池上彰 「見えざる手」が経済を動かす (2008) |
2020.5.6
池上彰さんは、1950年生まれ。1973年に、NHKに記者として入局し、
1994年から11年間、週刊こどもニュースのお父さん役を務めました。
2005年に、定年を待たずに、退職し、フリーランスのジャーナリストとして、活動を始めます。
テレビ各局で、長時間の時局解説番組で解説を担当されていますが、
週に2、3回、別のテレビ局で解説番組に出演されることも、わりと頻繁におみうけして、
ネタのつきないお方だなあと、いつも感心しています。
この本も、そういうテレビの2時間番組を見ているような感じで、速読できました。
ずっとしゃべり続けながら、内容が頭に入ってくる、すばらしい話し手です。
この本は、経済のお話で、池上さんの得意分野だと思います。
目次は
はじめに − 学校選択制は市場経済の論理
第1章 高級ホテルのコーヒーはどうして高い?
第2章 ただの「紙」がなぜお金なの?
第3章 「紙」が「神」になった?
第4章 人間が主人になろうとしたが − 「社会主義」の失敗
第5章 資本主義も「社会主義」を取り入れた
第6章 資本主義が勝った? − 「新自由主義」
第7章 会社は誰のもの?
第8章 「あるべき社会」とは? − 格差社会の克服
おわりに − 買い物は「投票行動」だ
で、大人なら一度は聞いたことのある話が、要領よくまとまっています。
第4章の「社会主義」の失敗では、社会主義の効率の悪さがあげられていますが、
私は、社会主義や共産主義の最大の悪は、独裁政治による権力の集中と腐敗だと思います。
共産主義では、プロレタリア独裁、すなわち共産党による独裁が行われます。
権力が集中し、固定すると、その権力を利用しようとする悪しき人たちが、
わいろなどを利用して、暗躍し、結局は、理想の政治ではなくなります。
現在の中国やロシアの共産主義を見ると、日本に生れたことを本当に感謝しています。
しかし、勿論、資本主義が善で、社会主義が悪ということではありません。
資本主義では、個人の生産の自由はありますが、生産販売に失敗すると、個人が責任をとらねばなりません。
商店街でも、売れない店はつぶれます。新しい仕事に転換できない人にとっては、悲惨な運命が待っています。
そういう残酷さが、日常にあり、社会全体としては、発展していきます。
今回の新型コロナ対策で、営業自粛を要請したときに、補償をどうするかという問題が議論されています。
協力金を1回出すくらいの補償から、損失は100%補償するまで、色んなレベルがあります。
自粛期間が1か月か、2か月なのか、それとも、半年続いてしまうのかという問題もあります。
こういう新しい事態に、国家や社会がどう対応していくか、歴史の目撃者として、注目しています。
今日、たまたま、テレビで。「池上彰×松井秀喜 in キューバ」を見ました。
https://video.tv-tokyo.co.jp/ikegamiakira-sp/index.html
キューバは、革命後、米国から制裁をうけているため、経済的には余りよくなく、国民は貧しい生活をしていますが、
食料は配給だし、医療費はただなので、配給品をもらうために長時間行列に並ばなければならないことを厭わなければ、
弱者には優しい世界です。
日本でも、出家して修行の道にこころざせば、生活費をかせぐ必要はないというような生き方がありますが、
弱者として生きたいという人達のために、一般向けのそういう場所があってもいいのかなとは思います。
昔の戦国時代なら、そういう小さな幸せを実現して生活していた村があっても、盗賊団などに
攻め滅ぼされるというようなことになったかもしれませんが、
世界が平和になれば、そういう生き方もありうると思います。
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