自律神経 |
2017.7.4
昨年、公民館講座で、詩吟を始めたのですが、今年は、気功を選びました。
詩吟は、ゆっくりと大きな声で、漢詩などの歌を吟じるので、呼吸法が大切となり、非常に健康的な趣味なのですが、
気功も、ゆっくりした呼吸に、手足のゆっくりした動きを併せて、交感神経と副交感神経のバランスを整えようとする、所謂、自律訓練法のような一面を持ち、健康により直接的に結びついています。
気功は、気とは何か というような大問題をかかえていますので、気功の頁を作って、そちらで議論するつもりですが、
その前に、このページで、自律神経と、交感神経と、副交感神経について、考えてみたいと思います。
人間の身体の構造や機能は、動物的なものと、植物的なものに分けて考えることができるようです。
動物的な機能とは、筋の運動とか、皮膚の知覚などのことで、動物的な構造とは、骨格と筋肉、皮膚になります。
植物的な構造や機能とは、生命維持に係る内臓が主たるものになります。
そして、人間の体の情報処理システムである神経も、これに応じて、二つに分けられます。
動物的な神経のことを、体性神経 (somatic nerve) と呼びます。 somatic は、身体の、肉体の の意味です。
植物的な神経のことを、自律神経 (autonomic nerve) と呼びます。 autonomic は、自律の、自発の の意味です。
そして、自律神経には、交感神経 (sympathetic nerve) と、副交感神経 (parasympathetic nerve) に分かれます。
sympathetic は、同情する、共感する、共鳴する といった意味ですが、生理学では、交感神経という訳語が使われています。
交感神経は、身体を活動的な状態にする働きがあり、心拍数を増やす、血圧を高める、消化管の運動を抑制するのに対し、
副交感神経は、身体を休めるように働き、心拍数は減り、血圧は下がり、消化管の運動は盛んになります。
両者のバランスがくずれると、自律神経失調症になりやっかいなことになります。
そこで、交感神経、副交感神経が、どのような神経系からなっていて、どういう特徴があり、どのように制御できるかについて、考えてみます。
手元に、安保徹さんの 『病気は自分で治す 免疫学101の処方箋』(新潮文庫) があります。
免疫についても、改めて、別の頁をもうけるつもりですが、安保先生は、昨年末に、急死されてしまいました。
この本の231-232頁の 自律神経と精神活動 が、非常に興味深く書かれていますので、追悼を兼ねて、引用します。
がんばり過ぎて交感神経が緊張状態になったとき、私たちの精神活動はどのようになっているでしょうか。
これを知っておくのは大切なことです。
それは一言でいうと、思い込み、思い入れの世界です。
思い入れが強いので、がんばり続けてしまうことにもなるのですが、行動が伴わなくても、思い込みの強い状態になっています。
例えば、驚異的なペースで次々に作品を発表する小説家がいますが、それは思い込みの精神活動によって成し遂げられていると見ることもできます。
しかし、ずっと交感神経緊張が続いて、息抜きができないと、いずれ体調を崩してしまうでしょう。
ときにはストレスがからだに向かわずに、社会に対して攻撃的になってしまうかもしれません。
攻撃性が自分に向かってしまった場合には、自殺もありうるでしょう。
逆に、副交感神経優位の精神活動は、よく気がつく、気が回るという状況をつくりだします。
美しい自然に感動し、それを絵にするというような行為は、副交感神経の働きによって成し遂げられるのだと思います。
思うままに自在に絵を描ける画家は、おだやかな感動を表現して満足するという流れに入るので、長命が保証されるのではないでしょうか。
しかし、それが行き過ぎると、からだを動かす機会が少なく筋力が低下しやすいので、体操や散歩などで少しずつでもからだを鍛えなければいけません。
『散歩』という言葉は、歩くことによって、熱や毒気を散じようとする漢方の行為から生まれたそうです。
思い込みは交感神経緊張の活力の世界で、感動は副交感神経優位のおだやかさの世界であることを知っておいてください。
精神活動も自律神経の働きによって支配されているのです。
これを読んで、自分の自律神経の状態を知りたくなりました。
しかし、思うままに絵が描ける画家は、長命が保証される と簡単に考えてはいけません。基本的には、効果は、人によります。
自分の状態を正しくとらえて、それに応じた対策を考えることが肝要です。
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