五木寛之・帯津良一 健康問答 (2007) |
2017.7.22 更新2022.05.20
図書館で、帯津さんの本を検索したら、この本がみつかり、借りてきました。
巷で言われている健康法に関して、例えば、「Q1.水はたくさん飲まなければならないのか?」と設問し、
五木さんと帯津さんが、対談形式で、蘊蓄を語り合い、最後に、医師の結論として、以下の様に締めくくります。
やみくもに、水を飲めばいいというものではない。体の欲求に応じて、のどが乾いたら飲む程度でいい。
ただし、脳血栓の素因のある人は、少し多めに水をとる。
このような健康問答が、50個あり、ベストセラーになった様で、同年のうちに、健康問答2が、出版されました。
この本の精神は、冒頭のはじめにの以下の言葉に、表されていますので、引用します。
健康法は「これ一つ」ではダメ − はじめに
世の中には、「これ一つで十分」と、いうようないい方が結構あるものだ。
たとえば、「玄米さえ食べていれば」とか、「背骨のゆがみをまっすぐに直すことで万病が治る」だとか、
「ありがとうの言葉さえ忘れなければ、すべてうまくいく」とか、
これ一つを大事にすれば、なにもかも解決するような話が少なくない。
私は、これは怪しい、と思っている。世の中というものは、そんなに簡単ではない。人間も、すこぶる複雑にできている。
何十、いや、何百何千もの要素が入り組んで因果関係を織りなしているのだから、「これ一つ」で、なにもかもがうまくいくわけがない。
私が、一番興味深く読んだ、以下の設問に関して、少し、敷衍します。
Q47 健康法の大家は、みな長命か?
独自の健康法を唱える大家は、大勢いて、その健康法を実践するからには、長生きしていただきたいのですが、残念なことに、必ずしも、長命ではありません。
明治末から大正にかけて大ブームを起こした岡田式静座呼吸法の、
岡田虎次郎(1872.6.13-1920.10.17)さんは、48歳で亡くなりました。
野口整体の野口晴哉(はるちか)(1911.9-1976.6.22)さんは、64歳で亡くなりました。
この2例以外にも、免疫健康学で有名な安保徹さんは、昨年12月に、69歳で、亡くなられました。
五木さんも、野口さんや、岡田さんには、もう少し生きていて欲しかったですね、と述べておられますが、
野口さんのことを詳しく知って居る伊藤桂一さんによると、野口さんは、非常に病弱な方で、とても二十歳まで生きないだろうといわれていたのだそうです。
健康法には、長寿を求めるよりも、死ぬまで、健康に生きることを求めるべきだと感じます。
ヨガのような激しい修行をすると、かえって、長生きできないように思います。寿命を縮めるような修業は、ご法度ですね。
Q47の医者の結論は、以下のようになっています。
健康法のリーダーの多くは、八十歳前後の、その人にとって、ちょうどいい時期に亡くなっている。
これを受けて、次の設問は、以下のとおりです。
Q48 人間の寿命は何歳がちょうどいいか?
帯津さんは、80歳くらいかなと考えておられます。
太極拳の楊名時さんは、80歳で亡くなられ、呼吸法の村木弘昌さんは、79歳で亡くなりました。
私も、現実的には、80歳程度かとは思いますが、健康寿命は、今後も、毎年伸びていくことを期待します。
医者の結論は、以下の通りです。
人生には、ほどよい終わりの時期がある。そのタイミングを、しっかりとつかみたい。
さて、健康問答2 (2007) から、1か所、紹介しておきたいところがあります。
Q44 呼吸法は神秘的か? の、ところで、帯津さんは、
私、藤田霊斎先生の調和道(丹田呼吸法)の会長を、この間辞めたんです。ずっと十何年もやっていたんですけどね。
調和道は、道祖の藤田さんが、1957年に90歳で亡くなったあと、村木弘昌さん (1912-1991) が、第二代会長を務めましたが、
高齢のため引退し、1990年に帯津さんが、第三代会長になりましたが、2007年に、日野原重明さんが、第四代会長になりました。
その日野原さんは、つい先日の7月18日に、105歳で、お亡くなりになりました。
辞めた理由が、続いて書かれていますので、引用します。
私、呼吸法はスピリチュアルなものだろうと、はじめから思っているわけです。虚空との交流であると。
私の前の会長である村木弘昌先生が、この呼吸法に、現代医学の光をあてました。その功績は、おおきいものがあります。
ただそうすると、横隔膜だとか腹筋だとか、体のことを強調しすぎてしまうんですね。
それも必要だけど、呼吸法はもっと、本来はスピリチュアルな養生法だろうと思うので、その考え方の路線の違いがあったので辞めました。
五木さんも、それに呼応して、以下のように述べておられます。
ブッダも、こころの問題として呼吸法を推進していますね。
呼吸に意識を集中して、喜びながら呼吸する。自分の体が喜んでいるという意識ですね。
呼吸法は、単なるスポーツ・トレーニングとはちがうと私は考えています。
帯津さんは、白隠禅師の気功健康法を、新呼吸法「時空」として提案されています。
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