大野敏明 日本語と韓国語 (2002) |
2021.03.09
大野敏明 (1951- ) さんは、元産経新聞の編集委員で、産経新聞の土曜日夕刊文化面に
1998年4月4日から2000年7月15日まで「日本語と韓国語」というコラムを105回連載しました。
本書は、それを大幅に修正し、新しい記事を追加して作成したものです。
日本語と韓国語の比較を説明してくれる本なのですが、内容が雑然としていて、
初心者が読んでも知識が積みあがっていく感じがありません。
しかし、内容が豊富で役立つ本ですので、初心者向けの部分を紹介します。
韓国語や日本語には、漢字語と固有語があり、漢字語が似ている当然ですが、
固有語の中にも、よく似ているものがあります。
31頁を少し、引用します。
固有語の中にも日本語と同じ発音のものが多くみられます。
これは日本語というより、1500年以上前に韓国から日本に渡って来て、
いまだに両国でそのまま発音していることばということになります。
聖徳太子(574-622)以前の日本語と韓国語には多くの共通語があったとしわれていますが、
多くは時代の流れの中で消えていったのでしょう。
現在、分かっているだけで、共通の固有語は300あまりあるそうです。
そのうち幾つかを挙げてみましょう。
一番、わかりやすい例は、韓国語の 하나 ハナでしょう。ひとつ という意味です。
日本語では、はなから始める、はなから信じない という形で使われますが、
しょっぱな、ねいりばな という言い方も残っていて、最初という意味で、端 という字が当てられています。
二つ目の例は、韓国語の 가마 カマ です。窯 という意味ですが、日本でも カマ です。
三つ目の例は、韓国語の 나라 ナラ で、くに という意味ですが、日本では、地名の奈良として残っています。
大野さんの説明を引用します。
「ナラ」。これは「国・くに」という意味です。
古代朝鮮語ではこの他に「王」「野」「宮」という意味もあったそうです。
奈良はかつて大和の国といいましたが、渡来人が四世紀から八世紀にかけて大量に流入したところです。
彼らにとって奈良こそ自分たちの新しい「くに」だったわけです。
そこで、大和の国はいつしか「なら」と呼ばれるようになったという説もあります。
「ならされた土地」、すなわち「平らな土地」という意味だという説もありますが・・・・・。
漢字の「奈良」は萬葉かなの当て字です。
『続日本紀』によれば、八世紀の大和の明日香村の住人の何と80%が朝鮮半島からの渡来人だったそうです。
次に、ダルマ、ノッポ などと説明が続くのですが、最初の三つほどは明解ではありません。
共通の固有語は、300あまりあるとのことですので、わかりやすい例を探してみたいと思っています。
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