複式簿記 

2020.5.27 更新2020.6.7

 経済や統計の勉強を始めたついでに、複式簿記についても、勉強することにしました。

 ワイマール帝国の大臣であった詩人のゲーテは、複式簿記の重要性を理解し、

学校教育に簿記の授業を義務付けたのですが、

彼の著書の「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」の中でも複式簿記のことを取り上げています。

 「ノボ村長の開拓日誌」というブログの、2018年4月3日の記事

    https://kawasimanobuo.hatenablog.com/entry/20180403/1522752724

でも、詳しく取り上げられましたので、興味ある方はそちらを見ていただきたいのですが、

エッセンスをまとめると、以下のようになります。

 主人公ヴィルヘルムの親友ヴルナーが、語ります。

(岩波文庫、山崎章甫訳)

「商売をやってゆくのに、広い視野をあたえてくれるのは、複式簿記による整理だ。

整理されていればいつでも全体が見渡される。細かしいことでまごまごする必要がなくなる。

複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。

立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ」

 主人公は、こう答えます。

「失敬だが、君は、形式こそが要点だと言わんばかりに、形式から話を始める。

しかし君たちは、足し算だの、収支決算だのに目を奪われて、肝心要の人生の総計額をどうやら忘れているようだね」

 それに対し、親友ヴルナーが、語ります。

「残念ながら君の見当違いだね。いいかい。形式と要点は一つなんだ。一方がなければ他方も成り立たないんだ。

整理されて明瞭になっていれば、倹約したり儲けたりする意欲も増してくるものなんだ。

やりくりの下手な人は曖昧にしておくことを好む。負債の総額を知ることは好まないんだ。

その反対に、すぐれた経営者にとっては、毎日、増大する仕合わせ(仕訳)の総計を出してみるのにまさる楽しみはないのだ。

いまいましい損害をこうむっても、そういう人は慌てはしない。

どれだけの儲けを秤の一方の皿にのせればいいかを直ちに見抜くからだ。」

 

 日本で、所得税の青色申告をする人は、帳簿を複式簿記で記載する必要があります。

昔は、申告書の用紙が青色だったのですが、2001年から、青色ではなくなりました。

 青色申告をすると、65万円の特別控除を受けることができるのですが、これは、

サラリーマンなど給与所得者が、給与所得控除(最低65万円)が得られるのに比べて、

不公平だということで始まった制度だと聞いたことがあります。

 また、平成30年度の税制改正により、、来年3月の令和2年度所得税確定申告からは、

基礎控除額が38万円から48万円に増額され、青色申告特別控除額は、65万円から55万円に減額されるのですが、

e-Taxによる電子申告を行うと、青色申告特別控除額は、65万円のまま維持されます。

 

 私も、現役時代は、公務員として給料をもらっていましたので、青色申告は、知らずにきました。

確定申告も、職場任せでしたが、自営業の方たちは、複式簿記の帳簿を作成してきたのですね。

 

 複式簿記は、単式簿記に対して名づけられた簿記の様式です。

 単式簿記の一番身近な例は、家庭の出納簿や、銀行の預金通帳で、

これは、現金のやりとりを時系列で記録した、現金に関する帳簿です。

 

 しかし、資産は、現金だけでなく、預金、有価証券、受取手形、売掛金、貸付金、固定資産などもあり、

それぞれ、帳簿を作って管理する必要があります。

 また、資産は、負債によるものか、それとも、負債ではない正味の財産である純資産なのかという見方もでき、

資産の現状と、負債+純資産の現状を対比した、貸借対照表は、会社の財政状態を表す、重要な決算書類です。

 また、製品を売って、現金収入を得るというような収益によって、資産は増加しますし、

雇用人の給料を現金で払うというような費用の発生によって、資産は減少しますので、

資産の帳簿は、収益や費用の帳簿とも、連動する必要があります。

 収益と費用の差が、純益とかんがえられ、費用+純益と収益を対比した損益計算書も、

会社が利益をあげているかどうかを示す、重要な決算書類です。

 

 この複雑な会計を、厳密にとらえるために考案されたのが、複式簿記です。

日々の取引の仕訳帳への記入、勘定元帳への転記、決算書の作成の3ステップからなります。

仕訳帳に、借方と貸方という二つの欄があることが味噌であることから、複式簿記と呼ばれます。

 

 今、複式簿記がその威力を発揮する具体的な例を探しているのですが、なかなかみつかりません。

今、仕訳を勉強して、自分で例を作ろうと考えています。

 

 コンピュータの発達により、仕訳帳の記入以後の面倒くさい手続きは、コンピュータが自動でやってくれるようになりました。

仕訳によって、うまくいく例と、うまくいかない例を知ることが、現代の会計にとって、最も必要な事と思っています。

 

 複式簿記では、最初に、日々行われる取引を、仕訳帳に記載します。

 例えば、12万円の備品Aを購入し、現金12万円を支払ったという取引があったとします。

備品資産は12万円増加しますので、仕訳帳の左側借方の方に、備品A  12万円 と記載します。

現金資産は、12万円減少しますので、仕訳帳の右側貸方の方に、現金 12万円 と記載します。

 

 銀行から現金200万円を借り入れた場合は、

現金が200万円増加したので、左側借方に、   現金  200蔓万円

借入金が200万円増加したので、右側貸方に、  借入金  200万円

 

 電気代10000円を支払った という取引に関しては、

これは、費用の増加なので、左側借方に、   費用(電気料金)   1万円

現金という「資産」が、10000円減ったので、右側貸方に   現金 1万円

  

 

 

     

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