詩吟の漢詩 

2019.1.29 更新2023.01.10

 詩吟で謡われる漢詩を紹介します。漢詩原文、読み下し文、現代語直訳、のあとに、

詩吟の読みをひらがなで示し、譜付けの一例を  

右の数字記号で示します。    ラ シ ド ミ ファ ラ シ ド
                乙 1 2 3 3゚ 5 6 7

 

● 泛海 (はんかい)  海に泛(うか)ぶ  王守仁 (王陽明)

険夷原不滞胸中  険夷(けんい) 原(もと) 胸中(きょうちゅう)に滞(とどこお)らず

  険しいか平かかは、元来、胸中にこだわることはない

何異浮雲過太空  何ぞ異ならん 浮雲(ふうん)の大空(たいくう)を過ぐるに

  どうして異なろうか(いや異ならない) 浮き雲が大空を流れ過ぎるのと

夜静海濤三万里  夜は静かなり 海濤(かいとう) 三万里

  今夜は静かだ、海の波が三万里 続いている

月明飛錫下天風  月明(げつめい) 錫(しゃく)を飛ばして 天風(てんぷう)に下る

  月あかりに (仙人が) 錫杖を飛ばして 天より吹く風に 駆け下る

53゚3゚  33゚〜33゚3  56666〜7653゚3 23゚3゚3゚3゚3〜3゚321乙
けんい もと〜     キョおチュうに〜      とどこおらず〜

211 乙2221〜21乙 3゚333〜3゚3 3゚5555〜653゚3 23゚33〜
なんぞ ことならん〜    ふうんの〜   たいくうを〜     すぐるに〜

53゚3゚〜33゚5 653゚3゚3〜3゚3 5666〜7653゚3 23゚3゚33〜3゚321乙
よるは〜    しずかなり〜   かいとお〜      さんまんり〜

乙111〜21乙 3゚332333〜3゚3 3゚5555〜653゚3 233〜3゚3
げつめい〜    シャくをとばして〜   てんぷうに〜     くだる〜

● 黄鶴楼送孟浩然之広陵  黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之(ゆ)くを送る  李白

故人西辞黄鶴楼  故人西のかた黄鶴楼(こうかくろう)を辞し

 親友が西の方角の黄鶴楼を辞し

煙花三月下揚州  煙花(えんか) 三月(さんがつ) 揚州(ようしゅう)に下る 

 煙花(春霞と花)の三月に、揚州(広陵)に下っていく

孤帆遠影碧空尽  孤帆(こはん)の遠影 碧空(へきくう)に尽き  

 孤帆(一艘の帆船)の遠影が、青空の彼方に尽き

唯見長江天際流  唯(た)だ見る 長江の天際(てんさい)に流るるを

 ただ見る。揚子江が天の果てまで流れるのを。

53゚3゚  33゚3゚3゚3゚〜33゚3 5666766〜7653 3゚3〜3゚321乙
こじん にしのかた〜    こおかくろうを〜     じし

21121乙 3゚333〜3゚3 655555〜653゚3 233〜3゚3
えんか〜    さんがつ〜   よおしゅうに〜     くだる〜

766676  5666765 566667653゚3 3゚3〜3゚321乙
こはんの〜    えんえい〜    へきくうに〜      つき〜

2121〜21乙 3゚3333〜3゚3 3゚5555〜653゚3 23゚3゚33〜
ただみる〜    チョおこうの〜   てんさいに〜     ながるるを〜 

● 静夜思    静夜思     李白

牀前看月光  牀前(しょうぜん) 月光を看(み)る

 寝床の前に(射し込む)月光を看る

疑是地上霜  疑(うたご)うらくは是れ地上の霜かと

 疑ってみることには、これ、地上の霜かと

説明 本来は、疑がわくは、とあるべきですが、疑うらく、告ぐらく、すらく、といった使い方もされています。

挙頭望山月  頭を挙げて山月を望み

低頭思故郷  頭を低れては故郷を思う

2゚3゚3゚3゚〜33゚3 5 666〜7653゚3 3゚3〜3゚321乙
ショおぜん〜    げっこうを〜      みる〜

乙111211〜21乙 3゚3〜3゚3 3゚5 55〜653゚3 23゚33
うたごおらくは〜    これ〜   ちじょおの〜     しもかと〜

3777〜676 5666〜765 76666〜7653゚3 233〜3゚321乙
こおべを〜    あげては〜    さんげつを〜      のぞみ〜

乙111〜21 3゚333〜3゚3 6555〜653゚3 23゚3
こおべを〜   たれては〜   こキョおを〜     おもお〜

● 題烏江亭  烏江亭に題す  杜牧

勝敗兵家事不期  勝敗は兵家も事(こと) 期せず

  勝敗は、兵法家も予期できない事である

包羞忍恥是男兒  羞(はじ)を包み恥を忍ぶは 是れ 男兒

  (敗れたとしても)羞恥に耐え忍ぶのは、これ、男児である

江東子弟多才俊  江東の子弟 才俊(さいしゅん)多し

  江東の若者には、俊才が多い

説明 江東は、揚子江の南側で揚子江が北に向かって流れている地域。項羽の出身地。

捲土重来未可知  捲土重来 未だ 知るべからず

  土を巻き上げて重ねて(劉邦に)攻め寄れば、(どうなったか)未だわからない

2゚3゚3゚3゚3゚〜 53゚3゚3゚〜33゚3 56〜7653゚3 23゚3〜3゚321乙
ショおはいは〜 へいかも〜    こと〜      きせず

乙21乙21〜21乙 23゚323゚3゚3〜3゚3 65〜653゚3 3゚33
はじをつつみ〜    はじをしのぶは〜   これ〜     だんじ〜

37777〜676 576〜765 5666〜7653゚3 3゚33〜3゚321乙
こおとうの〜    してい〜    さいシュん〜      おおし〜

211〜21乙 2333〜3゚3 233 3゚5〜653゚3 23゚33
けんど〜    チョおらい〜   いまだ しる〜     べからず〜

● 梅花  梅花  王安石

墻角数枝梅  墻角(しょうかく) 数枝の梅

 垣根の角の数本の梅の枝が

凌寒独自開  寒を凌いで 独り自(おの)ずから開く

  寒さをしのいで、ひとりおのずから開いている

遥知不是雪  遥かに知る 是れ雪ならざるを

  遠くからもわかる、これが雪ではないことは

為有暗香来  暗香(あんこう)の来たる有るが為なり

  暗香の漂い来るがあるからだ

2゚3゚3゚3゚〜33゚3 7666〜7653゚3 23〜3゚321乙
ショおかく〜    すうしの〜      うめ

211 23゚33〜3゚3 23゚3 3゚5555〜653゚3 23゚3〜
かんを〜 しのいで〜   ひとり おのずから〜     ひらく〜

7666 5676 76〜565 567653゚3 23゚3゚33〜3゚321乙
はるかに しる〜   これ〜    ゆき〜      ならざるを〜

乙111121乙 23゚3〜3゚3 655〜653゚3 23゚33〜
あんこおの〜    きたる〜   あるが〜     ためなり〜

● 送元二使安西  元二の安西に使いするを送る  王維

 王維の友人 元二 が、前線司令部の置かれている安西に使わされるときの送別の歌です

渭城朝雨浥軽塵  渭城(いじょう)の朝雨 軽塵(けいじん)を浥(うるお)す

  渭城に降る朝の雨は、地面の軽い土ぼこりを潤す

客舎青青柳色新  客舎(かくしゃ) 青青 柳色 新たなり

  旅館は青々とした柳の色が新鮮だ

勧君更尽一杯酒  君に勧(すす)む 更に尽くせ 一杯の酒を

  君に勧めよう 更に、もう一杯の酒を飲み尽くそう

説明 君は、友人の元二のこと。

西出陽関無故人  西のかた陽関(ようかん)を出ずれば故人無からん

  (君が)西の陽関を出てしまえば、(酒を飲みかわす君のような)親友もいなくなる

説明 原文では、故人無し ですが、読み下し文では、らむ を付けて、いなくなるだろう の意を明示します。

2゚3゚ 3゚3゚ 53゚3゚〜33゚3 56666〜7653゚3 23゚3゚3〜3゚321乙
いじょおの チョおう〜    けいじんを〜      うるおす〜

211〜21 23゚3゚3゚〜3 3゚55 5〜653゚3 3゚3333
かくシャ〜   せいせい〜  リュうしょく〜     あらたなり〜

377 566〜76 766576〜76 76666〜7653゚3 233〜
きみに すすむ〜   さらにつくせ〜   いっぱいの〜      さけを〜

乙1111〜21 23゚3゚3゚3゚ 23゚33〜3゚3 655〜653゚3 23゚3゚3〜
にしのかた〜   よおかんを いずれば〜   こじん〜     なからん〜

 

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