茨城県北芸術祭 Kenpoku Art 2016 |
2016.6.14
6月11日に、つくば美術館で開催された、アートトークに出席しました。
テーマは、「茨城県北芸術祭の歩き方」で、演者は、芸術祭のアソシエイト・キュレーターをつとめる
金澤 韻(かなざわ こだま)さんでした。
この芸術祭は、今年の9月17日から11月20日の65日間、茨城県北部の6市町、
日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町にちらばる会場の野外もしくは屋内で、
芸術作品の展示を行うというもので、開催までの日数が、100日を切りました。
ホームページは、http://kenpoku-art.jp/ に あります。
同種の芸術祭として、まず思いつくのが、瀬戸内国際芸術祭でしょう。
会場を瀬戸内海の島々におき、海をテーマにした、芸術祭です。
第1回が2010年の7月19日から10月31日の105日間開催され、ウィキペディアによると、
8会場に延べ約94万人が来場しました。
3年後の2013年には、会期をシーズンに分けて実施し、2016年の今年、3回目を開催しています。
ホームページは http://setouchi-artfest.jp/ です。
ほかにも、札幌国際芸術祭、新潟県の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、
石川県の「ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭」、愛知県の「あいちトリエンナーレ」などがあります。
芸術祭というと、文化庁が主催し、演劇部門や音楽部門などに公演や作品が参加して開催される芸術祭のほうが有名ですが、
地方芸術祭、地域芸術祭という言い方は、まだ定着していないと思いますので、ここでは単に芸術祭と呼ぶことにします。
さて、茨城県北芸術祭が、一回限りのものになるか、今後も行き続けるかは、主催者の頑張り次第だと思いますが、
瀬戸内国際芸術祭などを参考にしながら、芸術祭とは何かについて、ゆっくりと考えでみたいと思います。
芸術といっても、いろんな芸術があります。
美術館に展示されている、有名な絵や彫刻や陶芸などを見にいくことは、確立された芸術の楽しみ方の一つです。
日展などの展覧会で、現在の人たちが発表する作品を見ることも、その一つです。
絵画のように、美術館で鑑賞するというスタイルが確立した芸術以外に、
観劇、オペラ、バレーのような劇場型のものや、フェスティバル、カーニバルのような野外で楽しむ芸術もあります。
また、服飾のように、流行を前提とした芸術もあります。
それぞれの芸術スタイルには、歴史があり、それを支持してくれる人たちがいます。
さて、芸術祭も、これらの芸術に匹敵する市民権を確立することができるでしょうか。
芸術祭は、旅行好き、お祭好きの人たちにとって、魅力があるのではないかと思います。
自然や古い文化を鑑賞に行った旅行先に、芸術の展示もあり、それも3年に一度のお祭騒ぎのなかにあるという格好です。
しかし、そこに登場する芸術が、いわゆるモダンアートであるということが、大きな意味をもっていると思います。
今回の開催地の一つである、常陸太田市は、1991年に、クリフトのアンブレラ・プロジェクトの会場になりました。
カリフォルニアの砂漠地帯に1760本の黄色の傘を、常陸太田の田園地帯に1340本の青色の傘を、展開するというものです。
米国で200万人、日本で50万人の観光客が訪れましたが、強風の影響をうけるなど、屋外での困難もあったようです。
モダンアートには、このように恒久的でない作品が多いのではないかと思います。
現代の観客が、このような極めて時限的な芸術を、どのようにうけとめていくのかを、この機会にじっくり考えてみたいと思います。
今後、展示の内容が決まっていきましたら、この頁で、取り上げたいと思っています。
ホームページアドレス: http://www.geocities.jp/think_leisurely/
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