今野真二 ことばでたどる日本の歴史 (2018) 

2021.04.18

 本書は、古墳時代から、江戸時代に渡っての歴史を扱っていますが、

わたしは、中国の文献に記された日本 について調べるために、本書を読みました。

漢書地理志について、非常に、簡潔に説明されていますので、紹介します。

 本文をそのまま引用したいのですが、新しい本で、まだ販売中なので、著作権の問題がありますので、

私が、ネット等でしらべたことも加えて、私なりにまとめなおして、紹介します。

 疑問点があれば、本書をお読みください。

「漢書」地理志

 「漢書」は、前漢王朝、230年間の歴史書で、以下の100巻からなります。

「本紀」12巻、皇帝や王などの支配者に関する歴史

「列伝」70巻、個々の人物や、周辺の異民族の風習などを記述

「表」8巻、各種の年表

「志」10巻、天文・地理・制度など、分野別の歴史

 「地理志」は、「志」10巻の一つですが、その燕地の説明箇所に、倭人が登場します。

燕地は、現在の北京を含む、東西に拡がる地域で、その説明の後半に

玄菟樂浪武帝時置 皆朝鮮濊貉句驪蠻夷
玄菟郡と楽浪郡は武帝の時に置かれた。みな、朝鮮、濊貉、句麗の蛮夷である

と、東夷の説明に入り、

然東夷天性柔順異於三方之外 
然し、東夷の天性は柔順(従順)で、三方の外(西戎、北狄、南蛮)とは異なる

と書かれていて、東夷の評価は、他の三者とは違うようです。

続けて

故孔子悼道不行設浮於海欲居九夷有以也。
故に、孔子が道の行われないのを悼み、海に筏を設けて九夷に住もうと欲した、以(ゆえ)ある也(や)(理由がある)

と、書かれますが、これは、孔子の子罕篇に

子居九夷或曰陋如之何子曰君子居之何陋之有」
子は、欲九夷に居らんと欲す。或るひと曰く、陋なりこれ如何(いかん)せん。子曰く、君子これに居らば、何の陋しきことかこれ有らむ

とあることを受けています。陋は、いやしい という意味です。

九夷は、東方にある九つの野蛮国のことで、具体的には、

畎夷 (けんい) ・于夷 (うい) ・方夷・黄夷・白夷・赤夷・玄夷・風夷・陽夷 です。

そして、「地理志」は、続けて、

夫 樂浪海中有倭人為百餘國以歳時來獻見云
それ、樂浪海中に倭人有り、百餘國を為す。歳時を以て、來り獻見すと云ふ

と語ります。有名な文ですが、「倭人」が登場するのは、ここだけです。

 

 

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