小口日出彦 情報参謀 (2016)

2024.07.20

 自民党が大敗して政権を失った2009年の総選挙直後から、2013年夏の参議院選挙に勝利して政権を完全に奪還するまでの4年間、自民党の情報参謀を務めた著者による、クチコミ@総選挙プロジェクトの解説です。

 2005年9月11日の第44回総選挙は、小泉内閣のときで、郵政選挙と呼ばれていて、自民党が圧勝しました。

小泉さんのあと、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と首相が交代しました。

2009年8月30日の第45回総選挙は、麻生内閣のときで、自民党は民主党に歴史的大敗を喫し、民主党308議席、自民党119議席となります。

株式会社ホットリンクと東京大学が共同で開発した「クチコミ@総選挙」というプロジェクトは、衆議院選挙の各候補者に関するインターネット上の口コミ情報を分析し、的中率約8割という高い精度を示しました。

2009年11月に、小口日出彦さんは、自民党本部に呼ばれ、こう説明しました。

「我々はテレビで何が報道されているか、インターネットで何が語られているかに関する情報をすべてデータベース化して持っています。今夏の総選挙では、そのデータを基に全国300小選挙区の候補者の得票率を予測し、毎日更新して発表しました。選挙戦中日の集計では新聞や通信社の世論調査に引けを取らぬ予想を弾き出し、最終的注率は80.33%に達しました。選挙直後におこなった総合的な分析から、今回の選挙で民主党に風が吹いた情報構造も明らかにすることができました。こうした分析は、政党名や候補者名のテレビ報道における露出度やネットのブログや掲示板での書き込み量から導かれます。」

「クチコミ@総選挙」というプロジェクトには、テレビのすべての放送内容を24時間365日チェックしているエム・データ社、インターネット上のブログや掲示板の書き込みをすべて記録し、データベース化しているホットリンク社、予測数値モデルを作成する東京大学の三社がかかわっています。

「クチコミ@総選挙」は、自民党に採用され、4年間実施されます。

2012年12月16日の第46回総選挙は、野田内閣のときで、自民党が民主党に大勝し、自民党294議席、民主党57議席とります。

2013年7月21日の参議院選挙でも、安倍内閣が、民主党に大勝します。

小口さんは、この情報参謀の仕事を公表するつもりはなかったのですが、韓国政府が日本に情報戦をしかけているのを目撃しました。

2015年4月に安倍首相が訪米して、議会演説を予定していたとき、韓国政府は、米国のPRコンサルタントを雇い、日本の歴史認識、特に慰安婦問題を強調したネガティブ・キャンペーンを展開しました。

2015年4月21日のウォールストリートジャーナルなどで、大きく報道されたのですが、日本のマスコミは、一切報道しませんでした。

安倍首相訪米直前のアメリカの状況についての情報を知ると知らないとでは、大きな差が生じます。
政治において、情報の価値が高まっていることを明らかにすべきときではないのかと思い、本書が、執筆されました。

 

ご意見等がありましたら、think0298(@マーク)ybb.ne.jp におよせいただければ、幸いです。

ホームページアドレス: https://think0298.stars.ne.jp