長浜浩明 日本の誕生 (2019) 

2021.04.27 

 いま、この本を、ゆっくりじっくり読んでいます。

 私が、これまで読んできた本では、卑弥呼の時代の後に、九州から大和への東征があり、

ヤマト朝廷が成立したという説がとられていましたが、

長浜さんのこの本では、神武天皇の在位は、紀元前660年〜585年であり、

神武の東征は、紀元前であり、大和政権が、九州を平定したという説になっています。

 戦前は、日本書紀に基く皇国史観がとられていましたが、戦後、皇国史観は否定され、

日本書紀も否定され、神武の東征も、否定されました。

 最近になって、色んな史観が提案され、議論されるようになりましたが、

まだまだ統一には、ほど遠い状況です。

 本書の最終章は、なぜ、戦後の古代史論は正気を失ったか というタイトルですが、

その最後の部分を少し引用します。

古代史論は見直す時代に来ている

 何処の国でも自国にとって不都合な歴史は隠し、

ウソをついてでも自国の歴史を飾り立てて国民や子供に語り伝えようとしてきた、

即ち、醜く、残虐な自国の歴史から目を背けたい心情は分からないではありません。

 しかしわが国では話が逆であり、保守革新を問わず、日本の学者、教育者、作家などが

歴史的事実に目を向けず、何が何でも、ウソをついてでも祖国の出自を捻じ曲げ、

ことさら醜く否定的にとらえようとしてきたことは、私にとって驚きでした。

 江藤先生が危惧されたとおり、日本人が少しずつ洗脳され、

無意識裡にコミンテルンとGHQによる反日自虐史観を纏ってしまったことを知り、

彼らの目論見が成就し、戦前とは別の価値観を持った新たな民族が誕生したのを見る思いでした。

 ですが本書に記した如く、事実に基づき、科学的・論理的に古代史を捉えることで、

戦後流布されてきた頑迷固陋たる古代史論は瓦解し、

わが国の正史・日本書紀や古事記が輝きを増し、

日本の礎たる皇室と私たち日本人のルーツが明らかになった、

そういう時代に至ったのです。

 残念ながら今現在は、見直しの過程の途中で、まだ、歴史の統一理解は生れていませんが、

かなりの史実は、明らかになってきたので、見直しが大きく進展することを期待しています。

 

 本書でも、DNA解析による日本人のルーツ解析が紹介されていますが、

Y染色体分析の解釈など、まだ、統一的な解釈はないようです。

 しかし、古代に、朝鮮半島から大勢の渡来人がやってきて、日本人の形成に寄与したというよりは、

日本人は、旧石器時代に、カラフト経由で移動してきた人達であるようです。

 しかし、著者の長浜さんは、韓国語は、日本語に似ていないと主張するのですが、

韓国語と日本語は、単語としては似ていなくても、文法は、そっくりです。

 古代に、朝鮮半島からやってきた渡来人の影響は、無視することはできません。

 この本は、ゆっくりじっくり読んで、内容を理解していこうと考えています。

 

 

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