國貞克則 決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法 (2007) 

2020.6.8

 コロナで経済がストップしてしまっています。コロナ後に、どれくらいのスピードで立ち直ることができるでしょうか。

会社の状態は、決算書でわかるはずですが、しかし、勿論、簡単ではありません。

専門家ですら、そうです。

 國貞さんは、1961年生まれの、経営コンサルタントです。

この本の出だしを、少し引用します。

 決算書がスラスラと読めるようになりたい、とひそかに思っている人はたくさんいます。

しかし、現実は「いくら会計の本を読んでも、よくわからない」といった感じの人がほとんどではないでしょうか。

 かく言う私自身、会計の「仕組み」を理解するまでには、かなりの時間がかかりました。

何冊も会計の入門書を読みましたが、「損益計算書」や「貸借対照表」の構造くらいまでは理解できるのですが、

いざ実際の決算書を見てみると表のどこを見ればよいのかがよくわからないという状態でした。

 MBA(経営学修士号)を取るために米国の大学に留学した時も会計を学びましたが、

いまから思えばその時も会計の本質は理解できていませんでした。

 会計を少し勉強すれば、損益計算書は会社の損益を表していることや、

貸借対照表は右と左に分かれていて、左側に「資産の部」があり、

右側には「負債の部」と「純資産の部」(2006年5月の会計法施行前は「資本の部」)があり、

この右と左がバランスすることくらいは分かります。

 ところが、具体的な事例を考え出すと、とたんに解らなくなってしまいます。

例えば、事務用品を5万円現金で購入した場合に、

貸借対照表の右側の借入金も資本金も変化しないのに、

左側は現金が5万円少なくなって左右がバランスしなくなってしまいます。

皆さんは答えられますか。会計をいくら勉強しても、実はこのあたりのことが理解できません。

 

 会計の専門家でも、この通りです。最近では、複式簿記で、仕訳帳の記入以降は、コンピュータにまかせてしまうため、

実際の問題で何が起こっているのかは、わかりにくくなってしまったのかもしれません。

 解答は、少しあとに、語られます。

 冒頭で述べたように、事務用品を5万円分現金で購入した場合、貸借対照表の左側は現金が5万円少なくなります。

一方、貸借対照表の右側は銀行からの借入金などの「負債の部」と資本からの出資金などの「純資産の部」から

成り立っていますから、事務用品を5万円分買ったからといって貸借対照表の右側は変化しないように思えます。

 これでは会計の本で習った、「BSの右と左は常にバランスする(金額が同じになる)」という原則が成り立たないことになってしまいます。

ご安心ください。もちろん、そんなことはありません。

実は、損益計算書の「利益」と貸借対照表の「純資産の部」が「つながって」いるのです。

すなわち、事務用品を5万円分購入すれば、損益計算書では費用として認識され利益が5万円減ります。

その減った利益が貸借対照表の右側の「純資産の部」とつながっているため、貸借対照表の右側も5万円減るという仕組みになっているのです。

 この「つながり」については第3章で詳しく説明しますので、いまの段階では理解できなくても心配しないでください。

 

 会計の仕組みの理解は、一筋縄ではいかないみたいですね。

 

 

     

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