蔭山克秀 経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる (2018) 

2020.4.25

 本日のキンドル 日替わりセールの1冊だったので、購入しました。

退職後に、経済学の本を読もうと、すでに沢山の本を購入しているのですが、

他の分野の本の読書から始めてしまったため、まだ順番が回ってきませんでした。

 著者は、代々木ゼミナールで、「現代社会」「政治・経済」「倫理」を教えている公民科の人気No.1講師ということなので、

勉強再開には最適と思って、購入しました。

 

 今回の新型コロナ禍で、世界経済が大打撃をうけ、最初の頃は、リーマンショック以来といわれていたのが、

最近では、大恐慌以来最大の落ち込みになるのではとまで、言われるようになってしまいました。

 世界経済や日本経済が破たんしたときに、誰が何をどうすればいいのかという問題は、まだ、経済学で解明できていません。

政府が、何か施策を施したとして、その対策で、利益を受ける人達と、直接利益を受けない人達がいます。

利益を受けた人達の活動が改善したとして、それが、より広範囲の経済に目に見えるいい刺激をもたらすには、時間がかかります。

また、他の要因が働いて、その施策の効果を打ち消してしまったのかもしれません。

従って、今回の新型コロナで、経済が不況に陥っていまうかと思うと、本当に心配です。

 

 蔭山さんは、30冊目に、米国の経済学者 アカロフとシラーの共著「アニマル・スピリット」を取り上げています。

 出だしを引用します。

 2008年のリーマン・ショックが「大恐慌の再現」となってしまったのは、経済学者と政府が、世界恐慌時に

ケインズが示唆したメッセージを忘れ、独善的になってしまったからだ。

そのメッセージとは、『アニマルスピリット』。

アニマルスピリットとは、人間の心理にひそむ『合理的でないすべてのもの』だ。

 二人の著者は、、「なぜ不況は起こるか」「なぜ未来のための貯蓄はいい加減か」

「なぜ黒人には特殊な貧困があるのか」など8つの質問に対し、このアニマルスピリットを軸に答えていて、

 本書を読めば、いかに人間が弱く、いかに経済学者の描く最適行動など選択できるはずのない愚か者かということがよくわかる。

と、結んでいます。

 

 蔭山さんは、10冊目に、サイモンの「経営行動」をとりあげ、

 経済学の教科書では、売り手と買い手は各々その利潤と効用だけを考え、常に合理的に行動する忠実なプレーヤーだ。

でもそんな奴、いるだろうか?

と、疑問を呈していますが、勿論、そんな奴は、いません。

 古典経済学は、どうしたら最大多数の最大幸福が得られるかを考え、

需要曲線と供給曲線が交差する状態が、その状態だと言っただけで、

人々がそのように行動すると言ったわけではないと思います・

 経済が多様で複雑になってくると、経済の部分部分で、そのような合理的な状況を満たしても、

全体としてそのような状態を作るのが難しくなってきたのだと思います。

 

 蔭山さんの12冊目は、「セイラー教授の行動経済学入門」です。

 行動経済学が、人間の非合理的な行動をモデル化して、経済のある局面を説明することに成功してはいるのですが、

いかにして、経済全体を予測することができるようになるのか、注目したいと思っています。

 

 

     

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