな中、アフィフェに野営地から手紙が届く。
●天幕の中でスレイマンの背後からアルカスの従者が凶行に及ぶが、飛び込んできたムスタファらによって寸前のところで阻止される。刺客はタフマースブの送り込んだ間諜であり、皇帝暗殺が成功した場合はムスタファ即位に介入する計画があったとの自供をスレイマンは知る。果敢な行動によりスレイマンの命を救ったムスタファだったが、両者の溝は埋まらず信頼の回復は時に委ねるしかないと冷たくはねのけられる。従者が間諜であったことにも気づかなかったアルカスはイランの王としても皇女の夫としても相応しくないとスレイマンは憤る。高官や司令官らがこぞってムスタファの即位を支持していること知るバヤジトは、即位が実現した暁には喜んで支援すると誓い、これにジハンギルも加わることで兄弟の絆は深まる。ヤブズにヒュッレム排除命令を出したピーリーは、守りの堅い宮殿内ではなく、亡き皇子メフメトの記念行事での外出の際、不意を突く方法での遂行を指示する。ヒュッレムは故郷ポーランドの王女アンナの表敬訪問を受け、飢饉にあえぐ祖国の援助要請に対して独断で贈与という形での約束をする。皇帝代理への相談もなく決めたとして横槍を入れるファトマに対して、セリムは毅然として応酬することでヒュッレムを擁護しその信頼を得る。遠征先のロクマンからの手紙で、スレイマンに新たな症状が出ることなどから深刻な病の可能性があるとの医師長の診断を知ったアフィフェは蒼白となる。


4-39 凶夢

イラン遠征中のオスマン軍はタブリーズに迫る。だがタフマースブ王の弟アルカス王子が約束を果たさず、皇帝スレイマンはイラだちを隠せない。トプカプ宮殿では、皇帝妃ヒュッレムがスンビュルの店のコーヒーをポーランド王女に振る舞う。スンビュルはヒュッレムに自分が見た不吉な夢の話をする。皇帝の後継者に皇子ムスタファを推す海軍司令官ピーリーは、ヤヴズに新たな指令を課す。ヒュッレムは早世した皇子メフメトの命日に霊廟を参拝する。
●軍事的な後ろ盾を失い孤立無援になったことを明かし助けを求めるアルカスをリュステムは拒絶する。ムスタファの長衣の件で貸しが残っていると食い下がるアルカスは、自分が失墜したらリュステムを道連れにすると脅し立ち去る。居合わせたマフムードは、アルカスを生きて帰さぬようミフリマーフから命令を受けていたことをリュステムに明かしその遂行を伺う。再び失意のうちに帰還した息子を出迎えるマヒデブランは、皇帝救出が後に禍根を残すことを危惧するが、ムスタファには己の名誉ある行為に一片の後悔もない。皇帝暗殺計画とそれを未遂に終わらせたムスタファの英雄的行為をジハンギルから聞かされたヒュッレムは心中穏やかではない。ムスタファが即位すれば慣例上自分たち母子は皆殺しにあうと言い募り、それが見えていない息子らの不明をなじるヒュッレムに、ジハンギルは冷静に言葉を返し母親の主張の矛盾を突く。戦略の失敗に加え、イラン国民の支持の獲得が絶望的になったことから、スレイマンはアルカスの遠征からの排除を命ずる。長衣の秘密の暴露を阻止したいリュステムはアルカスに遠方に身を隠すことを指示し、護衛としてマフムードらを随行させる。亡き皇子メフメトの命日に外出したヒュッレム一行は狭い石段を歩いていると突然、ヤブズらが仕掛けた落石に襲われる。奇跡的に難を逃れたヒュッレムに、重傷を負ったアフィフェはスレイマンの病の秘密を明かすと息を引き取る。


4-40 皇帝の病(やまい)

体調不良が続いていたスレイマンは遠征先の野営地で倒れてしまい、結局バヤジトたちと共に帝都に帰還する。かたくなに病気のことを隠そうとするスレイマンだったがアフィフェから事情を聞いていたヒュッレムは心配でならない。周囲も皇帝の明らかな異変に気づき始めていた。一方ファトマは帰還した一行の中に婚約者のアルカス王子の姿がないことに気づく。そんな中、アマスヤにいるムスタファのもとに帝都から訪問者が来る。
●ヒュッレムはバヤジト擁立の意向をあらため、セリムを支持することを本人に告げる。野営地の兵士らの前でタフマースブ討伐に向け檄を飛ばすスレイマンは、その最中に倒れると帝都への帰還を余儀なくされる。宮殿に戻った後も両足の炎症による激痛で歩くこともままならず、病臥を人目にさらさぬよう、治療にあたる者以外の入室を禁ずる。ヒュッレムから問い詰められたリュステムは、スレイマンが痛風と原因不明の熱病に罹っていることを止むなく明かす。そして万一の崩御に備えバヤジト即位の準備をしておくべきだと進言すると、その必要はないとヒュッレムから猛反発を受ける。ミフリマーフはマフムードを呼び出し、遠征前に命じたアルカスの始末について報告を求める。ファトマにアルカスの居場所を尋ねられたバヤジトは、期待を大きく裏切った王子の帝都への帰還をスレイマンが許さず、今は行方知らずだと伝える。制止を振り切り入室したヒュッレムはスレイマンに寄り添い看病することを伝え、それがアフィフェの遺志だと話す。乳母でありヒュッレムの信頼する側近の死が不幸な事故によってもたらされたことをスレイマンは知る。アルカスがタフマースブの手に落ち処刑が決まったことをファトマに伝えることでようやく叔母への復讐が成就したミフリマーフは、ここぞと勝ち誇った笑みを浮かべる。一縷の望みをかけてリュステムに確かめに行ったファトマだったが、ここで完全に打ち砕かれる。


4-41 玉座の駆け引き

帝都ではスレイマン皇帝の健康不安についてウワサが広まっていた。市場でコーヒー店を営む元後宮宦官長スンビュルもじっとしていられず宮殿のヒュッレム妃のもとを訪れる。一方、スレイマンの重篤な症状を受け、御代替わりを見据えて歩兵常備軍と海軍が水面下で動き出す。皇帝妃ヒュッレムはリュステムに後継者候補をバヤジトではなくセリムに決めたと告げる。そんな中、スレイマン皇帝がうわごとで最年長の皇子ムスタファの名前を呼ぶ。
●ムスタファを訪れたピーリーは皇帝の重篤な容体を伝え、崩御に備え即位を確実にするためには帝都への速やかな出立が必要だと進言する。しかしこの時期尚早な行動は反乱ととらえらえる危険を感じたムスタファは慎重な姿勢を示す。ムスタファの即位が現実味を帯びる中、セリム支援を口にしたヒュッレムに驚くリュステムだがバヤジト支持の決意は変わらない。朦朧とした意識の中でスレイマンがムスタファの名を呼び続けると、形勢が不利になる恐れがあるにもかかわらず、皇帝の望みを叶えるためにアマスヤの皇子を呼び寄せるようリュステムに命ずる。皇帝の病状を確認に来た歩兵常備軍長官フェルハトが反乱を企てているとソコルルはリュステムに報告する。ヒュッレムのセリム支持をミフリマーフに伝えたリュステムは、この逆境下で自分がバヤジト支持を堅持する条件として離縁の意思の取り下げを求めるとミフリマーフはやむなくこれに応ずる。スレイマンの望みに応じて帝都に向かう途中のムスタファの一行は急襲を受け、3人の射手が放った矢がムスタファに突き刺さり落馬すると側近らが駆け寄る。トゥルグットはソコルルに逆らって宮殿近くの湾まで艦船を集結させる。これは慎重な本人の裏でムスタファ支持派の示威行動としてタシュルジャルが提案しミフリュニーサが司令官に命じたものだった。急報を受け病床から身を起こしテラスまでたどり着いたスレイマンは目にした洋上の光景に驚愕する。


4-42 恐怖との対峙(たいじ)

意識を取り戻したスレイマンは帝都でのウワサを一掃させようと完成したばかりの亡きメフメト皇子のモスクで金曜礼拝を行うと発表する。しかしスレイマンの病状は一進一退が続いていた。リュステムはこのままでは反乱が起こりかねないと、セリムに歩兵常備軍と直接話すよう進言。ヌールバーヌーが必死で止めるのも聞かずセリムは歩兵常備軍の兵舎へと向かう。知らせを受け心配するヒュッレムの前にスレイマンに会いに来たムスタファが現れ…。
●意識が戻ったスレイマンは健在ぶりを示すため、亡き息子メフメトのモスクで金曜礼拝を行うことを決める。医師長の止めを聞かず当日部屋を出たスレイマンはまもなく昏倒すると予定は中止となり、モスク前で待つ民衆の不安はいや増す。皇帝崩御の噂の真偽をリュステムに確かめるフェルハトは、存命を確認できねば不穏な歩兵常備軍を抑えられないと迫る。軍団への対策として皇帝代理のセリムが兵舎を訪れ皇帝存命を告げ自身の権力の示威をすべきとのリュステムの提案を、ヒュッレムは自殺行為と非難し拒否する。機に乗じてセリム排除を狙うリュステムは皇子に直接面会し言葉巧みに働きかける。玉座に就くためには避けて通れないと覚悟したセリムは自らによる軍団の沈静化を決意する。襲撃により暗殺されたはずのムスタファが宮殿に現れるとリュステムはうろたえる。弓矢の命中により落命したのは万一に備えてムスタファに扮したヤブズだった。セリムはソコルルらを従えて軍団の兵舎に乗り込む。長官フェルハトとの侮辱の応酬の末、挑発に乗ったセリムは刀を抜くと軍団の兵士らも刀を構え一触即発の状態となる。セリムが兵舎に赴いたことを知り焦燥するヒュッレムは、意識の無いスレイマンの傍らのムスタファに息子の救出を懇願する。刃傷沙汰の寸前で兵舎入りしたムスタファを目にした軍団は慌てて戦闘態勢を解く。皇子への抜刀は言語道断と一喝したムスタファは皇帝存命を伝え兵舎を後にする。


4-43 暗闇にさす光

歩兵常備軍の兵舎からムスタファに連れられセリムが無事に宮殿へ戻る。セリムは軍団がムスタファに絶大な敬愛を寄せる姿を目の当たりにし、自分の行く末を案じていた。皇女ミフリマーフは次期皇帝と目されるムスタファに対して敵意をむき出しにする。皇帝妃マヒデブランは意識の戻らないスレイマンにこれまでの恨みつらみをぶつける。一方、リュステムの前に思わぬ訪問者が現れる。そんな中、意識の戻らないスレイマンの容体に変化が…。
●セリムが無事に兵舎から戻り安堵したヒュッレムはムスタファに心から感謝する。道中での襲撃事件への関与を皇子に問いただされるが身に覚えがないヒュッレムは強く否定する。そして今までの反目は望んだわけでなく二人は利益が相反する運命にあると達観したことを伝えると、ムスタファが自分の息子だったらと告白し静かに立ち去る。バヤジトの競争相手を排除するためには自分の意に反してまでも、また自分に秘密にしてまでも策を弄するリュステムをヒュッレムは激しく非難する。潔白な者などいないのが真実だとミフリマーフを諭すリュステムは自決用に持っている毒の小瓶を差し出し、バヤジトを守るための解決法があると言う。そしてムスタファの命と母親と弟の命のどちらが大事かとリュステムは尋ねると、小瓶をミフリマーフに握らせその手に接吻する。マヒデブラン母子とファトマは皇帝の快癒を祈らずムスタファ即位に向けて画策をしていると、ミフリマーフは敵意をむき出しにして非難する。ミフリマーフを気遣うムスタファは屋敷を訪れ、自分が玉座に就いたとしても弟たちを手にかけることはないと誓うが、頑として信じない妹に見切りをつけ部屋を出る。ムスタファがいる間に密かに手に取ったものの使うことができなかった毒の小瓶を箱から取り出すと腹立ちまぎれに床に投げつける。ようやく快復したスレイマンは家族に囲まれる中、その言葉と表情から何があったのかをうかがい知ろうとする。


4-44 ミフリマーフの加担

スレイマンは長い眠りから目覚め完全に回復した。歩兵常備軍や民のムスタファに対する絶大な敬愛を肌で感じたヒュッレム、リュステム、ミフリマーフたちは安堵すると共に将来への不安を募らせていく。スレイマンは回復したことを世に示すため亡きメフメトのモスクでの金曜礼拝に参加。その後セリムと騒動を起こした歩兵常備軍の兵舎へ向かう。時が経ち、皇子たちがそれぞれの赴任地で平和に暮らす中、ミフリマーフがスレイマンにあることを願い出る。
●高官や家族を呼び出し語らせることで数ヶ月もの空白期間の真実を知ったスレイマンは、皇帝としてすぐさまなすべきことを悟る。金曜礼拝の後、皇子らと歩兵常備軍の兵舎を訪れたスレイマンは、セリムに対して侮辱し抜刀した長官フェルハトを叱責すると、次の瞬間、自らの手で斬首する。それから3年の月日がたち、再びムスタファ即位の脅威に自分の息子らが翻弄されないようヒュッレムは考えを巡らせる。スレイマンのタフマースブへの積年の敵意を利用し、その宿敵へのムスタファの接近が皇帝の知るところになれば、皇子を葬り去れると確信する。そのためにはムスタファの名を騙りタフマースブに接触すること、そして再びイラン遠征を実現させるような情勢を作り出すことが必要とヒュッレムはリュステムに説明する。ムスタファの宮殿に間諜を送り込むのは至難であることをリュステムがヒュッレムに話す部屋にミフリマーフが入ってくる。兄に関する話だと直感したミフリマーフは、この話には関わるなと忠告するヒュッレムに対して力になりたいと申し出る。弟らを守る固い決意のもと母親からある指示を受けたミフリマーフは、兄との和解を口実にアマスヤ行きの許可をスレイマンから得る。イラン国境付近の状況を深刻ではないと報告する配下に対してリュステムはある指示をする。ムスタファとの再会でお互いに過去は水に流そうと和解の抱擁をするミフリマーフは皇子の肩越しに机の上の何か探す。


4-45 むしばまれる木

皇帝妃ヒュッレムと大宰相リュステムは皇子ムスタファを葬り去る新たな計略を着々と進めていた。皇子ジハンギルは、計略の空気を敏感に感じ取り、皇女ミフリマーフをけん制する。一方、占星術を行っていた首席占星学者の計算により、近く太陽が隠れ、昼が突然、暗闇に包まれるという結果が導き出される。皇帝スレイマンは臣下の動揺を防ぐため、この結果を口外しないように言う。そんな中、遠征に出たリュステムの野営地で兵士が死体で発見される。
●リュステムの指示を受けた非正規騎兵は、タフマースブの軍が国境地帯で破壊行為を行っているという虚偽の報告をスレイマンに行う。皇帝は直ちに報復するよう命じ再びイラン遠征が開始する。歓談中にムスタファが中座するとミフリマーフは探していた皇子の印章を手に取り、事を済ませると元の場所に戻す。リュステムはムスタファをかたり、タフマースブの支援があればスレイマンを追放し即位するという皇子の偽の声明を書簡にしたためる。そしてヒュッレム母娘を前に書簡を読み上げると、ミフリマーフが密かに粘土に盗み取った印影で偽造した皇子の印章を押す。書簡へのイラン王の返信がムスタファに引導を渡すことになると確信するリュステムは、返信の書簡を途上で奪うようマフムードに命ずる。中庭を散策するスレイマンはおびただしい蟻の群れが大木を蝕むところを目にする。木を守るために石灰をまくと蟻を殺してしまうがイスラム法ではそれが罪になるか、皇帝はエブッスードに意見を求める。野営地ではリュステムに窮状を訴えた兵士が殺されているのが発見されると、軍団は大宰相の仕業とし報復を誓う。ルメリ軍法官と面会した宰相アフメトは、ムスタファを支持する司令官や高官の秘密の会合に招待される。これはアフメトによる内偵調査の一端であり、軍政官が影のムスタファ擁立派一員であることを直ちにスレイマンに奏上すると、皇子が一派の暗躍を知っているかの調査を皇帝は命ずる。


4-46 心の猛獣

兵士が殺されたことで陣営での立場が危うくなったリュステムは、スレイマンに書簡を送り反乱の危機を訴える。帝都からの情報源がジハンギルのみとなったムスタファは様子を調べさせるためアトマジャを帝都へ行かせる。アトマジャが帝都に到着するとムスタファを支援しているはずのピーリーの姿が消えていた。アマスヤではムスタファが息子のメフメトを連れて狩りへ行く。そんな中スレイマンのもとにソコルルがある書簡を持って現れる。
●野営地で殺された兵士はリュステムと険悪な状態だったことから、犯人とにらむ大宰相の天幕に歩兵常備軍は大挙して押し寄せる。長官アリは兵士らを押しとどめ真偽を確かめるとして大宰相に面会を求め、その結果を伝えることで何とかその場を収める。しかしこの騒動の勃発はリュステムの思う壺だった。兵士を殺したのはアリだが、大宰相の所業と思い込ませることで軍団の爆発を誘ったのだった。軍団がムスタファの名を呼び反乱寸前であると早速リュステムはスレイマン宛ての書簡にしたため、皇帝の遠征参加を乞う。もし蟻を殺せば皇帝が持つ権利を蟻は神から授かるとのエブッスードの返信に、スレイマンは木を蝕まれるままとする。ピーリーらの同盟の会合に招かれたアフメトから参加者らの名の報告を受けたスレイマンは彼らの処刑を命ずる。しかし名声ある高官らの処刑はイラン遠征に悪影響があるとして、当座は帝都からの追放による同盟解体が望ましいとのソコルルの提案を受け入れる。情報収集のため帝都に派遣されたアトマジャはルメリ軍政官に会い同盟の解体とアフメトが内通者であることを知る。マフムードがイラン兵から奪ったタフマースブの返書を届けられたヒュッレムは、皇帝の信頼の厚いソコルルにそれを献上するよう指示する。計画の成功に必要な皇帝の遠征を実現させるためヒュッレムがスレイマンをそそのかしているところに、緊急事態だとして書簡を手にしたソコルルが入室する。


4-47 ワナに落ちた皇子

アマスヤではムスタファ皇子が幼い息子メフメトを連れて狩りに出ていた。トプカプ宮殿では皇帝スレイマンがイランの王タフマースブが皇子ムスタファに宛てた返書を読み、息子の裏切り行為に顔色を変える。その後、苦悩するスレイマンは口数も減り、1人で過ごすことが多くなっていく。そんな中、天に異変が起こり、太陽が欠け始める。皆は不安げに天を仰ぐのだった。その後、アマスヤのムスタファのもとにスレイマンから参上命令が届く。
●タフマースブの封蝋印がある書簡をソコルルから手渡されたスレイマンは、ムスタファが自分の廃位を企みイラン王に支援を求めたことを知り強い衝撃を受ける。祖父が父から、そして自らも我が子から裏切りに遭うという現実に苦悩した末、ある問いに対する答えを求めエブッスードに書簡を送る。ムスタファと父親の宿敵との結託をミフリマーフから聞いたジハンギルは姉もいっしょになって罠を仕掛けたと見抜き、兄の血が流されれば兄弟全員がその血の海で溺れると言い放つ。帝都から帰還したアトマジャはムスタファに王との共謀の嫌疑を伝え、皇帝がこれを信じれば最悪の場合、皇子は極刑になると口にする。親を裏切って財産を奪い家族を殺める商人の息子にイスラム法はいかなる裁きを下すのか、架空の物語に形を借りたこのスレイマンの問いに対してエブッスードは処刑が相当であると伝える。スレイマンはムスタファに書簡で直ちにコンヤの陣営に来るように命じ、自らの出立にあたりセリムではなくバヤジトを皇帝代理に任命する。処刑を恐れマヒデブランは出立に強く反対するが、命令に背けば反乱とみなされるとしてムスタファは召喚に応ずる。決して父に反乱を起こさない、決して子を殺さないと互いに交わした誓いを自分が守るように、父も守るものと信じる。ムスタファの危難を強く意識したタシュルジャルとアトマジャは、機は熟したとして皇子の意向に背いてでも反乱を起こすことを決意する。


4-48 瞳の中に見えるもの

ムスタファの潔白を信じるジハンギルとバヤジトはスレイマンに兄の無実を訴えにいく。結局ジハンギルは遠征に参加することを決め、バヤジトは皇帝代理として宮殿に残ることに。一方マニサにいるセリムは遠征に参加するよう命じられていた。周囲が必死で止めるのも聞かずスレイマンを頑なに信じ参上命令に従おうとするムスタファを守ろうと、アトマジャは一足先に陣営へと向かう。非常事態を警戒するリュステムは陣営での警備を強化していた。
●ムスタファに罠を仕掛けた首謀者は宮殿内にいると母と兄姉の前でジハンギルは興奮気味に話す。バヤジトは話し合いにより兄への疑念は晴れると信じ、また父が子を殺すわけがないと弟をなだめる。バヤジトの力を借りたとてもスレイマンにムスタファの潔白を信じさせることができないジハンギルは遠征への参加を乞い、父子が出会う陣営で兄を守ることを決意する。ヌールバーヌーらは皇帝がセリムに皇帝代理ではなく遠征を命じたことの真意を測りかねている。遠征先で父子関係が重大な局面を迎えたら皇子を守るよう、ファトマは新婚の夫である宰相アフメトに求めるが確約を得られない。テラスにたたずみ話しかけにも耳を貸さないスレイマンの瞳の中にムスタファの死が見えたとヒュッレムはスンビュルに明かす。スレイマンとムスタファが陣営に来ることを知ったリュステムは万全の体制を敷いているものの、潰されるのは皇子か自分らなのか予断は許さない状況と知る。御前会議の場で命を保証されたにもかかわらず当の皇帝に殺されたイブラヒムの悲劇をマヒデブランは引き合いに出すが、父子間にはあり得ないと皇子は意に介さない。アトマジャは歩兵常備軍の一員を装い隊長らが集結した天幕の中に密かに入ると、ムスタファの命が奪われる前に皇帝から玉座を奪う計画を持ちかける。出立の準備が完了したことを伝えるロクマンに対して、誰にも知られてはならない最高機密の任務をスレイマンは与える。


4-49 皇帝の死に神

トプカプ宮殿では皇帝スレイマンがコンヤの陣営へ出発。見送りに立つ皇帝妃ヒュッレムはスレイマンのただならぬ様子を感じ取っていた。一方、皇子ムスタファもコンヤへ発つ日が訪れ、皇帝妃マヒデブランや妻ミフリュニーサらは皇子の無事を祈りながら見送る。コンヤの陣営ではアトマジャが歩兵常備軍の隊長たちを集め、反乱の段取りを確認していた。そんな中、コンヤの陣営から少し離れた場所に天幕を張ったムスタファのもとに謎の矢文が届く。
●皇帝に会うために出立するムスタファを見送る家族は今までにない不安と恐れを感じ惜別の情は募る。陣営に向かう皇帝の一行の後方を帝命によりロクマンが仕立てた1台の黒い馬車が走る。その中には皇帝の死に神と呼ばれる7人の処刑人が乗っている。ムスタファは処刑されるだろうとヒュッレムから伝えられたミフリマーフは、事態の思いも寄らぬ行く末に動揺する。ただし皇子が自らの末路を悟り反乱を起こせば、皇帝とバヤジト、ジハンギル兄弟が命を落とすことになるとヒュッレムは恐れる。アトマジャは軍団の隊長らと、ムスタファが皇帝の天幕に入る前に反乱を起こすことを画策する。陣営に近づいたムスタファのもとに、皇子ひとりで天幕に赴くよう皇帝の命令が届く。これを知ったタシュルジャルは最悪の事態を確信するが、父親を信じて疑わないムスタファを止めることも、反乱を煽ることもできない。ジハンギルは再びムスタファを擁護した後、ためらいつつ処刑の意思を伺うと父は優しい笑みを浮かべ殺すわけがないとなだめる。感極まったジハンギルに手を接吻される間、スレイマンは険しい表情でロクマンを見やる。処刑人の存在に気づいたアフメトは、ムスタファの陣営に矢文を放ち、命の危険ゆえ皇帝の天幕に行かないよう皇子に警告する。しかし皇子は反乱を煽るための敵側の罠かもしれないと警戒する。万一の場合はバヤジトに忠誠を誓い即位まで支えるようムスタファはアトマジャに託す。


4-50 息子よ

スレイマンと共に陣営に到着していたジハンギルはムスタファのもとをこっそり訪れる。同じ頃セリムはスレイマンに呼び出され明日はジハンギルと狩りに行くようにと命じられる。翌日ムスタファはスレイマン宛ての手紙を胸に携えスレイマンの待つ陣営へ。すると道中に歩兵常備軍の一部の兵士たちが道を塞いでムスタファを待っていた。一方ムスタファを見送ったタシュルジャルは味方の兵士たちと共にアトマジャの反乱開始の合図を待っていた。
●ムスタファを訪れたジハンギルは、子を殺すことはないと父が断言したことを伝える。別れ際にムスタファは自分の指輪をジハンギルに渡し、兄思いの弟への感謝の言葉を口にする。白い装束をまとったムスタファは、父が自分を殺めた場合に読むことになる手紙を携え、タシュルジャルに兵を託すとアトマジャを従え父の陣営に向かう。マフムードの裏工作により寝返った隊長ヒクメトに呼び出された2人の隊長は密かに殺害される。スレイマンの指示に従いセリムは弟とともに狩りに出る。後から来るという父とムスタファを待つジハンギルが胸騒ぎに襲われた時はすでに遅かった。狩りは処刑の場に居合わせないようにするための口実だと気づいた弟は泣き叫び戻ろうとするがセリムに阻まれる。陣営に到着したムスタファが皇帝の天幕に入る寸前だというのに、隊長らの指揮による反乱の計画が遂行されない。ヒクメトの様子から裏切りと反乱の失敗を察知したアトマジャは、タシュルジャルに知らせるため馬で駆けるが背後からの射手の矢が命中する。参上したムスタファに皇帝は裏切りをなじると、潜んでいた処刑人らが皇子に襲いかかる。首に縄を巻き付けられながらも抵抗する皇子は裏切っていないと叫び、処刑人らを振り払い出口に駆け出す。寸前のところをマフムードに捕らえられた皇子は追ってきた処刑人の手により絶命する。息絶えたムスタファを抱きかかえたスレイマンは何度も息子の名を呼び慟哭する。


4-51 遺書

ムスタファの息子メフメトは、師父から皇帝の命令は絶対だと教えられ、メフメトは「皇帝が命を取ろうとしても従うのか」と問う。コンヤの陣営では、皇子ムスタファが皇帝スレイマンの天幕で処刑人たちにくびり殺されていた。スレイマンはムスタファの遺体を抱き、慟哭する。歩兵常備軍は大宰相リュステムの計略でムスタファが処刑になったのだと主張し、怒りの矛先がリュステムへ向かう。ムスタファの訃報に接したマヒデブランたちは悲しみに暮れる。
●天幕の外に運び出されたムスタファの亡骸を取り囲んだ軍団の兵士らは、右の拳で己の胸を何度も打ちつける。スレイマンが亡き皇子の胸元から取り出した手紙は、誓いを破り無実の子を殺めた父を責めていた。反逆者として名を刻まれようと、幾百年後になろうと真実は明かされ虐げられし皇子の名誉は回復されると締めくくる遺書を握りしめ皇帝は悲嘆に暮れる。陣営に駆け戻ったジハンギルは変わり果てた兄を抱きしめ泣き叫ぶ。そして天幕の前で公然と父を非難する。裏切りが発覚したヒクメトは軍団の吊し上げに遭い、大宰相の命令により隊長らの殺害に関与したことを自供する。軍曹フセインは激高した軍団を率いて大宰相の首を取りに向かう。アフメトは軍団鎮圧のために事態に介入することを進言するとフセインのもとに急ぎ、皇帝が大宰相を尋問し処罰することを告げ、軍団の蛮行を食い止める。皇帝のもとに引き立てられたリュステムは隊長殺害を反乱阻止のためと正当化するが、怒りの収らない皇帝は大宰相の罷免と帝都帰還の厳命を下す。スレイマンに大宰相に任命されたアフメトは拝命の条件として在職中に死刑宣告をされないことの保証を求める。沈痛な面持ちでアマスヤに帰還したタシュルジャルは訃報を伝えるとミフリュニーサは泣き崩れ、マヒデブランは虚ろな足取りで自分の部屋にたどり着くと毒の小瓶を手に取る。しかし後をついてきた孫メフメトの声に思いとどまると無念の涙が溢れ出す。


4-52 慟哭(どうこく)

罷免され帝都に逃げ帰ったリュステムによりムスタファの処刑が知らされ、宮殿中に大きな衝撃が走る。ファトマとギュルフェムがヒュッレムとリュステムを激しく責めるのを見たバヤジトはヒュッレムに対し怒りを覚える。さらにムスタファを慕う多くの民も処刑に動揺していた。一方悲嘆に暮れるマヒデブランたちはアマスヤを離れムスタファの遺体があるブルサへ向かう。兄に最後の別れをしようとバヤジトもブルサの葬儀へ向かうと言い張る。
●陣営から逃げ出し宮殿に帰還したリュステムは、皇帝の命令によりムスタファが処刑されたことをヒュッレム母娘に伝える。積年の戦いに勝利したヒュッレムだが、歓喜に浸る暇もなく、これから亡き皇子の陣営からの攻撃に晒されることを覚悟する。アマスヤ宮殿からの退去を求める勅命をタシュルジャルから伝えられたマヒデブランは、残虐者の言うことには従わないと拒否する。しかし自らの意思として我が子が埋葬されるブルサに移り住むことが最後の務めだとマヒデブランは考えを改める。ファトマとギュルフェムは、皇子の処刑を仕組んだとしてヒュッレムを激しく非難し、バヤジトも母に詰め寄り追及する。しかし処刑は聖断であり異議を申立てるべき相手は皇帝であるとヒュッレムは言い放ち、泰然としてその場を立ち去る。皇子の処刑は巷で喧伝されヒュッレムと大宰相に報いを受けさせるべきだとの声が湧き上がる。競争相手が消え玉座に一歩近づいたセリムだが不安は消えない。バヤジトは母の反対を押し切り葬儀への参列に向かう。天幕に誰も入れないジハンギルは食事も睡眠もとらず衰弱していく。ヒュッレムは皇帝に手紙を書き、帝都では反乱の兆しが高まりムスタファの息子メフメトの即位を叫ぶ者までいると伝える。すると皇帝は特命を与えた使者をブルサに送る。我が子の亡骸に対面したマヒデブランは慟哭し、参列したバヤジトに突っかかるとヒュッレムの息子として罪を背負うべきだと罵る。


4-53 真の悲劇の始まり

帝都イスタンブールでムスタファの処刑に憤慨する民衆が暴動を起こす。皇子ムスタファが埋葬されたブルサに皇帝の使者が訪れ、皇帝妃マヒデブランらに帝都のそばの屋敷に移るよう勅命を伝えるが、その裏にはある目的が隠されていた。コンヤの陣営ではムスタファの処刑に衝撃を受けた末の皇子ジハンギルが食事を拒絶し衰弱していた。リュステムの一家は暴徒から逃れユスキュダル宮殿に身を隠す。だが宮殿の様子をうかがう黒い人影があった。
●魂を抜かれたようなマヒデブランのもとを訪れた皇帝の使者は帝都に近い屋敷に移るよう伝える。ミフリュニーサは息子の命を奪おうとする意図を感じ不安を抱く。敬愛する皇子の処刑に憤った民衆はヒュッレムとリュステムに報いを受けさせよと叫び暴徒化すると歩兵常備軍も加勢する。暴徒に屋敷を包囲されたリュステムと家族は密かに抜け出しユスキュダル宮殿に身を隠す。マヒデブランらはブルサを去ることに応じ出立の日を迎えるが、孫のメフメトは慣習に従い家族とは別の先頭の馬車に乗ることになる。途中でマヒデブランらの馬車が止まると車輪が破損し修理が必要だという。ミフリュニーサは先を行く息子の馬車を止めるよう護衛に命ずるが動かないため自ら駆け出す。しかし馬車を止めることが叶わぬと知ると崩れ落ちるように膝をつき泣き叫ぶ。馬車の中でメフメトは母親にはもう会えないと伝えられる。宮殿でヒュッレムは号泣する。亡き皇子に対して、自分の息子だったらこの望まざる不幸な争いなどなかったと吐露した日を思い出していた。スレイマンは食事を拒否し衰弱するジハンギルに無理矢理に薬を飲ませようとし拒まれる。しかしそれでも必ず回復すると信じている。ムスタファ亡き後はヒュッレムの息子たちの間の玉座争いが災いを招き、そこから真の悲劇が始まるとファトマは見透かす。死んだと思われたアトマジャは帝都に戻ると、リュステムの隠れ家に向かう弟のシナンの姿をとらえる。


4-54 背に翼を持つ皇子

コンヤの陣営では衰弱したジハンギルが体の痛みに苦しんでいた。見かねたスレイマンは医師が薦めた薬の服用を渋々許可する。スレイマン自身もまた、睡眠不足で体に不調が出ていた。一方、帝都ではリュステムがユスキュダル宮殿に身を隠しているのを突き止めたアトマジャたちがムスタファの無念を晴らそうとリュステム殺害の計画を立てる。ある晩、暴徒がユスキュダル宮殿に押し寄せリュステムやミフリマーフを取り囲むが…。
●ユスキュダル宮殿であれば誰にも知られず安全だとシナンはリュステムに保証する。アトマジャはフセインとの再会を果たすと、ムスタファのかたきを討つべくリュステムの殺害を誓う。そしてリュステムの居場所を明かし、そこで仕える内通者を引き合わせる。身体の激しい痛みに喘ぐジハンギルの姿を見かねたスレイマンは医師から勧められたアヘンチンキの服用を許可する。痛みはやわらいだものの朦朧としたジハンギルは、涙ながらに言葉をかける父の気遣いも虚しく、薬の瓶に手を伸ばし過剰摂取の罠にはまる。夜中にヒュッレムの部屋に駆け込んだファーリエは、リュステムの居場所が発覚し民衆が大挙して向かっていると知らせる。危急の知らせにリュステムは家族らとともに地下通路から脱出するが、内通者の手引きで屋敷に侵入したフセインはその後を追う。林に抜け出たリュステムたちだが追手はすぐそこまで迫る。ついには刀を交える事態になったところに兵を率いたバヤジトが駆けつけ暴徒らを追い散らす。薬物の影響で夢うつつの状態のジハンギルの枕元に一人の娘が現れ、皇子は安らぎ幸せな気分に浸る。バヤジトに救出されたミフリマーフはヒュッレムに迎えらると、この危難は夫のせいだとなじり、そのまま宮殿に滞在することになる。宮殿前には大勢の民衆が集まりリュステムを出せと叫ぶ。事態の収拾のため介入の指示を求めるソコルルに対してバヤジトは自ら群衆に対峙することを決意する。


4-55 魂の解放

トプカプ宮殿に押し寄せた民衆は「リュステムを渡せ!」と口々に叫んでいた。事態を収拾するため、皇帝代理を務める皇子バヤジトが毅然とした態度で民衆の前に立つ。コンヤの陣営ではジハンギルが驚異的な回復を見せ、皇帝スレイマンを散策に誘う。皇子ムスタファの死後52日の祈りの儀式に皇帝妃ヒュッレムと皇女ミフリマーフが姿を現すが皇女ファトマと皇帝妃ギュルフェムは、よく顔が出せるものだと2人を責める。一方、ジハンギルの容体は急激に悪化し…。
●バヤジトは暴徒の前に毅然として立つとムスタファ処刑の聖断は何人も議論してはならぬと説き、リュステムの引渡しを拒否する。武力による制圧も辞さないとの皇子の決意に気圧された群衆は解散する。ジハンギルはセリムに帰還を乞うが、スレイマンは自分の良心であるという末の皇子を手離したくない。しかしジハンギルの精神の破綻が顕著になると、皇帝は弟を帝都に連れ帰るようセリムに命ずる。ヒュッレムはジハンギルの深刻な容体を伝える手紙を受け取るとバヤジトを伴い陣営に向かう。皇子が再び激しい痛みに襲われると、皇帝は医師長に処置を命ずるが手の施しようが無いと宣告される。瀕死の皇子のもとに現れた白衣の美しい娘は、安らかに旅立てるよう迎えに来た天使だと若い医師はつぶやく。ジハンギルは握りしめていた兄の形見の指輪を父に手渡すと魂を解放するよう懇願する。さじでアヘンチンキを与えようとする父の手から瓶を取り上げ口をつけて飲み干した皇子のもとに娘が現れる。差し出されたバラの香りを大きく吸い込むと皇子は肉体から解放され旅立つ。シナンは押し入ってきたアトマジャに危険を感じ、配下の者に取り押さえるよう命ずるが誰も従わない。アトマジャはリュステムを呼び出すよう求め、持っていた斧をシナンに振り下ろす。リュステム夫妻のもとにシナンからという箱が届けられる。その中にはシナンの右手と、リュステムを呼び出すアトマジャからの手紙が入っていた。


4-56 罪の代償

リュステムはアトマジャたちに捕らえられた弟シナンを救出しに行こうとするがミフリマーフに止められる。一方ジハンギルのもとへ急ぐヒュッレムとバヤジトの前にセリムが棺と共に現れる。末の息子ジハンギルの死でヒュッレムは大きく打ちのめされる。息子2人をほぼ同時に失ったスレイマンもまた深く苦しんでいた。ムスタファとジハンギルの死去により残された皇子はセリムとバヤジトの2人となり、2人の対立がますます深まっていく。
●アトマジャに拉致されたシナンの救出に向かうべく帯刀するリュステムをミフリマーフは思いとどまらせる。弟が生きている保証がない中において危険を犯すことにリュステムは躊躇する。要求に従わなかったリュステムのもとに解放されたシナンは痛々しい姿でたどり着くと、非情な兄を激しく責め立てる。降りしきる雨の中を急ぐヒュッレムらは帰還途上のセリムと行き合う。無言で立ち尽くす息子に胸騒ぎを覚えたヒュッレムは、見やった先の馬車の上の棺でジハンギルの死を悟る。ヒュッレムは息子の亡骸を目にすると慟哭しその場に倒れる。息子の死に打ちひしがれたスレイマンは医師の勧めに応じ、小部屋のような地下の礼拝室に籠もり精神的な治療を受ける。自らの罪の代償として奪うならジハンギルでなく自分の命であるべきだったとヒュッレムは神に向かい泣き叫ぶ。師父はバヤジトに皇帝代理として賢明に振る舞うよう忠言し、フーリジハンに帝都に来ないよう手紙で知らせることを求める。リュステムはアトマジャをこの手で殺すとシナンに誓い、かたきの居所を探すため人員を増やすよう配下に命ずる。しかし前大宰相の命令には従わないようにとの下達ゆえにそれは不可能と聞かされ憤る。セリムの侍従ガザンフェルは不正に入手した手紙をヌールバーヌーに渡す。フーリジハンへのバヤジトの知らせを読んだヌールバーヌーは、宮殿で騒動が起きセリムを支持しない者は代償を払うことになると微笑む。


4-57 挽歌

前大宰相リュステムは宮殿から自分の命令には従うなというお達しが出たことに激怒しソコルルを怒鳴りつける。皇子バヤジトの極秘結婚を知ったヌールバーヌーはよからぬことを考えていた。皇女ミフリマーフは失意の日々を過ごす皇帝妃ヒュッレムに残された子供たちのために立ち直ってほしいと訴える。皇帝スレイマンはアマスヤを訪ね、皇子ムスタファの側近タシュルジャルが作った挽歌を読む。そんな中、ルメリ州に偽ムスタファが現れ…。
●バヤジトからフーリジハンに宛てた手紙をセリムに渡し二人の極秘結婚を明かしたヌールバーヌーには秘策がある。ミフリマーフは二人の弟とともにジハンギルの部屋に籠もるヒュッレムを訪れ、残された子供らのために立ち直るよう乞う。地下の礼拝室で40日間を過ごし精神の安定を取り戻したスレイマンは、ムスタファの居たアマスヤ行きを決意する。マヒデブランはミフリュニーサを伴い宮殿に到着すると、生き続けるただひとつの理由は同じ苦しみを残忍な敵に与えるためだとファトマに打ち明ける。ヒュッレムはジハンギルが生前に書き記した短い箴言の紙片を手に取り読むと、悲嘆に暮れる日々からようやく抜け出す。立ち直ったヒュッレムは大部屋でマヒデブランとの対面を果たしたところ、短剣を手にして近づいてきたミフリュニーサに名を呼ばれる。ミフリュニーサはヒュッレムが夫と息子の命を奪ったと涙ながらに訴え、自分の冬はこれで終わるがヒュッレムの冬はこれからは始まると言い残すと、自らの首に刃を当て自害する。アマスヤ宮殿に到着したスレイマンは主を失った皇子の部屋の寝台の上に置かれた書き物を手に取るとそれは皇子を悼む挽歌だった。皇帝はその作者であるタシュルジャルを呼び寄せると出来を称え、反逆者を悼む挽歌ゆえに迫害を受けぬよう保証するが、二度と顔を見せぬよう言い渡される。帰還したアフメトは偽のムスタファが現れ反乱を計画しているとバヤジトに報告する。


4-58 計略の代償

ヌールバーヌーの計略で宮殿にフーリジハンが現れバヤジトやヒュッレムは困惑する。何とか隠し通そうとするヒュッレムたちの様子にヌールバーヌーはいらだちを覚える。ミフリュニーサが自害し1人宮殿に残っていたマヒデブランは自分以上の苦しみを味わうよう呪い続けてやると叫びながらヒュッレムに襲いかかる。一方リュステムはスレイマンの命令で宮殿から追い出されることに。その背後には亡きムスタファのため報復に燃えるアトマジャがいた。
●バヤジトの師父はトプカプ宮殿に降り立ったフーリジハンを目にし、思惑とは正反対の成り行きに唖然とする。キュタフヤに留まるよう伝えたはずとバヤジトに咎められたフーリジハンは皇子からの呼び出しの手紙を渡すと偽物だと分かる。ヌールバーヌーは画策どおりに極秘結婚が発覚しバヤジトが窮地に立たされるのを待つ。皇帝が崩御した場合、ヒュッレムの望みどおりバヤジトが即位すればリュステムの復権もありうるとファトマは危惧する。そこで母親とはうわべだけの関係のセリムを味方に取り込むようアフメトに入れ知恵をする。アフメトはセリムに会うと、偽ムスタファによる反乱の制圧にあたり直情的なバヤジトが失態を演じる可能性を利用しセリムを優位に立たせる構想を話す。廊下で出会ったヒュッレムに呪いの言葉を浴びせかけ首を絞める醜態をさらしたマヒデブランは、宿敵への報復をファトマに託しブルサにわびしく帰ってゆく。事態を知ったヒュッレムの差し金で画策どおりの進展がないことにヌールバーヌーは業を煮やす。そこでバヤジトの秘密を宮殿内に広めるが、噂の出元を知り怒ったフーリジハンに平手打ちをされる。宮殿から退去を命ぜられたリュステムはシナンとともに仮の住まいに移るが、部屋に潜んでいたアトマジャと格闘になる。シナンを羽交い締めにして人質にとったアトマジャは、リュステムに対してこれが計略の代償だと言い捨てるとシナンを殺害してその場から走り去る。


4-59 迫られる選択

皇子バヤジトとフーリジハンの極秘結婚の暴露を巡って、対立が深まるバヤジトとセリム。ついには皇帝妃ヒュッレムの前でつかみ合いのケンカに。皇帝代理のバヤジトはセリムに宮殿から出ていくよう命じる。一方、ヒュッレムは極秘結婚を暴露した黒幕としてヌールバーヌーを呼び、きついお灸を据えていた。皇帝スレイマンは傷心を抱えたままアマスヤで過ごしていたが、帝都を離れて2年がたち、帰還を決心する。バヤジトは亡きムスタファの腹心と密会する。
●極秘結婚の皇帝への発覚を防ぎバヤジトを守ろうとするヒュッレムの姿勢にセリムは不信感を抱く。自分とともに歩むという約束を守っているかとの母親への問いの答えがないことに、セリムは約束が反故にされたことを知る。するとセリムはアフメトの提案の受け入れを決意し、ルメリ州の反乱を利用してバヤジトの失墜を狙う。中立の立場はあり得ないとし、バヤジトは自分か兄のどちらかを選ぶようヒュッレムに迫るが母は答えを拒む。リュステムはバヤジトに会い側近に登用してもらえれば最強兵器として仕えることを誓う。セリムとアフメトの同盟を知ったバヤジトはリュステムの大宰相職への復帰を望む。セリムを支持しヌールバーヌーに接近するファトマと自分とでは志が異なるとギュルフェムはフーリジハンに明かす。そしてバヤジト即位のためにはこれまでの確執を捨ててヒュッレムを味方にすべきとフーリジハンに選択を迫る。アトマジャはバヤジトに密かに会うと、ムスタファが言い残した命令に従い玉座への道に仕えると誓う。しかし皇子からのアトマジャへの最初の命令は過去は水に流しリュステムには危害を加えないことだった。リュステムを殺すことが唯一の心の救済であるアトマジャは苦渋の選択を迫られる。ヒュッレムはバヤジトによって離宮に追い出されたセリムに赴任県に戻るよう求める。しかし皇帝が帰還しバヤジトが自滅するのを見届けるまではセリムはここに居座る決意は変わらない。


4-60 癒えない傷

2年の月日を経てスレイマンがようやく帝都に帰還する。ヒュッレムはバヤジトの極秘結婚の話を決してスレイマンに暴露しないようセリムに釘を刺す。亡きムスタファの腹心アトマジャはバヤジトに仕える決心をし、バヤジトと共に反乱鎮圧に乗り出す。弟バヤジトとの対立を決心したセリムは、アフメトやソコルルと共に弟を陥れるための計画を着実に進めていた。ミフリマーフは追放された夫リュステムの復帰を懇願しようとスレイマンに会いに行く。
●アフメトはエジプトが納める税金のうち、合法的に記録を免れた部分を出元を伏せて反乱勢力に供与する。スレイマンは2年の歳月を経て帰還するが、出迎えたヒュッレムらに対して険しい表情のまま言葉もなく通り過ぎる。バヤジトは反乱鎮圧のために出立したが、亡き兄を慕う者たちから犠牲者を出さずに解決するよう手を回す。しかし皇帝は軍がエディルネ宮殿で待機していることに苛立ち、直ちに介入するようアフメトに命ずる。ミフリマーフに諭されたフーリジハンはバヤジトとの結婚を明かそうとスレイマンを訪れるが、とうの昔に知っていたと聞く。眠れないスレイマンはジハンギルの部屋に入ると寝台で寝ていたヒュッレムは目を覚ます。時は過ぎても子を失ったふたりの心の傷は癒えず絆は再生しない。ミフリマーフはスレイマンにリュステムの復権を乞うが、前大宰相を免罪していない皇帝は拒む。そして間もなくリュステムを連行させると帝都からの永久追放を言い渡す。ムスタファ皇子を騙る反乱の主導者と会う約束のアトマジャらだが、発覚を恐れた本人は現れず側近が伝言を携えて来る。バヤジトは自ら皇子であることを証明すると、その側近は主が偽者であることを理解する。そして偽ムスタファを連れてくればその者だけを斬首し、他の者は罪に問わないとする皇子の要求を飲む。しかしバヤジトがエディルネ宮殿に戻ると軍は帝命によりソコルルとともに反乱の鎮圧に向かったと聞き愕然とする。


4-61 皇太子宣下

偽ムスタファの乱の鎮圧に無用な流血を望まない皇子バヤジトだったが、宰相ソコルルの軍隊の介入を受ける。皇子セリムの支持者である大宰相アフメトは皇帝スレイマンにバヤジトを貶める報告をし、激怒したスレイマンはバヤジトに帰還命令を下す。見かねた皇帝妃ヒュッレムは事態の成り行きに危機感を抱き、リュステムにバヤジトを帝都へ連れて帰るよう命じる。帝都へ戻ったバヤジトはスレイマンと会食をするが、父帝の逆鱗に触れてしまう。
●ソコルル率いる軍が反乱を鎮圧するが、バヤジトが反乱勢力に資金提供をしていたという噂にスレイマンは激怒し、真偽を確かめるため皇子の帰還を命ずる。ムスタファの末路が脳裏をよぎるバヤジトは身の潔白が証明されるまではエディルネに留まる意向を示す。しかし命令に背けば反乱への支援を認めることになるとアトマジャは異を唱える。皇帝による派兵を恐れたヒュッレムにバヤジトを連れ戻すよう乞われたリュステムはエディルネに向かう。バヤジトは説得に応じ皇帝の前に参上すると、反乱勢力への支援は中傷だと否定するがフーリジハンとの結婚は事実と認める。スレイマンはバヤジトが自分を欺き反逆者の兄ムスタファと同じ道を行くのであれば死が待っていると皇子に掴みかかり激怒する。処罰が下るのは弟かそれとも自らなのか不安な面持ちで知らせを待つセリムにスレイマンからの呼び出しがある。皇帝はバヤジトがいる前でセリムを玉座を継ぐ皇子として指名する。弟の目は怒りと嫉妬ににじむ。皇太子宣下の後、宮殿の外でリュステムと会ったバヤジトは自分を見限った皇帝に対して反旗を翻す決意を告げる。ヒュッレムはスレイマンに手紙を渡す。皇太子宣下に深く傷ついたことと、そしてそのような兄弟の闘争を煽ることは自分ならしないとしたためられた手紙を皇帝は燃やす。ヌールバーヌーはセリムを祝福し、皇子が玉座に就くことへの強い執念と必要なら自ら良心をも捨て去る覚悟を見せる。


4-62 母の苦悩

皇太子にセリムが指名されたことで落ち込むバヤジトを前にヒュッレムは2人の母として複雑な気持ちを抱いていた。そんな中リュステムからバヤジトはワナを仕掛けられ、背後にはセリムがいると言われ動揺したヒュッレムはセリムに問いただしにいく。一方のセリムはヒュッレムに疑われたことで大宰相アフメトに用心するよう釘を刺す。ヒュッレムを苦しめたいファトマは2人の皇子だけでなく皇子の妃たちも対立するよう仕向けるのだった。
●バヤジトとリュステムはセリムが罠を仕掛けたのだと口々にヒュッレムに訴える。ヒュッレムから疑惑について問いただされたセリムは、母子の仲を裂くための中傷だと即座に否定する。ソコルルは反乱勢力に資金提供をしていたのはマヒデブランであったとスレイマンに偽の報告をし、バヤジトの潔白を証明する。皇帝はマヒデブランの資産の没収と手当の支給の打ち切りを命ずる。疑惑を否定した直後にセリムがアフメトを訪ねたことを知ったヒュッレムは怒り大宰相邸に乗り込む。アフメトがセリムとの会話を明かすことを拒否し屋敷からの退去を求めるとヒュッレムは苛立つ。そこに現れたファトマはセリムが罠を仕掛けたことを暴露すると、この代償は必ず払わせるとヒュッレムはアフメトに警告し宮殿に戻る。ヒュッレムはすぐさまセリムの部屋に駆け込み、怒りをぶつける。兄弟の悲愴な最期を目にして以来、死の恐怖に支配されるセリムはもう綺麗事では済まされない局面を迎えたのだと言う。ヒュッレムは黙り込み、息子を許しこの不始末を隠さざるを得ない。かつての配下の宰相アリの許可で財務長官室に入ったリュステムは、財務長官の青ざめうろたえる姿からここに秘密があると確信する。ファトマが催した皇太子宣下を祝う宴にヒュッレムが不意に現れる。皇子らにまつわる二人の激しい諍いの末、ヒュッレムは皇女に対して、じきに寡婦になるから喪服を用意するようにと不吉な言葉を残して立ち去る。


4-63 黒の礼服(ヒラット)

リュステムは財務長官の部屋で皇子バヤジトが計略に陥れられたことを証明する証拠を探していた。一方、皇帝スレイマンのもとにはエジプトから税金の増額で困窮しているという苦情が殺到する。皇帝妃ヒュッレムはセリムとバヤジトの兄弟間の対立に心を痛め、皇帝の私室に双方の家族を呼び、団らんの時間を作る。だが、ヌールバーヌーとフーリジハンが火花を散らすことに…。その後、リュステムの執念の調査により、真実が公になる。
●リュステムは財務長官室で帳簿を調べるが資金流出の証拠は見つからない。エジプトから増税への苦情が殺到していることを知ったスレイマンはソコルルに調査を命ずる。リュステムはアフメトに会議の間に呼び出され帳簿の調査の件で叱責を受ける最中、皇帝が隣接する小部屋に入ったことに気づく。小窓越しに皇帝が聞いているとは知らないアフメトはリュステムの挑発に乗り自らの慢心を晒け出す。苦悩の末、スレイマンは黒の礼服を仕立てさせるようロクマンに命ずる。フーリジハンに脅されたと怯えて話すヌールバーヌーをガザンフェルは必ず守ると誓う。それを見たジャンフェダーは皇子妃に片思いをする侍従は危険だとして距離を置くようヌールバーヌーに忠言する。バヤジトらは財務長官を問い詰め、アフメトの命令で反乱勢力に資金供与したことを自供させる。リュステムは財務長官を証人にして皇帝にアフメトの悪事を暴露するが、ヒュッレムとの約束によりセリムの関与は伏せる。御前で関与についてしらをきるソコルルもリュステムは見逃してやる。急遽会議が招集され二人の皇子と高官らが参集する。着用を命ぜられた者はその場で処刑されるという黒の礼服を持ったロクマンが入室すると、皇帝はアフメトにその着用を命ずる。在任中は処刑されないと安心しているアフメトに対して皇帝は大宰相職を解任に出る。皇帝を裏切ってはいないと叫ぶアフメトは広間の外の処刑人のもとに連行される。


4-64 皇子妃のいさかい

不正が明らかとなったアフメトが処刑されリュステムが再び大宰相に返り咲く。指示どおりリュステムがセリムを守ったことで、ミフリマーフはヒュッレムにバヤジトへの支持を表明するよう迫る。夫の処刑で傷心のファトマをよそに後宮ではセリムの息子ムラトの割礼を祝う宴が続いていた。途中姿を消したヌールバーヌーを不審に思ったフーリジハンは、こっそり尾行する。一方ブルサのマヒデブランのもとに帝都から送られた伝令が勅命を通達しに来る。
●処刑人により首に縄を巻きつけられたアフメトは皇帝に対し呪詛の言葉を言い続けた後、息絶える。その直後リュステムは大宰相職への復帰を命ぜられる。ファトマは夫が処刑されたことを告げられ茫然自失となる。息子の割礼の祝宴の最中、ヌールバーヌーはガザンフェルに呼び出され中庭に足を運ぶが、不意に愛の告白として指輪を手渡されるところを、後をつけてきたフーリジハンに目撃される。フーリジハンは追いかけてきたヌールバーヌーに従者との密会を暴露し破滅させると脅す。つかみ合いの争いの末、ヌールバーヌーに燭台で頭を殴られたフーリジハンは倒れて動かなくなる。動揺するヌールバーヌーが大部屋での宴に戻った後、間もなく朦朧としたフーリジハンもその場にたどり着くが言葉も無く倒れる。セリムと歓談する皇帝を尻目に、ヒュッレムはバヤジトに終身支援することを約束し抱き寄せる。深刻な容体のフーリジハンが運ばれた治療院の前でうろたえるヌールバーヌーの姿をヒュッレムは怪しむ。医女は事故ではない証拠として強くつかまれたフーリジハンの腕の痕をバヤジトに見せる。ヌールバーヌーは片方の耳飾りがなくなっていることに気づく。バヤジトは現場に落ちていた耳飾りを発見すると持ち主を捜すよう指示が出される。資産没収と手当の打切りの勅命を伝えられたマヒデブランは毅然として受け入れるが、軍政官との結婚を命ぜられた孫の皇女ネルギスシャーとの別離に取り乱す。


4-65 蛇の切り札

フーリジハンに傷を負わせた犯人は現場に耳飾りの片方を落としていた。後宮出納官ファーリエは皇帝の命令により皇子妃ヌールバーヌーの部屋を捜索する。 皇子バヤジトは祈るような気持ちで死の淵をさまようフーリジハンに付き添っていた。ヒュッレムは犯人を捜すべく独自に耳飾りの持ち主を調べる。一方、マヒデブラン妃たちが身を寄せるブルサにアトマジャが現れる。ユスフは、生きていながら何の音沙汰もなかったアトマジャを責める。
●フーリジハンへの暴行の現場に落ちていた耳飾りのもう片方を捜すため、すべての部屋の捜索が命ぜられる。ヌールバーヌーはセリムの部屋に置いてきた片方を始末するために取りに行くが見つからない。セリムはヌールバーヌーを抱き寄せドレスを脱がせると鏡に映った妃の体の痣に気づく。問い詰められたヌールバーヌーはセリムに過ちを告白する。フーリジハンはいったん意識が戻ったもののバヤジトの願いも空しく、無言のまま帰らぬ人となる。ヒュッレムはヌールバーヌーにふたつの耳飾りを見せ、ひとつはセリムの部屋にあったと伝える。ヌールバーヌーは暴行を認め、激怒したヒュッレムは告発を決意する。しかしヌールバーヌーは切り札を使い、告発されればナーゼニン妃殺しを命じたヒュッレムの手紙を暴露すると迫る。ヒュッレムは窮余の策として、バヤジトのもう一人の妃ラナに罪を着せたうえで自殺に見せかけ殺害し事件の幕引きを図る。リュステムはバヤジトを策略から守るため、セリムの行動を監視、抑制するに相応しい師父としてバヤジトに仕えていたムスタファを推挙しヒュッレムは了承する。ブルサを訪れたアトマジャはユスフと久方の再会を果たすが、度重なる苦難に見舞われたマヒデブランらを見捨てたと非難される。その後アトマジャはマヒデブランに会うと、ムスタファの霊廟へのバヤジトからの金貨の提供を伝える。しかしマヒデブランは誰からであろうと喜捨は受けないと拒絶する。


4-66 皇帝の疑心

皇子2人が赴任県へ戻る日が近づいていた。バヤジトの支援を決断したヒュッレムは2人の赴任先に、それぞれ信頼のおける者たちを帝都から送り込む。さらにヒュッレムは傷心のバヤジトに立ち直ってもらおうと自ら選んだ数人の側女もキュタフヤに送る。皇子たちが帝都を離れ、スレイマンとヒュッレムは2人きりになった。久しぶりに変装して外出したスレイマンはコーヒー店でムスタファの処刑に関するウワサを耳にして激しく動揺する。
●皇子らの赴任県への帰還にあたり、ヒュッレムは自らの耳目手足としてファーリエをセリムのもとに、ロクマンをバヤジトにもとに送る。またバヤジトには傷心を癒やすために自ら選んだ数人の側女も送る。ファーリエはディルシャーをセリムの夜伽に連れて行くところをヌールバーヌーに見つかり激しい反発に遭う。やむなく引き返すファーリエは、ヒュッレムにとっても邪魔な存在であるヌールバーヌーを消し去るため、ディルシャーに手を組むことを持ちかける。忍びで外出したスレイマンはムスタファの死はヒュッレムとリュステムの策略によるものだという口さがない臣民らのうわさ話を耳にする。ヌールバーヌーはヒュッレムが送った側女のひとり、デフネに対してバヤジトの命運を左右する存在になるよう密かに指令を与えていた。デフネは幼い妹を人質にとられ命令に従わざるを得ない。バヤジトの部屋で食事の用意をした後、デフネは書き置きを本に忍び込ませる。ジャンフェダーはヌールバーヌーの入浴の付き添い中にファーリエから呼び出され浴室を離れる。ディルシャーは女官不在の浴室に忍び入ると浴槽につかるヌールバーヌーの頭を押さえつけ沈める。スレイマンから呼び出されたヒュッレムはようやく融和の機会ができたと期待を持つ。しかし待ち受けていたのはムスタファの死に関するスレイマンの強い疑念だった。皇子を中傷し皇帝が殺害するよう仕向けたのかと問われたヒュッレムは凍りつく。


4-67 獅子の性(さが)

スレイマンに呼び出された皇帝妃ヒュッレムは、亡き皇子ムスタファについての思いがけない問いかけをされ、戸惑っていた。一方、マニサで命を狙われた皇子妃ヌールバーヌーは、暗殺未遂事件の裏にヒュッレムがお目付け役として送り込んだファーリエがいるのではないかと疑う。キュタフヤでは側女デフネが傷心のバヤジトに思わせぶりな手紙を書き残す。そんな中、皇女ミフリマーフが謎の病に。宰相ソコルルは、ある腕利きの医師の診察を勧める。
●ヒュッレムはスレイマンの問いに自分は清廉潔白ではないと答え、ムスタファの死への関与を認める。しかし権力を持つ者にも権力に群がる者にも罪なき者などいないと言い自らへの断罪を拒む。ヌールバーヌーの殺害を企てたディルシャーは、浴室に躍り込んだガザンフェルによって振り払われると頭を強打し絶命する。九死に一生を得たヌールバーヌーはファーリエがディルシャーに殺害をそそのかし、その裏にはヒュッレムがいると喝破する。バヤジトはデフネの書き置きに気づき短く返事をしたためて本に戻すと、それを読んだデフネは皇子と通じ合ったことを喜ぶ。ファトマは後任の後宮出納官に侍女メレキを推挙し後宮の支配を目論む。それを知ったヒュッレムはこれまで敵対関係にあったギュルフェムを推し任命を実現することで皇女の出鼻をくじく。セリムは皇子妃の浴室に入るという禁忌を犯したガザンフェルに対して情状酌量したうえで追放処分を決める。地下牢のガザンフェルはヌールバーヌーから処分を伝えられると、妃との別離を拒み処分撤回を懇願する。ヒュッレムの魔手から身を守るための守護者が必要なヌールバーヌーは、ガザンフェルを後宮に入れるため宦官になることを迫る。ミフリマーフは朝起きると胸の皮膚炎に気づくが医師長の診察でも原因は分からない。ソコルルは捕虜であるスペイン人医師ペドロによる診察を進言するとスレイマンは許可するが、嫉妬深いリュステムの抵抗に遭う。


4-68 占い

謎の病にかかったミフリマーフを心配したヒュッレムは占い師のもとへお忍びで出向く。占い師のハジェルはミフリマーフの病気の件以外に残った皇子2人の行く末についても言及する。一方マニサではセリムが名高い資産家で商人のヨセフ・ナスィに会い親交を深めていく。さらにヌールバーヌーを慕う侍従ガザンフェルはヌールバーヌーに大きな決断を迫られていた。キュタフヤでは傷心のバヤジトがしだいに側女デフネに心を開き始める。
●ガザンフェルは宦官としてこの先もヌールバーヌーに献身するという選択を引き受ける。デフネはバヤジトから二度目の書き置きの返事を口頭で伝えられると、求めに応じ初めての夜伽を果たす。ヒュッレムは娘の病が呪術によるものかを確かめるため占い師の家を訪れる。デフネはバヤジトが寝ている間に部屋の中を探るとミフリマーフ宛ての手紙に目が留まる。県の借金返済に窮したバヤジトが姉に資金援助を求めることを知ったデフネはそれを伝える密書をヌールバーヌーに送る。ファトマの密命を帯びた男はヒュッレムが近くに来ていると市中で言いふらし、ムスタファの復讐の好機だと煽ると民衆は呼応する。ヒュッレムは娘の病状が快方に向かうとの占いに安堵するが、玉座に就く皇子がもうひとりの皇子を殺すとの占いに動転する。占い師の家の前に押しかけ投石を始めた暴徒に対し、警備にあたっていたマフムードは武力による鎮圧を決意する。すると扉が開きヒュッレムが姿を見せると周囲は一瞬にして静まり返る。息子の末路の占いに絶望し暴徒への恐怖すら失せていた皇帝妃は立ちすくむ者たちの間を歩いて行く。扇動者は自ら凶行に及ぼうとするが危急の知らせに駆けつけたスレイマン率いる衛兵により阻止される。デフネからの知らせを受け取ったヌールバーヌーはバヤジトの資金調達を阻止することをセリムに提案する。スンビュルはヒュッレム襲撃の黒幕がファトマである証拠を見つけたと報告する。


4-69 終末の悪夢

皇子バヤジトのもとに帝都からキュタフヤへ金を運んでいた部隊が襲撃されたという一報が入る。トプカプ宮殿では、民をあおり皇帝妃ヒュッレムを襲わせようとした人物が判明する。ジハンギルを亡くしてから安眠できないヒュッレムは、さらに不吉な夢を見る。いまだ皮膚の炎症が治まらない皇女ミフリマーフは再びスペイン人医師の診察を受けることに。皇子ムスタファを処刑し、心に闇を抱える皇帝はヒュッレムに何も告げずエディルネへ向かう。
●ミフリマーフがバヤジトを援助するために送った金貨が輸送中に強奪される。バヤジトらは賊を追い詰めると襲撃はセリムの命令だと首領は自供する。侍女によりヒュッレム襲撃の黒幕だと暴露されたファトマはスレイマンに呼び出される。罪を認めたファトマはヒュッレムを中傷するにとどまらずスレイマンにも悪態をつく。皇帝の逆鱗に触れ宮殿からの退去を命ぜられた皇女は二度と戻ることはない。セリムの口添えによりベネチアで捕虜として拘束されている大商人グラツィア・メンデスの亡命をスレイマンは許可する。嫉妬するリュステムに邪魔されながらも、解放と一攫千金を狙うペドロはミフリマーフを診察し薬の塗布にまで漕ぎつける。スレイマンはヒュッレムに告げずにエディルネ宮殿に行く。幾年もの間、ムスタファの死が原因でスレイマンは心を閉ざしている。小姓頭フェルハトの勧めでその象徴である遺書を火にくべるとスレイマンは亡き息子の幻影から解放される。世界が崩壊する悪夢から醒めたヒュッレムは、ふと首の付け根の腫れ物に気づく。占い師に悪夢の内容を話すとそれは妃自身の死の予兆だとを告げられるが真には受けられない。バヤジトは襲撃犯であるセリムの腹心の生首ともに兄への絶縁状を送りつける。怒った弟に命を奪われる前に相手の命を奪えと煽るヌールバーヌーにセリムは激怒する。ヌールバーヌーは現実から目を背けるセリムに代わり、脅威を排除することを独断で決意する。


4-70 埋まらぬ溝

ミフリマーフが快方に向かっているのを確認したヒュッレムは何も告げずにエディルネへ行ってしまったスレイマンを心配して自らもエディルネへ向かう。到着してみるとスレイマンは1人寂しく過ごしてはいなかった。アマスヤではバヤジトから衛兵の生首を送りつけられたセリムが死の恐怖に怯えていた。そんなセリムの目を覚まさせようとヌールバーヌーはある画策をする。一方快方に向かっていたはずのミフリマーフだったが別の箇所に炎症が出始める。
●スレイマンは滞在先のエディルネ宮殿にベネチアから解放されたグラツィアを招く。その知らせを耳にしたヒュッレムは鮮やかな衣装をまといスレイマンのもとへと急ぐ。師父ムスタファはバヤジトがセリムに生首を送りつけてきたことから兄弟が一触即発の状況にあることを察知する。自分の手には負えないと判断した師父は事態をヒュッレムに書簡で伝え二人の仲裁を請う。飲酒で死の恐怖を紛らすセリムに側女が酒を注ぐとヌールバーヌーはセリムを制止し側女に毒味を命ずる。側女が息絶えるとヌールバーヌーはバヤジトの仕業だと騒ぎ立てるが、セリムに弟殺害を決意させるため自ら仕込んだものだった。不安が昂じて酒が進んだセリムは朦朧となり、ヌールバーヌーの意のままに側女に弟を殺させるよう命令してしまう。朝になり過ちに気づいたセリムは命令の撤回を伝えるが、ヌールバーヌーはキュタフヤへの伝令はまだ出ていないと嘘をつく。ヒュッレムは庭園で憩うスレイマンの傍らでかつて皇帝が自分のことを詠んだ詩をそらんずる。愛を取り戻すために切々と語りかけるヒュッレムだがスレイマンの表情は硬く、途中で招かれたグラツィアにその場を仕切らると黙り込む。ペドロの治療により快方に向かうミフリマーフは完治まで診察を求めるがリュステムは許さない。ミフリマーフはリュステムに無断でペドロを呼び、強制されていた目隠しを外させ治療を受けている。そこに何も知らない夫が帰ってくる。


4-71 忍び寄る死の影

皇帝スレイマンは女大商人グラツィア・メンデスを帝国に手厚く迎える準備を整えていた。一方、キュタフヤでは皇子妃ヌールバーヌーの使いが側女デフネに皇子バヤジトの暗殺命令を伝える。バヤジトを殺す話など聞いていないと激しく抵抗するデフネだったが…。師父ムスタファの書簡がエディルネにいる皇帝妃ヒュッレムのもとへ届き、危機感を募らせたヒュッレムは急ぎマニサヘ向かう。だが、道中、馬車の中でヒュッレムが体の異変を訴える。
●ヒュッレムは師父からの書簡で皇子らの危機的な対立を知るとスレイマンとの関係修復に見切りをつけマニサへ向かう。デフネはヌールバーヌーの使者からバヤジト暗殺指令を受けるが自分の任務ではないとして拒否する。しかし従わねば妹の命はないと脅されたデフネは意を決しバヤジトの食事に毒を盛る。不審者を見かけたアトマジャは危難を察知しバヤジトの部屋に駆け込む。アトマジャは毒が回り苦しみ悶える皇子を抱きかかえると事態を把握し、部屋から逃げ出すデフネを捕らえさせる。毒薬が特定されることで適切な処置が施されたバヤジトは一命をとり留める。デフネはアトマジャの追及に対してヌールバーヌーの命令だと自白する。アトマジャはデフネを処刑しようとするがバヤジトの子を身ごもっていると聞き思いとどまる。バヤジトは子供が生まれた日に処刑するとデフネに言い渡すが、妹を守るための行動だったことを知り心が痛む。我慢の限界に達したバヤジトは数千もの軍勢を率いてセリムに報復することを決意する。完治したミフリマーフはペドロとの再会の口実を作るために炎症の原因と気づいた香油を体に塗りつける。フェルハトはヒュッレムこそがスレイマンの心を癒やす妙薬であり遠ざけるべきではないと進言する。ヒュッレムは馬車の中で腫瘍の激痛に耐えきれず医女の診察を受ける。スンビュルから密かにヒュッレムの病状を尋ねられた医女は不治の病であり余命幾ばくもないと宣告する。


4-72 ヒュッレムの病

武装したバヤジトが兵と共にアマスヤに現れ、セリムとヌールバーヌーは動揺する。同じ頃、ヒュッレムは体の不調を抱えつつもアマスヤへと急いでいた。師父ムスタファが説得を試みるもバヤジトの怒りは収まらず、セリムは武装してバヤジトの前へ。周囲が凍りつく中、皇子2人は刀を抜き…。一方スレイマンはエディルネでの静養を終え、女大商人グラツィア・メンデスと共に帝都に帰還する。ミフリマーフは治ってきていた炎症が再び体に出始める。
●宮殿に向かって進軍するバヤジトらを目の当たりにしたセリムとヌールバーヌーはひどく狼狽する。マニサへの道中でヒュッレムはバヤジトが起こした無謀な行動を知り焦燥する。覚悟を決めたセリムは甲冑をまとい門の外に姿を現すと、バヤジトは暗殺を命令したセリムへの報復として正々堂々と命を奪いに来たと告げる。セリムの師父の制止もむなしくバヤジトが刀を抜くとついに兄弟同士の決闘が始まる。しかし間もなくヒュッレムの来訪を告げるスンビュルの声が響くと二人は刀を下ろす。仲裁に入ったヒュッレムは兄弟同士で命を賭けた対決に至ったことを厳しく叱責するが、突然発作を起こし気を失う。意識が戻ったヒュッレムは二人の息子を部屋に呼びそれぞれの言い分を聞く。兄の卑劣な行為をスレイマンに書簡にしたためた軽率なバヤジトにヒュッレムは憮然とし、また母親の目を見ながら平然と嘘をつき続ける不誠実なセリムには失望する。医女は病魔に侵されたヒュッレムに余命わずかであることを伝えるべきだとスンビュルを説得する。セリムは指示を無視してバヤジト暗殺を決行させたヌールバーヌーに対して烈火のごとく怒る。ヒュッレムはヌールバーヌーに死をもって償うよう迫るが、その場に割って入ったセリムはヌールバーヌーをかばい、必要な措置を講ずると母親に約束する。師父がいまだにバヤジトの腹心であることを知るセリムは、弟への忠誠を断ち自分の側につくよう求めるが拒まれる。


4-73 皇子たちへの警鐘

皇帝妃ヒュッレムは、皇子バヤジトの書簡が父帝スレイマンに届くことを恐れていた。皮膚の炎症に悩む皇女ミフリマーフは奴隷の医師ペドロにより快方に向かう。宰相メフメトは、ペドロをミフリマーフに献上すると皇帝に申し出るが、夫リュステムの反発はすさまじく…。マニサで皇帝妃ヒュッレムは、セリムとバヤジトを和解させるべく奮闘していた。帝国で商取引を始めた女大商人グラツィア・メンデスだったが、その商船には秘密があった。
●兄の卑劣な行為を書き連ねたバヤジトの書簡はスレイマンに届けられることなくソコルルの手に渡るとセリムを守るため処分される。バヤジトはスレイマンへの書簡の隠匿工作があったとヒュッレムに不服を言う。しかしその書簡はバヤジト自身の首を絞めるものであり届かなくて幸いだとヒュッレムは諭す。皮膚炎の再発を口実にミフリマーフに呼び出されたぺドロは皇女が満たされぬ心を抱えていることに気づく。ソコルルは自分の奴隷であるペドロをミフリマーフに献上する。リュステムは屋敷に着いたペドロに暴行を加え、駆けつけたミフリマーフの前で殺そうとする。ミフリマーフは殺害を阻止するためペドロを奴隷の身分から解放し法的な保護を与える。しかし同時に屋敷にいる正当性を無くしたペドロにリュステムは追放を言い渡す。ペドロの受入れに激怒したリュステムはミフリマーフへの愛と忠誠を断ち切る決意を伝える。セリムの師父はヒュッレムの病状を医女に問い詰め余命わずかと知る。ヒュッレムは兄弟に和解の場を用意すると、バヤジトはセリムの謝罪を受け入れる代わりにデフネの妹を連れて帰ることを伝える。帝都への入港を許可されたグラツィアの船には迫害を逃れた同胞のユダヤ人が多数乗船していた。スレイマンは密入国の通報を受けるが、神の御心のままに多様性と調和を重んじ受け入れを命ずる。急に天幕から出て行くスンビュルを不審に思ったヒュッレムは後を追い、涙の訳を尋ねる。


4-74 愛の復活

自分は深刻な病気に冒されていると知ったヒュッレムは病気のことは誰にも言うなとスンビュルに警告する。帝都に戻るとヒュッレムの寝台にスレイマンからの手紙が置かれていた。マニサではセリムの息子ムラトの地方赴任が決まり、ヌールバーヌーと娘たちも一緒に行くようセリムに命じられる。キュタフヤにいるバヤジトは出産後に処刑が決まっているデフネにマニサから連れてきた妹を会わせる。一方ミフリマーフはペドロと会えなくなり沈んでいた。
●自らの不治の病をスンビュルから聞いたヒュッレムは動転するが気を取り直すと他言しないよう命ずる。セリムは息子ムラトの地方赴任をスレイマンに認めてもらうと慣習上ヌールバーヌーの同行が決まる。これはヌールバーヌーを自分から引き離すことで、その殺害を命じたヒュッレムの追及をかわすためのセリムの苦肉の策だった。宮殿に戻ったヒュッレムは部屋に置かれたスレイマンからの手紙を読むと愛の復活を感じ取る。スレイマンはスンビュルからヒュッレムの病状を知らされると、そのもとに駆けつけ抱擁を交わし必ず病を治すことを誓う。病状は絶望的と話す側近の医師らに対しスレイマンは名医を集め必ず治療法を見つけるよう厳命する。ヒュッレムはスレイマンに秘密を口外したスンビュルに怒り追放を言い渡す。熟慮の末、師父はバヤジトへの忠誠を断ちセリムが玉座に就けるよう尽力することを誓う。そしてセリムがスレイマンに対してバヤジトを告発する書簡を代筆するとともに、自身からバヤジト宛ての書簡を送る。師父は書簡を読み暴走を始めるバヤジトがスレイマンからの信頼を完全に失うこと目論んでいる。スレイマンは過去の出来事は水に流すとともに、愛の火が消えることはないとヒュッレムに誓う。出産後の処刑を待つデフネは再会した幼い妹に我が子を託す。ペドロが出国することに塞ぎ込むミフリマーフは本人からの手紙を受け取り逢い引きをすると命をかけた逃避行の誘いを受ける。

4-75 最悪、最強の敵

キュタフヤの皇子バヤジトのもとに師父ムスタファから皇子セリムが皇帝スレイマンに宛てて書いたという書簡が届き、自分を告発するような内容を見たバヤジトは激怒する。一方、港では出帆の時が迫る医師ペドロが皇女ミフリマーフを待っていた。皇帝スレイマンは帝国の医学の粋を集め、ヒュッレムの病気を治療しようとする。大宰相リュステムは女大商人メンデスと夕食を共にする。セリムはバヤジトから書簡と屈辱的な贈り物を受け取る。
●バヤジトのもとにセリムの師父から2通の書簡が届く。1通はセリムが自分の非は棚に上げバヤジトの咎をスレイマンに告発するもので、もう1通はその書簡を阻止した師父がセリムに対して警告の書簡を出すようバヤジトを促すものだった。ミフリマーフは港に忍んで行くと、待ちわびていたぺドロに別れを告げる。そして旅立つペドロとともに自分の魂の一部が自由になれるようにとその髪を入れた箱を渡す。様々な治療法が試されるものの疲弊するだけのヒュッレムはスレイマンに治療の中止を請うが認めてもらえない。リュステムは屋敷でグラツィアの訪問を受け同胞への厚意の礼として金貨の箱を受け取る。会話を進めるうちにリュステムはそれまで嫌悪していたグラツィアへの態度を改める。師父からの知らせに激怒したバヤジトはセリムに書簡を送る。書簡の中でバヤジトはセリムに決闘を突きつけ、もし拒むならいっしょに送った女物の衣装を着るのがお似合いだと侮辱する。この衣装をスレイマンに送れば師父の思惑どおりにバヤジトは不敬のかどで罰せられるはずだった。しかし激怒したセリムがそれを拒否しバヤジトの申し出を受けて立つことを告げられた師父は困惑する。決定的な治療法を見いだせない医師長に苛立つスレイマンに対して、フェルハトは皇帝の愛こそが唯一の良薬となだめる。スンビュルからヒュッレムの病を聞いたミフリマーフは直接病状を尋ねに行くが本当のことは教えてもらえない。


4-76 許し

ヒュッレムの病気の治療に温泉が効くかもしれないと医師たちに勧められ、スレイマンはヒュッレムをブルサに連れていく。ヒュッレムの治療中、スレイマンはムスタファの霊廟を訪れる。ヒュッレムもまた、ブルサの宮殿に住むマヒデブランを訪れていた。死期が近いと悟ったヒュッレムはスレイマンに一緒に帝都に帰り、子供たちを呼び集めてほしいと頼む。一方バヤジトからの果たし状を受け取ったセリムは指定された場所へ武装して向かう。
●ヒュッレムはギュルフェムに死の病に冒されていることを伝える。そして過去の過ちへの許しを請うとギュルフェムは応ずる。グラツィアは仕事の話を口実にリュステムを屋敷に招くと深い関係になることを求める。リュステムは一瞬背を向けるがグラツィアを激しく抱き寄せる。ヒュッレムは湯治を勧めるスレイマンとともにブルサに赴く。スレイマンは当地のムスタファの霊廟を訪れるとマヒデブランに出くわす。マヒデブランはムスタファを殺したスレイマンを非難し、神以外に誰も許さないと言い捨て立ち去る。沈黙を押し通したスレイマンはこの苦悩から死ぬまで解放されないことを知る。ヒュッレムはマヒデブランの宮殿を訪れ死期が近いことを告げ、逝く前に許しを請いに来たと伝える。先にヒュッレムはメフメト殺害を命じたマヒデブランを許す。マヒデブランから許しを得たヒュッレムは立ち去るがその表情は重苦しい。敵に与える最大の罰は許すことだとマヒデブランはフィダンに話す。セリムとバヤジトは約束の地で出会うと一騎打ちが始まる。倒されたセリムはバヤジトに喉元に刀を突きつけられると、どうせ兄弟を殺せないだろうと悪あがきを見せる。バヤジトは雄叫びとともに地面を刀で突くと次は容赦しないとセリムに怒りをぶちまける。ヒュッレムは帝都に帰り子供らを呼び寄せ愛する者に看取られ逝きたいとスレイマンに話す。運命を受け入れ死を覚悟したヒュッレムは最愛の者に微笑みかける。


4-77 魂の伴侶

皇帝妃ヒュッレムが皇帝スレイマンと共にブルサでの湯治から戻る。出迎えた皇女ミフリマーフは立っているのもつらそうなヒュッレムの様子を見て不安を募らせ、スレイマンに本当の病状を問う。スレイマンはセリムとバヤジトに至急帝都に戻るよう知らせを送る。大宰相リュステムと大商人メンデスは男女として急接近していた。一方、キュタフヤでは側女デフネの出産が始まる。ヒュッレムは過去を清算するためスンビュルにあることを頼む。
●ヒュッレムはスレイマンに寄り添われかろうじて宮殿内に戻ると不意に訪れたスンビュルを歓迎し過去の放言を詫びる。ヒュッレムの様子に不安を募らせたミフリマーフは神に祈るしか術はないとスレイマンに打ち明けられ泣き崩れる。スレイマンは母が幸せで穏やかな余生を過ごすために尽くすよう娘に伝える。リュステムは医女からヒュッレムの真の病状を聞き愕然とする。スレイマンは皇子らに至急帝都に戻るよう伝令を送る。無断で宮殿に戻ったヌールバーヌーは頬に刀傷を負ったセリムを気遣い、師父への不信感を漏らす。アトマジャはバヤジトがセリムを殺さなかったことは将来に禍根を残すと不安を伝える。ロクマンが良心に従ったバヤジトの行動を称えると、アトマジャは良心によって玉座に就いた皇子はいないと反論する。ヒュッレムはマヒデブランに会い過去を清算したことをスンビュルに伝えると、もう一つ清算すべきことがあるという。それは秘密裏に埋葬されたイブラヒムの墓参をすることだった。バヤジトは男児を出産し処刑を待つだけとなったデフネに授乳を許す。スレイマンは寝所にヒュッレムを食事に招き夜は傍らで眠るように言う。グラツィアの屋敷に通い詰めるリュステムはヒュッレムの死が世界の運命すら変えると語る。スンビュルはマトラークチュの従者からイブラヒムの墓の場所を聞き出しヒュッレムを連れて行く。およそ墓地とは思えない山間の雑草地をヒュッレムは目の前にする。


4-78 祈り

スレイマンは建設中のモスクに出向き首席建築家のシナンに早く完成させるよう命じる。ヒュッレムはスンビュルが捜し出したイブラヒムの墓に来ていた。ミフリマーフは胃の不調が続いていたが、リュステムは自分の気を引くための仮病だと信じ込む。セリムとバヤジトはスレイマンからの突然の呼び出しの理由が分からず兄弟間での争いが原因だろうと警戒心を強める。不安を抱えながらも皇子2人はそれぞれの妃と子供たちを従えて帝都に到着する。
●スレイマンは着工から長い年月が経つモスクの完成を急ぐよう建築家シナンに命ずる。ヒュッレムは墓石すらないイブラヒムを憐れみ、この地位と境遇は自分を選び皇帝に献上してくれたおかげと感謝する。そしてイブラヒムが生きている間にこれを伝えたかったと悔やみ祈りを捧げる。ヒュッレムは自分の亡き後はスレイマンに寄り添うことをギュルフェムに託す。リュステムはミフリマーフの体調不良を外泊する自分の気を引くための仮病と疑うが、間もなく妊娠が原因であることを告げられると動揺を隠せない。バヤジトの兄メフメトにちなんで名付けられた赤子を残しデフネは部屋から連れ出される。処刑を覚悟し今生の別れを告げるデフネにバヤジトは息子メフメトに免じて許しを与える。スレイマンと話をするヒュッレムは宮殿の外で自分の名を口々に呼ぶ声を耳にする。ヒュッレムがテラスから目にしたのは敬愛する皇帝妃を見舞いに宮殿を訪れた名も無き女性たちの一群だった。万感の思いのヒュッレムは屋外に出向き彼女ら一人ひとりが自身と謁見できるよう取り計らう。ヒュッレムはスンビュルに自分に関するすべてを書き記した日記を渡し後世に語り継がれるよう保管を託す。妃と子を連れて帝都に来るよう命ぜられた皇子らは宮殿に到着すると母親が余命わずかであることを告げられる。先日の皇子らの決闘を知ったスンビュルは平穏な日々を過ごせるようヒュッレムには隠すことをロクマンらに指示する。


4-79 永遠の愛

皇帝妃ヒュッレムが余命わずかだと知った皇子セリムとバヤジトは動揺を隠せない。だが、側近たちはすでにヒュッレム亡きあとの皇帝の後継者争いのことを気にかけていた。ヒュッレムは大宰相リュステムを呼び、自分の死後、セリムとバヤジトの争いを阻止し、2人を導いてほしいと頼む。スレイマン皇帝は自身の名前を冠した壮麗なモスクが完成し、初めての礼拝を行う。不死鳥の夢を見たヒュッレムは死期を悟り、愛する者たちとの最後の食事会を開く。
●リュステムは改めてバヤジトへの忠誠を誓い、同席したセリムの師父までもがバヤジトに尽くすと言い出す。ソコルルとヌールバーヌーはヒュッレム亡き後に向け万全の対策を講ずるようセリムに進言するが時期尚早として受け入れてもらえない。ヒュッレムに呼び出されたヌールバーヌーは必ずやセリムが玉座に就き自らはヒュッレムの部屋に住むのだと豪語する。ヌールバーヌーの不遜な物言いに憤ったヒュッレムは覚悟を問うが、どんな犠牲もいとわないと言い返される。ヒュッレムはリュステムを呼び、自らの死後にふたりの皇子の争いを阻止したうえでバヤジトを玉座に導くよう誓いを立てさせる。スレイマンは自らの名を冠したモスクの完成後初の礼拝に赴き、ヒュッレムが造らせた同所の複合施設では弱者らに食事が振る舞われる。朝方テラスで倒れていたヒュッレムはスレイマンに起こされると今日が最後だと伝え、盛大な食事会を開き愛する者たちを集めるよう請う。ヒュッレムは17歳の奴隷アレクサンドラ・ラ・ロッサの歩んだ苦難と栄光の道を振り返る。庭園での食事会を中座したヒュッレムはスレイマンに支えられながら部屋に戻る途中、崩れるように倒れ込む。寝台に運ばれたヒュッレムはかつて自分を詠んだ詩を聞かせて欲しいとスレイマンにせがむ。スレイマンはヒュッレムと見つめ合いながら、ゆっくりと詩を読み続ける。最愛の者に見守られながら皇帝妃ヒュッレムは眠るように息を引き取る。


4-80 母の遺言

ヒュッレムの死はスレイマンや子供たちだけでなく宮殿中を大きな悲しみに包んだ。盛大な葬儀が執り行われ、ヒュッレムの遺言どおり遺体はスレイマンの名前を冠したモスクに埋葬される。葬儀のあとセリムとバヤジトにヒュッレムが2人に残した贈り物と手紙が渡される。ミフリマーフはヒュッレム亡きあともバヤジトを一緒に支えるようリュステムに念を押す。さらにミフリマーフは塞ぎ込むスレイマンを慰めようとスレイマンの部屋を訪れる。
●二人の皇子はヒュッレムが最後にそれぞれに言い残した戒めの言葉を思い出す。残酷な者たちが支配するこの世界で、勇敢ながら慈悲深いバヤジトが生き残り玉座に就くためには残酷になれという。臆病なセリムには恐れや怒りにまかせ玉座に就いたとしても良心が痛むなら意味はないとして、勇敢で平穏な心を持てという。スレイマンは自らの名を冠したモスクの敷地内にヒュッレムを生前の望みどおり埋葬する。ヒュッレムはスレイマンから贈られた手製のエメラルドの指輪を自らとともに埋葬するようスンビュルに言い残していた。その指輪が亡骸から盗まれていたことにスンビュルとファーリエは気づくが、犯人はヌールバーヌーに命ぜられたジャンフェダーだった。スンビュルらはジャンフェダーを怪しいと睨み詰問しヌールバーヌーにも嫌疑をぶつけるがかわされてしまう。ヒュッレムが自分の葬儀後に渡すようロクマンとファーリエに託した贈り物と手紙が二人の皇子のもとに届く。贈った鎧は共通の敵に対してともに助け合って戦う際にまとうものであって、互いに刀を交えるときのものではないとヒュッレムは手紙の中で忠告する。深い喪に服すスレイマンは寝所から華美な調度品を排除し、自らの食事も質素にするようフェルハトに命ずる。ミフリマーフは誰にも会おうとしないスレイマンに、ヒュッレムの忘れ形見である自分らに会い慰め合うよう請う。しかしスレイマンはその切なる願いを一顧だにしない。


4-81 明けぬ喪

ヒュッレムを亡くし、深く喪に服す皇帝スレイマンは、トプカプ宮殿で静寂を保ち、金銀など華美な物を使わないよう命令する。皇子セリムとバヤジトの和解を心から望んでいたヒュッレムだったが、母親の切なる願いをよそにセリムは玉座に就くための行動を開始する。一方、予定より早くミフリマーフが産気づき…。皇子妃ヌールバーヌーはよく当たると評判の占い師のもとを訪ね、未来を占ってもらう。占い師は驚くべき予言をするのだった。
●セリムは喪が明けたらバヤジトからの不敬な贈り物をスレイマンに見せ弟の失墜を狙う。アトマジャはヒュッレムの忠臣だったリュステムがセリムの側につくことを懸念する。その場合はリュステムを殺してもよいと、ムスタファの仇討ちを封印してきたアトマジャにバヤジトは伝える。ヒュッレムの行く末を言い当てた占い師はベネチア人が産んだ皇子から皇統が続くとヌールバーヌーに予言する。ヌールバーヌーは自分のことだと喜ぶが男児を産んだデフネも同郷であることに気づき不安になる。セリムはリュステムに接触し自らの陣営につくよう揺さぶりをかける。これを目にしたバヤジトはリュステムの忠誠を確かめるが兄の動きに危機感を強める。ミフリマーフは明け方に男児を出産するが、その夜リュステムはグラツィアの屋敷に泊まっていた。ミフリマーフに問い詰められたリュステムはグラツィアとの関係を認めるがそうなったのは妻のせいだと言い返す。バヤジトがセリムに贈ったという木箱の存在をリュステムはグラツィアから聞く。リュステムはそれがスレイマンとバヤジトの絆を断絶する恐れがあることをバヤジト本人に確かめる。その場に呼び出された師父はセリムが帝都に木箱を持ってきたことは知らないと嘘をつく。グラツィアは朝目覚めると喉を掻き切られた侍女の姿に驚愕する。この殺害はリュステムの不貞をミフリマーフから聞いたスンビュルがグラツィアを引き離すために下した警告だった。


4-82 セリムの策略

セリムはバヤジトが送ってきた木箱の中身と書簡をスレイマンに見せ、本当は争いたくないのに弟が無礼な挑発をやめないと主張する。呼び出されたバヤジトは師父ムスタファを証人として呼ぶが…。バヤジトを支援するミフリマーフは何とかして弟を助けようと、公正な判断をするようスレイマンを説得しに行く。セリムたちと共にマニサへ戻った女官長のファーリエは、行方不明になっていた亡きヒュッレムの指輪をヌールバーヌーの部屋で見つける。
●セリムはバヤジトが送りつけた女物のドレスをスレイマンに見せる。バヤジトはドレスを送った事実は認めるが、事の発端であるセリムの卑劣な行いをスレイマンに暴露し証人としてセリムの師父を呼ぶ。師父はバヤジトから口裏を合わせるよう強要されたと偽証するとバヤジトから裏切り者と罵声を浴びせられる。スレイマンはバヤジトの無礼な振る舞いと兄弟同士の醜い争いに激怒する。リュステムはグラツィアの呼び出しに屋敷に行くと待っていたのはセリムだった。セリムはスレイマンに不貞を暴露しない代わりにバヤジトのアマスヤ追放を奏上するようリュステムに要求する。バヤジトを陥れることに成功したセリムだが、裏で手を回したミフリマーフにより自身にも処分が言い渡される。バヤジトはアマスヤ行きを拒み兵士を集めセリム討伐を準備する。セリムはスレイマンに書簡を送りバヤジトの不穏な動きと皇帝への反乱の可能性を伝えるとともに弟の攻撃に備える。ファーリエはヌールバーヌーの部屋でヒュッレムの指輪を発見するが、ヌールバーヌーと出くわしたところにセリムが現れる。ヌールバーヌーはもらった指輪をファーリエが盗んだと言い、ファーリエはヌールバーヌーによる盗みをほのめかす。セリムはヌールバーヌーの嘘を見透かしていたがファーリエを牢に送り、皇子妃を中傷した罪は命で償わせると告ぐ。ミフリマーフはバヤジトに慎重に対応するようスレイマンに請うが聞き入れられない。


4-83 父帝の最後通告

皇子セリムとバヤジトの兄弟の確執に心を痛める皇帝スレイマンはそれぞれに書簡を送る。それは父として、統治者としての最後通告だった。一方、キュタフヤではアマスヤ赴任を命じられたバヤジトがきたるべき兄弟間の戦争に備え、準備を急いでいた。マニサではセリムもまた勢力の拡大を画策する。大宰相リュステムは大商人メンデスを訪ね、情事を暴露したことを責める。ミフリマーフは兄弟間の戦争を止めるため、スンビュルと共に奔走する。
●スレイマンはすでに命じた赴任先に即刻向かうよう二人の皇子に最後通告をする。バヤジトはキュタフヤに3人の軍政官を呼び寄せセリムを倒すために同盟を結ぶことを迫るが結論は持ち越しとなる。皇帝の書簡を携えた宰相アリによるバヤジトの説得は不調に終わる。するとアリはスレイマンの許しを得て同行したミフリマーフに任務を委ねる。スレイマンはバヤジトによる募兵の情報が真偽不明のままセリムに通告を出すが、セリムは赴任途上での弟からの攻撃を恐れている。ソコルルはリュステムが皇子らの間で中立を保ち静観する構えだとセリムに説明するが油断はできない。牢から脱出したファーリエはヌールバーヌーの部屋に忍び込みヒュッレムからの殺害命令を遂げようと襲いかかるが逆に刺し殺される。ミフリマーフはバヤジトの募兵がセリムによる中傷ではなく事実であると知り驚愕する。バヤジトはミフリマーフの説得に応じアマスヤ行きを約束するが、どこにいようと兵力を増強しセリムを討つ決意は変わらない。ミフリマーフはセリムとの戦いに備えるバヤジトを支持し、自らが盾となりバヤジトをセリムとスレイマンから守ると誓う。リュステムは自分との情事をセリムに白状したグラツィアを非難し個人的な関係を清算する。スレイマンはミフリマーフとアリにバヤジトに関する報告を求める。帰還の途上でミフリマーフから口裏を合わせるよう強要されたアリはキュタフヤでの募兵の事実を隠蔽する。

4-84 バヤジト挙兵

スレイマンの命令どおりセリムはコンヤへ、バヤジトはアマスヤへ赴任する。しかしバヤジトは挙兵を諦めたわけではなく打倒セリムに向けて陰で着々と準備を進めていた。ミフリマーフはバヤジトの勝利を信じ支援するがリュステムはバヤジトの状況に危うさを感じていた。やがてバヤジトがアマスヤでも依然兵士を集めている事実がスレイマンの知るところとなり、悩んだスレイマンはイスラムの長老エブッスード師に見解を尋ねる書簡を送る。
勅命に従いバヤジトはアマスヤに出立する。それを知ったセリムも同様にコンヤへと向かうが、早晩、弟が攻撃を仕掛けてくることを覚悟している。ヒュッレムの前でコーランに手を置き皇子同士の争いの阻止を誓ったリュステムだが、バヤジトの挙兵の支持はその誓いを破ることになる。その代償をいかに払うべきか悩むリュステムは軍法官の見解に従い、悔い改めるとともにモスク複合施設の建造と寄進に多額の私財を投ずる。3人の軍政官が味方につき多数の軍勢を確保したバヤジトは勝利を確信する。リュステムはバヤジトのセリムへの攻撃は同時にスレイマンへの敵対行為であり反乱を起こした皇子の行く末は明らかだとアリに話す。そしてバヤジトを支援する軍政官にセリムの側につくよう書簡を出す。バヤジトの動向の報告を受けたスレイマンは自らの命令に背き兄に対して挙兵する準備をする皇子をイスラム法はどう裁くか長老に見解を求める。するとエブッスードはかくなる反逆行為には処刑が相当との考えをスレイマンに伝える。ついにバヤジトは進軍を開始するとスレイマンは反乱の鎮圧を命じ、ソコルルに帝国軍とセリムの軍の指揮を任せる。アリはミフリマーフにリュステムがセリムの側に回ったことを伝える。ミフリマーフから裏切りを激しく非難されたリュステムはバヤジトに死刑宣告の聖断が下されたと明かし、もう終わったのだと諭す。ついに戦いの地でセリムと対峙したバヤジトは援軍を待つ。

4-85 運命の一矢

ついにコンヤ平原で皇子セリムとバヤジトの両軍が対峙し、戦いの火ぶたが切られる。決戦初日、歩兵常備軍に不人気のセリムは軍団の士気を高められず、傭兵ばかりを抱えるバヤジトの軍が優勢に。その後、スレイマン皇帝からセリムの軍を司令官として率いるよう命じられた宰相ソコルルが戦場に到着。バヤジトは加勢の確約を取りつけていた3人の軍政官ら援軍の到着を待つ。一方、帝都ではミフリマーフがスレイマンにバヤジトを許してほしいと懇願する。
●帝国軍を目にしたバヤジトは父帝から見限られたことを知る。そのうえ軍勢を率いた軍政官らは期待を裏切りセリムの陣営に合流する。形勢不利なバヤジトだが降伏を要求する勅命を拒否すると戦いの火ぶたは切られる。バヤジトは自ら前線で武勇をふるいセリムの目前にまで迫ると傍らの師父は観念する。しかしその時セリムの息子ムラトがバヤジトに向けて一本の矢を放つ。それは戦局を一変させるだけでなく帝国の運命をも左右するものだった。胸に矢を受けた皇子に敵の兵士が襲いかかるがアトマジャの援護により窮地を脱する。戦いは幕を下ろし、バヤジトは致命傷を負ったと思われたが奇跡的に生還を果たす。ミフリマーフはスレイマンにバヤジトへの赦しを請うが拒絶される。するとミフリマーフはバヤジトへの裏切りを理由にリュステムとの離縁を切り出す。しかしリュステムは勅命を忠実に遂行したにすぎず、離縁は断じて許さないとスレイマンは激怒する。再起後に増大するであろう弟の脅威への不安ゆえ、凱旋したセリムは塞いでいる。バヤジトは傷がまだ癒えていないが再び兵を集めるようアトマジャに指示する。バヤジトはスレイマンへの反逆の意図はなく敬愛と忠誠は変わらないことをしたためた書簡を帝都へ送る。しかし伝令は殺され奪われた書簡はセリムの師父のもとに届けられる。バヤジトの釈明を知る由もないスレイマンは反逆者とみなした我が子を必ず帝都に連行するようソコルルに命ずる。

4-86 逃亡

ソコルルと合流しバヤジトを追うようにとのスレイマンの勅命がセリムのもとへ通達される。大軍が迫ってくることを知ったバヤジトは末の息子メフメト以外の4人の息子と共にアマスヤを離れる。自ら下した勅命に父として苦しむスレイマンは痛風が再発し倒れてしまう。苦しむスレイマンを見たミフリマーフはまだ希望があると信じ、バヤジト救済に向けて懇願を続ける決心をする。一方バヤジトは追っ手から逃れようとイランの国境付近を移動していた。
●スレイマンはソコルルが率いる軍と合流しバヤジトを追撃するようセリムに命ずる。快方に向かうバヤジトだが兵力不足のため敵軍との対決を回避し息子らとともにアマスヤからの出奔を図る。アトマジャと旧知の軍政官アヤスが治める州に身を寄せることをバヤジトは決める。リュステムは弟を殺したアトマジャを捕らえることを命じ復讐を遂げることを決意する。ミフリマーフは持病の痛風が再発したスレイマンを見舞う。スレイマンの体調の悪化は、バヤジトに下した聖断が心に重くのしかかっていることが原因だとミフリマーフは見抜く。バヤジトらを出迎えたアヤスは勅命を読み上げるとアトマジャは警戒する。しかしアヤスは読み終えた勅命を破り捨て皇子への忠誠を誓う。ほどなくしてアヤスから大軍が迫っていることを知らされたバヤジトは出立する。アヤスのもとに到着したセリムは弟の居場所を問う。アヤスは問いには答えずバヤジトを擁護しセリムらを非難すると、逆上した皇子に刺し殺される。国境付近を行軍するバヤジトらにイラン王タフマースブの使者が現れ接触を図る。使者はバヤジトに次の目的地に追っ手が向かっているとの情報と、タフマースブからの首都カズヴィーンへの招聘の意を伝える。バヤジトはタフマースブの宮殿で歓待されるがスレイマンを倒すための同盟を結ぶ提案をした王に対して怒り中座する。スレイマンは皇子が最大の敵からの庇護を受けていることを知らされ暗澹となる。

4-87 執念の仇討ち

皇帝スレイマンの宿敵サファヴィー朝の王タフマースブのもとに身を寄せたバヤジトは自分の身の潔白を訴える手紙をスレイマンに送る。バヤジトはアトマジャを呼び、かつての約束を果たす時が来たと告げる。そんな中、アマスヤに残してきたはずの妃デフネが皇女ミフリマーフの手紙を携えイランにやってくる。手紙には驚くべきことが書かれてあった。一方、弟バヤジトの存在を恐れる皇子セリムは、バヤジトに最後のとどめを刺すべくある行動に出る。
●ミフリマーフを経由させることでようやくバヤジトの手紙はスレイマンのもとに届く。父帝への反乱の意思はなく無実であることをバヤジトは手紙で訴えるが、父は息子に罪を認めて赦しを請うよう諭す。バヤジトはアトマジャの積年の願いであるムスタファの仇討ちを許し、帝都に戻りリュステムを仕留めるよう命ずる。アトマジャは密かにミフリマーフに会い帰還の目的を伝え力添えを請う。スレイマンがイラン王とバヤジト引渡しの交渉をするとの情報を得たデフネは、直ちに皇子に知らせ脱出させるために自らイランへ向かう。ミフリマーフが子供を後宮に泊まらせた夜、アトマジャは屋敷に忍び込む。そして衛兵らを一網打尽にするとリュステムとの格闘の末、悲願を遂げる。しかし負傷したアトマジャも駆けつけた衛兵の手により絶命する。リュステムの遺体を目にしたミフリマーフは最近の体調不良を死因にするようスンビュルに命ずる。デフネはイランの宮殿でバヤジトと再会し、金と領土を得るために王がバヤジトを引渡す企みを明かす。軍政官となったセリムの師父はタフマースブに謁見しセリムがバヤジトの引渡しを望んでいることを伝える。引渡しの条件としてスレイマンが応じた金額の倍を王が要求すると、護衛に扮し背後にいるセリムの合図を見た師父は承諾する。バヤジトへの恩赦を可能性の芽を摘むため、セリムは断じて弟を帝都に連行させまいとする。バヤジトは王を殺害し脱出する計画を練る。

4-88 迷える皇子

イランのタフマースブ王のもとにスレイマンの使者ヒュスレヴがやってくる。スレイマンとセリムのうち、よりいい条件を出したほうにバヤジトを引き渡したいと考えるタフマースブはバヤジトを直ちに渡す要求には応じなかった。一方帝都ではリュステムの急死により大宰相の職位が空席になっていた。序列上はセミズ・アリが後任となるのが順当だと思われたが、セリムとヌールバーヌーは自分たちに忠実なソコルルが任命されることを望んでいた。
●セリムはイラン王との取引に必要な資金を調達するためにグラツィアに呼ぶが全額が揃うまでには時間がかかるという。リュステムの突然の訃報をグラツィアから聞いたセリムはその死因と後任の人事が気にかかる。ミフリマーフは後宮内のかつての母の部屋に移り住む。スレイマンの使者ヒュスレヴはバヤジトとともに直ちに帝都に帰還するつもりでイランに来たものの状況は整っていない。タフマースブはセリムが要求どおりの金貨を用意したことを確認するまでスレイマン側への回答を引き延ばしにかかる。スレイマンはリュステムの後任として序列に従い宰相アリを大宰相に任命する。バヤジトに会ったヒュスレヴはタフマースブとの交渉の事実を認めスレイマンの手紙を渡す。子供の頃から父に愛されなかった記憶と長兄の末路に見る父への不信感から、バヤジトは説得に応じることなくグルジアへの逃亡の準備を急がせる。ミフリマーフは母と夫の亡き後の宮殿内での影響力を保つため、大宰相に就任したアリを利用することを考え離宮に呼び出す。高官の中で唯一人バヤジトを支持するアリが地位を強固なものにするためには皇統とのつながりが必要だとミフリマーフは説く。しかしアリは皇女の支援がなくともひとりで権力闘争に臨む決意を伝え同盟の提案を拒否する。ヌールバーヌーはセリムに隠れてソコルルに書簡を送り、将来セリムの脅威とならないようアマスヤに残されたバヤジトの末息子の処置を委ねる。

4-89 王(シャー)の宴(うたげ)

皇子バヤジトは、イランの宮殿から脱出するため、タフマースブ王の襲撃計画を実行に移そうとする。だが、思いもよらぬ展開が待ち受けていた。皇子妃デフネはアマスヤへ戻り、妹たちと再会するが…。一方、皇帝スレイマンは心と体に不調を抱えていた。スレイマンは、タフマースブ王が取引の合意を破ったことを知り、激怒する。コンヤで皇子セリムは大商人グラツィア・メンデスの力を借り、タフマースブ王に要求された金額の金貨を用意する。
●ソコルルはヌールバーヌーの指示に従いバヤジトの息子メフメトが反乱勢力に利用されないようスレイマンにあることを提案する。タフマースブを襲撃しバヤジト父子を脱出させる計画を実行に移す日が来る。しかし周辺で待機していた兵士らがタフマースブにより追放または殺害され、ほぼ壊滅状態になったとの知らせに皇子は焦燥する。王の襲撃は断念するがその夜、宮殿からの脱出を図ったバヤジトらはすぐさま取り押さえられ王の待つ宴へ導かれる。もてなしを拒むバヤジトをもはや客人としてではなく捕虜として扱うことにした王は、配下に命じその場にいたロクマンら側近と護衛を殺害する。バヤジト父子は地下牢に幽閉されデフネはアマスヤへの帰還を強いられる。タフマースブはスレイマンの要求どおり皇子の側近を排除したこととともに要求額を倍にするとヒュスレヴに伝える。再びセリムの宮殿を訪れたグラツィアは目の前で金貨を見せ約束の全額を用立てたことを伝える。アマスヤに戻ったデフネはメフメトがブルサに連れて行かれたことを知り悲嘆に暮れる。同じ道筋をたどった亡きムスタファの幼子の悲運が頭をよぎる。タフマースブが合意を破棄し要求を上乗せしたとの報告にスレイマンは激怒する。そしてタフマースブが無条件で皇子の引渡しに応じねばイランに進軍し宮殿を攻略することを命ずる。セリムはイラン国境の州に自ら赴き、かつての師父である軍政官にタフマースブに渡す金貨を託す。

4-90 無情な仕打ち

タフマースブ王によりイランで幽閉されたバヤジトと息子たち4人のもとに勅使ヒュスレヴの命令で来たという軍曹が現れる。ようやくタフマースブ王のもとから解放され帝都に戻れると喜ぶバヤジトたちだったが…。それから5年がたち、断食明けのお祝いにセリムやヌールバーヌーたちが帝都にやって来る。成長したセリムの娘たち3人は、それぞれが高官と結婚していた。スレイマンの痛風は回復の兆しもなく、痛みは悪化する一方だった。
●幽閉されたバヤジトのもとにヒュスレヴの使いを名乗る者が現れると親子はようやく解放される。父の慈悲に一縷の望みをかけバヤジトは帝都に向け出立する。再び王に謁見したヒュスレヴは直ちに皇子を引渡すよう最後通告をするが、その時すでに皇子はいない。バヤジトらを乗せた馬車はヒュスレヴが待っているという場所で止まる。しかしそこでセリムの姿を目にしたバヤジトはこの解放が罠であることに気づき己の死を覚悟する。命乞いをすれば息子らは無事に帝都に送り届けると約束したセリムにバヤジトは従い最後の望みを託す。しかしセリムはその約束を反故にし子供らを取り押さえた処刑人に合図を出す。そしてバヤジトの処刑人にも同じ仕草をすると執行を見ることなくセリムは立ち去る。弟の怨嗟の叫びを背中で受け止める兄の目には涙が溢れている。首に縄を巻きつけられた我が子が一人ひとり崩れ落ちるさまをバヤジトは滲む瞳で見取る。血を分けた兄からの非情な仕打ちを受けたバヤジトの慟哭も間もなく途絶える。デフネはブルサに行き幼いメフメトの命乞いをするが叶わぬことを知ると心中を遂げる。それから5年の歳月が過ぎた今もミフリマーフのセリムへの怒りは収らない。セリムの3人の娘は高官に嫁ぎ、ひとりは大宰相となったソコルルの妻になる。痛風が悪化の一途をたどるスレイマンへの周囲の不安が高まっている。セリムはハンガリー国境付近の紛争解決にソコルルの出陣を提案する。

4-91 寂しい祭り

断食明けの祭りの時期を迎えたがトプカプ宮殿は沈んだままだった。小姓頭フェルハトは宮殿の重い空気に耐えかね去ることを考える。スンビュルはフェルハトが“あの夜”から人が変わったと言うのだった。そんな中、セリムがミフリマーフの部屋を訪ねる。バヤジトの一件で憎しみを募らせるミフリマーフはセリムと激しく対立する。一方、セリムの息子ムラトが寵愛する側女と共にトプカプ宮殿へ到着。ヌールバーヌーはミフリマーフが贈った側女だと知り警戒する。
●ギュルフェムの悲劇的な死の秘密をフェルハトは守っている。鎮痛薬により朦朧となったスレイマンに向かってバヤジトの敵を討つべくギュルフェムは短刀を振り上げる。駆けつけたフェルハトによって取り押さえられた際にはずみでギュルフェムは自分の胸を刺したのだった。断食明けの祝祭で皇族が宮殿に集う。ミフリマーフは疎遠になっていたセリムに対してバヤジト殺害を強い口調で非難する。セリムは唯一の後継者である自分への態度を改めねば姉を破滅させると脅す。マニサの軍政官となったセリムの息子ムラトは懐妊した側女サフィエを連れて宮殿に到着する。ミフリマーフがムラトに側女を贈ったことをそのとき初めて知らされたヌールバーヌーは皇女への不快感を露わにする。セリムの最大の競争相手であるムラトを自らの影響下に置くためにミフリマーフが教育した元侍女がサフィエの正体だった。ミフリマーフはスレイマンから気に入られるようにとムラトに献上品を渡す。ムラトは御前会議で献上品である地図を広げ領土を拡大した当代皇帝を賛美し歓心を買う。セリムは自分を差し置いて会議に出席したムラトを叱責する。するとムラトは知恵と経験はスレイマンから享受し父のことは反面教師にすると言い捨てる。サフィエがバヤジトの仇討ちのために送り込まれたことをヌールバーヌーは見抜く。ヌールバーヌーに忠誠心を示すよう迫られたサフィエはセリムに皇子を産むことがその証明だと答える。

4-92 最後の遠征

かつて亡きバヤジトが赴任していたキュタフヤへの赴任を命じられたセリムは犯した罪に苦しみ飲酒の量が増えていた。変装して市場へ出かけたスレイマンは皇帝をけなす商人の会話に憤慨し商人につかみかかってしまう。その姿を偶然帝都に来ていたマヒデブランが目にする。己の威厳を取り戻そうとスレイマンは自ら遠征に出向き軍を率いると宣言。高齢なうえに病を抱えたスレイマンを心配し、医師やミフリマーフが必死で説得を試みる。
●スレイマンは忍びで出かけた市場で商人が自分を侮辱するのを目の当たりにする。憤慨して商人につかみかかったスレイマンは身分を明かし自分の過去の偉業を突きつける。宮殿に戻ったスレイマンはマトラークチュによるスレイマン帝記の細密画に見入り過去を振り返る。キュタフヤ赴任はスレイマンによる罰であると信じるセリムは宮殿のかつての主バヤジトの幻影に怯える。悲嘆に暮れ、それを紛らすように酒に溺れるセリムにヌールバーヌーは手を焼いている。またヌールバーヌーはサフィエを遠ざけようとムラトに側女を送るが見通しは暗い。ミフリマーフに出遭ったマヒデブランは自分たちを苦しめたすべての厄災のただ一つの元凶はスレイマンなのだと言い放つ。スレイマンは自ら軍を率いてオーストリアに進軍することを決意する。スレイマンは臣民と全世界に再びその名を轟かせ自らの支配と権力の健在ぶりを顕示したいのだ。しかし高齢かつ不例の皇帝の決定に宰相らは戸惑い懸念する。医師は出征に反対し断行するのであれば命を失うと警告する。もう一種類の皇帝記の最後の空白となっているページに今回の遠征での勝利を描き完成させるよう、スレイマンは細密画家に命ずる。親征を断念させるようソコルルから請われミフリマーフは御前に参上する。スレイマンは自分の治世は征服に始まり征服に終わると娘に語り、これが最後の遠征になると断言する。ミフリマーフはもう二度と父に会えないと悟る。

4-93 壮麗なる皇帝スレイマン

自らの信念を貫くため、満身創痍で遠征に出た皇帝スレイマン。マクシミリアン2世に思い知らせ、イスラムの支配を広げるため、まずシゲトヴァルの攻略を試みる。トプカプ宮殿では皇子セリムに対して敗北を認めた皇女ミフリマーフが宮殿を去ることに。そんな中、シゲトヴァルの戦いは厳しい戦局を迎え、スレイマンは、最後の力を振り絞り、帝国軍を鼓舞する。「皇帝陛下 万歳!」の声を一身に受けながら天幕に戻ったスレイマンの体に異変が起こる。
●ハンガリーをめぐる火種が拡大し休戦条約が無効になるとスレイマンは神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世に対して攻勢をかける。スレイマンはハンガリー遠征における最初の目標として難攻不落の要塞を持つシゲトヴァルの攻略を命ずる。スレイマンが重病を押して親征した知らせを受けたセリムは玉座に就く準備を始める。ヌールバーヌーはいずれ母后の地位を手に入れヒュッレムを超えるとサフィエに話す。その妃を超えヒュッレムの指輪も引き継ぐという野心を語るサフィエにヌールバーヌーは不快感を示す。セリムに対して負けを認めたミフリマーフはトプカプ宮殿を去りエディルネに移り住むことを決意しスンビュルに同行を求める。皇女の誘いを断ったスンビュルはヒュッレムが託した日記を手に誰もいない大部屋にたたずむと在りし日々の出来事が脳裏によみがえる。戦況は熾烈を極め、いったん撤退し明くる春に総攻撃をかける旨の提案がなされる。自らに残された時間が僅かであると知るスレイマンはこれを拒否すると軍勢の前に立ち、日の出までに攻略するよう檄を飛ばす。しかしその直後、天幕の中で突然倒れたスレイマンは悲願の勝利を見届けることなくそのまま息を引き取る。皇帝の死後、シゲトヴァル城は陥落しオスマン帝国は領土の奪還に成功する。キュタフヤのセリムのもとに皇帝崩御の知らせが届く。オスマン帝国の全盛期を築き壮麗帝と呼ばれたスレイマン1世の46年の治世は幕を下ろす。

 

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