I think と I don't think の使い方 |
2015.1.10
日本語では、彼は来ると思います。 のように、「思います」という言葉をよく使います。
英語に訳すと、I think he is coming. となります。
ところが、私は彼は来ないと思います。を、I think he is
not coming. と訳すと
英語としては不自然で、I don't think he is coming.
のほうが好まれるようです。
日本人にとっては、彼が来るとは思いません。のほうが不自然で、大きな違いがあります。
オーストラリア留学協会が提供するワンポイント英会話レッスンの
192回 〜でないと思う=don’t think [掛け算]
に、以下の丁寧な説明があります。
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「彼は来ないと思う。」を英語で言うなら、
× I think he is not coming.
ではなく、
○ I don't think he is coming.
という言い方が一般的です。(例外有り)
否定的な内容をおっしゃろうと思ったら、I don't think から始めるのですね。
しかし、これが当てはまるのは、いろいろ考えても、think だけで、
他の「考える」「思う」に相当する単語(ponder, reckon)あと、
hopeなどにも当てはまりません。
I reckon it will not happen.
I ponder I don't have it.
I hope it will not happen.
といった具合にです。
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think の使い方は特別のようです。
また、Yahoo知恵袋で、①I dont {think that 肯定文} と②I think {that 否定文} という質問に対する解答がすばらしいので、ご紹介します。
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日本語では,「〜ではないと思います」の方が一般的で,英語と逆になっており,戸惑うのも無理はありません。
そこでたとえば,I think that he is not kind.という文と,I don't think that he is kind.を比較してみます。
英米人たちはたいてい後者を用いるはずですが,前者は「彼は親切ではない」という印象が前面に出てきます。
ところが,「親切ではない」と考えているのはあくまで「私」であって,他人の感じ方と異なることも多いものです。
そこでこうした他人との直接的な意見衝突を避けるため,「少なくとも私は〜と思わない」というイメージを相手に与えるための便法です。
また,これから否定的な内容をお話ししますよということを先に宣言し,相手に覚悟してもらうことによって,文の途中で「彼は親切ではないという話だったのか」という意外性による相手の心理的衝撃を緩和する効果も狙ったものです。
これも会話が少しでもトゲのないものになるようにと配慮した結果です。
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he is noy kind. と言い切るのをはばかるという意味では、非常にわかりやすいですね。
後半の、「これから否定的な内容をお話ししますよということを先に宣言し」という部分は、notが、文章の最初のほうにでてくる英語と、「ない」が後になってでてくる日本語の、感覚の違いでしょうか。
デイビット・セインさんの 実践ビジネス英語Q&A の 日本人が好む I think, 使い方には要注意 の説明も、非常にわかりやすく、示唆に富んでいます。
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「金曜日までにプロジェクトを完了するのは不可能だと思います」には、二通りの言い方が考えられます。
(1) I think it would be impossible to complete this project by Friday.
金曜日までにプロジェクトを完了させるのは不可能だと思います。
(2) I don't think it be possible to complete this project by Friday.
金曜日までにプロジェクトを完了させるのは可能だとは思いません。
両方とも意味の上では同じと言えるかもしれませんが、実は大きな相違点があります。
例えば、
(1) I think he isn't right.
彼は正しくないと思います。
これは日本語的で、あまり英語に慣れていない人が使いやすい表現です。文法的には問題はありませんが、ネーティブの耳には不自然に聞こえます。
(2) I don't think he's right.
彼が正しいとは思いません。
これは英語らしい表現の仕方で、とても自然です。
英語では、個人の感想を述べるよりも、実際はどうなのか、事実を明確に伝えることの方が大切なので、否定語( not )を先に出し、文の前の方に置く傾向があります。この方が自分の考えを前面に押し出していると言えます。
また I think he's wrong. としても、意味としては同じですが、これは表現としてかなりストレートです。not を先に置き、wrong とは言わず、I don't think he's right. と表現する方がソフトで遠慮がちなニュアンスがあります。
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2頁目は、会員登録しないと読めませんが、1箇所だけ引用します。
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ただし、I think … で自分の意見を述べた方がよい場合があります。
I think the annual salary system should not be abolished.
「年俸制は廃止するべきではない」
否定する場合に、後の文に not をつけることで、論点がより明確になります。
また、I think … で始めることによって、相手の意見を聞こうとする態度を示すこともでき、穏やかな物言いにもなります。
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2015.1.10
アルクのwebサイトの日向清人のビジネス英語雑記帳の I think... は控えめに という解説がすばらしいので紹介します。
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おそらく、英語で話す際に I think で始める人は、日本語での「〜と思います」だとか、「(わたし)思いますには、考えますに」に相当するものとして捉えているのではないでしょうか。
また、Let me see, Um, Well のように「時間かせぎ」のツールとして便利だということで、とりあえず使っている人も多い感じです。
しかし、どちらも I think の英語の世界での位置づけからすると、ちょっと違うよなと言わざるを得ません。
この I think 、英語の世界では、独特のポジションを持っています。
Longman Grammar of Spoken English によると、know より弱いけれど suspectよりは強い自信のほどを表す一方で、認識の根拠 (source of knowledge) をも表すのが、この I think の役どころとされています。
つまり、I think は、「飽くまでわたしの考え・判断であって、確信を持って断定しているわけではありませんよ」 というニュアンスで使われるのが普通だということです。
中略
このように、I think は話し手自身の控えめな姿勢をアピールするものとして会話の中でもよく使われるわけですが、問題は、英語を話せる日本人がどうかすると、I think 本来のニュアンスや機能とおかまいなく乱発する傾向があることです。
慎み深さをアピールする道具ならいくら使ってもよさそうなものですが、やはり乱発すると一種の副作用が表れてきます。
実際、Senko K. Maynard という研究者は、Japanese Communication: Language and Thought in Context (University of Hawaii Press) という本の中で、どうかすると、I think, I think that's right, I think I will conclude that, I think I can't do that, I think I will go, I think yes と I think をやたら使う、英語を勉強中の日本人を取り上げ、
This style often gives Americans the impression that Japanese people are (1) repetitive or (2) opinionated. こうしたスタイルは、アメリカ人に対しては、日本人というのは(1)言葉の繰り返しが多い、または、(2)自分の考えを強引に通そうとする、という印象をしばしば与える。
と指摘しています。
どういうことかと言うと、I think という言い方を使う人はアメリカ人にもけっこういるけれど、アメリカ英語の世界では、それが出てくれば聞き手もすぐ「あ、I thinkか」と気づくようなクセのあるフレーズであり、したがって、何度もそれを使うと「この人、なんだか繰り返しが多いなあ」と思われてしまうということです。
要するに本来の使い方に即して折々 I think で始めるのはいいとして、乱発すると、みっともないということです。
I think... 実はここに英語独特のセンスの問題がからんでいます。
英語には同じ言葉を繰り返し使うなという暗黙の掟があり、英語を話す人はライティングの授業でこういったことを叩き込まれているので、同じ言葉を何度も繰り返す人は必然的に否定的評価を加えられてしまうという現実があります。
中略
英字新聞を読まれる方は、今度、注意してご覧になれば、記者が一生懸命言い換えを使っていることに気づかれるはずです。
証券会社に関する記事なら、最初でこそその証券会社を指すために固有名詞を出すものの、次のパラグラフでは the nation's second largest brokerage、次のパラグラフでは、the scandal-ridden securities firm などと言い換えを駆使しますし、普通の人のエッセーなどでも、最初に use を使ったら,次は employ、その次は utilize、そのあとは、make use of, operate, handle などを次々と繰り出すという具合に、工夫しているものです。
ですから、こういった感覚を持っている人々を相手に英語を話すときに、I think をいくども使うようでは、いい印象を持ってもらえるはずもなく、assertive を飛び越えて opinionated と映るだけです。
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2016.1.27
今日のNHKの「しごとの基礎英語」でも、I don't think がとりあげられていました。
○ We don't think Amy's voice leaves a strong enough impression.
× We think Amy's voice does not leave a strong enough impression.
訳は、「エイミーの声が十分な印象を残しているとは言い難い」です。
英語では、「〜ではないと思う」ではなく、「〜とは思わない」という言い方を使うことを、「notの前倒し」と説明しています。
2016.1.29
「しごとの基礎英語」の過去記事に、以下の例文と解説を見つけました。
I don't think Adam Industries will lower their price any further regardless of how much we try to negotiate.
アダム商会は、どれだけ交渉しても、これ以上値段を下げるとは思いません。
解説 英語には think, seem, sepect など「思う」系の単語を用いたとき、not を前倒しする癖があります。
この文のように「値下げしないと思う」の代わりに「値下げするとは思わない」と前倒しする方が圧倒的に自然です。
notに絡む日本語と英語の違いを、心理学的に説明できないかと、いつも考えています。
「いい」と言うべきときに、「悪くはない」と言ってしまうような心理が作用しているのではないかとは思うのですが。
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