百田尚樹・有本香 日本保守党 (2024)

2024.02.07

 今、政治の世界で、地すべりを予測させるような地震が起きています。

 人気作家の百田尚樹さんと、ジャーナリストの有本香さんが、日本保守党という政党を立ち上げたからです。

 お二人で発信しているYouTubeの「ニュースあさ8時!」という番組で、自民党が、LGBT法案の強硬審議を行っていたとき、もしこの法案を通したら、自民を見限って、新しく政党を立ち上げると、大ぼらを吹いたのですが、この法案がまさか通ってしまったため、政党を立ち上げるはめになってしまいました。

 お二方とも、安倍晋三元総理の大ファンですので、この政党は、安倍さんの遺志を継ぐ政党でもあります。

 本書は、政党の最初の公式本として出版されましたが、その第一章 日本保守党設立宣言に、設立の経緯が、こう語られています。

12頁
百田 長い間、私は自民党を消極的ながら支持してきました。それは、他に支持する政党がなかったからです。ところが、2022年、安倍晋三元総理が非業の死を遂げられて以降、自民党はまさに音をたてて崩れていきました。実は、自民党はもともと保守政党などではなかったのです

有本 私は月刊『Hanada』2023年4月号のコラムで「安倍晋三なき自民党はどこへ行くのか」と書いたのですが(10章に収録)、まさかこういう方向とは思いもしませんでした。百田さんと同じように強い憤りを覚えました。

百田 これまでは安倍晋三という稀有な政治家がいたからこそ、自民党の緩んでいる箍(たが)を締めあげることができていた。しかし、安倍さんという大きな箍が外れ、リベラルという自民党の本性が剥き出しになりました。安倍さんがやろうとしていたことをことごとく反故にし、安倍さんが守ろうとしていたことをことごとく潰し、安倍さんがこれだけはやるべきではないと考えていたことまで、逆に推し進めた。

35頁
百田 私はこれまでYouTubeなどで好き勝手なことを言ってきましたが、もう好き勝手なことを言っているだけでは日本は何も変わらない。何か行動を起こさなければとの思いです。もちろん、私が政党を立ち上げて活動したところでたいした影響力などないでしょう。でも繰り返しになりますが、何か実行に移さなければならない。

かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂 − (吉田松陰)

"男らしさ"という表現すらはばかられる時代になりつつありますが、あえて言わせてください。私は男として生をうけ、曲がりなりにも男として生きてきました。愛する日本の危機を黙って見ているようでは男が廃(すた)る。

 もちろん新党を作って国会議員一人当選させるだけでも大変な困難です。たとえうまく当選させることができても、自民党を脅かす存在になるには、五年、十年、二十年はかかるでしょう。それまで私が生きているかどうかわかりません。そして日本がもつかどうか、もはや時間との闘いです。

 私の想いは単純です。愛する日本を守りたい。そのために、日本に真の保守新党を作りたい。皆さん、どうか力を貸してください。一緒にこのすばらしい日本という国を守りましょう。

 

 政党名につけた「保守」という言葉は、多くの国民の支持を得ているようです。

 国民に支持されて約8年の長期にわたり存続した安倍政権のとき、国民の支持は、自民・公明の政権党が約4割共産や立憲民主などのリベラル野党が約1割、残りの約5割は、支持政党がなく、選挙で投票しませんでした。

 しかし、最近の自民党のリベラル寄りの政策や数々の不祥事の影響で、自民党の支持率は、約2割程度に下落し、過半数の国民は、支持政党無しの状態になってしまいました。

 この支持政党無しという人たちの中に、保守政党の誕生を待ち望んでいる人たちがいるのです。

 

 さて、戦後の日本では、愛国心という言葉が、右翼思想の言葉だと色分けされています。太平洋戦争中、日本国民は、愛国心をもって米国と戦いましたので、戦後、日本に駐留した米軍は、日本に自虐史観を植え付けました。

 韓国や中国が、自国民に反日思想を教育するなかで、日本軍が、南京で、30万人虐殺したとか、朝鮮人の慰安婦を性奴隷例にしたと主張したときに、日本国内の左派の人たちは、彼らの主張を援護する立場をとりました。

 おかげで、国連などの場では、日本は、ドイツのユダヤ人のホロコーストに次ぐ、人類史上二番目の極悪国家とみなされています。人口が30万人程度の南京で、日本軍が30万人虐殺したのであれば、これは、歴史的に忘れ去ってはいけない大虐殺です。日本軍が、20万人にもおよぶ女性を性奴隷として扱ったのであれば、これ、歴史的に忘れさってはいけない性犯罪です。

 ですから、日本が、ホロコーストのような極悪非道な犯罪を犯したのであれば、日本および日本人は、真剣に世界に対して謝罪し続けなければなりません。

 南京大虐殺や、慰安婦性奴隷が事実であると主張し報道し続けた朝日新聞などの日本のマスコミは、本当に事実だと思っているのなら、日本はドイツと同じく、世界に対して謝罪しなければならないことも主張し、日本の謝罪に主体的な音頭をとるべきなのですが、そんなことは一切考えていないようです。無責任ですね。

 日本保守党の共同代表になった河村たかしさんは、勇敢にも、「南京大虐殺はなかった」と発言した政治家です。

66頁
百田 過去、河村さんがいわゆる「南京発言」を行ったことに対して、中国はもちろん、日本のメディア、左翼文化人、政治家などが連日連夜、河村さんに猛烈なバッシングを浴びせました。ところがあの時、河村さんは一切、謝罪や発言の撤回をしなかった。当時からこれは非常に骨のある政治家だと思っていました。

 さて、日本人の自虐史観は、日本を占領した米軍が仕込んだのですが、自虐史観が日本に浸透した過程について百田さんは、本書の119頁から121頁にかけて興味ある考察をしています。

 要約すると、米軍の7年間の占領が終わってすぐ、戦犯の赦免運動が起きました。日本の人口8000万人のうち4000万人が署名するという大規模なもので、日本人は自虐史観には染まっていませんでした。

 しかし、GHQが去ったあとも続いた自虐史観の教育を受けた子供たちが社会にでてきた昭和40年代後半から50年代にかけて、自虐史観が社会を覆(おお)い始め、日の丸掲揚拒絶や君が代否定、南京大虐殺、従軍慰安婦の強制連行、首相の靖国神社参拝反対などの運動が起こり始めたのです。

 いわゆる団塊の世代が、洗脳第一世代ということのようです。

 洗脳が何世代続いたのかよく知りませんが、第一世代の団塊の世代は、すでに75歳を超えて、社会から退場しつつあります。

 ですから、洗脳を受けていない若い世代が頑張れば、日本は蘇ることができるというのが、百田さんのご意見です。

 アメリカでは、民主党と共和党の2大政党が、国民の支持を、半分ずつ取り合っています。
民主党は、リベラル派が牛耳っていて、日本の自民党との共通点が多くあります。
共和党は、基本的に保守の立場ですが、日本には、対応する政党が無いと思います。

 自民党よりも保守を目指して、維新の会や、参政党などが存在していますが、
日本保守党が、保守の本丸となって発展することができるかどうか、見守りたいと思います。

 

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