妙法蓮華経 序品第一 |
2018.11.27 更新2018.12.12 2019.5.15
妙法蓮華教は、鳩摩羅什が、西暦400年頃に訳したものが、日本では、今でも、使われています。
梵語を漢語に翻訳することは、大変な作業でした。原文を読んで、鳩摩羅什の苦労を、味わおうと思います。
お寺での読経は、漢文の語順のまま発音して読みますので、経本には、ふりがながふられています。
平楽寺書店版 真読 妙法蓮華経並開結 にも、ふりがながふられていますので、ご参照ください。
しかし、歴史仮名遣いですので、ここでは現代仮名遣いへの変更を試みました。
真読とは、省略せず、全文読み通すことだそうです。
読経や写経していて、意味が分かるためには、訓読みの読み下し文が役立ちます。
平楽寺書店版 訓譯 妙法蓮華経並開結 にも、読み下し文が付いていますので、ご参照ください。
しかし、通常の読み下し文は、古文の文語体なので、ここでは、現代風の読み下し文となるよう工夫しました。
鳩摩羅什の翻訳の難解な部分は、サンスクリットの原文と対比するべきところなのですが、
残念なことに、鳩摩羅什が翻訳したサンスクリットの原文は、残っていません。
その後、見つかったサンスクリット原典は、かなり時代を経ていますので、
鳩摩羅什の翻訳とは、必ずしも対比できません。
●如是我聞。(にょ ぜ が もん) かくの如く我は聞いた。
説明 如是 は、梵語 evam の訳で、かくの如く の意。
●一時仏住 王舎城 耆闍崛山中。(いち じ ぶつ じゅう おう しゃ じょう ぎ しゃ く せん ちゅう)
いちじ、仏は住んだ、王舎城の耆闍崛山(ぎじゃくっせん)中に。
説明 王舎城(ラージャグリハ)(現在のラージギル)
は、古代インドで当時最大の強国 マガタ国の首都。
5つの外輪山に囲まれた盆地にあり、北東方向にそびえるのが、耆闍崛山(キージャクータ)。
山頂に鷲の姿に見える岩があることからも霊鷲山(りょうじゅせん、グリドラクータ)とも呼ばれる。
●与 大比丘衆万二千人 倶。(よ だい び く しゅう まん に せん にん
く)
大比丘衆、一万二千人と、倶なり。
(仏は)大勢の比丘の衆、一万二千人と、一緒でした。
説明 与 は、現代中国語でも 前置詞 with の役割を持ちます。
説明 比丘 は、出家した修行僧。男性。女性の出家修行僧は、比丘尼。
●皆是阿羅漢。(かい ぜ あ ら かん) 皆、これ、阿羅漢なり。
説明 是 は、指示代名詞で、これ、ここ、かくの のように訳されます。
是 は、よい
という意味でも使われますので、指示代名詞のときは、ひらがなで訳すことにします。
我是日本人
という文章は、漢文としては、我、これ、日本人なり。と読み下しますが、
現代中国語では、是 は、be動詞 であると解釈されます。
説明 阿羅漢 は、梵語ではアルハットで、最高の悟りを得た聖者 のこと。
●諸漏已尽 無復煩悩。(しょ ろ い じん む ぶ ぼん のう)
諸漏は、已に、尽くして、復、煩悩は無し。
諸々の汚れは、すでに滅し尽くして、また、煩悩はありません
説明 諸漏已尽 は、諸々の汚れは、既に、滅し尽くして の意。
●逮得己利 尽諸有結。 (だい とっ こ り じん しょ う けつ)
己利を逮得し、諸の有結を尽して。
説明 逮得己利 は、自分の目的を達成した の意。尽諸有結 は、生存への諸々の束縛がなくなること。
●心得自在。(しん とく じ ざい) 心は、自在を得たり。
●其名曰 (A)阿若憍陳如。(B)摩訶迦葉。(ご みょう わつ あ にゃ きょう じん にょ ま か か しょう)
其の名は曰く、(A)アージュニャータ・カウンディヌヤ、(B)マハー・カーシャパ、
●(C)優楼頻螺迦葉(う る びん ら か しょう)。(D)迦耶迦葉(が や か しょう)。
(C)ウルヴィルヴァー・カーシャパ、(D)ガヤー・カーシャパ、
●(E)那提迦葉(な だい か しょう)。(F)舎利弗(しゃ り ほつ)。(G)大目犍連(だいもっけんれん)。
(E)ナディー・カーシャパ、(F)シャーリプトラ、(G)マハー・マウドガリヤーヤナ、
●(H)摩訶迦旃延(ま か か せん ねん)。(I)阿寃楼駄(あ ぬ る だ)。
(H)マハー・カーティヤーヤナ、(I)アニルッダ、
●(J)劫賓那(こう ひん な)。(K)憍梵波提(きょう ぼん は だい)。
(J)カッピナ、(K)カヴァーン・パティ、
●(L)離婆多(り は た)。(M)畢陵伽婆蹉(ひつ りょう
が ば しゃ)。
(L)レーヴァタ、(M)ビリンダ・ヴァトサ、
●(N)薄拘羅(は く ら)。(O)摩訶拘絺羅(ま か く ち ら)。
(N)バックラ、(O)マハー・カウシュティラ、
●(P)難陀(なん だ)。(Q)孫陀羅難陀(そん だ ら なん だ)。
(P)ナンダ、(Q)スンダラ・ナンダ、
●(R)富楼那弥多羅尼子(ふ る な み た ら に し)。(S)須菩提(しゅ ぼ だい)。
(R)プールナ・マイトラーヤニープトラ、(S)スプーティ、
●(T)阿難(あ なん)。(U)羅睺羅(ら ご ら)。
(T)アーナンダ、(U)ラーフラ。
説明 羅睺羅は、釈迦の実子。
●如是衆所知識大阿羅漢等。(にょ ぜ しゅ しょ ち しき
だい あ ら かん とう)
かくの如く衆の知識する所の大阿羅漢等なり。
説明 この文の文法はよくわかりませんが、ここに集まった弟子たちは、大衆に知られた偉大な阿羅漢であるの意と解釈されています。
●復有学無学二千人。(ぷ う がく む がく に せん にん)
また、有学無学、二千人あり。
説明 有学 は、まだ学ぶべき事がある人、無学 は、もはや学ぶべきことのない人 のこと。
通常は、無学 は、学が無い という意味ですが、仏教では、有学の対義語として用いられます
説明 復有学無学は、「また学無学有り」と読み下す解釈が多いのですが、無学は、有学の対義語なので、
有学無学があり。と解釈してみました。
●摩訶波闍波提比丘尼。
(ま か は じゃ は だい び く に)
マハー・プラジャーパティ
比丘尼は、
説明 摩訶波闍波提 は、釈迦牟尼の育ての母。 比丘尼 は、出家して具足戒を受けた女性のこと。
●与眷属六千人倶。(よ けん ぞく
ろく せん にん く)
従者 六千人と倶なり。
説明 眷属 は、一族、親族を表すが、広く、郎党、従者を指すこともある。
●羅睺羅母耶輸陀羅比丘尼。
(ら ご ら も や しゅ た ら び く に)
ラーフラの母ヤショーダラー
比丘尼は、
●亦与眷属倶。(やく よ けん ぞっ く) また、従者と、供でした。
●菩薩摩訶薩八万人。(ぼ さつ ま か さつ はち まん にん) 菩薩摩訶薩 八万人は、
説明 菩薩(ボーディサットヴァ)は、覚りを求める衆生、摩訶薩(マハーサットヴァ)は、偉大な衆生 の意、
法華経や般若経では、菩薩摩訶薩の形で現れ、覚りを求める偉大な衆生 の意。
●皆於阿耨多羅三藐三菩提不退転。
(かい お あ のく た ら さん みゃく さん ぼ だい ふ たい てん)
皆、阿耨多羅三藐三菩提に於いて、不退転でした。
説明 阿耨多羅三藐三菩提 は、この上なく正しく完全な覚り の意。
●皆得陀羅尼楽説弁才。(かい とく
だ ら に ぎょう せつ べん ざい)
皆、陀羅尼や楽説弁才を得て、
説明 陀羅尼(ダーラニー) は、不思議な力を持つものと信じられている長い呪文 のこと。
楽説弁才 は、衆生の楽欲(ぎょうよく)に従って自在に法を説く弁才 の意。
●転不退転法輪。(てん ぷ たい てん ほう りん) 不退転の法輪を転じ、
説明 不退転の法輪を転じる は、後戻りすることのない真の教えを説く こと。
●供養無量百千諸仏。(く よう む りょう ひゃく せん しょ ぶつ) 無量百千の諸仏を供養し、
●於諸仏所植衆徳本。(お しょ ぶっ しょ
じき しゅ とく ほん)
諸仏の所に於いて衆の徳本を植え、
●常為諸仏之所称歎。(じょう い しょ ぶつ し しょ しょう たん) 常に、諸仏の称歎する所と為り
●以慈修身善入仏慧。(い じ しゅ しん ぜん にゅう ぶっ て) 慈を以って身を修め、善く仏慧に入り、
●通達大智到於彼岸。(つう だつ だい ち とう お ひ がん) 大智に通達し、彼岸に到り
●名称普聞無量世界。(みょう しょう ふ もん
む りょう せ かい)
名称は、普(あまね)く、無量世界に聞こえて
●能度無数百千衆生。(のう ど む しゅ
ひゃく せん しゅ じょう)
能く、無数百千の衆生を度しました。
説明 度す は、迷っている人を救うこと。済度すること。 例 度し難い人=救い難い人。
●其名曰 (ご みょう わつ) 其の名は曰く
●文殊師利菩薩。(もん じゅ し り ぼ さつ) マンジュシリー菩薩
●観世音菩薩。(かん ぜ おん ぼ さつ) アヴァローキテーシュヴァラ菩薩
●得大勢菩薩。(とく だい せい ぼ さつ) スターマブラープタ菩薩
●常精進菩薩。(じょう しょう じん ぼ さつ) ニティヨーデュクタ菩薩
●不休息菩薩。(ふ く そく ぼ さつ) アニクシプタドゥラ菩薩
●宝掌菩薩。(ほう しょう ぼ さつ) パーニ菩薩
●薬王菩薩。 (やく おう ぼ さつ) ラージャ菩薩、
●勇施菩薩。(ゆ ぜ ぼ さつ) プラダーナシューラ菩薩
●宝月菩薩。(ほう がち ぼ さつ) トナ・チャンドラ菩薩
●月光菩薩。(がっ こう ぼ さつ) ララトナプラバ菩薩
●満月菩薩。 (まん がち ぼ さつ) プールナ・チャンドラ菩薩、
●大力菩薩。(だい りき ぼ さつ ) マハー・ヴィクラーミン菩薩
●無量力菩薩。(む りょう りき ぼ さつ) アナンタ・ヴィクラーミン菩薩
●越三界菩薩。(おっ さん がい ぼ さつ) トライローキヤ・ヴィクラーミン菩薩、
●颰陀婆羅菩薩。(ばつ だ ば ら ぼ さつ) パドラパーラ菩薩 賢護菩薩
●弥勒菩薩。 (み ろく ぼ さつ) マイトレーヤ菩薩
●宝積菩薩。(ほう しゃく ぼ さつ) 宝積菩薩
●導師菩薩。 (どう し ぼ さつ) 導師菩薩。
●如是等菩薩摩訶薩八万人倶
(にょ ぜ とう ぼ さつ ま か さつ はち まん にん く)
かくの如き等の菩薩摩訶薩
八万人と供なり。
●爾時釈提桓因。与其眷属二万天子倶。(に じ
しゃく だい かん にん よ ご けん ぞく に まん てん じ く)
その時、帝釈天は、その従者二万人と供でした。
説明 釈提桓因 は、帝釈天
●復有名月天子。普香天子。宝光天子。四大天王。
(ぶ う みょう がっ てん じ、ふ こう てん じ、ほう こう てん じ、し だい てん のう)
また名月天子、普香天子、宝光天子、四大天王、がいました。。
説明 四大天王 は、増長天、広目天、持国天、多聞天。
●与其眷属万天子倶。(よ ご けん ぞく、まん てん じ く) その従者一万の天子と供でした。
●自在天子。大自在天子。与其眷属三万天子倶。
(じ ざい てん じ、だい じ ざい てん じ、よ ご けん ぞく、さん まん てん じ く)
自在天子と大自在天子は、その従者 三万の天子と供でした。
●娑婆世界主梵天王。尸棄大梵光明大梵等。
(しゃ ば せ かい しゅ ぼん てん のう、し き だい ぼん、こう みょう だい ぼん とう)
娑婆世界の主梵天王や尸棄大梵や光明大梵等は、
●与其眷属万二千天子倶。 (よ ご けん ぞく
まん に せん てん じ く)
その従者一万二千の天子と供でした。
●有八竜王。難陀竜王。跋難陀竜王。
(う はち りゅう おう、なん だ りゅう おう、ばつ なん だ りゅう おう)
八竜王有り。ナンダー竜王、ウパナンダ竜王、
●娑伽羅竜王。和脩吉竜王。徳叉迦竜王。
(しゃ か ら りゅう おう、わ しゅ きつ りゅう おう、とく しゃ か りゅう おう)
サーガラ竜王、ヴァースキ竜王、タクシャカ竜王、
●阿那婆達多竜王。摩那斯竜王。優鉢羅竜王等。
(あ な ば だっ た りゅう おう、ま な し りゅう おう、う はっ ら りゅう おう とう)
アナヴァタプタ竜王、マナスヴィン竜王、ウトパラカ竜王等は、
●各与若干百千眷属倶。(かく よ
にゃっ かん ひゃく せん けん ぞっ く)
各々、若干、百千の従者と供でした。
●有四緊那羅王。法緊那羅王。妙法緊那羅王。大法緊那羅王。持法緊那羅王。
(う し きん な ら おう、ほう きん な ら おう、みょう ほう きん な ら おう、だい ほう きん な ら おう、じ ほう きん な ら おう)
四人のキンナラ王がいました。ダルマ・キンナラ王、スダルノ・キンナラ王、マハーダルマ・キンナラ王、ダルマダラ・キンナラ王でした。
説明 緊那羅 は、梵 kimnara の音写。
●各与若干百千眷属倶。
(かくよ にゃっ かん ひゃく せん けん ぞっ く)
各々若干、百千の従者と供でした。
●有四乾闥婆王。楽乾闥婆王。楽音乾闥婆王。美乾闥婆王。美音乾闥婆王。
(う し けん だつ ば おう、がっ けん だつ ば おう、がく おん けん だつ ば おう、み けん だつ ば おう、み おん けん だつ ば おう)
四人のガンダルヴァ王がいました。楽乾闥婆王、楽音乾闥婆王、美乾闥婆王、美音乾闥婆王でした。
説明 乾闥婆 は、梵 gandharva の音写
●各与若干百千眷属倶。(かく よ にゃっ かん
ひゃく せん けん ぞっ く)
各々若干、百千の従者と供でした。
●有四阿修羅王。婆稚阿修羅王。佉羅騫駄阿修羅王。毘摩質多羅阿修羅王。羅睺阿修羅王。
(う し あ しゅ ら おう、ば ち あ しゅ ら おう、か ら けん だ あ しゅ ら おう、び ま しっ た ら あ しゅ ら おう、ら ご あ しゅ ら おう)
四人の阿修羅王がいました。バリン阿修羅王、カラスカンダ阿修羅王、ヴェーマチトリン阿修羅王、ラーフ阿修羅王でした。
●各与若干百千眷属倶。(かく よ にゃっ かん
ひゃく せん けん ぞっ く)
各々若干、百千の従者と供でした。
●有四迦楼羅王。大威徳迦楼羅王。大身迦楼羅王。大満迦楼羅王。如意迦楼羅王。
(う し か る ら おう、だい い とく か る ら おう、だい しん か る ら おう、だい まん か る ら おう、にょ い か る ら おう)
四人のガルダ王がいました。大威徳ガルダ王。大身ガルダ王。大満ガルダ王。如意ガルダ王でした。
●各与若干百千眷属倶。
(かく よ にゃっ かん ひゃく せん けん ぞっ く)
各々若干、百千の従者と供でした。
●韋提希子阿闍世王。与若干百千眷属倶。
(い だい け し、あ じゃ せ おう、よ にゃっ かん ひゃく せん けん ぞっ く)
韋提希の子の阿闍世王が、若干、百千の従者と供でした。
説明 韋提希 は、古代インドのマガタ国の頻婆娑羅(ビンビサーラ)王の妃で、王も王妃も仏陀に帰依しましたが、
息子の阿闍世も、ここに同席していました。
●各礼仏足退坐一面 (かく らい ぶっ そく たい ざ いち めん) 各々、仏足を礼し、退いて、一面に坐しました。
●爾時世尊。四衆囲遶。供養恭敬尊重讃歎。(に じ
せ そん、し しゅう い にょう、く よう く ぎょう そん じゅう さん だん)
その時、世尊は、四衆が囲遶し、供養、恭敬、尊重、讃歎するなかで
説明 四衆は、男性出家者、女性出家者、男性在家信者、女性在家信者のこと。
●為諸菩薩説大乗経。名無量義教菩薩法仏所護念。
(い しょ ぼ さつ せつ だい じょう きょう、みょう む りょう ぎ きょう ぼ さっ ぽう ぶっ しょ ご ねん)
諸々の菩薩の為に説きました。大乗経の無量義、教菩薩法、仏所護念と名づけたものを。
●仏説此経已。結跏趺坐。入於無量義処三昧。身心不動。
(ぶっ せつ し きょう い。けっ か ふ ざ。にゅう お む りょう ぎ しょ さんまい。しん じん ふ どう)
仏は、この経を説き、已(おわ)って、結跏趺坐し、無量義処三昧に入り、身心不動でした。
●是時天雨曼陀羅華。摩訶曼陀羅華。曼殊沙華。摩訶曼殊沙華。
(ぜ じ てん ぬ まん だ ら け。ま か まん だ ら け。まん じゅ しゃ げ。ま か まん じゅ しゃ げ。)
丁度その時、天は、マンダラ華、摩訶マンダラ華、曼殊沙華、摩訶曼殊沙華 を雨(ふ)らしました。
●而散仏上及諸大衆。普仏世界六種震動。
(に さん ぶつ じょう ぎゅっ しょ だい しゅ。ふ ぶつ せ かい ろく しゅ しん どう。)
しかして、仏の上および諸々の大衆に散らし、普(ことごと)く仏の世界の六種に震動しました。
説明 六種震動 は、揺れ、普く揺れ、動き、普く動き、震え、普く震える こと。
●爾時会中比丘比丘尼優婆塞優婆夷。天竜夜叉乾闥婆阿修羅迦楼羅緊那羅摩睺羅伽人非人。
(に じ え ちゅう び く び く に う ば そく う ば い。てん りゅう や しゃ けん だっ ぱ あ しゅ ら か る ら きん な ら ま ご ら
が にん ぴ にん)
その時、会中の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、天、竜、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人非人
●及諸小王転輪聖王。是諸大衆得未曾有。歓喜合掌一心観仏。
(ぎっ しょ しょう おう てん りん じょう こおう、ぜ しょ だい しゅ とく み ぞ う、かん ぎ がっ しょう いっ しん かん ぶつ)
及び諸々の小王や転聖王、是の諸の大衆は未曽有なることを得て、歓喜し合掌し、一心に仏を観ました。
●爾時仏放眉間白毫相光。照東方万八千世界。靡不周遍。
(に じ ぶっ ぽう み けん びゃく ごう そう こう、しょう とう ほう まん はっ せん せ かい、み ふ しゅ へん)
その時、仏は、眉間白毫相の光を放ち、東方の一万八千の世界を照らし、周遍しないことなどありません。
説明 眉間白毫 は、仏の眉間にあって光を放ち、世界を照らす毛。右巻きに丸まっていて、延ばすと1寸5尺ある。
説明 靡不周遍 の、靡不は、〜しないことはない、周遍は、あまねく行き渡る の意
●下至阿鼻地獄。上至阿迦尼咤天。(げ し あ び じ
ごく、じょう し あ か に た てん)
下は、阿鼻地獄に至り、上は、阿迦尼咤天に至りました。
●於此世界。尽見彼土六趣衆生。(お し せ かい、じん けん
ひ ど ろく しゅ しゅ じょう)
この世界に於いて、尽く、彼の土の六趣の衆生を見ました。
説明 六趣 とは、凡夫が輪廻する 地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天 の六つ。六道ともいう。
●又見彼土現在諸仏。及聞諸仏所説経法。
(う けん ひ
ど、げん ざい しょ ぶつ、ぎゅう もん しょ ぶつ しょ せつ きょう ほう)
又、彼の土の現在の諸仏を見、及び、諸仏の所説の経法を聞き、
●并見彼諸比丘比丘尼優婆塞優婆夷諸修行得道者。
(びょう けん ひ しょ び く び く に う ば そく う は い しょ しゅ ぎょう とく どう しゃ)
並びに、彼の諸々の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷の諸々の修行し得道する者を見、
●復見諸菩薩摩訶薩種種因縁種種信解種種相貌行菩薩道。
(ぶ けん しょ ぼ さつ ま か さつ、しゅ じゅ いん ねん しゅ じゅ しん げ しゅ じゅ そう もう ぎょう ぼ さつ どう)
又、諸々の菩薩摩訶薩の種々の因縁、種々の信解、種々の相貌あって、菩薩道を行ずるを見、
●復見諸仏般涅槃者。(ぶ けん しょ ぶつ はつ ね はん
じゃ)
又、諸仏の般涅槃する者を見、
●復見諸仏般涅槃後以仏舎利起七宝塔。
(ぶ けん しょ
ぶつ はつ ね はん ご い ぶつしゃ り き しっ ぽう とう)
又、諸仏の般涅槃の後、仏舎利を以て七宝の塔を起(た)つるを見ました。
●爾時弥勒菩薩作是念。(に じ み ろくぼ
さつ さ ぜ ねん)
その時、弥勒菩薩が是(こ)の念を作(な)さく、
説明 作は、為す の意で、作念 は、念を為す と読み下します。
語尾に、く が付いて、曰く、のたまわく、 と同じ、用法になります。
●今者世尊現神変相。 (こん じゃ せ そん げん じん
べん そう)
「今者(いま)、世尊は、神変の相を現じられた。
説明 世尊現神変相 は、世尊が神変(神通力)の様相を実現なされた の意。
●以何因縁而有此瑞。 (い が いん ねん に う し
ずい)
何の因縁を以ってして、此の端(ずい)はあるのか。
説明 因縁は、結果を生じる因(直接原因)と縁(間接原因)。 瑞 は、目でたい玉、印、事
●今仏世尊入于三昧。(こん ぶつ せ そん にゅう う さん
まい)
今、仏
世尊は、三昧にお入りになった。
説明 三昧 は、梵語 サマーディの音写で、精神を集中して雑念を去り、瞑想に入ること。
●是不可思議現希有事。 (ぜ ふ か し ぎ げんけ う
じ)
是の不可思議にして稀有の事を現ぜるを、
●当以問誰。誰能答者。(とう い もん すい。すい のう
とう しゃ)
当(まさ)に以って誰にか問うべき。誰か能く答えん者なる。」
と。
●復作此念。(ぶ さ しねん) 又、此の念を作(な)さく
●是文殊師利法王之子。 (ぜ もん じゅ し り ほう おう
し し)
「是のマンジュリシー(文殊師利)法王の子は、
●已曾親近供養過去無量諸仏。(い ぞう しん ごん く よう
か こ む りょう しょ ぶつ)
既に曾て過去無量の諸仏に親近し供養せり。
●必応見此希有之相。我今当問。 (ひっ おう けん し け
う し そう。が こん とう もん)
必ず此の希有の相を見るべし。我今当に問うべし。」と。
●爾時比丘比丘尼優婆塞優婆夷。及諸天竜鬼神等咸作此念。
(に じ び く び く に う ば そくう ば い。ぎっ しょ てん りゅう き じん とう げん さ し ねん)
その時、比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、及び諸々の天・竜・鬼神等、咸(ことごと)く此の念を作(な)さく。
●是仏光明神通之相。今当問誰。
(ぜ ぶつ こう
みょう じん つう し そう、こん とう もん すい)
「是の仏の光明神通の相を、今当に誰にか問うべき。」と。
●爾時弥勒菩薩欲自決疑。 (に じ み ろく ぼ さつ よく
じ けつ ぎ)
その時、弥勒菩薩は、自ら疑いを決せんと欲し、
●又観四衆比丘比丘尼優婆塞優婆夷。及諸天竜鬼神等衆会之心。
(う かん し しゅ、びく、び く に、うばそく、う ば い、ぎっ しょ てん りゅう き じん とう しゅ え し しん)
又四衆の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、及び、諸々の天・龍・鬼神等の衆会の心を観じて、
●而問文殊師利言。(に もん もん じゅ し り ごん) 而も、文殊師利に、問うて言わく、
●以何因縁而有此瑞神通之相。
(い が いん ねん に
う し ずい じん つう し そう)
「何の因縁を以てして、此の瑞神通の相あり、
●放大光明照于東方万八千土。
(ほう だい こう
みょう しょう う とう ほう まん はっ せん にん)
大光明を放ち、東方一万八千の土を照らしたもうに、
●悉見彼仏国界荘厳。(しっ けん ひ ぶつ こっ かい
しょう ごん)
悉く彼の仏の国界の荘厳を見るや。」と。
●於是弥勒菩薩。欲重宣此義。 (お ぜ み ろく
ぼ さつ、よく じゅう、せん し ぎ)
是に於いて、弥勒菩薩は、重ねて此の義を宣べんと欲して、
●以偈問曰 (い げ もん わつ) 偈を以て問うて曰く、
説明 偈(げ) は、仏典の中で、仏の教えや仏の礼賛を韻文で表したもの。梵語は、ガーター。伽陀。
●文殊師利 導師何故 「マンジュリシーよ、導師は何故に
●眉間白毫 大光普照 眉間の白毫(びゃくごう)から 大光が尽く照らしたまうや
●雨曼陀羅 曼殊沙華 曼陀羅華や曼殊沙華を降らせて
●栴檀香風 悦可衆心 栴檀の香風は 衆の心を悦可し
●以是因縁 地皆厳浄 この因縁を以って 地はみな厳浄となり
●而此世界 六種震動 しかも この世界は 六種に震動す
●時四部衆 咸皆歓喜 時に四部の衆は 咸(ことごと)く皆歓喜し
●身意快然 得未曾有 身意は快然として 未曾有なることを得たり
●眉間光明 照于東方 眉間の光明は 照らす。東方の
●万八千土 皆如金色 一万八千の土を。 皆金色の如し
●従阿鼻獄 上至有頂 阿鼻獄より 上有頂に至るまで
●諸世界中 六道衆生 諸の世界の中の 六道の衆生の
●生死所趣 善悪業縁 生死の趣く所と 善悪の業縁と
●受報好醜 於此悉見 受報の好醜とわ 此に於て悉く見る。
●又覩諸仏 聖主師子 又観る。諸仏 聖主師子が
●演説経典 微妙第一 経典を演説するに微妙第一なるを。
●其声清浄 出柔軟音 その声は清浄で 柔軟の音を出し
●教諸菩薩 無数億万 教えること 諸々の菩薩の無数億万を。
●梵音深妙 令人楽聞 梵音は深妙で 人をして聞かんと楽(ねが)わしめ
●各於世界 講説正法 各世界に於いて 正法を講説するに
●種種因縁 以無量喩 種々の因縁をもってし 無量の喩を以て
●照明仏法 開悟衆生 仏法を照明し 衆生を開悟せしめたもうことを。
●若人遭苦 厭老病死 若し人苦に遭うて 老病死を厭うには
●為説涅槃 尽諸苦際 為に涅槃を説いて 諸苦の際を尽くさしめ
●若人有福 曾供養仏 若し人福あって 曾て仏を供養し
●志求勝法 為説縁覚 勝法を志求するには 為に縁覚を説き
●若有仏子 修種種行 若し仏子有って 種々の行を修し
●求無上慧 為説浄道 無上慧を求むるには 為に浄道を説く
●文殊師利 我住於此 文殊師利は 我は此に住して
●見聞若斯 及千億事 見聞すること斯の若く 千億の事に及べり
●如是衆多 今当略説 是の如く衆多なる 今当に略して説くべし
●我見彼土 恒沙菩薩 我は見る 彼の土の 恒沙の菩薩が
●種種因縁 而求仏道 種々の因縁をもって 仏道を求むるを。
●或有行施 金銀珊瑚 或は施を行ずるに 金銀珊瑚
●真珠摩尼 車磲碼碯 真珠摩尼 車磲碼碯
●金剛諸珍 奴婢車乗 金剛諸珍 奴婢車乗
●宝飾輦輿 歓喜布施 宝飾の輦輿を 歓喜して布施し
●回向仏道 願得是乗 仏道に回向して 得んと願う。この乗が、
●三界第一 諸仏所歎 三界第一にして 諸仏の歎めたもう所なるを。
●或有菩薩 駟馬宝車 或は菩薩の 駟馬の宝車
●軒飾布施 欄楯華蓋 欄楯華蓋 軒飾を布施す
●復見菩薩 身肉手足 復た見る。 菩薩の 身肉手足
●及妻子施 求無上道 及び妻子を施して 無上道を求むるを。
●又見菩薩 頭目身体 また見る。 菩薩の頭目身体が
●欣楽施与 求仏智慧 欣楽施与して 仏の智慧 を求めるを。
●文殊師利 我見諸王 マンジュリシーよ、 我は見る 諸王が
●往詣仏所 問無上道 仏所を往詣し 無上道を問い
●便捨楽土 宮殿臣妾 便(すなわ)ち 楽土・宮殿臣妾を捨て
●剃除鬚髪 而被法服 鬚髪を剃除し 而して法服を被(き)るを。
●或見菩薩 而作比丘 或いは、見る。菩薩の 而も、比丘と作(な)って、
●独処閑静 楽誦経典 独り閑静に処し、楽(ねが)って経典を誦するを。
●又見菩薩 勇猛精進 又、見る。菩薩が 勇猛に精進し
●入於深山 思惟仏道 深山に入って 仏道を思惟するを。
●又見離欲 常処空閑 又、見る。(菩薩が)欲を離れ、常に空閑に処し
●深修禅定 得五神通 深く禅定を修し 五神通を得るを。
●又見菩薩 安禅合掌 又、見る。菩薩が 禅に安んじて合掌し
●以千万偈 讃諸法王 千万の偈を以って 諸法の王を讃めたてまつるを。
●復見菩薩 智深志固 復た見る。菩薩の智が深く、志が固くして
●能問諸仏 聞悉受持 能く諸仏に問いたてまつり、聞いて悉く受持するを。
●又見仏子 定慧具足 又見る。仏子の定慧が具足して、
●以無量喩 為衆講法 無量の喩を以って 衆の為に法を講じ
●欣楽説法 化諸菩薩 欣楽説法して 諸の菩薩を化し
●破魔兵衆 而撃法鼓 魔の兵衆を破して 而も法鼓を撃つを。
●又見菩薩 寂然宴黙 又見る。菩薩が 寂然宴黙にして
●天竜恭敬 不以為喜 天竜恭敬すれども 以って喜びと為ざるを。
●又見菩薩 処林放光 又見る。菩薩が 林に処して光を放ち
●済地獄苦 令入仏道 地獄の苦を済い 仏道に入らしむを。
●又見仏子 未嘗睡眠 又見る。仏子が 未だ嘗つて睡眠せず
●経行林中 勤求仏道 林中に経行し 仏道を勤求するを。
●又見具戒 威儀無欠 又見る。戒を具して 威儀を欠くること無く
●浄如宝珠 以求仏道 浄きこと宝珠の如くにして 以って仏道を求むるを。
●又見仏子 住忍辱力 又見る。仏子が 忍辱の力に住して
●増上慢人 悪罵捶打 増上慢の人の 悪罵捶打するを
●皆悉能忍 以求仏道 皆悉く能く忍んで 以って仏道を求るを。
●又見菩薩 離諸戯笑 又見る。菩薩が 諸々の戯笑、
●及痴眷属 親近智者 及び痴なる眷属を離れ 智者に親近し
●一心除乱 摂念山林 一心に乱を除き 念を山林に摂め
●億千万歳 以求仏道 億千万歳 以さて仏道を求むるを。
●或見菩薩 肴膳飲食 或は見る。菩薩が 肴膳飲食
●百種湯薬 施仏及僧 百種の湯薬を 仏及び僧に施し
●名衣上服 価直千万 名衣上服の 価が直千万なる、
●或無価衣 施仏及僧 或は無価の衣を 仏及び僧に施し
●千万億種 栴檀宝舎 千万億種の 栴檀の宝舎
●衆妙臥具 施仏及僧 衆の妙なる臥具を 仏及び僧に施し
●清浄園林 華果茂盛 清浄の園林の 華果茂く盛んなると、
●流泉浴池 施仏及僧 流泉浴池とを 仏及び僧に施し
●如是等施 種種微妙 是くの如き等の施の 種種微妙なるを
●歓喜無厭 求無上道 歓喜し厭くこと無くして 無上道を求むるを。
●或有菩薩 説寂滅法 或は、菩薩の 寂滅の法を説いて
●種種教詔 無数衆生 種種に 無数の衆生を教詔する有り。
●或見菩薩 観諸法性 或は見る。菩薩が 観諸法の性は
●無有二相 猶如虚空 二相有ること無く、猶お虚空の如しと観ずるを。
●又見仏子 心無所著 又見る。仏子の 心に所著なくして
●以此妙慧 求無上道 此の妙慧を以って 無上道を求むるを。
●文殊師利 又有菩薩 文殊師利よ。又、有り。菩薩にして
●仏滅度後 供養舎利 仏の滅度の後 舎利を供養するもの。
●又見仏子 造諸塔廟 又見る。仏子が 諸々の塔廟を造ること
●無数恒沙 厳飾国界 無数恒沙にして 国界を厳飾し
●宝塔高妙 五千由旬 宝塔は高妙にして 五千由旬
●縦広正等 二千由旬 縦広、正等にして 二千由旬なり。
●一一塔廟 各千幢幡 一一の塔廟に 各千の幢幡あり
●珠交露幔 宝鈴和鳴 珠にて交露せる幔あり 宝鈴は和鳴し
●諸天竜神 人及非人 諸々の天・竜神 人及び非人の
●香華妓楽 常以供養 香華妓楽を 常に以って供養するを。
●文殊師利 諸仏子等 文殊師利よ。 諸々の仏子等は
●為供舎利 厳飾塔廟 舎利を供せんが為に 塔廟を厳飾するに
●国界自然 殊特妙好 国界は自然に 殊特妙好なること
●如天樹王 其華開敷 天の樹王の 其華が開敷するが如し。
●仏放一光 我及衆会 仏が一の光を放ちたまうに 我及び衆会(しゅえ)は
●見此国界 種種殊妙 見る。この国界の 種種殊妙なるを。
●諸仏神力 智慧希有 諸仏の神力 智慧は希有にして
●放一浄光 照無量国 一の浄光を放ちて 無量の国を照たしたまう
●我等見此 得未曾有 我等は、此を見て 未曾有なることを得たり
●仏子文殊 願決衆疑 仏子文殊よ。 願わくば衆の疑を決したまえ
●四衆欣仰 瞻仁及我 四衆は欣仰して 仁(きみ)及ぴ我を瞻(み)る
●世尊何故 放斯光明 世尊は何故に、この光明を 放ちたもうや。
●仏子時答 決疑令喜 仏子よ。時に答えて 疑を決して 喜ばしめたまえ。
●何所饒益 演斯光明 何の饒益する所ありて、この光明を演(の)べたまうや。
●仏坐道場 所得妙法 仏は、道場に坐して 得たまうる所の妙法
●為欲説此 為当授記 為(さだ)めてこれを説かんと欲するや 為(さだ)めて当に授記したもうべきや。
●示諸仏土 衆宝厳浄 諸々の仏土に示す。 衆宝にて厳浄せらるるを。
●及見諸仏 此非小縁 及び諸仏を見たてまつること、これ小縁に非ず。
●文殊当知 四衆竜神 文殊よ、まさに知るべし。四衆・竜神は
●瞻察仁者 為説何等 仁者(きみ)を瞻察す 為に何等を説かんとするやと。」
●爾時文殊師利語弥勒菩薩摩訶薩及諸大士。
その時、文殊師利は、語る。弥勒菩薩、摩訶薩、及び諸々の大士に。
●善男子等。如我惟忖。 善男子等よ。我の思惟し忖度する如く。
●今仏世尊。 今、仏世尊は、欲するならむ。
●欲説大法。雨大法雨。吹大法螺。撃大法鼓。演大法義。
大法を説き、大法の雨を降らし、大法の螺を吹き、大法の鼓を撃ち、大法の義を演べんと。
諸善男子。我於過去諸仏曾見此瑞。
諸々の善男子よ。我は、過去の諸仏に於て、曾つて此の瑞(しるし)を見たてまつりしに。
放斯光已即説大法。 斯の光を放ち已りて、即ち大法を説きたまえり。
是故当知。 この故に、当に知るべし。
今仏現光亦復如是。 今、仏が光を現わしたまうも、亦た復た、かくの如く。
欲令衆生咸得聞知一切世間難信之法。故現斯瑞。
衆生をして咸(ことごと)く一切世間の信じ難き之法を聞知することを得せしめんと欲するが故に、この瑞を現わしたもうならん。
諸善男子。如過去無量無辺不可思議阿僧祇劫。爾時有仏。
諸々の善男子よ。過去の無量、無辺、不可思議なる阿僧祇劫の如き。その時に仏有り。
号日月灯明如来。応供。正遍知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。
号(なづ)くこと、日月灯明如来。応供。正遍知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。なり。
仏世尊。演説正法。 仏世尊は、正法を演説したまう。
初善中善後善。其義深遠。其語巧妙。
初も善、中も善、後も善。その義は深遠なり。その語は巧妙なり。
純一無雑。具足清白梵行之相。 純一、無雑、具足清白にして梵行の相あり。
為求声聞者。説応四諦法。度生老病死究竟涅槃。
声聞を求むる者の為に。応ぜる四諦法を説き。生老病死をして、涅槃を究竟せしめ。
為求辟支仏者。説応十二因縁法。
辟支仏を求むる者の為には。応ぜる十二因縁法を説き。
為諸菩薩説応六波羅蜜。 諸々の菩薩の為には、応ぜる六波羅蜜を説き。
令得阿耨多羅三藐三菩提成一切種智。
阿耨多羅三藐三菩提を得て、一切種智を成ぜしめたまう。
次復有仏。亦名日月灯明。 次にまた。仏有り。また日月灯明と名づく。
次復有仏。亦名日月灯明。 次にまた。仏有り。また日月灯明と名づく。
如是二万仏。皆同一字。号日月灯明。
かくの如く、二万の仏は。皆同一の字(あざな)にして。日月灯明と号す。
又同一姓。姓頗羅堕。 又同一の姓にして。頗羅堕と姓す。
弥勒当知。 弥勒よ、当に知るべし。
初仏後仏皆同一字。名日月灯明。十号具足。所可説法初中後善。
初の仏も後の仏も皆同一の字にして。日月灯明と名づけ。十号を具足したまえり。
所可説法初中後善。 説く可き所の法は、初も中も後も善なり。
其最後仏未出家時。有八王子。 その最後の仏が未だ出家したまわざりし時。八王子有り。
一名有意。二名善意。三名無量意。四名宝意。五名増意。六名除疑意。七名響意。八名法意。
一を有意と名づけ。二を善意と名づけ。三を無量意と名づけ。四を宝意と名づけ。五を増意と名づけ。六を除疑意と名づけ。七を響意と名づけ。八を法意と名づく。
是八王子。 この八王子は、
威徳自在。各領四天下。 威徳自在にして、各、四天下を領せり。
是諸王子。 この諸王子は、
聞父出家得阿耨多羅三藐三菩提。 父が出家して阿耨多羅三藐三菩提を得しと聞き、
悉捨王位亦随出家。 悉(ことごと)く王位を捨て、亦、随(したが)って出家し。
発大乗意常修梵行。皆為法師。 大乗の意を発(おこ)し、常に梵行を修して、皆、法師と為れり。
已於千万仏所植諸善本。 已に千万の仏の所に於いて、諸々の善本を植えたり。
是時日月灯明仏。説大乗経。 この時、日月灯明仏は、大乗経を説き。
名無量義教菩薩法仏所護念。 無量義・教菩薩法・仏所護念と名づけ、
説是経已。即於大衆中結跏趺坐。 この経を説き已つて、即ち、大衆の中に於いて、結跏趺坐し、
入於無量義処三昧。身心不動。 無量義処三昧に入りて。身心不動なり。
是時天雨曼陀羅華。摩訶曼陀羅華。曼殊沙華。摩訶曼殊沙華。
この時、天は、曼陀羅華、摩訶曼陀羅華、曼殊沙華、摩訶曼殊沙華、を降らし、
而散仏上及諸大衆。 而して、仏の上及び諸々の大衆に散らし、
普仏世界六種震動。 普(あまね)く仏世界は六種に震動す。
爾時会中 その時、会中(えちゅう)の
比丘比丘尼優婆塞優婆夷。天竜夜叉乾闥婆阿修羅迦楼羅緊那羅摩睺羅伽人非人。及諸小王転輪聖王等。
比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、天、竜、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人、及ひ諸々の小王、転輪聖王等。
是諸大衆得未曾有。歓喜合掌一心観仏。
この諸大衆は、未曾有なることを得て、歓喜し合掌して一心に仏を観る。
爾時如来放眉間白毫相光。 その時、如来は、眉間白毫相より光を放ち
照東方万八千仏土。靡不周遍。 東方一万八千の仏土を照らし、周遍せざること靡(な)し。
如今所見是諸仏土。 今、見る所の、この諸々の仏土の如し。
弥勒当知。 弥勒よ、当に、知るべし。
爾時会中有二十億菩薩。楽欲聴法。その時、会中に二十億菩薩有って、法を聴かんと楽欲す。
是諸菩薩見此光明普照仏土。得未曾有。欲知此光所為因縁。
この諸々の菩薩は、この光明が普く仏土を照らすを見て、未曾有なることを得て、この光の為す所の因縁を知らんと欲す。
時有菩薩。名曰妙光。有八百弟子。時に菩薩有り、名を妙光と言い、八百の弟子有り。
是時日月灯明仏従三昧起。 この時、日月灯明仏は、三昧より、起ちて
因妙光菩薩説大乗経。 妙光菩薩に因りて、大乗経を説き
名妙法蓮華教菩薩法仏所護念。 妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念と名づけ
六十小劫不起于座。 六十小劫、座を起ちたまわず
時会聴者亦坐一処。 時の会の聴者も亦、一処に坐して
六十小劫身心不動。 六十小劫、身心動ぜず
聴仏所説謂如食頃。 仏の所説を聴くこと、食頃の如しと謂へり。
是時衆中。無有一人若身若心而生懈倦。
この時、衆中に、一人として、若しくは身、若しくは心にして、懈倦を生ずるもの有ること無かりき。
日月灯明仏。於六十小劫説是経已。日月灯明仏は、六十小劫に於いて、この経を説き已って
即於梵魔沙門婆羅門及天人阿修羅衆中。
即ち、梵、魔、沙門、婆羅門、及び天、人、阿修羅衆の中に於いて
而宣此言。 而して、この言を宣べたまう
如来於今日中夜当入無余涅槃。 「如来は今日の中夜に於いて当に無余涅槃に入るべし」と。
時有菩薩。名曰徳蔵。 時に菩薩有り。名を徳蔵と言う。
日月灯明仏。即授其記。告諸比丘。日月灯明仏は、即ちそれに記を授け、諸々の比丘に告げたまう。
是徳蔵菩薩。次当作仏。号曰浄身多陀阿伽度阿羅訶三藐三仏陀。
「この徳蔵菩薩は、次に当に仏と作(な)るべし。号を浄身多陀阿伽度、阿羅訶、三藐三仏陀と言わん」と。
仏授記已。便於中夜入無余涅槃。 仏は授記し已って、便ち中夜に於いて無余涅槃に入りたまえり。
仏滅度後。妙光菩薩。持妙法蓮華経。満八十小劫為人演説。
仏の滅度の後、妙光菩薩は、妙法蓮華経を持(たも)ち、八十小劫を満たして、人の為に演説す。
日月灯明仏八子。皆師妙光。 日月灯明仏の八子は、皆、妙光を師とし、
妙光教化。令其堅固阿耨多羅三藐三菩提。
妙光は教化して、其れをして阿耨多羅三藐三菩提に堅固ならしむ。
是諸王子。供養無量百千万億仏已。皆成仏道。
この諸王子は、無量百千万億の仏を供養し已って、皆、仏道を成す。
其最後成仏者。名曰燃灯。 その最後に成仏する者の、名は燃灯と言う。
八百弟子中有一人。号曰求名。 八百の弟子中に一人有り、号を求名と言う。
貪著利養。雖復読誦衆経而不通利。多所忘失。故号求名。
利養に貪著し、復た衆経を読誦すと雖も、而も、通利せず、忘失する所多く、故に求名と号(な)づく。
是人亦以種諸善根因縁故。 この人は、亦、以種諸々の善根を種(う)えたる因縁を以ての故に
得値無量百千万億諸仏。 無量百千万億の諸仏に値することを得て
供養恭敬尊重讃歎。 供養し、恭敬し、尊重し、讃歎せり。
弥勒当知。 弥勒よ、当に知るべし。
爾時妙光菩薩。豈異人乎。我身是也。
その時の妙光菩薩は、豈に異人ならん乎。我身、これ也。
求名菩薩汝身是也。 求名菩薩は、汝の身、これ也。
今見此瑞与本無異。 今、此の瑞を見るに、本と異なること無し。
是故惟忖。 この故に、思惟し忖度す。
今日如来当説大乗経。名妙法蓮華教菩薩法仏所護念。
「今日の如来も当に大乗経を説き、妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念と名づくるべし」と。
爾時文殊師利。於大衆中。欲重宣此義。而説偈言
その時、文殊師利は、大衆中に於いて、重ねて此の義を宣べんと欲し、而して偈を説いて言わく、
我念過去世 無量無数劫 我は念(おも)う。過去世の無量無数劫なるを。
有仏人中尊 号日月灯明 仏人中の尊有りて 日月灯明と号(なづ)く
世尊演説法 度無量衆生 世尊は法を演説し 度すこと無量衆生と
無数億菩薩 令入仏智慧 無数億の菩薩なり 仏の智慧に入いら令(し)む
仏未出家時 所生八王子 仏が未だ出家せざりし時 生れし所の八王子は
見大聖出家 亦随修梵行 大聖の出家を見て 亦、随って梵行を修す
時仏説大乗 経名無量義 時に仏は説く。大乗経の名無量義を
於諸大衆中 而為広分別 諸大衆の中に於いて 而して為に広く分別す
仏説此経已 即於法座上 仏はこの経を説き已って 即ち法座上に於いて
跏趺坐三昧 名無量義処 跏趺して三昧に坐し 無量義処と名づく
天雨曼陀華 天鼓自然鳴 天は雨(ふ)らす。曼陀華を。天鼓は自然に鳴り
諸天竜鬼神 供養人中尊 諸々の天、竜、鬼神は、供養す。人中の尊を。
一切諸仏土 即時大震動 一切の諸々の仏土は、即時に大いに震動し
仏放眉間光 現諸希有事 仏は放つ。眉間より光を。現す。諸々の希有の事を。
此光照東方 万八千仏土 此の光は照らす。東方一万八千の仏土を。
示一切衆生 生死業報処 示す。一切衆生の生死の業報処を。
有見諸仏土 以衆宝荘厳 見ること有り。諸々の仏土が衆宝を以って荘厳し
瑠璃頗黎色 斯由仏光照 瑠璃、頗黎の色なることを。 斯れは、仏の光が照らすに由る。
及見諸天人 竜神夜叉衆 及び見る。諸々の天、人、竜神、夜叉衆、
乾闥緊那羅 各供養其仏 乾闥、緊那羅が、各々、其仏を供養するを。
又見諸如来 自然成仏道 又見る。諸々の如来が、自然に仏道を成して
身色如金山 端厳甚微妙 身の色は金山の如く、端厳にして甚だ微妙で
如浄瑠璃中 内現真金像 浄瑠璃の中 内に真金の像を現わす如くなるを。
世尊在大衆 敷演深法義 世尊は、大衆に在りて、深法の義を敷演す。
一一諸仏土 声聞衆無数 一一の諸々の仏土には、声聞衆は無数なり。
因仏光所照 悉見彼大衆 仏の光の照らす所に因りて、悉く彼の大衆を見る。
或有諸比丘 在於山林中 或は、有り。諸々の比丘が、山林の中に在りて
精進持浄戒 猶如護明珠 精進し浄戒を持ち、猶、明珠を護るが如くなることが。
又見諸菩薩 行施忍辱等 又、見る。諸々の菩薩が、施・忍辱等を行じ、
其数如恒沙 斯由仏光照 其の数が恒沙の如くなるを。斯れは、仏の光が照らしたもうに由るなり。
又見諸菩薩 深入諸禅定 又、見る。諸々の菩薩が、深く諸々の禅定に入り、
身心寂不動 以求無上道 身心が寂かにして不動で、以って無上道を求むるを。
又見諸菩薩 知法寂滅相 又、見る。諸々の菩薩が、法の寂滅の相を知り
各於其国土 説法求仏道 各々、其の国土に於いて、法を説いて、仏道を求むるを。
爾時四部衆 見日月灯仏 その時、四部衆は、見る。日月灯仏が、
現大神通力 其心皆歓喜 大神通力を現わすを。其の心、皆、歓喜して
各各自相問 是事何因縁 各々自ら相問う。この事は、何の因縁なるやと。
天人所奉尊 適従三昧起 天、人、所奉の尊、適(はじ)めて三昧従(よ)り起ちて
讃妙光菩薩 汝為世間眼 妙光菩薩を讃めたまう。「汝は為(こ)れ世間の眼にして
一切所帰信 能奉持法蔵 一切に帰信せられて、能く法蔵を奉持す。
如我所説法 唯汝能証知 我が所説の法の如きは、唯、汝のみ能く証知せり」と。
世尊既讃歎 令妙光歓喜 世尊は既に讃歎し、妙光をして歓喜せしめて
説是法華経 満六十小劫 この法華経を説き、六十小劫を満しても
不起於此座 所説上妙法 此の座を起たず 説きたまう所の上妙の法を
是妙光法師 悉皆能受持 この妙光法師は、悉く皆、能く受持す。
仏説是法華 令衆歓喜已 仏は、この法華を説いて、衆をして歓喜せしめ已りて
尋即於是日 告於天人衆 尋(つ)いで即ちこの日に於いて 天・人衆に告げたまう
諸法実相義 已為汝等説 「諸法実相の義は、已に汝等の為に説いた。
我今於中夜 当入於涅槃 我は今、中夜に於いて、当に涅槃に入るべし。
汝一心精進 当離於放逸 汝、一心に精進し、当に放逸を離るべし。
諸仏甚難値 億劫時一遇 諸仏には甚だ値(あ)い難し、億劫に時に一たび遇うならん」と。
世尊諸子等 聞仏入涅槃 世尊の諸子等は 仏が涅槃に入ると聞いて
各各懐悲悩 仏滅一何速 各々悲悩を懐く。「仏の滅したまうこと、一に何ぞ速かなるか」と。
聖主法之王 安慰無量衆 聖主法の王は、無量の衆を安慰し、
我若滅度時 汝等勿憂怖 「我、若し、滅度の時、汝等は、憂怖することなかれ。
是徳蔵菩薩 於無漏実相 この徳蔵菩薩は、無漏の実相に於いて
心已得通達 其次当作仏 心は已に通達することを得たり。其の次に当に仏と作(な)るべし。
号曰為浄身 亦度無量衆 号を言って浄身と為す。亦無量の衆を度せん。」と。
仏此夜滅度 如薪尽火滅 仏の、此の夜、滅度したもうこと、薪の尽きて火の滅するが如し。
分布諸舎利 而起無量塔 諸々の舎利を分布して、而て、無量塔を起つ。
比丘比丘尼 其数如恒沙 比丘、比丘尼、其の数恒沙の如し。
倍復加精進 以求無上道 倍(ますます)復、精進を加えて、以って無上道を求む。
是妙光法師 奉持仏法蔵 この妙光法師は、仏の法蔵を奉持して
八十小劫中 広宣法華経 八十小劫の中に、広く法華経を宣ぶ。
是諸八王子 妙光所開化 この諸々の八王子は、妙光に開化せられて
堅固無上道 当見無数仏 無上道に堅固にして、当に無数の仏を見たてまつるべし。
供養諸仏已 随順行大道 諸仏を供養し已って、随順して大道を行じ、
相継得成仏 転次而授記 相継いで成仏を得て、転次して、而して授記す
最後天中天 号曰燃灯仏 最後の天中天をば、号(なづ)けて燃灯仏と言い
諸仙之導師 度脱無量衆 諸仙の導師しとて、無量の衆を度脱す
是妙光法師 時有一弟子 この妙光法師は、時に一弟子有り
心常懐懈怠 貪著於名利 心に常に懈怠を懐き、名利に貪著し
求名利無厭 多遊族姓家 名利を求むるに厭くこと無く、多く族姓の家に遊び
棄捨所習誦 廃忘不通利 習誦せし所を棄捨し、廃忘して、通利せず
以是因縁故 号之為求名 この因縁を以っての故に、之を号して求名と為す。
亦行衆善業 得見無数仏 亦、衆の善業を行じて、無数の仏を見ることを得
供養於諸仏 随順行大道 諸仏を供養し、随順して大道を行じ
具六波羅蜜 今見釈師子 六波羅蜜を具して、今、釈師子を見
其後当作仏 号名曰弥勒 其の後に当に仏と作(な)るべし 号をば名づけて弥勒と言わん。
広度諸衆生 其数無有量 広く諸々の衆生を度すること 其の数無有量
彼仏滅度後 懈怠者汝是 彼の仏の滅度の後に 懈怠なりし者とは、汝、是れなり。
妙光法師者 今則我身是 妙光法師者は、今、則に、我身、是れなり。
我見灯明仏 本光瑞如此 我は、灯明仏を見たり、本の光瑞はかくの如し
以是知今仏 欲説法華経 これを以って知る、今の仏も、法華経を説かんと欲す
今相如本瑞 是諸仏方便 今の相は、本の瑞の如し これ諸仏の方便なり
今仏放光明 助発実相義 今の仏は光明を放ち、実相の義を助発す
諸人今当知 合掌一心待 諸々の人よ、今当に知るべし。合掌して一心に待つ。
仏当雨法雨 充足求道者 仏は当に法雨を雨らして、求道者を充足す
諸求三乗人 若有疑悔者 諸の三乗を求むる人 若し疑悔有らば
仏当為除断 令尽無有余 仏は当に為に除断して、尽して余り有ること無からしむ。
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