黄文雄 世界を変えた日本と台湾の絆 (2018) |
2019.4.18
日本は、1895年に日清戦争に勝利して、清から台湾を割譲されて以来、第二次大戦に敗戦する1945年まで、
50年間、台湾を統治し、その間に、最初はほぼ未開の状態にあった台湾は、経済的にも文化的にも、大きく発展しました。
敗戦後、日本は、台湾から追放され、中国大陸から中華民国の国民党軍と中国人が大勢入ってきましたが、
軍人・官僚の質がわるく、政治・経済は、混乱に陥りました。
1947年2月27日に、台北で闇タバコを販売していた台湾人女性に、取り締まりの役人が暴行したことに対して、
2月28日に、抗議デモが行われ、憲兵隊が発砲したことから、騒動が台湾全土に広がり、
国民党政府が大陸から援軍を派遣して鎮圧しました。これを2.28事件と呼びます。
この事件で、多くの台湾人が処刑・殺害されましたが、その数は1.8〜2.8 万人といわれています。
著者の、黄さんは、1938年に台湾に生れ、日本統治下で教育を受け、2.28事件における国民党の台湾人大虐殺も目撃し、
1964年に来日して、大学教育を受け、日本で評論家活動を続けています。
同じく日本の統治を受けた韓国に反日感情が強く、台湾に親日感情が強い現状について、著者は
以下のように分析しています。
戦後、マッカーサー元帥の第一号命令で国民党軍が台湾に進駐すると、
「台湾人の奴隷根性を直す」という大義名分のもと、反日教育が行われた。
したがって、台湾の反日教育が韓国より劣っていたとは思わない。
それでも台湾人は、韓国人のような反日には走らなかった。
もちろん、台湾は、多文化にして多様な社会である。国民としてのアイデンティティも同一ではない。
言語からいっても、台湾語族、北京語族、日本語族にまで分類される。
加えて、戦後、中国大陸からやつてきた中国人たちは「反日」の傾向が強い。
現在も、約10%程度の台湾人は「反日」である。
だが、かつて大陸から渡ってきた中国人も2世、3世となると、台湾人化が進み、
自分を「中国人だ」と考える割合は年々減少している。
台湾の大手紙「聯合報」が2016年3月に発表した調査結果によると、
「自分は何人か」との問いに「台湾人」と答えた人は73%で過去最高を示し、
その一方で「台湾人とは中国人のことだ」が1%、「中国人」は11%、
「台湾人であり中国人でもある」が10%だった。
多く見積もっても、中国人だという意識は2割程度しかない。
また、日本の対台湾窓口機関である交流協会が2016年に発表した台湾人の対日世論調査では、
もっとも好きな国・地域に日本を挙げた人は56%に達して過去最高を記録した。
その一方で、中国を好きだと答えた人は6%。アメリカは5%、シンガポールは2%で、
圧倒的に日本好きであることがわかる。
しかも、2割はいるかもしれない中国人意識の台湾人ですら、中国を好きな国として選んでいないのだ。
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