蓮の道 無量義経 十功徳品第三 (2015) 

2019.7.9

●無量義経十功徳品第三 #1   2015/1/22(木) 午後 11:11

第一 正説の経を標歎する

●現代語訳

その時に大荘厳菩薩は、また仏に申し上げました。

世尊。世尊は、非常に奥深い大乗の無量義の教えを説かれました。それは真実であり、非常に奥深い教えです。

●訓読

その時に大荘厳菩薩摩訶薩、また仏に白して言さく。

世尊。世尊この微妙甚深無上大乗無量義経を説きたもう。真実甚深甚深甚深なり。

●真読

爾時。大荘厳菩薩摩訶薩。復白仏言。
にじ。だいしょうごんぼさつまかさつ。ぶびゃくぶつごん。

世尊。世尊説是。微妙甚深。無上大乗。
せそん。せそんせつぜ。みみょうじんじん。むじょうだいじょう。

無量義経。真実甚深。甚深甚深。
むりょうぎきょう。しんじつじんじん。じんじんじんじん。

●解説

ここからは、『無量義経十功徳品第三』に入ります。

この品は、流通分(るづうぶん)です。流通とは、流れ通じることで、広く行きわたることをいいます。

説法品で説かれた内容を広く人々に伝えるために、この教えの功徳を説き、弟子たちに教えを説き広めることを託しています。

 

 

●無量義経十功徳品第三 #2 2015/1/22(木) 午後 11:26

第二 所利益の人を挙げて能利益の経を歎ず

●現代語訳

なぜならば、この会の中において、多くの菩薩たち、多くの男女の出家修行者と在家修行者たち、天上界の神々、龍神たち、鬼神・国王・臣民・多くの人々は、非常に奥深い大乗の無量義の教えを聞いて、それぞれに陀羅尼門・三法・四果・悟りを目指す心を得る事が出来たからです。まさに知るべきでしょう。この教えは道理が真正であり、この上もなく尊いものです。過去、現在、未来の諸仏の守護された教えであり、様々な魔者や仏教以外の教えに影響されることはありません。一切の誤った思想や現象に振り回されて崩れるということがありません。なぜならば、一度聞けば、よく一切の教えを授かるからです。

●訓読

所以は何ん、この衆の中に於て、諸の菩薩摩訶薩、及び諸の四衆・天・龍・鬼神・国王・臣民・諸有の衆生、この甚深無上大乗無量義経を聞いて、陀羅尼門・三法・四果・菩提の心を獲得せざることなし。当に知るべし、この法は文理真正なり、尊にして過上なし。三世諸仏の守護したもう所なり。衆魔群道、得入することあることなし。一切の邪見生死に壊敗せられず。所以は何ん、一たび聞けば、よく一切の法を持つが故に。

●真読

所以者何。於此衆中。諸菩薩摩訶薩。
しょいしゃが。おししゅちゅう。しょぼさつまかさつ。

及諸四衆。天龍鬼神。国王。臣民。
ぎっしょししゅ。てんりゅうきじん。こくおう。じんみん。

諸有衆生。聞是甚深。無上大乗。無量義経。
しょうしゅじょう。もんぜじんじん。むじょうだいじょう。むりょうぎきょう。

無不獲得。陀羅尼門。三法四果。菩提之心。
むふぎゃくとく。だらにもん。さんぽうしか。ぼだいししん。

当知此経。文理真正。尊無過上。三世諸仏。
とうちしほう。もんりしんしょう。そんむかじょう。さんぜしょぶつ。

之所守護。無有衆魔。群道得入。
ししょしゅご。むうしゅま。ぐんどうとくにゅう。

不為一切。邪見生死。之所壊敗。
ふいいっさい。じゃけんしょうじ。ししょえはい。

所以者何。一聞能持。一切法故。
しょいしゃが。いちもんのうぢ。いっさいほうご。

 

 

●無量義経十功徳品第三 #3

第三 得聞の益を挙げて未聞の失を示す

●現代語訳

もし、人々がこの教えを聞いたならば、大きな利益を得るでしょう。なぜならば、この教えをよく修行すれば、必ずや真っ直ぐに最高の悟りを得ることが出来るからです。逆に人々の中で、この教えを聞かない者たちは、大きな利益を失います。非常に長い年月を過ぎても、悟りを得ることが出来ません。なぜならば、悟りへの真っ直ぐな道を知らないために、険しい道を行き、困難が多いからです。

●訓読

もし衆生あって、この経を聞くことを得るは、則ちこれ大利なり。所以は何ん、もし、よく修行すれば、必ず疾く無上菩提を成ずることを得ればなり。それ衆生あって聞くことを得ざる者は、当に知るべし、是等はこれ大利を失えるなり。無量無辺不可思議阿僧祇劫を過ぐれども、終に無上菩提を成ずることを得ず。所以は何ん、菩提の大直道を知らざるが故に、険径を行くに留難多きが故に。

●真読

若有衆生。得聞是経。則為大利。
にゃくうしゅじょう。とくもんぜきょう。そくいだいり。

所以者何。若能修行。必得疾成。
しょいしゃが。にゃくのうしゅぎょう。ひっとくしつじょう。

無上菩提。其有衆生。不得聞者。
むじょうぼだい。ごうしゅじょう。ふとくもんしゃ。

当知是等。為失大利。過無量無辺。
とうちぜとう。いしつたいり。かむりょうむへん。

不可思議。阿僧祇劫。終不得成。
ふかしぎ。あそうぎこう。じゅふとくじょう。

無上菩提。所以者何。不知菩提。
むじょうぼだい。しょいしゃが。ふちぼだい。

大直道故。行於險徑。多留難故。
たいぢきどうこ。ぎょうおけんぎょう。たるなんこ。

 

●無量義経十功徳品第三 #4 2015/1/23(金) 午前 9:51

第四 大荘厳菩薩の質問

●現代語訳

世尊。この教えは、人々の常識をはるかに超えています。ただ、願わくは、世尊、広く人々のために、慈悲と哀れの心をもって、非常に奥深く、人々の常識をはるかに超えているこの教えの趣旨をお教え下さい。世尊、この教えは、どこから来て、どこへ去って、どこへ留まるのでしょうか? このことを理解できれば、この教えの功徳がどれほど優れているのかが分かりますので、人々は真っ直ぐに最高の悟りを得ることができると存じます。

●訓読

世尊。この経典は不可思議なり。ただ願わくは世尊、広く大衆の為に慈哀して、この経の甚深不思議の事を敷演(ふえん)したまえ。世尊、この経典は何れの所よりか来たり、去って何れの所にか至り、住って何れの所にか住する。すなわち是の如き無量の功徳不思議の力あって、衆をして疾く阿耨多羅三藐三菩提を成ぜしめたもうや。

●真読

世尊。是経典者。不可思議。唯願世尊。
せそん。ぜきょうでんしゃ。ふかしぎ。ゆいがんせそん。

広為大衆。慈哀敷演。是経甚深。不思議事。
こういだいしゅ。じあいふえん。ぜきょうじんじん。ふしぎじ。

世尊。是経典者。従何所来。去何所至。
せそん。ぜきょうでんしゃ。じゅがしょらい。こがしょし。

住何所住。乃有如是。無量功徳。不思議力。
じゅうがしょじゅう。ないうにょぜ。むりょうくどく。ふしぎりょく。

令衆疾成。阿耨多羅三藐三菩提。
りょうしゅしつじょう。あのくたらさんみゃくさんぼだい。

●解説

大荘厳菩薩が、釈尊に三つの質問をしました。

〔砧無舛龍気┐呂匹海ら来たのか?
¬砧無舛龍気┐呂匹海惶遒襪里?
L砧無舛龍気┐呂匹海卜韻泙襪里?

この教えの源はどこなのか? この教えの目的は何なのか? この教えはどんな人のためにあるのか? ということを質問しました。

 

●無量義経十功徳品第三 #5 2015/1/23(金) 午前 10:31

第五 如来の答

●現代語訳

その時に釈尊は、大荘厳菩薩におっしゃいました。

素晴らしい、素晴らしいことです。善男子よ。その通りです。その通りです。あなたが言う通りです。善男子。私が説いた教えは、非常に奥深い真実です。なぜならば、この教えによって、人々が、真っ直ぐに最高の悟りを得ることが出来るからです。一度聞けば、よく一切の教えを授かるからであり、多くの人々が、大きな利益を得ることが出来るからです。真っ直ぐに迷わずに修行が出来、様々な困難がないからです。

●訓読

その時に世尊、大荘厳菩薩摩訶薩に告げて言わく。

善哉善哉、善男子。是の如し是の如し、汝が説く所の如し。善男子、我、この経を説くこと甚深甚深真実甚深なり。所以は何ん。衆をして疾く無上菩提を成ぜしむるが故に、一たび聞けば、よく一切の法を持つが故に、諸の衆生に於て大に利益するが故に、大直道を行じて留難なきが故に。

●真読

爾時。世尊。告大荘厳菩薩摩訶薩言。
にじ。せそん。ごうだいしょうごんぼさつまかさつごん。

善哉善哉。善男子。如是如是。如汝所説。
ぜんざいぜんざい。ぜんなんし。にょぜにょぜ。にょにょしょせつ。

善男子。我説是経。甚深甚深。真実甚深。
ぜんなんし。がせつぜきょう。じんじん。しんじつじんじん。

所以者何。令衆疾成。無上菩提故。
しょいしゃが。りょうしゅしつじょう。むじょうぼだいこ。

一聞能持。一切法故。於諸衆生。
いちもんのうぢ。いっさいほうこ。おしょしゅじょう。

大利益故。行大直道。無留難故。
だいりやっこ。ぎょうたいぢきどう。

●用語の解説

○善哉(ぜんざい)  (梵)サドゥ "sadhu"
「素晴らしい!」「正しい」「優れている」「聖なる」などの意味。相手を讃える時に発する言葉。

〜小豆を甘く煮て餅をいれた食べ物を「ぜんざい」というのは、一説には、一休禅師がこれを食べて「善哉、善哉」と褒めたからだと言います。また、インドでは、サドゥというと「苦行」のこともいいます。

○善男子(ぜんなんし) (梵)クラ・プトラ "kula-putra"
「良家の息子」の意味。菩薩の自覚を持つ者たちへの呼称。
善女人は、「クラ・プトリー」"kula-putrl"という。

 

●無量義経十功徳品第三 #6 2015/1/26(月) 午前 11:14

第五 来至住の問に答う

●現代語訳

善男子よ。あなたは、この教えが、どこから来て、どこへ去り、どこへとどまるのかを問いました。では、お答えしましょう。しっかりと聞いてください。善男子。この教えは、本、諸仏の心の内より来て、去って一切衆生の悟りを求める心に至り、多くの菩薩の修行の中にとどまります。善男子。この教えは、この様に来て、この様に去って、この様にとどまります。

●訓読

善男子。汝、『この経は何れの所よりか来り、去って何れの所にか至り、住って何れの所にか住する』と問わば、当に善く諦かに聴くべし。善男子、この経は、本諸仏の室宅の中より来り、去って一切衆生の発菩提心に至り、諸の菩薩所行の処に住す。善男子、この経は是の如く来り、是の如く去り、是の如く住したまえり。この故に、この経はよく是の如き無量の功徳不思議の力あって、衆をして疾く無上菩提を成ぜしむ。

●真読

善男子。汝問是経。従何所来。
ぜんなんし。にょもんぜきょう。じゅうがしょらい。

去何所至。住何所住者。当善諦聴。
こがしょし。じゅうがしょじゅうしゃ。とうぜんたいちょう。

善男子。是経本従。諸仏宮宅中来。
ぜんなんし。ぜきょうほんじゅう。しょぶつしったくちゅうらい。

去至一切衆生。発菩提心。住諸菩薩。所行之処。
こしいっさいしゅじょう。ほつぼだしん。じゅうしょぼさつ。しょぎょうししょ。

善男子。是経如是来。如是去。
ぜんなんし。ぜきょうにょぜらい。にょぜこ。

如是住。是故此経。能有如是。
にょぜじゅう。ぜこしきょう。のううにょぜ。

無量功徳。不思議力。令衆疾成。無上菩提。
むりょうくどく。ふしぎりき。りょうしゅしつじょう。むじょうぼだい。

●解説

〔砧無舛龍気┐呂匹海ら来たのか? → 諸仏の心の内
¬砧無舛龍気┐呂匹海惶遒襪里?  → 一切衆生の悟りを求める心
L砧無舛龍気┐呂匹海卜韻泙襪里? → 多くの菩薩の修行の中

 

●無量義経十功徳品第三 #7 2015/1/26(月) 午前 11:43

第六 如来の試問
第七 菩薩問わんと欲して答え奉る

●現代語訳

善男子よ。あなたは、むしろこの教えに、十の常識を超えた功徳の力があることを聞きたくはありませんか?

大荘厳菩薩は申し上げました。願わくは、ぜひとも聞かせて下さい。

●訓読

善男子。汝、寧ろこの経に、また十の不思議の功徳力あるを聞かんと欲するや不や。

大荘厳菩薩の言さく。願わくは聞きたてまつらんと欲す。

●真読

善男子。汝寧欲聞。是経復有。十不思議。功徳力不。
ぜんなんし。にょにょうよくもん。ぜきょうぶう。じっぷしぎ。くどくりきふ。

大荘厳菩薩言。願。楽欲聞。
だいしょうごんぼさつごん。がん。ぎょうよくもん。

●解説

釈尊が、無量義経の「十の不思議の功徳力」を知りたいかを大荘厳菩薩に確認をして、大荘厳菩薩がそのことをお聞きしたいと願いました。ここでは、「十の不思議の功徳力」が説かれますので、このことから「十功徳品」という品題があります。これから先は、「十の不思議の功徳力」を譬えを入れながら説かれます。

 ‐心不思議力
 義生不思議力
 Aセ嬋垰弋栂
 げ子不思議力
 ノ胸夘垰弋栂
 治等不思議力
 Ь淺不思議力
 得忍不思議力
 抜済不思議力
 登地不思議力

『無量義経』は、成仏へと導く教えなのですから、最初の功徳は、「発菩提心」であり、最終的な功徳が、成仏であることは言うまでもありません。

 

●無量義経十功徳品第三 #8 2015/2/10(火) 午後 0:21

第八 如来、正に答う  十功徳力…第一の功徳「浄心不思議力」

現代語訳

釈尊はおっしゃいました。

善男子よ。第一に、この教えは、菩薩の未だ成仏を目指していない者には、菩提心を発さしめます。

情け深さのない者には、慈しみの心を起こさしめ、生き物を好んで殺す者には、生命を助けたいという心を起こさしめ、自分の劣等感から、他者に対し嫉妬を起こす者には、自分を高める喜びの心を起こさしめ、執着する者には、執着を捨てる心を起こさしめ、物惜しみする者には、布施の心を起こさしめ、おごり高ぶって人を見下し、自分勝手なことをする者には、持戒の心を起さしめ、怒りや恨みの多い者には、忍辱の心を起さしめ、怠け心のある者には、精進の心を起さしめ、心の乱れやすい者には、禅定の心を起さしめ、真理を知らない者には、智慧の心を起さしめます。

未だ他者を救う心のない者には、他者を救う心を起こさしめ、十悪を行ずる者には十善の心を起さしめ、物質的幸せを願う者には、精神的幸せを願う心を志さしめ、修行に対しあきらめの心を起こす者には、不退の心を作さしめ、煩悩のままに生きる者には、煩悩から離れる心を起こさしめ、煩悩多き者には、煩悩を捨て去る心を起こさしめます。

善男子よ。これをこの教えの第一の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

仏の言わく。

善男子。第一に、この経は、よく菩薩の未だ発心せざる者をして菩提心を発さしめ、

慈仁なき者には慈心を起さしめ、殺戮を好む者には大悲の心を起さしめ、嫉妬を生ずる者には随喜の心を起さしめ、愛著ある者には能捨の心を起さしめ、諸の慳貪の者には布施の心を起さしめ、きょう慢多き者には持戒の心を起さしめ、瞋恚盛んなる者には忍辱の心を起さしめ、懈怠を生ずる者には精進の心を起さしめ、諸の散乱の者には禅定の心を起さしめ、愚痴多き者には智慧の心を起さしめ、

未だ彼を度すること能わざる者には彼を度する心を起さしめ、十悪を行ずる者には十善の心を起さしめ、有為を楽う者には無為の心を志さしめ、退心ある者には不退の心を作さしめ、有漏を為す者には無漏の心を起さしめ、煩悩多き者には除滅の心を起さしむ。

善男子、これをこの経の第一の功徳不思議の力と名く。

●真読

仏言。善男子。第一是経。
ぶつごん。ぜんなんし。だいいちぜきょう。

能令菩薩。未発心者。発菩提心。
のうりょうぼさつ。みほっしんじゃ。ほつぼだいしん。

無慈仁者。起於慈心。好殺戮者。起大悲心。
むじにんしゃ。きおじしん。ごうせつりくしゃ。きたいひしん。

生嫉妬者。起隨喜心。有愛著者。起能捨心。
しょうしっとしゃ。きずいきしん。うあいぢゃくしゃ。きのうしゃしん。

諸慳貪者。起布施心。多驕慢者。起持戒心。
しょけんどんしゃ。きふせしん。きじかいしん。

瞋恚盛者。起忍辱心。生懈怠者。起精進心。
しんにじょうしゃ。きにんにくしん。しょうけだいしゃ。きしょうじんしん。

諸散亂者。起禪定心。於愚癡者。起智慧心。
しょさんらんしゃ。きぜんじょうしゃ。おぐちしゃ。きちえしん。

未能度彼者。起度彼心。行十悪者。起十善心。
みのうどひしゃ。きどひしん。ぎょうじゅうあくしゃ。きじゅうぜんしん。

楽有為者。志無為心。有退心者。作不退心。
ぎょうういしゃ。しむいしん。うたいしんじゃ。さふたいしん。

為有漏者。起無漏心。多煩悩者。起除滅心。
いうろしゃ。きむろしん。たぼんのうしゃ。きじょめっしん。

善男子。是名是経。第一功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいいちくどく。ふしぎりき。

●解説

ここからは、無量義経を行ずる者の、第一の功徳から第十の功徳までが説かれます。最初に説かれる第一の功徳が最も重要です。

○未発心者→発菩提心
『無量義経』は、成仏に導く教えですから、まずは、成仏を求める心のない者には、成仏を目指す心を起こさしめます。成仏を求める心を菩提心といい、菩提心を起こすことを「発菩提心」といいます。もし、『法華三部経』を学ぶ者で、菩提心がないのであれば、すべての教えは単なる言葉の羅列となってしまいますので、ぜひ、菩提(悟り)とは何か、菩提心とは何か、自分は発菩提心の功徳を頂いているのかをご確認下さい。

○無慈仁者→起於慈心

○好殺戮者→起大悲心

○生嫉妬者→起隨喜心

○有愛著者→起能捨心

○諸慳貪者→起布施心

○多驕慢者→起持戒心

○瞋恚盛者→起忍辱心

○生懈怠者→起精進心

○諸散乱者→起禅定心

○於愚癡者→起智慧心

○未能度彼者→起度彼心

○行十悪者→起十善心

○楽有為者→志無為心

○有退心者→作不退心

○為有漏者→起無漏心

○多煩悩者→起除滅心

 

●無量義経十功徳品第三 #9 2015/2/10(火) 午後 0:58

第八 如来、正に答う  十功徳力…第二の功徳「義生不思議力」

●現代語訳

善男子よ。第二にこの教えの優れた功徳力とは、もし、ある人がこの教えを聞くことができたとき、もしは、一通り聞き、もしくは、一つの詩を聞き、もしくは、一句を聞いたならば、数多くの教えに通じて、数多くの他の教えをも理解することができるようになります。数多くの教えを受持することになりますので、長い年月をかけても、その教えを説きつくすことが出来ない程になるでしょう。なぜならば、この教えは、教義が無量の教えに通じているからです。

善男子よ。たとえば、一つの種が芽を出し、成長し、花を咲かせ、種をつけた時、一つの種から多くの種を生じます。その多くの種の一つ一つからは、また、さらに多くの種を生じ、次々と増えて、いつしか無量の収穫になる様に、この教えも、一つの教えから多くの教義が生じ、多くの教義の一つ一つからさらに多くの教義が生じ、次々と教義が通じて、無量の教義が生じます。このために、この教えを無量義と名付けます。善男子よ。これをこの教えの第二の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第二に、この経の不可思議の功徳力とは、もし衆生あって、この経を聞くことを得ん者、もしは一転、もしは一偈 乃至一句もせば、則ちよく百千億の義に通達して、無量数劫にも受持する所の法を演説すること能わじ。所以は何ん、それこの法は義無量なるを以ての故に。

善男子。この経は、譬えば一の種子より百千万を生じ、百千万の中より一一にまた百千万数を生じ、是の如く展転して、乃至無量なるが如く、この経典もまたまた是の如し。一法より百千の義を生じ、百千の義の中より一一にまた百千万数を生じ、是の如く展転して乃至無量無辺の義あり。この故にこの経を無量義と名く。善男子、これをこの経の第二の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第二是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいにぜきょう。ふかしぎ。くどくしゃ。

若有衆生。得聞是経者。若一転。
にゃくうしゅじょう。とくもんぜきょうしゃ。にゃくいってん。

若一偈。乃至一句。則能通達。
にゃくいちげ。ないしいっく。そくのうつうだつ。

百千億義。無量数劫。不能演説。
ひゃくせんのくぎ。むりょうしゅこう。ふのうえんぜつ。

所受持法。所以者何。以其是法。義無量故。
しょじゅじほう。しょいしゃが。いごぜほう。ぎむりょうこ。

善男子。是経譬如。従一種子。
ぜんなんし。ぜきょうひにょ。じゅういっしゅし。

生百千万。百千万中。一一復生。
しょうひゃくせんまん。ひゃくせんまんちゅう。いちいちぶしょう。

百千万数。如是展転。乃至無量。
ひゃくせんまんじゅ。にょぜてんでん。ないしむりょう。

是経典者。亦復如是。従於一法。
ぜきょうでんしゃ。やくぶにょぜ。じゅうおいっさい。

生百千義。百千義中。一一復生百千万数。
しょうひゃくせんぎ。ひゃくせんぎちゅう。いちいちぶしょうひゃくせんまんじゅ。

如是展転。乃至無量無辺之義。是故此経。名無量義。
にょぜてんでん。ないしむりょうむへんしぎ。ぜこしきょう。みょうむりょうぎ。

善男子。是名是経。第二功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいにくどく。ふしぎりき。

 

●無量義経十功徳品第三 #10 2015/2/10(火) 午後 1:42

第八 如来、正に答う  十功徳力…第三の功徳「船師不思議力」

●現代語訳

善男子よ。第三にこの教えの優れた功徳力とは、もし、ある人がこの教えを聞くことができたとき、もしは、一通り聞き、もしくは、一つの詩を聞き、もしくは、一句を聞いて、多くの教義に通達したならば、煩悩があっても煩悩がない者のように、現象の変化を恐れることがなくなります。多くの人々に対して、哀れだという心を起こし、一切のものに対して、力強く健やかな想いを得ます。

勇ましき力士が重たいものを持ち挙げ、よく保つように、この教えを保つ者もまた同じです。悟りという重い宝をかつぎ、人々をかついで、現象に振り回される生き方から救いだします。未だ、自分が救われていなくても、よく他者を救います。

船頭が重病にかかり、身体が動かなくなり、こちら岸に船を止めている時も、船が頑丈であり、船の操縦方法を伝える事が出来れば、船を向こう岸へと渡すことが出来ます。この教えを保つ者もこの船頭と同じです。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人という五道を輪廻する身であり、百八の煩悩に満ち、常にその状態にあって、真理を知らず、老いや死の苦しみのこの世界にあったとしても、非常に優れた大乗の無量義の教えが衆生を救うということをしっかりと理解して、その教えの様に修行するならば、人々を苦しみから救いだすことができます。善男子よ。これをこの教えの第三の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第三に是の経の不可思議の功徳力とは、もし衆生あって、この経を聞くことを得て、もしは一転、もしは一偈乃至一句もせば、百千万億の義に通達しおわって、煩悩ありと雖も煩悩なきが如く、生死に出入すれども怖畏の想なけん。諸の衆生に於て憐愍の心を生じ、一切の法に於て勇健の想を得ん。

壮んなる力士の諸有の重き者をよく担いよく持つが如く、この持経の人もまたまた是の如し。よく無上菩提の重き宝を荷い、衆生を担負して生死の道を出す。未だ自ら度すること能わざれども、已によく彼を度せん。

なお、船師の身重病に嬰り、四体御まらずして、この岸に安止すれども、好き堅牢の舟船常に 諸の彼を度する者の具を弁ぜることあるを、給い与えて去らしむるが如く。この持経者もまたまた是の如し。五道諸有の身、百八の重病に嬰り、恒常(つね)に相纏(あいまと)わされて無明・老・死のこの岸に安止せりといえども、しかも堅牢なるこの大乗経無量義のよく衆生を度することを弁ずることあるを、説の如く行ずる者は、生死を度することを得るなり。善男子、これをこの経の第三の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第三是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいさんぜきょう。ふかしぎ。くどくりきしゃ。

若有衆生。得聞是経。若一転。若一偈。
にゃくうしゅじょう。とくもんぜきょう。にゃくいってん。にゃくいちげ。

乃至一句。通達百千万億義已。雖有煩悩。
ないしいっく。つうだつひゃくせんまんのくぎい。すいうぼんのう。

如無煩悩。出入生死。無怖畏想。於諸衆生。
にょむぼんのう。しゅつにゅうしょうじ。おしょしゅじょう。

生憐愍心。於一切法。得勇健想。
しょうれんみんしん。おいっさいほう。とくゆうぐんそう。

如壯力士。能擔能持。諸有重者。
にょしょうりきし。のうたんのうぢ。しょうじゅうしゃ。

是持経人。亦復如是。能荷無上菩提重宝。
ぜじきょうじん。やくぶにょぜ。のうかむじょうぼだいじゅうほう。

擔負衆生。出生死道。
たんぶしゅじょう。すいしょうじどう。

未能自度。已能度彼。猶如船師。身嬰重病。
みのうじど。いのうどひ。ゆうにょせんし。しんようじゅうびょう。

四体不御。安止此岸。有好堅牢船舟。
したいふご。あんししがん。うこうけんろうしゅせん。

常弁諸度。彼者之具。給与而去。
じゅうべんしょど。ひしゃしぐ。きゅうよにこ。

是持経者。亦復如是。雖嬰五道。
ぜじきょうじゃ。やくぶにょぜ。すいようごどう。

諸有之身。百八重病。常恒相纒。
しょうししん。ひゃくはちじゅうびょう。ごうじょうそうでん。

安止無明。老死此岸。而有堅牢。
あんしむみょう。ろうししがん。にうけんろう。

此大乗経。無量義弁。能度衆生。
しだいじょうきょう。むりょうぎべん。のうどしゅじょう。

如説行者。得度生死。
にょせつぎょうしゃ。とくどしょうじ。

善男子。是名是経。第三功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいさんくどく。ふしぎりき。

●解説

本人の智慧や慈悲が、たとえ低くても、この無量義の教えを学び、実践すれば自他を成仏へと導くことができます。最初からすべてを悟って行動を始める人はいません。

子供の頃、親や学校の先生に言われて以来、ずっと「あいさつ」をし続けてきましたが、あいさつの大切さを心から感じたのは大人になってからのことです。そして、最近になってあいさつは成仏の道だと深く感じました。子供の頃は、ただ言われてあいさつをしていましたが、その行為は善業となっていると思います。本人が深く分かっていなくても、実践をすれば功徳があります。実践を繰り返すうちに智慧が起こり、慈悲の心も起こるのでしょう。

 

●無量義経十功徳品第三 #11 2015/2/14(土) 午後 5:49

第八 如来、正に答う

ぢ荵佑慮徳「王子不思議力」

●現代語訳

善男子。第四にこの教えの優れた功徳力とは、もし、ある人がこの教えを聞くことができたとき、もしは一通り聞き、もしくは一つの詩を聞き、もしくは一句を聞いて、勇ましく健やかな想いを得たならば、まだ自分自身が救われていなくても、他者を救うことができます。多くの菩薩たちの仲間となり、諸仏は、常にこの人に向かって教えを説かれます。この人は、その教えをよく聴き、よく受持し、その通りに修行して逆らうことはありません。受持した教えを次々と広く人々に伝え、伝えるときは、相手に応じて教えを説くでしょう。

善男子。この人は、譬えば、国王と王妃との間に生まれた王子の様です。その王子は、もしは一日、もしは二日、もしは七日に至り、もしは一月、もしは二月、もしは七月に至り、もしは一歳、もしは二歳、もしは七歳に至り、まだ国事を治めることが出来なくても、家臣や国民に尊敬され、多くの大王の王子たちと仲間となります。王と夫人からの愛はひとえに重く、常に王子を可愛がり、いつも共に話します。なぜならば、王子はまだ幼いからです。

善男子。この教えを保つ者も同じです。諸仏が国王であり、この教えが王妃にあたり、二人が和合して誕生した王子は菩薩にあたります。もし、菩薩が、この教えを聞くことができたとき、もしは一句、もしは一つの詩、もしは一通り、もしは二度、もしは何度でも繰り返し学び、さらに数えきれない程に学んだならば、まだ究極の真理を悟っていなくても、世界の国土を感動によって震動させることができなくても、その声が雷の様に震えることがなく、綺麗な声色をもって大いなる説法を他者に弘めるに至らなくとも、一切の男女の出家者、在家者や天の神々、魔神たちに尊敬され仰がれ、多くの大菩薩たちの仲間となるでしょう。深く諸仏の秘密の教えに入って、演説するところは、真実を誤ることがなく、重要な点を損なうことがなく、常に諸仏に護られ、慈愛に包まれます。それは、新しく菩薩の仲間に入ったばかりだからです。善男子よ。これをこの教えの第四の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第四にこの経の不可思議の功徳力とは、もし衆生あって、この経を聞くことを得て、もしは一転、もしは一偈 乃至 一句もせば、勇健の想を得て、未だ自ら度せずと雖もしかもよく他を度せん。諸の菩薩と以て眷属と為り、諸仏如来、常に是の人に向ってしかも法を演説したまわん。この人聞きおわって悉くよく受持し、随順して逆らわじ。転(うた)たまた人の為に宜しきに随って広く説かん。

善男子。この人は譬えば、国王と夫人と、新たに王子を生ぜん。もしは一日もしは二日、もしは七日に至り、もしは一月、もしは二月、もしは七月に至り、もしは一歳、もしは二歳、もしは七歳に至り、また国事を領理すること能わずと雖も已に臣民に宗敬せられ、諸の大王の子を以て伴侶とせん、王及び夫人、愛心偏に重くして常に与みし共に語らん。所以は何ん、稚小なるを以ての故にといわんが如く。

善男子。この持経者もまたまた是の如し。諸仏の国王とこの経の夫人と和合して、共にこの菩薩の子を生ず。もし菩薩、この経を聞くことを得て、もしは一句、もしは一偈、もしは一転、もしは二転、もしは十、もしは百、もしは千、もしは万、もしは億万恒河沙無量無数転せば、また真理の極(ごく)を体(さと)ること能わずといえども、また三千大千の国土を震動し、雷奮梵音をもって大法輪を転ずること能わずといえども、すでに一切の四衆・八部にたっとみ仰がれ、諸の大菩薩を以て眷属とせん。深く諸仏秘密の法に入って、演説する所違うことなく失なく、常に諸仏に護念し慈愛偏に覆われん、新学なるを以ての故に。善男子、これをこの経の第四の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第四是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいしぜきょう。ふかしぎ。くどくりきしゃ。

若有衆生。得聞是経。
にゃくうしゅじょう。とくもんぜきょう。

若一転。若一偈。乃至一句。
にゃくいってん。にゃくいちげ。ないしいっく。

得勇健想。雖未自度。而能度他。与諸菩薩。
とくゆうごんそう。すいみじど。にのうどた。よしょぼさつ。

以為眷属。諸仏如来。常向是人。而演説法。
いいけんぞく。しょぶつにょらい。じょうこうぜにん。にえんぜっぽう。

是人聞已。悉能受持。隨順不逆。
ぜにんもんに。しつのうじゅじ。ずいじゅんふぎゃく。

転復為人。隨宜広説。
てんぶいにん。ずいぎこうせつ。

善男子。是人譬如。国王夫人。新生王子。
ぜんなんし。ぜにんひにょ。こくおうぶにん。しんじょうおうじ。

若一日。若二日。若至七日。
にゃくいちにち。にゃくににち。にゃくししちにち。

若一月。若二月。若至七月。
にゃくいちがつ。にゃくにがつ。にゃくししちがつ。

若一歳。若二歳。若至七歳。
にゃくいっさい。にゃくにさい。にゃくししちさい。

雖復不能。領理国事。己為臣民。
すいぶふのう。りょうりこくじ。いいじんみん。

之所宗敬。諸大王子。以為伴侶。王及夫人。
いしょしゅうきょう。しょだいおうじ。いいばんりょ。おうぎゅうぶにん。

愛心偏重。常与共語。所以者何。以稚小故。
あいしんへんじゅう。じょうよぐご。しょいしょが。いちしょうこ。

善男子。是持経者。亦復如是。諸仏国王。
ぜんなんし。ぜじきょうしゃ。やくぶにょぜ。しょぶつこくおう。

是経夫人。和合求生。是菩薩子。
ぜきょうぶにん。わごうぐしょう。ぜぼさつし。

若菩薩。得聞是経。若一句。若一偈。
にゃくぼさつ。とくもんぜきょう。にゃくいっく。にゃくいちげ。

若一転。若二転。若十。若百。
にゃくいってん。にゃくにてん。にゃくじゅう。にゃくひゃく。

若千。若万。若億万。恒河沙。
にゃくせん。にゃくせん。にゃくおくまん。ごうがしゃ。

無量無数転。雖復不能。体真理極。
むりょうむしゅてん。すいぶふのう。たいしんりごく。

雖復不能。震動。三千大千国土。
すいぶふのう。しんどう。さんぜんだいこくど。

雷震梵音。転大法輪。己為一切。
らいしんぼんのん。てんだいほうりん。いいいっさい。

四衆八部。之所宗仰。諸大菩薩。
ししゅはちぶ。ししょしゅごう。しょだいぼさつ。

以為眷属。深入諸仏。祕密之法。
いいけんぞく。じんにゅうしょぶつ。ひみつしほう。

所可演説。無違無失。常為諸仏。
しょかえんぜつ。むいむしつ。じょういしょぶつ。

之所護念。慈愛偏覆。以新学故。
ししょごねん。じあいへんぶ。いしんがっこ。

善男子。是名是経。第四功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいしくどく。ふしぎりき。

 

●無量義経十功徳品第三 #12 2015/2/14(土) 午後 6:07

第八 如来、正に答う

ヂ荼泙慮徳「龍子不思議力」

●現代語訳

善男子よ。第五にこの教えの優れた功徳力とは、もし善男子、善女人が、もしは仏の在世に、もしは滅度の後に、この非常に奥深い大乗の無量義の教えを、受持し、読誦し、書写することが出来たならば、この人がまだ煩悩に縛られていて、まだ、様々な凡人の生活習慣から離れ切れない状態にあったとしても、よく大菩薩と同じ修行を実現することができ、一日を百万年に延ばし、百万年を一日に縮めることができ、多くの人々が、教えを受け、学び、実践することに喜びを感じるように導くことができ、信じて従う様にすることができます。

善男子よ。この善男子、善女人は、譬えれば、龍の子が生まれて七日で、よく雲を集めて雨をふらすのと同じです。善男子。これをこの教えの第五の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第五にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、それ是の如き甚深無上大乗無量義経を受持し読誦し書写することあらん。この人また具縛(ぐばく)煩悩にして、未だ諸の凡夫の事を遠離すること能わずと雖も、しかもよく大菩薩の道を示現し、一日を演べて以て百劫と為し、百劫をまたよく促(ちぢ)めて一日と為して、かの衆生をして歓喜し信伏せしめん。

善男子。是の善男子・善女人、譬えば、龍子始めて生れて七日に、即ちよく雲を興し、またよく雨を降らすが如し。善男子、これをこの経の第五の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第五是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいごぜきょう。ふかしぎ。くどくりきしゃ。

若善男子。善女人。若仏在世。若滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。にゃくぶつざいせ。にゃくめつどご。

其有受持。読誦書寫。如是甚深。無上大乗。
ごうじゅじ。どくじゅしょしゃ。にょぜじんじん。むじょうだいじょう。

無量義経。是人雖復。具縛煩悩。未能遠離。
むりょうぎきょう。ぜにんすいぶ。ぐばくぼんのう。みのうおんり。

諸凡夫事。而能示現。大菩提道。演於一日。
しょぼんぶじ。にのうじげん。だいぼだいどう。えんのいちにち。

以為百劫。百劫亦能。促為一日。
いいひゃくこう。ひゃくこうやくのう。そくいいちにち。

令彼衆生。歓喜信伏。
りょうひしゅじょう。かんきしんぶく。

善男子。是善男子。善女人。
ぜんなんし。ぜぜんなんし。ぜんにょにん。

譬如龍子。始生七日。即能興雲。亦能降雨。
ふにょりゅうし。ししょうしちにち。そくのうこううん。やくのうごうう。

善男子。是名是経。第五功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいごくどく。ふしぎりき。

●解説

ここに受持・読・誦・書写という表現が出てきます。『法華経』では、これに"解説"がはいり、受持・読・誦・解説・書写の五行を「五種法師の行」といいます。法師とは、法を広める者のことです。

 

●無量義経十功徳品第三 #13 2015/2/14(土) 午後 6:27

第八 如来、正に答う

β莽擦慮徳「治等不思議力」

●現代語訳

善男子よ。第六にこの教えの優れた功徳力とは、もし善男子、善女人が、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、この教えを受持し、読誦する者は、煩悩があったとしても、人々のために教えを説いて、煩悩と迷いを遠ざけ、一切の苦を断ち切ることを得させます。人々は、この人の教えを聞いて修行して、教えを得ること、教えの果を得ること、修行の道を得ること、仏・如来と同じであり差がありません。

譬えば、王子がまだ幼くても、王が国土を巡回していて不在だったり、または病気で倒れた場合などには、この王子に国事をまかせることがあるでしょう。王子は、この時、大王の命令に従って、国で定めた法律の通りに大臣や官僚、役人たちに指示を出し、正しくことを述べ伝えれば、国民一人一人がその重要なところにしたがって、大王が行う政治と同様の結果に成ります。この教えを保つ善男子・善女人も同じです。もしは仏の在世、もしは滅度の後に、この善男子が、まだ空の悟りによる大慈大悲の心にとどまっていなくても、この教えを説く仏の心を理解して、人々に説き弘め、人々が聞いて一心に修行したならば、煩悩を断ち切って除き、教えを得、教えによる結果を得、教えの道を得ることができます。善男子。これをこの教えの第六の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第六にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、この経典を受持し読誦せん者は、煩悩を具せりといえども、しかも衆生の為に法を説いて、煩悩生死を遠離し一切の苦を断ずることを得せしめん。衆生聞きおわって修行して、得法・得果・得道すること、仏如来と等しくして差別なけん。

譬えば、王子また稚小なりといえども、もし王の巡遊し、及び疾病するに、この王子に委せて国事を領理せしむ。王子この時大王の命に依って、法の如く群僚百官を教令し正化を宣流するに、国土の人民各其の要に随って、大王の治するが如く等しくして異ることあることなきが如く。持経の善男子・善女人も、またまた是の如し。もしは仏の在世、もしは滅度の後、この善男子未だ初不動地に住することを得ずといえども、仏の是の如く教法を用説したもうに依って、しかもこれを敷演せんに、衆生聞きおわって一心に修行せば、煩悩を断除し、得法・得果・乃至得道せん。善男子、これをこの経の第六の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第六是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいろくぜきょう。ふかしぎ。くどくりき。

若善男子。善女人。若仏在世。若滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。にゃくぶつざいせ。にゃくめつどご。

受持読誦。是経典者。雖具煩悩。
じゅじどくじゅ。ぜきょうでんしゃ。すいぐぼんのう。

而為衆生説法。令得遠離。煩悩生死。
にいしゅじょうせっぽう。りょうとくおんり。ぼんのうしょうじ。

断一切苦。衆生聞已。修行得法。
だんいっさいく。しゅじょうもんに。しゅぎょうとくほう。

得果得道。与仏如来。等無差別。
とくかとくどう。よぶつにょらい。とうむしゃべつ。

譬如王子。雖復稚小。若王巡遊。
ひにょおうじ。すいぶちしょう。にゃくおうじゅんゆう。

及以疾病。委是王子。領理国事。
ぎゅういしつびょう。いぜおうじ。りょうりこくじ。

王子是時。依大王命。如法教令。
おうじぜじ。えだいおうみょう。にょほうきょうりょう。

群寮百官。宣流正化。国土人民。
ぐんりょうひゃくかん。せんるしょうけ。こくどにんみん。

各隨其要。如大王治。等無有異。
かくずいごよう。にょだいおうじ。とうむうい。

持経善男子。善女人。亦復如是。
じきょうぜんなんし。ぜんにょにん。やくぶにょぜ。

若仏在世。若滅度後。是善男子。
にゃくぶつざいせ。にゃくねつどご。ぜぜんなんし。

雖未得住。初不動地。依仏如是。
すいみとくじゅう。しょふどうぢ。えぶつにょぜ。

用説教法。而敷演之。衆生聞已。
ようせつきょうほう。にふえんし。しゅじょうもんに。

一心修行。断除煩悩。得法得果。乃至得道。
いっしんしゅぎょう。だんじょぼんのう。とくほうとっか。ないしとくどう。

善男子。是名是経。第六功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいろくくどく。ふしぎりき。

●解説

この第六の功徳では、まだ自分自身が未熟であっても、仏法に従って教えを説けば、相手を教化できるということが説かれています。この教えは、まずは人様を成仏へと導きなさいという教えですから、その心で教えを説くことによって、人々は仏道実践を始めるということです。

 

●無量義経十功徳品第三 #14 2015/2/15(日) 午後 5:05

第八 如来、正に答う

第七の功徳「賞封不思議力」

●現代語訳

善男子よ。第七にこの教えの優れた功徳力とは、もし善男子、善女人が、もしは仏の在世、もしは滅度の後において、この教えを聞くことを得て、歓喜し、信じ、感謝の心を起こし、受持し、読誦し、書写し、解説し、教えの様に修行し、悟りを求める心を起こし、様々な善根を起こし、大悲の心を興して、一切の苦悩する人々を救おうと願ったならば、まだ六波羅蜜を得ていなくても、六波羅蜜が自然にそなわり、即ち、この身において空の悟りを得、迷いや煩悩がたちまちの内に断ち切られ、菩薩の第七の境地である遠行地に昇ります。遠行地は、方便波羅蜜を完成させ、自他の間の差別をなくした境地です。

譬えれば、勇者が王のために敵を全て倒した時、王が大いに歓喜して、国の半分を褒美として与える様に、この教えを保つ善男子・善女人も同様のことが言えます。様々な修行をする人の中で、最も勇ましく健やかです。六波羅蜜の行を求めてはいなくても、自然に身についてきます。現象の変化による迷いも自然に消え去り、仏の悟りの半分である空の悟りを得ることができ、ほうびとして仏よりさらなる悟りに導かれ、安らかで楽しい境地になります。善男子よ。これをこの教えの第七の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第七にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、仏の在世、もしは滅度の後に於て、この経を聞くことを得て、歓喜し信楽し希有の心を生じ、受持し読誦し書写し解説し説の如く修行し、菩提心を発し、諸の善根を起し、大悲の意を興して、一切の苦悩の衆生を度せんと欲せば、未だ六波羅蜜を修行することを得ずといえども、六波羅蜜自然に在前し、即ちこの身に於て無生法忍を得、生死・煩悩一時に断壊して菩薩の第七の地に昇らん。

譬えば、健やかなる人の王の為に怨を除くに、怨既に滅しおわりなば王大に歓喜して、賞賜するに半国の封悉く以てこれを与えんが如く、持経の善男子・善女人も、またまた是の如し。諸の行人に於て最もこれ勇健なり。六度の法宝求めざるに自ら至ることを得たり。生死の怨敵自然に散壊し、無生忍の半仏国の宝を証し、封の賞あって安楽ならん。善男子、これをこの経の第七の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第七是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいしちぜきょう。ふかしぎ。くどくりき。

若善男子。善女人。於仏在世。若滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。おぶつざいせ。にゃくめつどご。

得聞是経。歓喜信楽。生希有心。
とくもんぜきょう。かんぎしんぎょう。しょうけうしん。

受持読誦。書寫解説。如説修行。発菩提心。
じゅじどくじゅ。しょしゃげせつ。にょぜしゅぎょう。ほつぼだいしん。

起諸善根。興大悲意。欲度一切。苦悩衆生。
きしょぜんごん。こうだいひい。よくどいっさい。くのうしゅじょう。

雖未得修行。六波羅蜜。六波羅蜜。自然在前。
すいみとくしゅぎょう。ろくはらみつ。ろくはらみつ。じねんざいぜん。

即於是身。得無生法忍。生死煩悩。
そくおぜしん。とくむしょうぼうにん。しょうじぼんのう。

一時断壊。昇於菩薩。第七之地。
いちじだんね。しょうおぼさつ。だいしちじ。

譬如健人。為王除怨。怨既滅已。王大歓喜。
ひにょごんにん。いおうじょおん。おんきめっち。おうだいかんぎ。

賞賜半国之封。悉以与之。持経善男子。善女人。
しょうしはんごくしふ。しっちよし。じきょうぜんなんし。ぜんにょにん。

亦復如是。於諸行人。最為勇健。六度法宝。
やくぶにょぜ。おしょぎょうにん。さいいゆうごん。ろくどほうほう。

不求自得至。生死怨敵。自然散壊。
ふぐじとくし。しょうじおんぢゃく。じねんさんね。

証無生忍。半仏国宝。封賞安楽。
しょうむしょうにん。はんぶっこくほう。ふしょうあんらく。

善男子。是名是経。第七功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいしちくどく。ふしぎりき。

●解説

第七の功徳では、受持・読・誦・解説・書写という「五種法師の行」が揃います。受持とは、教えを聞いて同意して歓喜し、信じ、感謝の心を起こして、その教えをしっかりと保つことです。教えを受持し、行じることによって、この教えの第一の功徳を得ることができます。それは菩提心を起こし、善行を為す心を起こし、慈悲の心を起こし、衆生を救おうという心を起こすことであり、この第一の功徳を得て「五種法師の行」を為せば、なんと六波羅蜜を修行しようと努めなくても、自然に六波羅蜜を得ることが出来るといいます。

六波羅蜜とは、『般若経群』で説かれる菩薩の行のことで、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六行の完成のことを言います。

●用語の解説

○六波羅蜜(ろくはらみつ) (梵)サット・パーラミター "sat paaramitaa"

空の智慧を慈悲の心で実践する菩薩の六つの行のことです。布施・持戒・忍辱の行を為し、それを続け(精進)、禅定に入ることによって智慧を得ます。空の智慧とは、「依ってあるものに実体はない」という智慧です。自他一体について、最初は学んで知識として知ることになりますが、自他の区別なく布施をすることによって、自他一体の境地に近づいていきます。

”杙棔覆佞察 (梵)ダーナ "daana" 与えること、分かち合うことです。

自分、自分のものという執着を捨てて、自他一体の境地を得るために、自分を布施し、自分のものを布施します。「自分が他者に心身物品を与える」と想うのは、「自分」「他者」「心身物品」というものに執着していることですから、布施をする者、布施をされる者、布施されるものという想いさえも想いません。

∋戒(じかい) (梵)シーラ "Siila" 戒を守ることです。

ルールがなければ、各自は自身の想いによって行動します。秩序を保ち、共に成仏を目指すためには、行動の基準を定め、僧伽の全員が同意して誓い、守ることが必要です。戒とは、律とは違って罰はありません。自らが誓い、自らが守り、もし破戒すれば懺悔します。持戒とは、自己中心的な想いを捨てて、全体に自分を合わせますから、自他一体の行です。

G辱(にんにく) (梵)クシャーンティ "kSaanti" 忍耐のことです。

他者からの攻撃を受けても怒らず、褒められても浮かれることがなく、平常心を保ちます。自分と他者という分別があるから、嫉妬し、憎み、怨み、怒りという感情を起こします。自他一体の境地であれば、これらの感情は起こりません。自分の感情を観て、自分の感情をコントロールすることによって、自他一体の境地を目指します。

だ鎖福覆靴腓Δ犬鵝 (梵)ヴィーリヤ "viirya"

布施・持戒・忍辱の行を日々怠らず、頑張らずに実践することです。ただし、初期においても、禅定・智慧の行も実践することが必要です。最初は、布施や持戒や忍辱の行をし、その行を振り返って反省し、気づきを得るようにします。慣れてきたら、布施・持戒・忍辱の行をし、禅定によって智慧を得て、その智慧によって、布施・持戒・忍辱の行を為すという、螺旋階段を登って行くようにすべての行を完成へと進めていきます。

チ議蝓覆爾鵑犬腓Α (梵)ディヤーナ "dhyaana"

心を集中して思惟し、さらには概念から離れた無分別の観法によって、自他を観察することです。初期においては、一日に少しの時間でも心を落ち着かせ、静かな時間を過ごすようにし、慣れてきたら自分を振り返り、反省し、自分を観察する時間を持ち、禅定へと進めていきます。禅定は、自己流では危険ですし、気づきを得られませんから、本格的な禅定を実践するのであれば、きちんとしたお寺や道場に行き、学ぶことが必要です。

γ匏邸覆舛─ (梵)プラジュニャー "prajNaa"

パーリ語のパンニャー "paJJaa" を音写して「般若」といい、意訳して「智慧」といいます。
真理を悟ることによって得ることの出来る心のはたらきのことで、最高の真理を悟ることによって、智慧が完成するといいます。智慧の完成のことを、「般若波羅蜜」といいます。

 

●無量義経十功徳品第三 #15 2015/2/16(月) 午後 8:11

第八 如来、正に答う

第八の功徳「得忍不思議力」

●現代語訳

善男子。第八にこの教えの、優れた功徳力とは、もし善男子、善女人が、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、よくこの教えを得た者は、この教えを仏と同等にみて、敬い信じることでしょう。この教えを愛し、受持し、読誦し、書写し、頂戴し、教えの様に行い、持戒、忍辱をしっかりとし、兼ねて布施波羅蜜を行い、深く慈悲の心を起して、この大乗の無量義経を広く人のために説くことでしょう。

もし、ある人が、過去の業が、現在の罪や福の元になっていることを信じないならば、この教えによって、因果応報による罪・福を示し、色々な方便を使い、強く教化して信じさせます。教えの力によって、その人の信心を引き起こし、燃え立つ想いで生きて、転生することを得ます。信心をすでに起して、勇ましく力強く修行にはげむことによって、よくこの教えの、立派で徳が高く、勢いのある力を得て、修行の道を得、修行の果を得ます。

このために善男子・善女人、教化を受けた功徳によって、男性も女性もこの身において空の悟りを得、上の境地に至ることを得て、数々の菩薩たちの仲間となって、速やかによく人々の人格を完成させ、世界を浄め、近い将来に無上の悟りを得ます。善男子よ。これをこの教えの第八の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第八にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、人あってよくこの経典を得たらん者は、敬信すること仏身を視たてまつるが如く等しくして異ることなからしめ、この経を愛楽し、受持し読誦し書写し頂戴し、法の如く奉行し、戒・忍を堅固にし、兼ねて檀度を行じ、深く慈悲を発して、この無上大乗無量義経を以て、広く人の為に説かん。

もし人先より来、すべて罪福あることを信ぜざる者には、この経を以てこれを示して、種種の方便を設け強て化して信ぜしめん。経の威力を以ての故に、其の人の信心を発し炊然として回することを得ん。信心既に発して勇猛精進するが故に、よくこの経の威徳勢力を得て、得道・得果せん。

この故に善男子・善女人、化を蒙る功徳を以ての故に、男子・女人即ちこの身に於て無生法忍を得、上地に至ることを得て、諸の菩薩と以て眷属と為りて、速かによく衆生を成就し、仏国土を浄め、久しからずして無上菩提を成ずることを得ん。善男子、これをこの経の第八の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第八是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいはちぜきょう。ふかしぎ。くどくりき。

若善男子。善女人。若仏在世。若滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。にゃくぶつざいせ。にゃくめつどご。

有人能得。是経典者。敬信如視仏身。
うにんのうとく。ぜきょうでんしゃ。きょうしんにょじぶっしん。

令等無異。愛楽是経。受持読誦。書寫頂戴。
りょうとうむい。あいらくぜきょう。じゅじどくじゅ。しょしゃちょうだい。

妙法奉行。堅固戒忍。兼行檀度。深発慈悲。
みょうほうぶぎょう。けんごかいにん。けんぎょうだんど。じんぼつじひ。

以此無上。大乗無量義経。広為人説。
いしむじょう。だいじょうむりょうぎきょう。こういにんせつ。

若人先来。都不信有罪福者。以是経示之。
にゃくにんせんらい。とふしんぬざいふくしゃ。いぜきょうじし。

設種種方便。強化令信。以経威力故。発其人信心。
せつしゅじゅほうべん。ごうけりょうしん。いきょういりきこ。ほつごにんしんじん。

忽然得迴。信心既発。勇猛精進故。
こつねんとくえ。しんじんきほつ。ゆうみょうしょうじんこ。

能得是経。威徳勢力。得道得果。
のうとくぜきょう。いとくせいりき。とくどうとっか。

是故善男子。善女人。以蒙化徳故。
ぜこぜんなんし。ぜんにょにん。いむけくどっこ。

男子女人。即於是身。得無生法忍。得至上地。
なんしにょにん。そくおぜしん。とくむしょうぼうにん。とくしじょうぢ。

与諸菩薩。以為眷属。速能成就衆生。
よしょぼさつ。いいけんぞく。そくのうじょうじゅしゅじょう。

浄仏国土。不久得成。無上菩提。
じょうぶっこくど。ふくとくじょう。むじょうぼだい。

善男子。是名是経。第八功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいはちくどく。ふしぎりき。

●解説

ここには、教えを仏と同格として敬うことを勧めています。諸仏を敬うことは大切なことですが、仏教で重視するのは、法への敬信です。仏さまを朝夕に敬い、供養をすることは信仰心として尊いのでしょうが、仏教は仏への信心と共に仏法への敬信を勧めます。仏法を学び実践することによって、成仏へと至るからです。このことは、法華経でも重視されます。

 

●無量義経十功徳品第三 #16 2015/2/16(月) 午後 8:29

第八 如来、正に答う

第九の功徳「抜済不思議力」

●現代語訳

善男子。第九にこの教えの優れたの功徳力とは、もし善男子、善女人が、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、この教えを得ることが出来て、歓喜し、躍動し、未だかつてなかった程の感動を覚え、受持し、読誦し、書写し、供養し、広く人々のためにこの教えの教義を分類して解説する者は、即ち宿業の余りある罪、重い障害をたちどころに滅することを得、まっすぐに清浄なる身となります。大いなる話力を自分のものとし、次第に様々な修行を完成させていくことで輝きを増し、様々な三昧、菩薩における高度な三昧の首楞厳三昧を得、大いなる陀羅尼門に入り、勤めて精進をし、進んでいく力を得て、速やかに菩薩の境地に昇ることを得、よく分身・散体を十方の国土に顕し、一切の世界である三界、六道、二十五有の極度の苦しみにあえぐ衆生を救済して、ことごとく迷いを滅します。この教えには、この様な力があります。善男子よ。これをこの教えの第九の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第九にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、この経を得ることあって歓喜踊躍し、未曾有なることを得て、受持し読誦し書写し供養し、広く衆人の為にこの経の義を分別し解説せん者は、即ち宿業の余罪重障一時に滅尽することを得、便ち清浄なることを得て、大弁を逮得し、次第に諸の波羅蜜を荘厳し、諸の三昧・首楞厳三昧を獲、大総持門に入り、勤精進力を得て速かに上地に越ゆることを得、善く分身散体して十方の国土に遍じ、一切二十五有の極苦の衆生を抜済して悉く解脱せしめん。この故にこの経に此(かく)の如きの力います。善男子、これをこの経の第九の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第九是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいくぜきょう。ふかしぎ。くどくりき。

若善男子。善女人。若仏在世。及滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。にゃくぶつざいせ。ぎゅうめつどご。

有得是経。歓喜踊躍。得未曾有。
うとくぜきょう。かんぎゆやく。とくみぞうう。

受持読誦。書寫供養。広為衆人。分別解説。
じゅじどくじゅ。しょしゃくよう。こういしゅにん。ぶんべつげせつ。

是経義者。即得宿業。余罪重障。一時滅盡。
ぜきょうぎしゃ。そくとくしゅくごう。よざいじゅうしょう。いちじめつじん。

便得清浄。逮得大辯。次第荘厳。諸波羅蜜。
べんとくしょうじょう。だいとくだいべん。しだいしょうごん。しょはらみつ。

獲諸三昧。首楞厳三昧。入大總持門。
ぎゃくしょさんまい。しゅりょうごんさんまい。にゅうだいそうじもん。

得懃精進力。速得越上地。善能分身散体。
とくごんしょうじんりき。そっとくおつじょうぢ。ぜんのうふんじんさんたい。

遍十方国土。拔濟一切。二十五有。極苦衆生。
へんじっぽうこくど。ばっさいいっさい。にじゅうごう。ごっくしゅじょう。

悉令解脱。是故是経。有如此力。
しつりょうげだつ。ぜこぜきょう。うにょしりき。

善男子。是名是経。第九功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいくくどく。ふしぎりき。

●解説

仏法に同意して歓喜をもって受持し、読誦し、広く人々のために解説し、書写し、仏法を供養したならば、六波羅蜜を完成させて清らかな身となります。たとえ真理を悟ったとしても、涅槃には入らず人々の教化に努めます。迷いの世界を輪廻する衆生の前に分身を現し、救済して迷いを滅します。この救済力の功徳は、かなり悟りに近い境地です。

●用語の解説

○首楞厳三昧(しゅりょうごんさんまい) (梵)"zuuraGgamasamaadhi"

阿耨多羅三藐三菩提(最高の悟り)を得ても仏の位には入らず、一切衆生の救済を行うために行う三昧のこと。

○二十五有(にじゅうごう)

凡夫が生死を繰り返しながら輪廻する世界三つに分けたものを、欲界・色界・無色界といい、それをさらに分けて二十五有という。

 

●無量義経十功徳品第三 #17 2015/2/16(月) 午後 8:49

第八 如来、正に答う

第十の功徳「登地不思議力」

●現代語訳

善男子。第九にこの教えの優れた功徳力とは、もし善男子、善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、もしこの教えを得て大歓喜を発し、感謝の心を起こし、すでに自ら受持し、読誦し、書写し、供養し、説の如く修行し、またよく広く在家や出家の人に教えを説いて、受持、読誦、書写、供養、解説を勧め、教えに従って修行する様に導いたなら、他者を教化する力によって、教えの道を得、教えに依る果を得ること、皆、この善男子・善女人の慈心をもって、勤めて教化する力によって、この善男子・善女人は即ちこの身において、数多くの様々な陀羅尼門を得ます。凡人であっても、自然に初めから多くの大誓願を起こし、深く一切衆生を救う心を起こし、大悲を成就して、広くよく人々の苦を抜き、厚く善根を集めて一切の人々に利益を与えることでしょう。

水がすべてにいきわたり、涸れた土地を潤すように、病の人々に薬を施して治療するように、教えは人々に安らぎを与えます。徐々に世界を見る目が冴えてきて、次第に自己を高めて菩薩の最高の境地である十地(法雲地)の境地にとどまります。恩のある湖は、広く人々を潤し、慈しみの心は一切に及び、苦の人々を仏の道へと穏やかに導きます。このことから、この人は長い時間を待たずとも最高の悟りを得ることができます。善男子よ。これをこの教えの第十の功徳、不思議の力と名付けます。

●訓読

善男子。第十にこの経の不可思議の功徳力とは、もし善男子・善女人、もしは仏の在世、もしは滅度の後に、もしこの経を得て大歓喜を発し、希有の心を生じ、既に自ら受持し読誦し書写し供養し説の如く修行し、またよく広く在家出家の人を勧めて、受持し読誦し書写し供養し解説し、法の如く修行せしめん。既に余人をしてこの経を修行せしむる力の故に、得道・得果せんこと、皆この善男子・善女人の慈心をもって勤(ねんごろ)ろに化する力に由るが故に、この善男子・善女人は、即ちこの身に於て便ち無量の諸の陀羅尼門を逮得せん。凡夫地に於て、自然に初めの時によく無数阿僧祇の弘誓大願を発し、深く能く一切衆生を救わんことを発し、大悲を成就し、広く能く衆の苦を抜き、厚く善根を集めて一切を饒益せん。

しこうして法の沢(うるおい)を演べて洪(おおい)に枯涸(こかく)に潤おし、よく法の薬を以て諸の衆生に施し、一切を安楽し、漸見超登して法雲地に住せん。恩沢(おんたく)普く潤し慈被すること外なく、苦の衆生を摂して道跡に入らしめん。この故にこの人は、久しからずして阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得ん。善男子、これをこの経の第十の功徳不思議の力と名く。

●真読

善男子。第十是経。不可思議。功徳力者。
ぜんなんし。だいじゅうぜきょう。ふかしぎ。くどくりき。

若善男子。善女人。若仏在世。及滅度後。
にゃくぜんなんし。ぜんにょにん。にゃくぶつざいせ。ぎゅうめつどご。

若得是経。発大歓喜。生希有心。
にゃくとくぜきょう。ほつだいかんぎ。しょうけうしん。

既自。受持。読誦。書寫。供養。如説修行。
きじ。じゅじ。どくじゅ。しょしゃ。くよう。にょせつしゅぎょう。

復能広勸。在家出家人。受持。読誦。
ぶのうこうかん。ざいけしゅっけにん。じゅじ。どくじゅ。

書寫。供養。解説。如法修行。既令余人。
しょしゃ。くよう。げせつ。にょほうしゅぎょう。きりょうよにん。

修行是経力故。得道得果。皆由是善男子。善女人。
しゅぎょうぜきょうりきこ。とくどうとっか。かいゆぜぜんなんし。ぜんにょにん。

慈心懃化力故。是善男子。善女人。即於是身。
じしんごんけりきこ。ぜぜんなんし。ぜんにょにん。そくおぜしん。

便逮得無量。諸陀羅尼門。於凡夫地。自然初時。
べんだいとくむりょう。しょだらにもん。おぼんぷぢ。じねんしょじ。

能発無数。阿僧祇。弘誓大願。
のうほつむしゅ。あそうぎ。ぐぜいだいがん。

深能発救。一切衆生。成就大悲。
じんのうほっく。いっさいしゅじょう。じょうじゅだいひ。

広能抜衆苦。厚集善根。饒益一切。
こうのうばっしゅく。こうしゅぜんごん。にょうやくいっさい。

而演法澤。洪潤枯涸。能以法藥。施諸衆生。
にえんほうたく。くにんここ。のういほうやく。せしょしゅじょう。

安楽一切。漸見超登。住法雲地。恩澤普潤。
あんらくいっさい。ぜんけんちょうとう。じゅうほううんぢ。おんたくふにん。

慈被無外。攝苦衆生。令入道迹。是故此人。
じひむげ。せつくしゅじょう。りょうにゅうどうしゃく。ぜこしにん。

不久得成。阿耨多羅三藐三菩提。
ふくとくじょう。あのくたらさんみゃくさんぼだい。

善男子。是名是経。第十功徳。不思議力。
ぜんなんし。ぜみょうぜきょう。だいじゅうくどく。ふしぎりき。

●解説

自分だけでなく、他者にも五種法師の行を勧め、広く人々が実践したのであれば、この修行者の功徳は、最高のものです。それは、もちろん最終目的である成仏道です。

 

●無量義経十功徳品第三 #18 2015/2/17(火) 午後 8:13

第八 十功徳力を結す

●現代語訳

善男子。このように大乗の無量義の教えは、極めて大きな力を持っており、この上もなく尊いものです。多くの凡人が、誰もが聖者と成り、現象に振り回されることがなくなり、誰もが心に障りなく、自由自在な境地を得ることができます。このことから、この教えを無量義と名付けます。一切衆生の凡人の境地にある人に、菩薩の芽を起こさせ、育てて功徳の樹へと成長させます。このためにこの教えを不可思議の功徳力と名付けます。

●訓読

善男子。是の如き無上大乗無量義経は、極めて大威神の力ましまして、尊にして過上なし。能く諸の凡夫をして皆聖果を成じ、永く生死を離れて皆自在なることを得せしめたもう。この故にこの経を無量義と名く。よく一切衆生をして、凡夫地に於て、諸の菩薩の無量の道牙を生起せしめ、功徳の樹をして欝茂扶蔬(うつむふそ)増長せしめたもう。この故にこの経を不可思議の功徳力となづく。

●真読

善男子。如是無上。大乗無量義経。
ぜんなんし。にょぜむじょう。だいじょうむりょうぎきょう。

極有大威神之力。尊無過上。能令諸凡夫。
ごくうだいいじんしりき。そんむかじょう。のうりょうしょぼんぷ。

皆成聖果。永離生死。皆得自在。是故是経。
かいじょうしょうか。ようりしょうじ。かいとくじざい。ぜこぜきょう。

名無量義也。能令一切衆生。於凡夫地。
みょうむりょうぎや。のうりょういっさいしゅじょう。おぼんぷぢ。

生起諸菩薩。無量道牙。令功徳樹。
しょうきしょぼさつ。むりょうどうげ。りょうくどくじゅ。

鬱茂扶踈増長。是故此経。號不可思議功徳力。
うつむふそぞうちょう。ぜこしきょう。ごうふかしぎくどくりき。

 

●無量義経十功徳品第三 #19 2015/2/17(火) 午後 8:25

第九 菩薩の領解

\睨”覆鯲硫鬚垢

●現代語訳

その時に大荘厳菩薩と八万の菩薩摩訶薩たちは、声を合わせて仏に申し上げました。

世尊。仏の説かれた大乗の無量義の教えは、道理が正しく、この上もなく尊い内容です。過去・現在・未来の諸仏が共に守護された教えであり、あらゆる邪魔者や仏教以外の教えに影響されることなく、一切の誤った思想や現象に振り回され、破壊されることはありません。

●訓読

時に大荘厳菩薩摩訶薩 及び 八万の菩薩摩訶薩、声を同じゅうして仏に白して言さく。

世尊。仏の所説の如き甚深微妙無上大乗無量義経は、文理真正に、尊にして過上なし。三世の諸仏の共に守護したもう所、衆魔群道、得入することあることなく、一切の邪見生死に壊敗せられず。

●真読

於時。大荘厳菩薩摩訶薩。
おじ。だいしょうごんぼさつまかさつ。

及八万。菩薩摩訶薩。同声白仏言。
ぎゅうはちまん。ぼさつまかさつ。どうしょうびゃくぶつごん。

世尊。如仏所説。甚深微妙。無上大乗。無量義経。
せそん。にょぶっしょせつ。じんじんみみょう。むじょうだいじょう。むりょうぎきょう。

文理真正。尊無過上。三世諸仏。所共守護。
もんりしんしょう。そんむかじょう。さんぜしょぶつ。しょぐしゅご。

無有衆魔。群道得入。不為一切。
むうしゅま。ぐんどうとくにゅう。ふいいっさい。

邪見生死。之所壊敗。
じゃけんしょうじ。ししょえはい。

 

●無量義経十功徳品第三 #20 2015/2/17(火) 午後 8:37

第九 菩薩の領解

⊇集徳力を領解する

●現代語訳

このような理由から、この教えには十種の功徳不思議の力があります。

●訓読

是の故にこの経は乃ち是の如き十の功徳不思議の力います。

●真読

是故此経。乃有如是。十功徳。不思議力也。
ぜこしきょう。ないうにょぜ。じゅうくどく。ふしぎりきや。

●解説

大荘厳菩薩をはじめとする菩薩たちが、説法品の内容をよく理解し、また十の功徳不思議の力をよく理解しましたので、釈尊に理解したことを発表しました。師が説き、弟子が理解したことを発表するという対話は重要です。このように対話することによって、学びは深まっていきます。

 

●無量義経十功徳品第三 #21 2015/2/17(火) 午後 8:50

第十 重ねて時会の得益を讃ず

●現代語訳

大いに一切の人々に利益を与え、一切の多くの菩薩たちは、それぞれが無量義の三昧を得、あるいは多くの善を勧め悪を止める力を得、あるいは菩薩の様々な境地、様々な不動の心境を得、あるいは縁覚の果、声聞の四果の証を得ることができました。世尊は、慈しみ深く、快く私たちのためにこの様な深遠な教えを説いて下さり、大きな教えの利益を与えて下さいました。これは仏さまだけが持つ超人的な力であり、これまでにない程の大いなる体験です。世尊の慈悲と恩にお報いすることは難しいでしょう。

●訓読

大いに無量の一切衆生を饒益(にょうやく)し、一切の諸の菩薩摩訶薩をして各無量義三昧を得、或は百千陀羅尼門を得せしめ、或は菩薩の諸地・諸忍を得、或は縁覚・羅漢の四道果の証を得せしめたもう。世尊慈愍して快く我等が為に是の如き法を説いて、我をして大いに法利を獲せしめたもう。甚だ為れ奇特に未曾有也。世尊の慈恩実に報ずべきこと難し。

●真読

大饒益無量。一切衆生。令一切諸菩薩摩訶薩。
だいにょうやくむりょう。いっさいしゅじょう。りょういっさいしょぼさつまかさつ。

各得。無量義三昧。或得。百千陀羅尼門。
かくとく。むりょうぎさんまい。わくとく。ひゃくせんだらにもん。

或令得菩薩。諸地諸忍。或得縁覚羅漢。四道果証。
わくりょうとくぼさつ。しょぢしょにん。わくとくえんがくらかん。しどうかしょう。

世尊慈愍。快為我等。説如是法。令我大獲法利。
せそんじみん。けいがとう。せつにょぜほう。りょうがだいぎゃくほうり。

甚為奇特。未曾有也。世尊慈恩。実難可報。
じんにきどく。みぞううや。せそんじおん。じつなんかほう。

●解説

『無量義経』を聞いた人々の功徳を表しています。声聞や縁覚も功徳を得ているとあります。

 

●無量義経十功徳品第三 #22 2015/2/17(火) 午後 9:08

第十一 瑞を現わして供養する

〆‥擇龍〕

●現代語訳

この言葉を終えた時、この世界は感動して六種に震動し、上空より、様々な天の花をふらし、また多くの様々な天の香り、天の衣、天の首飾り、天の高価な宝石を上空よりふらして旋転して舞い降りて、仏と多くの菩薩たち、大衆を供養しました。天の皿には、この上もなく美味な、見るだけで香るだけで自然と満足できる天の食べ物が盛られ、立派な旗や幡、天蓋、様々な道具を仏の身のまわりに配し、天より音楽を奏でて、仏を讚歎しました。

●訓読

この語を作しおわりし、その時に三千大千世界六種に震動し、上空の中より、また種種の天華・天優鉢羅華・鉢曇摩華・拘物頭華・分陀利華を雨らし、また無数種種の天香・天衣・天瓔珞・天無価の宝を雨らして、上空の中より旋転して来下し、仏及び諸の菩薩・声聞・大衆に供養す。天厨・天鉢器に天百味充満盈溢(よういつ)せる、色を見、香を聞(か)ぐに自然に飽足す。天幢・天幡・天軒蓋・天妙楽具処処に安置し、天の妓楽を作して仏を歌歎す。

●真読

作是語已。爾時三千大千世界。六種震動。
さぜごい。にじさんぜんだいせんせかい。ろくしゅしんどう。

於上空中。復雨種種。天華。天憂鉢羅華。
おじょうくうちゅう。ぶうしゅじゅ。てんけ。てんうばつらけ。

鉢曇摩華。拘物頭華。分陀利華。又雨無数種種。
はつどんまけ。くもつづけ。ふんだりけ。ううむしゅしゅじゅ。

天香。天衣。天瓔珞。天無價宝。於上空中。
てんこう。てんね。てんようらく。てんむげほう。おじょうくうちゅう。

旋転来下。供養於仏。及諸菩薩。声聞大衆。
せんてんらいげ。くようおぶつ。ぎっしょぼさつ。しょうもんだいしゅ。

天厨。天鉢器。天百味。充満盈溢。見色聞香。
てんづ。てんばっき。てんひゃくみ。じゅうまんよういつ。けんしきもんこう。

自然飽足。天幢。天幡。天軒蓋。天妙楽具。
じねんほうそく。てんどう。てんばん。てんこんがい。てんみょうらくぐ。

処処安置。作天伎楽。歌歎於仏。
しょしょあんち。さてんぎがく。かたんおぶつ。

●解説

天優鉢羅華・鉢曇摩華・拘物頭華・分陀利華とは、4種の蓮華のことです。分陀利華(プンダリーカ)というのが、白蓮華のことですから、妙法蓮華経のタイトルになっています。

 優鉢羅華=青蓮華
 鉢曇摩華=紅蓮華
 拘物頭華=黄蓮華
 分陀利華=白蓮華

 

●無量義経十功徳品第三 #23 2015/2/17(火) 午後 9:22

第十一 瑞を現わして供養する

他土東方の供養

●現代語訳

また、東方の諸仏の世界も震動しました。様々な天の花、天の香り、天の衣、天の首飾り、天の高価な宝石をふらして、天の皿には、この上もなく美味な、見るだけで香るだけで自然と満足できる天の食べ物が盛られており、立派な旗や幡、天蓋、様々な道具を仏の身のまわりに配し、天より音楽を奏でて、その世界の仏と菩薩衆と声聞衆、大衆を讚歎しました。南西北方、四維上下も同様にその世界の仏と菩薩衆と声聞衆、大衆を讚歎しました。

●訓読

またまた六種に東方恒河沙等の諸仏の世界を震動す。また天華・天香・天衣・天瓔珞・天無価の宝を雨らし、天厨・天鉢器・天百味、色を見香を聞くに自然に飽足す。天幢・天幡・天軒蓋・天妙楽具処処に安置し、天の妓楽を作して、かの仏及び諸の菩薩・声聞・大衆を歌歎す。

●真読

又復。六種震動。東方恒河沙等。諸仏世界。
うぶ。ろくしゅしんどう。とうぼうごうがしゃとう。しょぶつせかい。

亦雨天華。天香。天衣。天瓔珞。天無價宝。
やくうてんげ。てんこう。てんね。てんようらく。てんむげほう。

天厨。天鉢器。天百味。見色聞香。自然飽足。
てんづ。てんばっき。てんひゃくみ。けんしきもんこう。じねんほうそく。

天幢。天幡。天軒蓋。天妙楽具。処処安置。
てんどう。てんばん。てんみょうらくぐ。しょしょあんち。

作天伎楽。歌歎彼仏。及諸菩薩。声聞大衆。
さてんぎがく。かたんひぶつ。ぎっしょぼさつ。しょうもんだいしゅう。

 

●無量義経十功徳品第三 #24 2015/2/17(火) 午後 9:27

第十一 瑞を現わして供養する

B湘擽緤の供養

●現代語訳

東方以外の南西北方と四維上下の諸仏の世界も同様でした。

●訓読

南西北方四維上下もまたまた是の如し。

●真読

南西北方。四維上下。亦復如是。
なんざいほっぽう。しゆいじょうげ。やくぶにょぜ。

●解説

十方とは、東南西北の方向、北西・南西・南東・北東の方向、上下の方向を足した十方向のことです。

 

●無量義経十功徳品第三 #25 2015/2/17(火) 午後 9:41

第十二 菩薩等に付属す

●現代語訳

その時に仏は、大荘厳菩薩と八万の菩薩たちに告げました。

皆さんは、この教えによって、深く敬いの心を起こし、教えの通りに修行し、広く人々を教化して、勤めてこの教えを広めて下さい。常に丁寧に昼夜に教えを守護して、多くの人々に教えの利益を与えてください。この教えを保ち、弘めることは大きな慈悲です。よって神通の願いを立てて、この教えを守護して、疑ったり滞らせてはいけません。皆さんは、今、広くこの世界の隅々まで教えを説き弘め、一切衆生が世界を正しく見る智慧を得、読誦し、書写し、供養することを得る様に導いてください。このことによってあなたは真っ直ぐに最高の悟りを得ることができます。

●訓読

その時に仏、大荘厳菩薩摩訶薩 及び 八万の菩薩摩訶薩に告げて言わく。

汝等、当にこの経に於て深く敬心を起し、法の如く修行し、広く一切を化して勤心に流布すべし。常に当に慇懃に昼夜守護して、諸の衆生をして各法利を獲せしむべし。汝等真にこれ大慈大悲なり。以て神通の願力を立てて、是の経を守護して疑滞せしむることなかれ。汝、当時に於て必ず広く閻浮提に行ぜしめ、一切衆生をして見聞し読誦し書写し供養することを得せしめよ。是れを以ての故に、また疾く汝等をして速かに阿耨多羅三藐三菩提を得せしめん。

●真読

爾時仏告。大荘厳菩薩摩訶薩。及八万菩薩摩訶薩言。
にじぶつごう。だいしょうごんぼさつまかさつ。ぎゅうはちまんぼさつまかさつごん。

汝等当於此経。応深起敬心。如法修行。広化一切。
にょとうとうおしきょう。おうじんききょうしん。にょほうしゅぎょう。こうけいっしん。

懃心流布。常当慇懃。昼夜守護。令諸衆生。
ごんしんるふ。じょうとうおんごん。ちゅうやしゅご。りょうしょしゅじょう。

各獲法利。汝等真是。大慈大悲。以立神通願力。
かくぎゃくほうり。にょとうしんぜ。だいじだいひ。いりゅうじんつうがんりき。

守護是経。勿使疑滯。汝於当時。必令広行。閻浮提。
しゅごぜきょう。もっしぎたい。にょおとうじ。ひつりょうこうぎょう。えんぶだい。

令一切衆生。使得見聞。読誦。書寫。供養。
りょういっさいしゅじょう。いとくけんもん。どくじゅ。しょしゃ。くよう。

以是之故。亦疾令如等。速得。阿耨多羅三藐三菩提。
いぜしこ。やくしつりょうにょとう。そくとく。あのくたらさんみゃくさんぼだい。

●解説

仏が大荘厳菩薩と多くの菩薩たちに、この教えを説き広めるようにと託すところです。ここで重要なのは、人々に受持・読誦・解説・書写するように導くことによって、導いた者が最上の悟りを得ることが出来るということです。菩薩は、他者を菩薩にすることによって、成仏に至るということです。

 

●無量義経十功徳品第三 #26 2015/2/17(火) 午後 10:30

第十三 滅後弘経の仏勅を敬い受く

●現代語訳

その時に大荘厳菩薩摩訶薩は、八万の菩薩たちと共に座より立って、仏の近くに歩み寄り、頭を深く下げて仏の御足に額をつけて礼拝し、その場を何度もまわって帰依の心を表しました。さらに仏に近づき、ひざまずき、声を合わせて仏に申し上げました。

世尊。私たちは、世尊の慈悲の思いを頂き、喜びでいっぱいです。私たちのためにこの大乗の無量義の教えを説かれました。私たちは、世尊に敬意を表し、世尊のご命令を受けて、如来の滅後において広くこの教えを弘め、広く一切衆生が、受持し、読誦し、書写し、供養することを得るように導きます。ただ願わくは、ご心配なさらずご安心ください。私たちは、誓願の力をもって、広く一切衆生がこの教えを見聞し、読誦し、書写し、供養することを得、この教えの大いなる福を得るように導きます。

●訓読

この時に大荘厳菩薩摩訶薩、八万の菩薩摩訶薩と即ち座より起って仏所に来詣して、頭面に足を礼し遶ること百千匝して、即ちすすんで胡跪し、ともに声を同じゅうして仏に白して言さく。

世尊。我等快く世尊の慈愍を蒙りぬ。我等が為にこの甚深微妙無上大乗無量義経を説きたもう。敬んで仏勅を受けて、如来の滅後に於て当に広く是の経典を流布せしめ、普く一切をして受持し読誦し書写し供養せしむべし。ただ願わくは憂慮を垂れたもうことなかれ。我等、当に願力を以て、普く一切衆生をして、この経を見聞し読誦し書写し供養することを得、この経の威神の福を得せしむべし。

●真読

是時。大荘厳菩薩摩訶薩。与八万菩薩摩訶薩。
ぜじ。だいしょうごんぼさつまかさつ。よはちまんぼさつまかさつ。

即従坐起。来詣仏所。頭面礼足。遶百千匝。
そくじゅうざき。らいげいぶっしょ。ずめんらいそく。にょうひゃくせんそう。

即前胡跪。倶共同声。白仏言。
そくぜんこき。くぐどうしょう。びゃくぶつごん。

世尊。我等快蒙。世尊慈愍。為我等説。
せそん。がとうけむ。せそんじみん。いがとうせつ。

是甚深微妙。無上大乗。無量義経。
ぜじんじんみみょう。むじょうだいじょう。むりょうぎきょう。

敬受仏勅。於如来滅後。当広令流布。
きょうじゅぶっちょく。おにょらいめつご。とうこうりょうるふ。

是経典者。普令一切。受持。読誦。
ぜきょうでんしゃ。ふりょういっさい。じゅじ。どくじゅ。

書寫。供養。唯願勿垂憂慮。我等当以願力。
しょしゃ。くよう。ゆいがんもっすいうりょ。がとうとういがんりき。

普令一切衆生。使得此経。見聞。読誦。
ふりょういっさいしゅじょう。しとくしきょう。けんもん。どくじゅ。

書寫。供養。得是経法。威神之福。
しょしゃ。くよう。とくぜきょうほう。いじんしふく。

●解説

釈尊が菩薩たちに無量義経を広めることを託しましたので、菩薩たちがそれを喜んで受けました。

 

●無量義経十功徳品第三 #27 2015/2/18(水) 午後 4:32

第十四 流通を讚歎する

●現代語訳

その時に仏は讚めて言いました。

素晴らしい、素晴らしいことです。善男子の皆さん。皆さんは今、真の仏子です。広く大きな慈悲の心を持って、人々の苦を抜き去り、厄をはらって救う者です。一切衆生の善を育てる良き福田です。広く一切のために大いなる善き導師となれます。一切衆生の心の拠り所です。一切衆生に真の幸せを施す主です。常に教えの営利によって、広く一切に施してください。

●訓読

その時に仏讃めて言わく。

善哉善哉、諸の善男子。汝等いま真にこれ仏子なり。弘き大慈大悲をもって深くよく苦を抜き厄を救う者なり。一切衆生の良福田なり。広く一切の為に大良導師と作れり。一切衆生の大依止処なり。一切衆生の大施主なり。常に法利を以て広く一切に施せ、と。

●真読

爾時。仏讃言。にじぶっさんごん。

善哉善哉。諸善男子。汝等今者。真是仏子。
ぜんざいぜんざい。しょぜんなんし。にょとうこんじゃ。しんぜぶっし。

弘大慈大悲。深能拔苦。救厄者。一切衆生。
ぐだいじだいひ。じんのうばっく。くやくしゃ。いっさいしゅじょう。

之良福田。広為一切。作大良導師。一切衆生。
しろうふくでん。こういいっさい。さだいろうどうし。いっさいしゅじょう。

之大依止処。一切衆生。之大施主。
しだいえししょ。いっさいしゅじょう。しだいせしゅ。

常以法利。広施一切。
じょういほうり。こうせいっさい。

 

●無量義経十功徳品第三 #28 2015/2/18(水) 午後 4:42

第十五 経を聞いて受持する

●現代語訳

その時に、この大会の人々は大いに歓喜して、仏に深く礼をし、無量義の教えを受持してグリドラクータ山を後にしました。

●訓読

その時に大会皆大いに歓喜して、仏の為に礼を作し、受持して去りにき。

●真読

爾時。大會。皆大歓喜。 にじ。だいえ。かいだいかんぎ。

為仏作礼。受持而去 いぶっさらい。じゅじにこ。

●解説

これで無量義経は終わりです。

無量義経をひと言でまとめれば、「菩薩よ。人々を菩薩にしなさい」ということになります。「菩薩よ。人々を成仏に導きなさい」と言った方がいいのかも知れません。菩薩とは、菩提心を起こした者のことです。菩提とは悟りを開くことですから、成仏と同じ意味です。菩薩が、真っ直ぐに成仏を目指すのであれば、一切衆生を成仏へと導きなさい、ということが無量義経で説かれました。

では、人々を成仏に導く方法は何かというと、無相によるといいます。無相とは、一切に特徴を観ないことです。一切に特徴を観ないということは、一切を平等に観ることです。差別することなく、区別することなく人々と関わることです。最も難しいのは、自他の分別を捨てることですので、六波羅蜜の行を行じ、智慧を得て慈悲喜捨の心を養うことが必要です。

無相とは、またの名を実相といいます。無相・実相は、無量義経においてもしっかりと説かれていますが、菩薩向けの教えですから、分からない方も多いと思います。私も最初読んだ時には、まったく意味不明でした。この無量義経をもっとかみ砕いて説いてあるのが法華経です。

今回で無量義経は終わりますが、この経典を法華経の開経としてとらえ、次回からの『妙法蓮華経』を本題として読み進めていきましょう。

ありがとうございました。

合掌 

 

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