般若心経を読む |
2015.8.13
般若心経は、日本に仏教が伝来して以来、千数百年にわたって、日本人に読みつがれてきました。漢字262文字の短いお経で、空の思想を説く重要なお経なのですが、あまりに短くまとめられていて、省略された部分があり、本文だけでは理解できないため、過去から現代にわたって、数多くの注釈本や、解説本が書かれています。
これから、それらの注釈本を読み進んでいきたいと思っていますが、まず、本文と、漢文書き下し文、直訳を以下に提示します。
摩訶般若波羅蜜多心経
摩訶 (マハー)=偉大な、 般若 (パンニャー)=悟りに向かう智恵、叡智、 波羅蜜多 (パーラミター) 完成
観自在菩薩(ぼさつ) 行深般若波羅蜜多時 観自在菩薩 深なる般若波羅密多を行じし時
照見五蘊(ごうん)皆空 度一切苦厄(くやく) 五蘊は皆な空なりと照見し 一切の苦厄を渡す
観音菩薩が、深い般若波羅蜜多 (智恵を完成するための実践) を行っていた時、五蘊 (色・受・想・行・識) は「空」と照見し(見極め)、一切の苦しみを取り除かれました。
五蘊 (パンチャ スカンダー、五つの集まり) 色 (ルーパ)=物質・肉体、受 (ヴェーダナ)=感覚、想(サンジュニャー)=表象、行 (サンスカーラ)=心の働き、識 (ヴィジュニャーナ)=外界の意識
「空」(シーニャ) あらゆる事物には永遠不滅の固定的な実体・自性がないこと
舎利子 シャーリプトラよ
色不異空 空不異色 色は空に異ならず 空は色に異ならず
色即是空 空即是色 色は即ち是(これ)空なり 空は即ち是(これ)色なり
受想行識 亦復(やくぶ)如是(にょぜ) 受想行識も亦(また)復(また)是(かく)の如し
舎利子よ。「色」(この世の存在や現象)は「空」(実体のないもの)に異ならず、「空」は「色」に異なりません。「色」は「空」であり、「空」は「色」です。残りの「受・想・行・識」も、同様に「空」です。
舎利子 シャーリプトラよ
是(ぜ)諸法空相(くうそう) 不生不滅 是(こ)の諸法は空相にして、生ぜず滅せず
不垢(ふく)不浄 不増不減 垢(あか)つかず浄(きよ)からず 増えず減らず
舎利子よ。この世では、あらゆるものは空性という特性を持ちます。それらは生じることも、滅することもなく、汚れいてることも、浄いこともなく、増えることも減ることもありません。
是故(ぜこ)空中無色 無受想行識 この故に空の中に色は無く 受想行識も無く
無眼耳鼻舌身意 無色声香味触(そく)法 眼耳鼻舌身意も無く 色聲香味触法も無し
無眼界乃至(ないし)無意識界 眼界も無く乃至意識界も無し
この故に、「空」の中において「色」はなく、「受・想・行・識」もなく、眼・耳・鼻・舌・身・意(心)という感覚器官の働きにしても決まったものというものはなく、こうした器官が感じる色・声・香・味・触・法(精神)の現れにしても決まったものは存在しない。眼に映る世界は無く、心の認識する世界も無い。
無無明 亦(やく)無無明尽 無明も無く また無明の尽くること無し
乃至(ないし)無老死 亦(やく)無老死尽 乃至、老も死も無く また老と死の尽くることも無し
無苦集滅道 無知亦(やく)無得 苦集滅道も無く 智も無くまた得も無く
以無所得故 得る所無きを以ての故に
無明(迷い、煩悩)は無く、無明が無くなることも無い。老いることも死ぬこともない。老いや死がなくなるということもない。苦悩、根源、抑制、道筋は無い。知ることも無く、また得ることもない。
それは、得ることが何も無いからです。
菩提薩垂(ぼだいさった) 依(え)般若波羅蜜多故 菩薩(ヴォディサットゥヴァ)は、般若波羅蜜多に依るが故に
心無圭礙(けいげ) 心に圭礙無し
無圭礙(けいげ)故無有(う)恐怖(くふ) 圭礙無きが故に恐怖有ること無し
遠離(おんり)一切転倒(てんとう)夢想 究竟(くきょう)涅槃(ねはん) 一切の転倒夢想を遠離(おんり)し 涅槃を究竟す
菩薩は、悟りの完成への真の智恵に依って、心にわだかまりがなく、わだかまりがない故に、恐怖を抱くこともない。一切の間違った認識や考え方から遠離(解放)されることによって、涅槃を究め尽くします。
三世諸仏 依(え)般若波羅蜜多故 三世の諸仏も 般若波羅密多に依るが故に
得(とく)阿(あ)耨(のく)多羅(たら)三藐(さんみゃく)三菩提(さんぼだい) 阿(あ)耨(のく)多羅三藐(みゃく)三菩提を得たまえり
過去・現在・未来のすべての仏は、悟りの完成への真の智恵に依っているので、無上の真実の悟り(アヌッタラ・サムヤク・サンボーディ)を得たのである。
故知(こち) 般若波羅蜜多 是(ぜ)大神呪(だいじんしゅ) 故に知るべし 般若波羅密多は 是(こ)れ大神呪なり
是大明呪(しゅ) 是無上呪(しゅ) 是無等等呪(しゅ) 是れ大明呪なり 是れ無上呪なり 是れ無等等呪なり
能除一切苦 真実不虚(ふこ) 能(よ)く一切の苦を除き 真実にして虚(こ)ならず
故に知るべきです。悟りの完成への般若波羅蜜多の智恵は、偉大なる神聖な真言であり、最上の真言であり、無上の真言であり、他とは比べることができない真言である。この真言はあらゆる苦しみを取り除き、虚相ではない真実を示すものである。
故説(こせつ)般若波羅蜜多呪(しゅ) 即説呪(しゅ)曰(わつ) 故に般若波羅密多の呪を説く、即ち呪を説いて曰く
羯諦(ぎゃーてい)羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 ギャテイ ギャテイ ハラギャテイ ハラソウギャテイ
菩提薩婆訶(ぼじそわか) 般若心経 ボジソワカ(悟りの成就に幸いあれ) 般若心経
般若波羅蜜多の真言である呪をここに説く。すなわち、「空」の真言は、かく言う。
「往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、彼岸に完全に往ける者よ」、悟りよ、幸いあれ
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