中島義道 真理のための闘争 (2012) |
2016.6.27
これは、夕日カルチャーセンターで長年、哲学関係の講義をつづけてきた先生の、ある悲劇のお話です。
先生は、17年前の1994年に、「現代哲学としてのカント」という講義を始めたのですが、おりからの哲学ブームもあり、人気を得て、
その後も、いろんなタイトルの講義を続けてきました。講義は、2時間で、講師謝礼は2万3000円でした。
昨年 (2011年)、「明るいニヒリズム」という本を出版し、その内容について1回の講義をすることになりました。
講義時間は、1時間30分でした。講演謝礼が振り込まれましたが、金額が、2時間と同額の、2万3000円だったので、
センターに問い合わせたところ、同じ金額でいいのですすという返事でした。
10年前くらいから、大学の講義時間も1時間半に短縮されてきたし、聴講生からも長すぎるという声が出たりして、
徐々に講義時間は、1時間半から2時間となり、謝礼は同額という形になってきたのだそうです。
それを聞いて先生は、「もしそれを聞いていれば、私の講義も短縮していた。いままでの約100時間の未払い労働は、
どうなるの?」と、不満をぶつけました。
しかし、講師謝礼は1時間半から2時間の1コマで、同額と決まっていますので、埒があきません。
質問などで講義時間が延長になっても延長料金は払いませんというのが、センター側の主張です。
(今、この文章を書いていて思うのですが、先生は、1時間半の講義と2時間の講義で、生徒の聴講料金は同じかどうかを
確認すべきだったでしょうね)
結局、講義時間の制度変更があったときに、担当から説明があり、それを聞いて、先生が、自分の講義は2時間とすると
決めておればよかったのですが、その手続きが行われなかったため、先生としては、納得できないのです。
本件に関する、先生とセンターとの間の闘争が、前半の実践篇に、いろいろと詳しく説明されています。
後半の理論篇は、本件について先生がまとめた資料「真理のための闘争−実践篇」を教材にして、
「真理を求める」とはどういうことかという連続六日の講義の内容が、生徒の正直な感想を交えて、説明されます。
あとがきの最後の先生の言葉を紹介します。
哲学を志す人、哲学に (何らかの仕方で) 携わっている人にぜひ読んでもらいたい。
期待に反して、アホだなあと思う方も多いだろう。
そんなことしていないでほんとうの哲学をしろとイラつく方も少なくないだろう。
そういう方に、あらかじめ私は答えておく。
「これこそほんとうの哲学なのです!」
ホームページアドレス: http://www.geocities.jp/think_leisurely/
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