ニューズウィーク日本語版 (2023.11.7) 独学AI英語術

2025.01.27

 ニューズウィーク日本語版は、2020年3月3日号で、AI時代の英語学習という特集を組みましたが、

2023年11月7日号で、再び、AI独学英語術という特集を組みました。

その中の、AIの進化が生んだ最強の「独学」英語術という記事は、前の特集号の記事も執筆した

井口景子さん (ジャーナリスト、翻訳家) によるもので、ここに再び取り上げます。

20頁
 AIのディープラーニングを活用したニューラルネットワーク翻訳の登場によって、誤訳だらけだった機械翻訳が「使える」水準に届き始めたのは2016年頃のこと。それからわずか7年、外国語学習者をサポートするテクノロジーは著しい進化を遂げ、ビジネスパーソン個人はもちろん、企業活動の至る所に浸透しつつある。

 なかでも極め付きは、2022年11月に登場したChatGPTに代表される対話型の生成AIだ。

 膨大なテキストデータに基づき、前後の表現を予測して文を生成する点では従来の機械翻訳と同じ仕組みだが、できることは桁違い。翻訳はもちろん、要約や書き換え、添削・校正、オリジナルの文案作成まで、語学関連だけを切り取っても守備範囲は極めて多岐にわたり、もはや「ただ訳すだけ」の機械翻訳が凡庸に思えてしまうほどだ。

21頁
 この潮流は、英語力で後れを取りがちな日本人にとってはとりわけ、絶大なインパクトを持つ。英文メールの作成やプレゼンの準備に費やしてきた時間と労力が劇的に軽減され、クオリティーも格段に上がる。さらに、どれだけ頑張ってもネイティブらしい表現には程遠いという劣等感からも解放される。

22頁
 特に影響力が大きいのは、発信力に当たるライティングとスピーキングの分野だ。AIは自力では到底思い付かない言い回しや、状況に応じた表現を何パターンも提示してくれる。(中略)
 特にChatGPTは、「もう少し丁寧な言い方に直して」「2つの表現のニュアンスの違いを教えて」といったリクエストにも自在に応じてくれるため、自力では難しかったアウトプットの質向上の強力な助っ人になる。

23頁
 もっとも、ここで疑問が湧く。AIの語学力が人間を凌駕する世界で、そもそも不慣れな外国語を学び続ける必要があるのか、という疑問だ。

 実際、外国人に道案内をしたり、海外旅行先でショッピングを楽しむ程度なら自動通訳機で十分。英語はAIに任せると割り切って、英語学習に費やすエネルギーをほかのスキルの獲得に回すほうが合理的という考え方にも一理ある。「外国語に触れる経験が異文化理解につながる」「グローバル社会の教養として必要」といった側面はあるが、そうした漠然としたメリットだけで、万人にエンドレスな努力を求め続けるのは無理があるだろう。

25頁
 結局、現時点ではAIを賢く取り入れながら、語学力を磨く努力も怠らないことが最善なのだろう。幸い、生成AIからバラエティー豊かな学習アプリまで独学を支えるツールはふんだんにある。
(中略)
 基本的なコミュニケーションならAIに任せられる時代にあってなお、自らの英語力を磨き、高みを目指したいのか。答えがイエスなら、まずは気になるアプリをダウンロードして一歩を踏み出してみよう。最新テクノロジーを味方に付けられれば、「人間×AI」の相乗効果で自力では届かなかった世界にたどり着けるはずだ。

 ニューズーウィーク日本版のバックナンバーは、私は、キンドル版で入手しました。

 

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