安倍晋三 新しい国へ (2013) |
2021.09.27
安倍さんは、2005年10月に、第三次小泉内閣で、内閣官房長官として初入閣します。
2006年9月20日に、小泉総裁の任期満了に伴う総裁選が開かれることから、
2006年9月1日に、総裁選への出馬を表明します。
総裁選で、麻生、谷垣の2氏を大差で破り、第21代総裁となります。
このとき、自らの政治心情を語る『美しい国へ』(2006) という新書を文春新書として出版しました。
安倍さんは、体調不良のため、1年後、首相を辞任されますが、
2012年9月に、健康を回復して、かえり咲いて第25代総裁となります。
2012年12月16日の衆議院選挙で、自民党が勝ち、12月26日に第二次安倍内閣が発足します。
そして、新しく政権を担うにあたり、政治家としての基本姿勢を語るために『美しい国へ』を改訂して、
『新しい国へ』(2013)を出版されました。
この本の「はじめに」には、「闘う政治家」「闘わない政治家」という副題がついています。
「闘う政治家」とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のことである。
「闘わない政治家」とは、「あなたのいうことは正しい」と同調はするものの、けっして批判の矢面に立とうとしない政治家だ。
わたしが拉致問題について声をあげたとき、「右翼反動」というレッテルが貼られるのを恐れてか、
運動に参加したのは、ほんの僅かな議員たちだけであった。
「応援しているよ」という議員はたくさんいたが、いっしょに行動する議員は少なかった。
「闘う政治家」の数が少ないのは、残念ながら、いつの時代も同じだ。
拉致問題については、本書の第二章 自立する国家 で、詳しく語られます。
第一章 私の原点 で、いわゆる民主リベラルと、保守主義 の意味について、説明があります。
自民党は、保守とされるのですが、自民党こそ、英語で、リベラル・デモクラティックです。
ヨーロッパとアメリカでも、リベラルの考え方が違うそうです。
ヨーロッパは、王権に支配される封建制度から、革命を通して自由を獲得した歴史があることから、
リベラルとは、他者の介入を許さない個人主義的な考え方であるのに対し、
アメリカには、封建制度の歴史はなく、1929年に始まった世界大恐慌において、
多くの失業者が生れたときに、政府が経済に積極的に介入するニューディール政策をとった人達が、
自らのことをリベラルと呼び始めたことから、
社会主義的な考え方のことをリベラルと呼ぶようになったそうです。
なにをリベラルと呼ぶかは、かなり難しいと思いました。
さらに、アメリカは、民主党と共和党の二大政党で、共和党は、南部の州に依拠する古い考え方で、
民主党は、東部や西部の発展した州に依拠する新しい考え方だと思いがちですが、
南部の奴隷制度を解放したのが、リンカーンの共和党で、南部の州は、民主党だったことを忘れています。
アメリカでは、奴隷解放の頃と、今現在の政治環境は、かなり複雑に変化したようです。
日本の現在を考えても、自由民主党の方が、自由すなわちリベラルで、
民主リベラルを標榜する人達の方が、社会主義的な思想に影響され、
自由よりも平等に力点を置いたむしろ非自由な考え方をしているように感じます。
23頁の うさんくさい気がした「安保反対」の理由 も、基本的には、同感します。
私も、学生運動世代ですから、ベトナム戦争が続いていたあのころ、戦争反対と、安保反対が、
同じ意味合いで考えられていたと思います。
しかし、学生運動が下火になったあと、日本は、日米安保条約の下で、平和を維持していて、
安保反対は、完全に忘れ去られています。
あれは、なんだったのだろうかという思いは、あります。
沖縄の米軍基地の撤退を求めている最近の反対運動をみると、
沖縄に米軍基地があってはこまる勢力の陰謀に踊らされているのではないかとさえ
思う事が有ります。沖縄に米軍基地が集中していて、沖縄の人がかわいそうというような説を
きくことがありますが、沖縄に基地が多いのは、あのあたりが、本当に危険だからではないかと思います。
台湾問題を考えるとき、沖縄に基地があることは、非常に大切だと思います。
戦争反対のような普遍的理念に賛同するのは、いいのですが、
それが、具体的な事柄への反対に変化するときには、気をつけなければならないと思います。
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